元重度のギャンブル依存者である私には、いくつかの疑問がありました。
以下のような疑問です。
- パチンコをやめた後で再び行ってしまうとどうなるのか?
- 月1回くらいと決めてパチンコで遊ぶことはできるのか?
- ギャンブルをやめた後でも行ってしまえば以前のように戻るのか?
ようは、ギャンブル依存者は「パチンコをやめたあと(依存症の克服後)なら正常に遊べるようになるのか?」ということです。

できることなら、趣味として月1回だけパチンコに行きたい……
パチンコ依存症になってしまったとはいえ、だれもが最初は好きでやっていたわけです。
趣味の範囲で遊べるとすれば、「月一回」くらいなら、わるくはないともいえるでしょう。
そこで、このナゾを解き明かすため、身を投げ打ってパチンコ店に行ってきました。
「パチンコの1回だけは、ほんとうに1回でおわるのか? 1回だけでおわらせることはできるのか?」
本記事では、この疑問に答えをだします。
私がパチンコを辞めたわけ
そもそもの話で、なぜ私は「パチンコをやめたのか」からお話ししましょう。
これは冒頭でもふれたとおり、私にはギャンブルに依存症状があって、生活がすでに破綻していたからです。
- やめたくてもやめられなかった期間は10年以上
- 負けは1000万円オーバーで借金漬け、死にたくなることも多々あった
- 仕事は朝から深夜までの激務で、人生には夢も希望もなく、ただパチンコがそこにあるだけ
当時はなんのために生きているのかも、もうわかりませんでした。
パチンコのせいでお金は貯まらない(借金の返済がおわらない)ので、ほかにやりたいことがあってもできる気配を感じられません。
将来のビジョンとか、夢とか希望とか、そんなものはなにもなし。
ようは、ほんとうに長いこと、「パチンコに行くのが人生」になってしまっていたのです。



できることならもう辞めたいのに、ですよね
そして、ついに限界をむかえた私は、「人に助けてもらう最終手段」を行使することでパチンコをやめました。
やめた……というよりも、なんとかして「辞めた人になれた」といったほうが正しいですね。
それで、その地獄を乗り越えてからしばらくしたあとで、思ったのです。
「じゃあ辞めたいまは(パチンコのコントロールは)どうなってるんだ?」と。
パチンコをやめた結果
1回だけパチンコに行きたくなった理由
もともとは私も、好きでギャンブルをやっていた人間です。
それもあって、その後はこうも考えました。



パチンコで1回だけって可能なのか……?
結論からいうと、そんなことは不可能だったのですが、ここではそう考えた理由を(順を追って)お話しします。
10年以上におよぶギャンブル依存症を克服した私は、その後は、パチンコのない安定した生活を送れていました。
その状況を一変させたのが、仕事の長期休暇。
生活(時間)の大部分を占めていた仕事が、急に、しかも長期で休みになると決まったのです。
さらに、休みで時間ができたところに、以下の条件が重なりました。
- その仕事は休み後に辞めることが決まっていた
- イヤな気分になる出来事が起きた
- 退職後に海外カジノに行くことになっていた
特殊な話もありますが、すべて「1回だけ」問題に関係する部分があります。
本題に入るまえに、まずは、それぞれの条件を簡単に補足しておきましょう。
1. 仕事を片方辞める(時間が増えるとどうなるか)


2019年当時、私はバーの仕事をしていたのですが、それを辞めるのが決まっていました。
これにより、今後は多くの自由な時間(最大で1日12時間ほど!)が手に入ることになっていたのです。
そんなとき、思ったのです。
- パチンコに行かない生活をこれからも続けることができるのか?
- 今後行きたくなったとき、息抜きとして1回だけ遊ぶような付き合い方はできるのか?
「時間が増える=パチンコに行きたくなる機会が増える」でもあります。
加えて、後者の「1回だけの制限を守れるのか?」は、じっさいに行ってみなければ答えを知ることはできません。
危険性は感じるけれど、検証はしてみたい。
強い好奇心もあって、私はそう考えるようになっていたのです。
2. イヤな出来事が起きた(ストレス発散は可能か)


