恩に報いるということ

「ミナトくん、うちで働いちゃいなよ」
夢や希望もなく燻っていた私に、救いの手が差し伸べられました。

こんにちは、現役バーテンダーの湊です。
バーに通うようになった私は様々な人と出会うのですが、ある日、今後の人生を左右する出会いを果たします。
その人物は飲食店を経営していて、バーのマスターでもありました。

人生を変える出会い

バーに通うようになり居場所ができたとぬか喜びしていた私でしたが、それは現実から目を背けているに過ぎないことでした。
学生の本文である学業はおろそかに、やっていることといえば日銭稼ぎのアルバイト、パチンコ、現実逃避のバー通い。大学へ行こうが行かまいが学費はかかります。その額半年で約40万。将来返済しなければならない借金です。
在学3年目にして留年も決定し、取得できていた単位も絶望的。私は行き詰っていました。

そんなある日いつものようにバーに行くと、近所で飲食店を経営しているという男性と出会います。聞けば昔スロットを打ちながら各地を旅していたらしく、その日はパチンコ屋の話で盛り上がり、後日その社長が経営する飲食店に行くことにしました。

バーで出会った社長が経営していた飲食店はフランチャイズのお店で(チェーン店などで本部が経営する直営店ではなく、個人が名前を借りて経営しているお店のこと)店内の一角にある隠し扉を開くと、その先にバーがあるというかなり変わったお店でした。今だから言えますが、そのバーは本部に内緒で作られた、まさに「隠れ家」のようなバーでした。
そこに社長はいました。

「お、ミナトくん、いらっしゃい」

社長の過去

彼が若い頃スロットを打ちながら各地を旅していたのは、やりたい事がなく、暇潰しのようなものであったそうです。旅に出れば何かが見つかるかもしれない。しかし長い旅から帰ってきても何も変わりませんでした。そんな折、たまたまアルバイトで働き出したのがこの店で、当時の社長が彼を拾い、社員として雇用してくれました。彼は自分の人生に道を示してくれた前社長のために本気で働いたそうです。
経営が難航し閉店の話が出た時、彼はお店を買い取りました。店舗の閉店にも場合によっては莫大なお金がかかります。それはもちろん経営者が負担することになるので、前社長に負担をかけたくなかったそうです。それは前社長から貰った恩に報い、義理を果たすためだったと、彼は言いました。

「ミナトくん、うちで働かないか?うちは厳しいけど」

その言葉には、いま暗闇の中にいるのなら道を示してやるからついて来いよ、君は若い頃の自分にそっくりだ。といったメッセージが込められているように私には感じました。
そして、彼の前社長への恩返しは今もこの店で受け継がれ、続いているんだと。

私は彼の下で働くことを決めました。
この時はまだ、その後またしても地獄を見ることになるとは知らずに・・・

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