バーに存在する暗黙の了解や紳士協定といったルール。その効力は、すでに失われてしまっているのかもしれません。
- バーに存在する暗黙のルールやマナーの例
- 当ブログでバーの「暗黙の了解」を解説している理由(物申す!)
暗黙の了解とは、なにかをするさい、知っていて当然というルールのことをいいます。
ミナトバーにもこの「暗黙の了解(ルール・マナー)」はあります
しかしバーにおける暗黙のルールは、しだいに崩壊しつつあると私は感じています。
教えてくれる人が少なくなっていて、「よくわからない」という人が増えている、と思うからです。
事前に知っているからこその暗黙のルールやマナーです。
事前に知る機会がないのなら、暗黙もなにもありません。
そこでこの記事では、バーでの暗黙の了解がうすれつつあるとする原因を見つつ、これに物を申します。
それとあわせて、なぜ私がバーのマナーについて当ブログで解説しているのか、という話もすることにしましょう。


ミナト
元バーテンダー。現在は兼業ブロガーとして活動中。夢は海外放浪の旅にでること、自分のお店をつくること。ブログを通してひとりでも多くの方のお役に立ちたいと思っています。当ブログのコンセプトは「24時間営業の人生の休憩所」。>> プロフィール詳細はこちら
本日の1本


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【ひと言】:スモーキーと甘さのマリアージュ。沈黙するほどウマい。ウーガダールは神



ウーガダールはバーで飲むと高いから、むしろ買ったほうがお得だぞ
バーでの暗黙の了解(ルール・マナー)は崩壊しつつある


冒頭でもすこしふれましたが、そもそも暗黙の了解とはなんなのか?
これは、口に出して明言したり、言葉として表記せずとも、当事者間での理解・納得が成立しているルールのようなものをいいます。
これをバーの場合で簡単にいうと、
「バーを利用するお客さんが(お店やほかのお客さんに対して迷惑にならないようにするための)事前に知っておくべきルールやマナー、または常識のこと」
ということができるでしょう。
バーでの暗黙のルール・マナーの例
バーでの暗黙の了解は、お店によってハウスルールもあるので、一概にはいえません。
しかし代表的なものでいうと、つぎのようなものがあります。
入店時
- どこに座ればいいか最初に聞く(勝手に座るのはよくない場合も。予約があるなど)
- 大人数のときは事前に連絡を(ほかのお客さんの迷惑にもなってしまうから)
基本
- 大声で騒がない(手を叩いたりするのもよくない)
- 乾杯はグラスをサッと上げる程度に(グラスをカチーン!は割れる原因に)
- 写真は許可をとる
- 飲食物を持ち込んで食べ飲みしない
- カウンターを叩かない(議論にアツくなっても)
- 1杯を飲み干す時間に気を配る(1杯45分くらいを目安に)
- 女性にナンパをしない(バーでナンパはご法度)
- 寝ない(眠くなったら家で寝よう!)
滞在中
- マンガを読んだりゲームをしたりしない
- PCなどを持ち込んでカフェ感覚で利用しない
- バーテンさんと呼ばない(あまりいい言葉ではないと考えられているから)
- 注文時はスマートに(アイコンタクトや挙手、すみませんなど。指パッチンはない)
- カウンターにあるボトルを勝手に触らないようにする
- 飲み過ぎない(泥酔しない、かなり酔っているならバーに行かないのも英断)
- カウンターに私物を広げ過ぎない(ペットボトルなどの飲料はカバンにしまおう)
中~上級編
かつてはこのようなルールやマナーは、
「上司から部下へ、先輩から後輩へ、あるいはお客さんからお客さんへ」
と、さまざまな方法で受け継がれてきました。
バーテンダーがいわずとも、知っているお客さんのほうが多かったと私は聞かされてきました。
しかし私が思うに、この流れは途絶えかけているような気がするわけです。



そう思う理由としては、おもに以下の4つをあげることができます
- バー業界の衰退
- 若い世代をバーに連れてくる機会の減少
- お客さん同士での注意は危険なケースも
- 時代の変化とともに出現し始めた新たな「神」
まずはこれらの理由について、それぞれ補足していくことにしましょう。
1. バー業界の衰退


私には7年ほどの現場経験があります。
現場の状況以外にも、つきあいのあるバーや街のバーなど、多くを見聞きしてきました。
それらを総合しての判断となるのですが、日本のバー業界は衰退してきています。
バー業界が衰退するということは、それだけバーをおとずれるお客さんが減るということ。



必然的に「暗黙のルール」を知るお客さんの数も減っていくというわけです
そして、これも関係して、2つ目の(暗黙のルールがうすれる)理由が引き起こされていきます。
2. 若い世代をバーに連れてくる機会の減少