バーの仕事を辞めることにしたのは、当ブログの更新作業に時間を使いたかったからです。
ところが、退職前のタイミングで、仕事でかなりイヤな思いをするできごとがありました。



完全にやる気失せたな……
急遽の休みで時間はたくさんあるというのに、「なにもする気がなくなって」しまったのです。
イヤなことがあったときに、ちょっとした気晴らしは可能なのか(パチンコでストレス発散はできるのか?)も気になりました。
3. カジノで勝負(別のギャンブルでの誘発はあるか)


仕事を辞める決断をしたはいいものの、たいした貯蓄もない。
そこで私は、その後の生活費をかせぐため、退職後に海外カジノでひと勝負をしてくるという、無謀な計画を立てていました。
それ以前に行った海外カジノでの経験から、「カジノは勝てる」と思い込んでいたからです。
ただし帰国後は、バーの仕事は辞めているので「時間」がある。
- いつでもギャンブルができる状態で、
- カジノ(別のギャンブル)の刺激を受ければ、
またパチンコ漬けの生活にもどってしまうのではないか?
そういった懸念があったので、「パチンコをコントロールできるようになっているのか」も、私は確認したかったのだと思います。
再パチンコの動機まとめ
- 息抜きとしての1回だけは可能か知りたい
- 重いストレスの発散のときだけできるかを知りたい
- 別のギャンブルにふれても大丈夫なのかを知りたい
このとおり、今回の再パチンコには、いくつかの動機がありました。
しかしその衝動は、じつはそこまで強いものではなく、ふつうに我慢できるほどのものでした。
では、なぜそれでも行ったのか?
いちどギャンブル依存症になると、二度と正常なギャンブルはできなくなる。
結局は、このギャンブル依存症に関する定説を、自分の目でたしかめたかったからでしょう。
「たしかな事実であっても、自分が経験しなければ、真実にはたどり着けない」
ギャンブル問題にかぎらず、つねに私は、そのように考えています。
カジノに突撃しようと計画していたのも、じつはそういった理由(べつのギャンブルなら大丈夫か?)も関係していました。
そんなわけで、「自分はどうなるのか」を知るためにも、私はパチンコ店に行ってみることにしたのです!
パチンコ店でのスリップとリバウンドの記録
では、本題にまいりましょう。
私がまず向かったのは、生活圏にあるパチンコ店(X店とします)で、これまで数回ほど行ったことがあるお店でした。
ただ、さきほども「結論からいうと不可能だった」としたように、この件は1回だけではおわらなかった。
よってここでは、再パチンコ(スリップ)と再発(リバウンド)の記録を、すべてのこしておくことにします。
辞めたあとでパチンコに行ってしまえばなにが起こるのか?
それがわかると思うので、どうぞ結末までごらんください。
初日:やめた後はつまらないと感じるようになっていた


初日にパチンコX店で私がすわったのは、吸血鬼とヴァンパイアハンター(一族)の戦いを描いた神ゲー(KONAMI)とのタイアップ台。
サンドに1万円札を入れ、意気揚々と私は遊技を開始しました。
ところが、なんというか、これがなにも感じないのです。
ワクワクすることもなければ、ドキドキすることもなく、淡々と回転数だけが増えていくだけ。
1000円で30数回転と、相変わらずお金が消えるのは早く、投資はすぐに1万円を超えました。
そして、なにも起きずに2万円を使い切ったところで、私は思ったのです。



