友の仇は俺が討つ……。無残にも敗退した友人の名誉を取り戻すため、私はこの日、再びリベンジャーとなった。
今回の旅の本来の目的でもあった旧友との再会。無事に再開を果たした私は、そこだけ時間が巻き戻っているような、10代の頃に吹いていた風が再び吹き荒れているような、不思議な感覚を覚えます。
そして、観光を終えた私たちは2人してマリーナベイサンズのカジノへ。
連日連夜、一人孤独な戦いを繰り広げるシンガポールのカジノで、今旅初の共闘が始まろうとしていた……。
3日目はこちら↓
【反撃の狼煙】マリーナベイサンズで進撃開始!逆襲のブラックジャック
表シンガポール旅行4日目はこちら↓
インド人街「リトル・インディア」の探索と、消えた友人の捜索
ミナト
海外旅行が趣味の兼業ブロガー。以前はカジノにハマるもギャンブルにはもう懲りて……? 現在は観光メインで旅行を楽しみながら、現地での体験や旅行に役立つ情報も発信中。いずれは海外を放浪する旅にも出たいと思っています。>> プロフィール詳細はこちら
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裏シンガポール旅行(4日目)
一度は観光資金を全て失いかけたことで、友人との再会も叶わずに終わってしまうかとも思われましたが、見事復活を遂げた私は無事に友人との再会を果たします。
私たちはお互いの近況なんかを語りながら、フィッシュヘッドカレーで有名な「バナナリーフアポロ」のビリヤニを食べ、
シンガポールの名門ホテルであり、シンガポールスリング発祥の地としても知られる「ラッフルズホテル」のロングバー(仮店舗)でオリジナルのシンガポールスリングを飲み、
ナイトサファリで夜行性の動物たちを観賞。
最後にマリーナベイサンズの屋上にあるルーフトップバー「セラヴィ」で地上200mからシンガポールの夜景を堪能。
そして、私たちはこの日の締めとなる戦場、マリーナベイサンズのカジノへと向かったのです。
カジノ必勝法の1つ、マーチンゲール法とは
友人はギャンブルは基本的にしないのですが、この日は私が来るということでカジノに行く気満々。特に友人はこの日のために何かを用意してきたようで……
実は、秘策を編み出してきた
ほぅ、それは、お聞かせ願おうか……
外した時は外した分だけ次のベット額を上げる。これでマイナスにヘコむことはないって寸法だ
なるほど、それは「マーチンゲール法」だな!
説明しよう!
マーチンゲール法とは最も古典的とも言われるカジノ必勝法(ベッティングシステム)の1つで、理論上は絶対に負けることはないという戦略。
その手法は至ってシンプル。まずは1単位をベットし、負ければ倍の2単位、さらに負ければ倍の4単位……と、負ければ負けた分だけ倍プッシュをしていき、勝ったところでベット額を最初の1単位に戻すのです。
これによって、何度負けても1度だけ勝てば1単位は最終的に取り返すことができ、勝った分はそのまま保持することができるというもの。
マーチンゲール法は、特に当たりの確率が約50%、配当が2倍のゲームで効果を発揮する必勝法で、例えばベットする1単位を1ドルとしてシミュレーションすると、以下のような結果となります。
回数 | ベット額 | 勝敗 | 配当 | 収支 |
1 | 1ドル | Ⅹ | ー | -1ドル |
2 | 2ドル | Ⅹ | ー | -3ドル |
3 | 4ドル | Ⅹ | ー | -7ドル |
4 | 8ドル | 〇 | 8ドル | +1ドル |
5 | 1ドル | 〇 | 1ドル | +2ドル |
最初に3連敗しても4回目で勝てたことで負けを取り返すことに成功。結果は2勝3敗ですが、収支はプラスになっています。
しかし、このマーチンゲール法、実は致命的な弱点を持っています。
それは第一に、外し続けると資金切れを起こして回収が不可能になるという弱点。そして第二に、ベット額がテーブルのマックスベット(上限)に到達してしまうとシステムが崩壊するという弱点。
例えば、1単位を25SGD(約2,000円)でゲームをスタートさせるとして、外し続けた場合は以下のようにベット額が膨れ上がっていきます。
回数 | ベット額 | 回数 | ベット額 |
1 | 2,000円 | 6 | 64,000円 |
2 | 4,000円 | 7 | 128,000円 |
3 | 8,000円 | 8 | 256,000円 |
4 | 16,000円 | 9 | 512,000円 |
5 | 32,000円 | 10 | 1,024,000円 |
このように、5連敗辺りから回収が厳しくなっていき、10連敗となった場合は2,000円を取り返すために100万円以上が必要となり、さらにテーブルのマックスベットに到達した場合、1度だけ当たれば回収できるという前提が崩れ去ってしまうのです。
また、マーチンゲール法はバカラやブラックジャックなどの毎回シャッフルせずに同じカードのデッキを使い続けるゲーム、つまりデッキに残ったカードによってその後の展開が変わるといった、前回の結果が次回以降の結果に影響を及ぼすゲームには向いていないという点も気になるところ。
だからこそ、勝負はルーレットにしようと思う
マリーナベイサンズのルーレットはミニマムベットが5SGD(約400円)前後と安く、1単位が400円であれば、たとえ5連敗してもまだ12,400円と回収可能。
また、ルーレットは回転する盤に毎回球を投げ入れるだけなので、前回の結果が次回の結果に影響することがない(これを独立事象といいます)ゲーム。
なるほど、これは理にかなっている。友人よ……10代の頃のキレは今も鈍っていないようだな……!