相対的に見てバーをおとずれるお客さんが減っているのであれば、
- 上司と部下、先輩と後輩といった、「若い世代を連れてくるグループ」も減少している
ものと考えられます。
そしてじっさいに現場で見ていても、これは以前とくらべて減ってきていると感じていました。
これに関しては、このご時世、上司や先輩と一緒に飲みたいと思う人がすくなくなってきているから(仕事関係はとくに)というのもあるのではないでしょうか?
- 仕事がおわったら早く家に帰りたい
- 有意義な話ならともかく、説教を延々と聞かされるのならその時間のお金がほしい
あらゆる面できびしい状況を強いられる現代社会です。
とりわけ若い世代の人は、そう思うのも当然というものですよね。
さらにいうと、部下や後輩が粗相をしていてもとがめないだけならまだしも、
上司や先輩のほうがマナーがわるい(つまり上司・先輩もマナーを教わっていない)
といったこともじつはよくある話です。
ようは、こういった事例から見ても、つぎのことがいえるのではないかと私は思うわけです。
ひと昔前どころかそれ以上前から、上司や先輩が、部下や後輩にバーのマナーを教えてあげる流れは、消し飛んでいるのではないか?
3. お客さん同士での注意は危険なケースも


かつてのバーであれば、バーのルール的にアウトなお客さんがいれば、ほかのお客さんが注意をすることもあったといいます。
子どもをしかる「カミナリオヤジ」みたいな人が、街にひとりはいたのとおなじような話です。



君さ、マスターに迷惑かけちゃいかんよ
そういった、お店を助けてくれるお客さんも、かつては数多く存在したと。
しかし、いってしまえば、他人になにをされるかわかったものではないこのご時世です。
見知らぬ他人を注意するのも、そう簡単にはいきません。
お酒を飲んで周囲に迷惑をかける人は、マナーやルールがおよばない範囲で一定数存在します。



なんだか年々増加しているような気もしますが……(汗)
こういった人は、頭がぶっ飛んだ狂戦士のような状態となることもあります。
注意したほうが、なにかしらの危害を加えられるといったことも起こりうるわけです。
「記憶にないです」
そして、あとから出てくる言葉は、お決まりのせりふ。
そのあいだに、「喧嘩・流血沙汰・警察騒ぎ」などがあったとしても、狂戦士はなにもおぼえていないのです!
お客さんがほかのお客さんに注意するのは、現代は、残念ながらリスキーな時代だといえるのではないでしょうか?
4. 時代の変化とともに出現し始めた新たな「神」


モンスタークレーマーとか、モンスターカスタマーだとか。
この手の異名がつけられるのは「神」を自称する人たちですが、こういう人も近年は増えているように感じます。



で、そういう人は基本的に自分のことしか考えていないから、「暗黙の了解」は効力を発揮しないと……
自分さえよければいい……。
暴力性などが増幅され、まわりが見えない横柄な神(自称)になってしまえば、だれがなにを言おうが聞く耳を持ちません。
なにかしらの権力を持つことで、そのように変わってしまう人もいます。
しかしこれも、結局はこれまでの話とおなじで、日を追うごとに日本に明るい話がなくなっていっているのが原因のように感じます。
いずれにせよ、ひとたびへんげしてしまえば、もうダメ。
まわりのお客さんが止めようが、バーテンダーに注意されようが、彼らはもう止まらないのです。



ニューゴッドの誕生です
新たな神に、暗黙の了解などは通用しません。なぜなら、神自身が公然のルールだから。
余談:若者にバーでいわれたこと


なんでもかんでも時代のせいにするのもどうかとは思います。
しかし、さきのような一連の流れがたしかにあるように、すくなからずそういう時代にはなってきているような気がします。
時代の変化とともに、バーのルールやマナーといったものは、だんだんと知っている人がすくなくなってきていると私は思うのです。



また、これは余談になりますが、以前こんなことがありました
お店に来店されたのは片方は先輩、もう片方は後輩という関係の男性2人組。
私もこれまでいろんなトラブルがあったので、もうなんとなくわかりました。
先輩のほうから、なにかをやらかしそうな気配がバシバシと伝わってきていたのです。
そして、入店後しばらくすると、案の定といったふるまいをしはじめる先輩男性客。
そのやらかしっぷりはすでにアウトラインを超えていました。
そこで私が声をかけると……、注意されたのが気に入らなかったらしく、男性は逆上。
結局はそのまま「もう帰る」ということになったのですが、そこで後輩男性客がこういったのです。



たしかに、今回は間違いなく先輩が悪いと思うんですけど、一応先輩の手前、いわせてください



やってはいけないルールがあるのなら、さきにどこかに書いてないとわからなくないですか? それもなしに注意されるのは違う気がするんですけど
たしかにそう。彼のいうことにも一理あるんですよね。
私はこういったことが起こるたびに、
- なにかほかの方法はなかったのか
- もっといい方法があったのでは?
と、いつも模索するようにしていました。
とはいえ、彼のいうように、店じゅうに注意事項が書かれた紙を張り付けるわけにはいきません。
ルールブックを作成して置いておく、と、そういうのもやはりむずかしい話でしょう。



それなら、どうすればいいんだろうな?
そう考えていくと、
バーを利用するならルールやマナーは知っていてあたりまえという風潮自体がよくないのでは?
というところにたどり着くわけです。
この問題をなんとかしなければならない時は、すぐそこにまで近づいているのではないだろうか。
私はこのできごとを機に、そう切実に感じるようになっていったのです。
バーのルールやマナーは知っていて当然という風潮がもう古い


