コブタと家族。「精神疾患の告白、コブタが残した置き手紙」

家族には内緒にしてきた精神疾患は、一人で抱えるにはあまりにも重く、あまりにもつらいものでした。

それまで家族には内緒にしていた精神疾患や、精神科に通院し向精神薬を飲んでいることをOD(オーバードース)の未遂により家族全員が知る事になってしまいます。衝撃を受ける家族へ向けて、トンちゃんは置き手紙をして実家を後にするのでした。

コブタの告白

所持していた向精神薬の過剰摂取(OD:オーバードース)はすんでのところで未遂に終わりましたが、これ以上精神疾患のことを家族に内緒にしておくのは限界と感じたトンちゃんは妹と祖父母にも自身の病気の事を話します。
それまでは実家に帰る時も病気や向精神薬の事は隠して気丈に振舞ったり、無理に明るく装っていました。嘘で固めた「明るくて元気な長女」を演じていたのですが、この時既に愛想笑いの一つをすることができないほどにトンちゃんは追い詰められていたのです。

抑うつや不安障害で精神科に通院していること、向精神薬を飲んでいること、つい先程持っていた薬を全部飲んでしまいそうになったことをトンちゃんが打ち明けると、妹2人は絶句し、祖父母は開いた口がしばらく塞がりませんでした。

当然と言えば当然の反応なのかもしれません。実際に精神を病んだことがなければ精神疾患の辛さや病気そのものについては容易に理解することはできないものだと思います。ましてやそれが身内となれば信じられない、信じたくないという感情が理解しようとする思考にストップをかけてしまったり、場合によってはトンちゃんの両親のように「何を言っているのかわからない」「つらいのはみんな同じだ」「ただ甘えているだけなんじゃないか」と、怒りの感情に変わることもあるでしょう。
自分の子供が精神疾患を患っているという現実から、目をそらすために……

その日はそれ以上の会話はなく、家族皆は自室へ戻ります。
トンちゃんは、家族に向けて手紙を書きました。

コブタの置き手紙

面と向かって話をするとお互いが感情的になってしまって会話にならなかったり、うまく言葉が出て来ず、伝えたいことが伝えられなかったりすることもあります。トンちゃんは自分の思いをきちんと家族に伝えるため、知ってもらうために手紙を書きました。
両親と、2人の妹と、祖父母に向けて。

お父さん、お母さんへ

どうしようもない子供でごめんなさい。
お父さんお母さんの育て方が悪かったとかじゃないから。
勝手に体や心を壊したのは私のせいです。
うつ病を信じられないのは分かります。
まだまだ治療はこれからだから迷惑や心配かけると思います。
理解しようとしなくていいから、わかってほしい。
これからどうなるか不安です。でも、まだ東京で生きていたい。
病気のことで怒ったこと、ごめんなさいと謝るのであればその分私が正常になれるように支えてくれると助かります。だから、心配されても実家には帰る事はありません。
騒ぎを大きくしてごめんなさい。

妹たちへ

不甲斐ないお姉ちゃんでごめんね。黙っていてごめんね。
こんなお姉ちゃんは嫌だよね……
お姉ちゃんは、お母さんが作ったレールに沿って生きるんではなくて、自分の意志で東京で生きていくことが今の夢なんだ。
お姉ちゃんが姉として伝えられることや、手本になれることは何もないし、自由に生きられるようにレールを作ってあげることもできない。ほんとに情けないよ……
もっと相談できて頼れるかっこいいお姉ちゃんだったら二人も楽だったかな。
いない方がましかもしれないよね。ほんとにごめんね。

こんなお姉ちゃんだけど、身を削って心をすり減らして辛い仕事をしてきました。
営業販売員や、美容師、ホテルマン、保育士補助、ネイリスト、他にも沢山。
唯一二人に教えられることは、辛い時に辛いと言えない会社なら考えた方がいいということ。お姉ちゃんはそれでこうなりました。
仕事だけでなく環境や人間関係もあるしプライベートも全て辛いと言えなかった。
お姉ちゃんは二人には楽しい会社で生き生きと働いて欲しい。でも、頑張りすぎないでほしい。頼りないけど経験は沢山あるから、話は聞くよ。いつでも話してね。
ただ失敗ばかりだからアドバイスはできないかもしれないけど。

長くなったけど、お姉ちゃんはうつ病です。
理解できないかもしれないけど打ち明けたくて話しました。
急に言われたから混乱してると思うし、無理に分かろうとしなくても、無理に理解しようとしなくてもいい。
それでも、もし……もしも少しでも心配してくれるなら、
時々メールや電話しよう。
それだけでも嬉しい薬です。

何にもできないお姉ちゃんだけど、いつも二人を応援しています。
学校、仕事頑張ってね。またね。

おばあちゃんおじいちゃんへ

昨日はびっくりさせてごめんなさい。隠し通せなかったんだ。
心は全然ダメだけど体は元気だから安心してね。
心配してくれるのはわかってる。私は二人が大好きです。
こんなことになって本当に胸が苦しい。
おばあちゃんおじいちゃんに何かあったら私は立ち直れなくなるほど落ち込みます。
私が悪化しないためにも健康でいてね。私もうつ病治せるよう努力するから。
おばあちゃんの料理美味しかった、また帰ったら食べたいな……
ごちそうさまでした。

トンちゃんは家族それぞれに向けて書いた手紙をそっと置き、静かにその場を後にしました。

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