ということで、私たちはカジノに入場。まずはルーレットのエリアを目指します。
マリーナベイサンズのルーレットは2種類
マリーナベイサンズのカジノにあるルーレットは、緑の「0」が1つのヨーロピアンタイプ、緑の「0、00」が2つのアメリカンタイプの2種類があるのですが、緑が2つのアメリカンは緑が1つのヨーロピアンと比べて倍近く控除率が高いため(アメリカン5.26%、ヨーロピアン2.7%)、勝負をするのならヨーロピアンルーレット一択。
しかし、この日は週末ということに加え、年に一度のイベントである「F1」が開催されていたこともあってか、ルーレット、特にヨーロピアンは混雑中。
テーブルが空いていれば一緒にルーレットで遊ぼうかなと思っていたのですが、ここは一先ずテーブルが空くまで待機することにし、ブラックジャックで遊びながら様子を見ることにします。
ルーレットとは反対にBJのテーブルは空いていたので、ミニマム50SGD(約4,000円)のテーブルに2人で着席。友人はBJのルールは知らないので、アレがこうでコレが……と説明しながら私は3ハンドのマルチハンドでゲームを進めていきます。
特に大きめの数字でヒットするとやたらと絵柄が入ってくるんだよね
なんてことを言っていると……
「15」はピクチャーでバースト。
「16」もピクチャーでバースト!
15~16の絵柄率高くない!?
そう、15、16でヒットすると「10」が入ってきてバースト、というのが今旅を通してなぜかやたらと多い。
単純に考えれば「10+絵柄」は13分の4、30.7%なので、大体3回に1回程度になるはずなのですが、体感的にはもっと多い気がする。果たして、絵柄が見えた瞬間に終わりというインパクトが印象に残りやすいだけなのだろうか……?
(コクッ……コクッ……)
そんなことをしている内に、流石に友人も疲れが出たのか、ウトウト状態。
それもそのはず、友人はこの1週間がかつてないほどの激務だったらしく、ようやくの休みは昼から1日中私との観光だったのです。
わかる。疲れたよな、眠くもなるよな。お酒も飲んでお腹もいっぱいだしな……。
しかし友人よ、俺たちは今、勝負にきていることを忘れてはいやしないか……!?
目を覚ませ!戦場での居眠りは死を意味する……!
……おぉ!スマン寝そうだったわ!ちょっとルーレット行ってくるわ!
ということで、アツくなり始めた私はBJでの勝負を継続。友人は必勝法を引っ提げてルーレットへ。それぞれの戦いが始まりました。
伸るか反るか!?勝ち分全額バカラにベット!
何だかんだで私はこの日も調子が良く、BJでの勝負は+1,300SGD(約10万4千円)と再び快勝。友人の調子を見にルーレットのテーブルまで行くと、友人もちょうど勝負を切り上げたところで、
250SGD(約2万円)勝ったわ!
なんと、基本的にはマーチンゲール法で、途中から調子がいい時はベット額を上乗せするなどして、友人は見事250SGDの勝利!
正直言うと、片側10連勝を自分が着いているテーブルで目撃していたことからも、私はマーチンゲール法に関してはハイリスクローリターンで危険だと思っていたのですが、友人はそんな懸念を払拭。大きな勝利を手にしたのです!
元々はなかったお金。俺にとって2万円賭けるのは一大勝負だけど、勝ち分全額ベットで有終の美を飾りたい
そう、ギャンブルで2万円を1回に賭けるというのは大きい。それが普通、当たり前のことなのです。観光資金を賭けるなんてのは以ての外。本来やってはいけないことなのです!
よし、それならバカラ行こう!
一発勝負であればバカラが最適。行こうぜバカラ、これが今日最後の勝負だ!
BANKER5連のテーブルを発見
バカラで一発勝負をするのならテキトーに張るよりも片側の連勝に乗っかった方がいい、なんて話をしながらバカラのテーブル周辺をうろうろしていると、私たちを待ってましたとばかりにツラ(片側連勝)が発生しているテーブルを発見。
罫線はBANKER5連。追う価値はある。ある……。けれども……
いや、確かに可能性はある。ただ、ここで終わる可能性も同じくある……
できれば友人には勝ってもらいたい……。
体力が尽きそうな中、少額の勝ちを重ねて得た250SGD。それは、私が今手に持っている1,300SGDよりも何倍もの価値があるものでした。だからこそ、だからこそ安易にここは追えとは言えない……。
いや、行こう!待ってて後悔するくらいなら、玉砕覚悟で行くべきだ!