バーを利用するのであれば、ルールやマナーは知っていて当然という風潮。
それこそがバーにおける暗黙の了解の正体だと思います。



でも、さきほども見てきたように、暗黙の了解は正しく機能しない時代に突入してきていると感じます
もはやだれもがルールやマナーを知っている時代ではないと私は思うのです。
じつをいうと、この知っていて当然という風潮は、根深い部分もあります。
バーによってはなにも教えてくれず、「暗黙」への違反があれば、つぎのような対応をされることもあります。
- 突然そっけなくされる
- 店主が不機嫌になる
- 急に帰ってくれといわれたりする
それはさきのとおり、お客さんも聞いてくれる人ばかりではないという背景もあるでしょう。
「自分だけよければいい、まわりのことなんか知らない」といったお客さんには、言っても通じないという問題点もあるからです。
いたしかたない部分があるのもたしかなことだとは思います。



でも、そうはいっても、です
それなら、ほんとうにただなにも知らなかっただけの人は、いったいどうなってしまうのか?
知りたくても、まちがったことをしてしまえば、だれも教えてくれず、なぜか冷たくされておわり。
それではいつまでたってもバーのルールやマナー知ることはできません。
そんなことがつづけば、バーという場所がイヤになってしまってもおかしくはないでしょう。



バー経験がない人からすれば、バーに行ってみようという気にさえもならないかもしれんな
かつては、
「お金を払ってでも学ばせてもらいたい、いやな思いをしてでも仲間に入れてもらいたい」
と、そうやってこの暗黙の了解を学んできたりもしたものです。
が、もはやそんな時代ではありません。
知りたいと思ってくれる方、バーに興味を持ってくれる方がひとりでもいる……。
そうだったら、だれかがキッチリ伝えていかなければならないのではないか、と私は思うのです。
バーのマナーを当ブログで解説している理由


バーのことをもっと知りたい、マナーやルールを教えてほしい
そのように真剣に話を聞いてくれるのは、若い方や初心者の方に多い印象があります。
私はそういった方が「暗黙」の風潮が強いバーに行かれたさいに、いやな思いをしてほしくはないと思っています。
このご時世、マナーやルールを教えてくれる人が身近にいるということは、ほとんどないことなのかもしれません。



それを知っているはずの「バー側の人」でさえも、教えてくれなかったりすることもあるわけですからね
ただ、その店側の「沈黙」という選択肢(教えてくれない)は、あまりいいものではないでしょう。
バーテンダーの仕事は、なにもお酒をつくることだけではありません。
バーの文化をのこしていくことも仕事のひとつだと思います。
お客さんにマナーやルールを知ってもらうことも、バーの文化をのこしていくことにつながると私は思っています。
だれもが理解しあえるキレイな世の中なんてものは、ユメやマボロシの話です。
なので、すべての人にマナーを理解してもらうのは、残念ながらそれは不可能に近いでしょう。
しかし、だからといって、理解してくれる可能性までをもバーテンダーがみずから摘んでいたら、最終的には何も残らなくなってしまうのではないでしょうか?
私が当ブログでバーのマナーを解説している理由。
それは、バーに興味を持ってくれ、知りたいと思ってくれる方が安心してバーに行けるため、そして、バーの文化を存続させるためです。
知っている人だけが来ればいい
そのスタンスはじっさいにラクなものです。
が、それをつづけていれば、これからの時代のバー業界はきっと、そのまま先細りになっていくだけでしょう。



それから、「知らない」ってことは、なにも恥ずかしいことではないんだ
ほんとうに恥ずかしいのは、知ろうともせずに自分のわがままを押し付けることだと思います。
だからこそ、マナーやルール・わからないことがあれば、バーテンダーに聞いてみてほしいと思います。
そもそもなにを聞けばいいかもよくわからない、という方もいらっしゃるはず。
なので当ブログでは、そういった理由から、「バーでの暗黙のルールやマナー」を解説することにしています。
今回のまとめ
- 暗黙の了解はもはや正常な機能を果たしてはいない
- ルールやマナーは知っていて当然という風潮は強い
- 沈黙のバーテンダー(教えてくれない)もけっこう多い
バーにはさまざまなマナーやルールがあります。
お店によってもそれは異なるため、正直、こういった暗黙の了解は面倒くさいと感じることもすくなくはないと思います。
でも、その面倒くささのさきに、それ以上のおもしろさがあることを、私は知ってもらいたいと思っています。



人は、いつからでも、いくつになっても成長することができるものだ
若いとか、若くないとか、年齢なんてものはそこに関係はありません。
大事なのは、みずから知ろうとすること。
そして、ある意見に対して頭ごなしに否定せず、いったん自分のなかで考えてみることなのではないでしょうか。
ルールやマナーを知っていると、お店やお客さんから「仲間」として認識される率が飛躍的に上がります。



人と人とのつながりや、つきあいが希薄になっているこんな時代だからこそ、です
紳士淑女の社交場としての側面を持ち、助け合いや、知らない世界を教えてくれるバーの楽しさを、ぜひとも体感してもらいたいと私は思っています。



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