コブタの半生(その1)幼きコブタと、自律神経失調症の発症

トンちゃんは幼少期の頃からめまいや立ちくらみなどの身体症状に悩まされていました。
そしてそれは精神を少しずつ、しかし確実に蝕んでいきました。

双極性障害(躁うつ病)は遺伝的な要因が一つの原因とも考えられていますが、それ以外にも幼少期の親との関わり(特に母親との関係)や、家族との関わり、社会的なストレス、生活リズムの乱れなどが原因になると考えられています。
トンちゃんの場合はどうなのか、彼女が精神疾患を発症するまでの経緯を見ていきたいと思います。

トンちゃんの生い立ち

トンちゃんは関東地方の生まれで、社会人になるまでは地方で暮らし、社会人になってからは東京で暮らすようになりました。
家族構成は両親、祖父母、妹が2人の7人家族で、トンちゃんは長女です。
両親や他の家族に精神疾患を患っている人は一人もいません。

幼児期(2~5歳)

社交的で活発な性格だったトンちゃんは新体操をしていましたが、体を動かすとフラフラすることがあるため運動はあまり好きではなかったそうです。突然キーンという耳鳴りがすることが度々あり、その音は一体何なのか疑問に思い、周りの友達に聞くもわからず不思議に思っていました。
妹が生まれるとお姉ちゃんなんだから頑張りなさいと言われることが増えます。
5歳の時脳貧血を起こし失神。

児童期(小学生|6~11歳)

2人目の妹が生まれたことでお母さんはさらに妹2人に付きっ切りになり、トンちゃんは「自分はお姉ちゃんだから何でも我慢しないと、何でも一人で頑張らないと」とさらに強く思うようになっていきます。お母さんに甘えたくても甘えられませんでした。
この頃から人とのコミュニケーションが上手くいかないことが増えだします。妹には鬱陶しがられ、母には甘えられず、祖父母と就寝を共にするようになっていきます。
学校でも周りの子たちとの意思疎通が上手くいかず、仲間外れにされたり、陰口を言われたりするようになっていきました。
人間関係を上手く築けないストレスで何か悪い事をしたり妹と喧嘩をしたりすると、お仕置きで物置に閉じ込められるようになり、抵抗したり反抗すると叩かれたり殴られたりすることもありました。物置は暗く、狭く、あまりの恐ろしさに閉じ込められている間は泣き叫んでいたそうです。トンちゃんはこの時の物置を「牢屋」と呼んでいます。

高学年になると、それまでは運動するとフラフラしたり、時々めまいや耳鳴りがしていた程度だったのが突如悪化し、平衡感覚に異常が起き出します。それによってお風呂に入るのが怖くなり、そのことを周りの子たちに話すと不衛生だと言われ、さらに学校での対人関係は悪化。学校での交友関係について両親に相談したところ、両親が学校の先生に掛け合ってくれるも改善することはありませんでした。

小学6年生の時全てが嫌になり、自ら命を絶とうとドアノブにベルトを引っ掛け首を絞めるも、苦しくなり未遂に終わる。

児童期(中学生|12~15歳)

この頃から朝起きられなくなることが多発し始めます。
朝起きようとすると強い立ちくらみやめまいを感じて起き上がれなくなる。トンちゃんは自身のこの状態を「起きれない病」と呼んでいますが、これは「起立性調節障害」という自立心神経失調症の一つだと思われます。
お母さんには怠け者と言われ無理やり起こされていたようですが、それでも体が動かず家から出られなかったり、同様の事が続いていたため一度医者に行くことにしたそうです。

一番最初に行ったのは近所の耳鼻科で、そこでの診断は特に異状はなし。
しかしトンちゃんは納得がいかず、県で一番大きい大学病院へ連れて行ってもらい、平衡感覚を調べるための検査(耳に温冷水を入れる温度眼振検査、赤外線CCDカメラを目につけ頭部を傾ける頭位眼振検査、正面を移動する指標を眼で追わせる指標追跡検査、重心計に乗り重心の移動を計る重心動揺検査、聴覚検査、MRIなど)を受けましたが、検査の結果から平衡感覚を司る体の器官には異常は認められず、「自律神経失調症」「こころの病気」だと思われると診断されました。
詳しい診断結果はお母さんが聞いたそうですが、お母さんは自分の娘に精神的な問題、こころの問題があるということを認めたくなかったようで、医者に通院させる気はなく、トンちゃんにも詳しい診断結果は教えてくれなかったそうです。母からこれを飲んでおけば治るとビタミン剤を飲まされることになります。

しかしそれでは症状が改善されず、朝起きられなかったり、合唱の練習中に酸欠になり倒れそうになったり(脳貧血)、日常的に起きるめまいに嫌気が差し、自ら命を絶とうと陸橋から飛び降りようとするも怖くなり未遂に終わる。

学校では現在でも親交のある友人が2人でき、3年間仲良く過ごすことができました。

青年期(高校生|16~18)

地域のダンスサークルに入り、運動をすることでめまいなどの症状が少し落ち着きます。運動は好きではなかったのですが、ダンスは楽しいと感じるようになり、また運動をすることで症状が改善するのではと思ったようです。
両親の期待に応えるために生徒会や部活を頑張り、できるだけ目立たないように3年間を過ごし、卒業。

青年期(専門学校|19~20)

ダンスが好きだったことと、めまいなどの症状を改善したいとの思いからスポーツの専門学校に進みます。
授業ではダンスや、スポーツ、トレーニングなどの運動を行うことで次第に症状は落ち着いていきますが、完全に症状が消えることはなく、運動するだけではだめだったのか、今後一生付き合っていかないといけないのかと諦めを感じるようになります。
学校の授業では自身の悩みであるめまいや平衡感覚の異常の原因について知る事はできずに卒業を迎え、社会人になる日を迎えました。

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