流石は単身シンガポールに突っ込んでいった漢。その心意気、俺も乗らせてもらおうじゃないか……。
こうして友人は勝ち分の250SGDを、私は端数の300SGDを、2人合わせて550SGD(約4万4千円)をBANKERの6連目に賭ける!
ノーモアベット
ディーラーがカードシューから2枚ずつカードを抜きます。このゲーム、PLAYERにベットしている人はいません。よって、BANKERにベットしている金額が一番多い私たちにだけカードを絞る権利が…………ない!?
あれ?あっ、そういうことか……
そう、私たちは最も多い金額をベットしていたものの、席に着いていなかったことでカードを絞れず。私は着席していないとカードを絞れないことをこの時知った。
そして、ゲームの結果はBANKER、連勝伸ばせずで敗北。無念のPLAYERウィンで終了。
友人もわからないので私に絞ってくれと言っていたのですが、どうせ負けるのならせめて、友人に絞ってもらいたかった……。
勝ち分全額ベット・リベンジマッチ
正直言うと私の300SGDはどうでも良かった。それよりも、自分よりも勝ってほしかった友人の敗北に胸が痛む。
流石にこのまま終われなかった私はもう一度勝ち分全額ベットで再戦。今度は私の勝ち分である1,000SGDを一発ベットで、リベンジマッチに挑むことを決意。
友の無念は俺が晴らす。玉砕覚悟のその意志、しかと俺が引き継いだ……!
私は先客がいないバカラのテーブルに友人と2人で着席。そして、連勝も流れも何もない状態のテーブルで、リベンジの意味を込めたBANKERに1,000SGD(約8万円)を一発ベット!!
おぉっ、凄いな、1,000SGDも!?
負けたら負けたで派手に散ろうじゃないか!
もはやお金なんてどうでもいい。これは友人のための、雪辱を果たす戦いだ……!!
ノーモアベット
ディーラーがカードを配り、先にPLAYER側を開いてもらうと合計は「6」。よってPLAYERは「6」でスタンド。続くのは私がベットしたBANKER。
まずは1枚目。縦から絞ると中央にマークが付いていたので、これは「2」か「3」しかないと友人に解説しながら絞り、結果は「3」。
続いて2枚目は縦絞りで足がつき、横から絞るとスリーサイド!これは「6~8」しかなく、3分の1で勝ち確だ!と友人への解説にも熱が入る!!
私はカードを再び縦に戻し、縦から少しずつ絞っていきます。
縦両サイド中央にマークがつかなければ「6」でナチュラル確。2枚目は少し絞ってもマークが見えてこなかったことから、まずは片側をクリア!
残るはもう片方。ここまでくれば「6 or 7」で、合計は最強のナチュラル「9」もしくは最弱の「0」の2つに1つ。
頼む、ここまで来たら行ってくれ……。友人との再会のラストを、文句のつけようがない完全な勝利で飾ってくれ……!!
あ~……
なんだ!?今の「あ~」は……!?
テーブルの後ろで観戦していたギャラリーから突如発せられた「あ~」の声。何か嫌な予感がする。まさか、外したのか……?このカードは、最弱の「0」へと導く数字が刻まれているのか……!?でも、どうやってそれを判別した……!??
勝負の瀬戸際で謎が謎を呼ぶ!そして、反対側を絞っていた私は耐えきれずに、一気にカードをオープン!
すると、数字は「6」!最強のナチュラル「9」が見事キマっていた!!
それじゃあ、さっきのは一体何だったんだ……?
そう思いながら顔を上げると、なんと、テーブルに備え付けられたモニターに「3」と「6」のカードが表示されているではないか!
あ~、なるほど
カードシューからカードが出た際に判別しているのか、テーブルのどこかにカメラがついているのか、どういう仕組みかはよくわからないのですが、実は私たちが着いていたテーブルには、一定時間が経つとカードの合計がモニターに表示されるというシステムが備わっていたのです。
なので後ろで観戦していたギャラリーの「あ~」は、どちらかと言うと感嘆の「あ~」だった模様。
いずれにせよ、私は見事友人の無念を晴らすことに成功。そして、別れの時が迫る。
さらば友よ、また異国の地で
勝負を切り上げた私たちは別れを惜しみつつも、お互いの今後の健闘を祈ってタイガービールで乾杯。
特に友人は今後シンガポールから別の国へ移動することが決まっていたようで、そういった事情もあって会う前の1週間は多忙を極めていたようでした。
近々他の国行くけど、また会おうぜ
カジノがあればどこへでも行くさ。もちろんなくてもな……!
友人よ、また会おう異国の地で。それまで腕を磨いて待っていてくれ。次は、一緒に勝とう……。
そう思いながら私は、先にタクシーに乗り込む友人を見送り、それぞれ帰路へ。
再び一人になった私はタクシーの窓からシンガポールの景色を眺める。この先に、これまで蓄えてきたものを全て失うか、このまま勝ち逃げできるかの紙一重の戦い、最後の戦いが待ち受けているとは知らずに。
(BJ)+1,000SGD
(バカラ)+1,000SGD
(合計)+2,000SGD(約16万円)
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