(スロット)つまらんなマジで……
ひさしぶりに遊んだパチンコ店での感想は、出ない、つまらない、演出のあおりでイライラするだけ。



あれ、こんな感じだったっけ……?
かつてはそこにあったおもしろさを、まるで感じられなくなっていたのです!
……とはいえ、使ったお金は取り返したいと思うのが人のさがです。
「負けをなんとかしよう」と、台移動をするなどして私は粘り、結局パチンコ店を出たのはお店の閉店時間でした。
結果は、わずかに負けを取り返すことができてマイナス1万8000円。
これで、「1回だけ」はおわるはずでした。
2日目:最速で「決まり」を破って再パチンコへ


パチンコ店での「1回だけ」はすでにおわっています。
勝ち負けは関係なく、本来はここでヤメにしなければなりません。
しかし結局、そういうわけにはいきませんでした。



1回だけ……いや、2万円くらいだったら取り返せるはず
負けたぶんを取り返してやめよう……!
私はなんのためらいもなく、つぎの日もパチンコX店へと向かいます。
前日遊んでいたのとおなじ台で遊び、さらに2万5000円のお金を失いました。
またいま思えば、ギャンブル依存症のおそろしさは、このタイミングで発揮されていたように感じます。
初日では「つまらない」と感じたパチンコ店での遊戯は、なんと2日目にはもう「楽しい」と感じるようになっていたのですから。
4日目:別のパチンコ店にも行くようになった


仕事を片方辞めることが決まっていて、おまけに休みで働いていないぶん給料も減る。
その後の私にとってお金は命そのものであり、なんとしてでも、負けは取り返さなければなりませんでした。



2000枚ならなんとかなる。まだこれくらいなら取り返せる……



爆死する未来しか見えないけどな
私は行ったことがない近隣エリアにあるパチンコ店(Y店とします)に突撃します。
事前にしらべておいた台で遊びはじめます……が、これには、まったくやれる気配を感じられません。
新規開拓したY店でも負け、結果はマイナス4万3000円で敗退となりました。
5日目:スロットの無理ゲー感に爆死濃厚


ここまでのトータルは、3回でマイナス8万6000円です。
あまりの勝てなさに「さすがに取り返すのは不可能では?」と思われましたが、私が考えることは、ひとつしかありませんでした。



4000枚出せばチャラ……!
一発当てればなんとかなりそうな台を目指し、またしても私は初日のX店へ。
しかし、ここで体感させられたのは、低設定に特有の圧倒的な無理ゲー感でした。
結果はマイナス4万円と、この日もまた負けました。
7日目:最終日まで負け通しでフィニッシュ


ここまでくると、もう負けを取り返すのは無理。
それならば、すこしでもダメージを軽減させたい、という話になるわけです。
そこで私は、もういちどパチンコY店に向かったのですが、もはや結果はみえていました……。
マイナス2万7000円、オール負けでフィニッシュです!
パチンコで「1回だけ」の検証結果と考察
今回の「パチンコで1回だけは可能なのか?」を検証した結果をまとめます。
以下のとおりとなりました。
日数 | パチンコX店 | パチンコY店 | 収支合計 |
---|---|---|---|
初日(1回目) | -18,000 | - | -1万8000円 |
2日目(2回目) | -25,000 | - | -4万3000円 |
4日目(3回目) | - | -43,000 | -8万6000円 |
5日目(4回目) | -40,000 | - | -12万6000円 |
7日目(5回目) | - | -27,000 | -15万3000円 |
わずか1週間のうちに15万円もの大金を失いました。
また今回の検証では、以下のことがわかりました。
- 1回でも行けば知らない台・新しい情報が目に飛び込んでくるのでムリ
- 負けていると取り返そうとするので、負ければよけいに1回ではすまなくなる
- パチンコへの依存症状を復活させるのには1回だけでじゅうぶんだった
とくにおそろしいと感じたのが「③依存症状の復活」です。
当初は、ひさびさにパチンコ店で遊んだからといって、体に電流が走るような「快感」をおぼえることはありませんでした。
ところが、2日目にはもう、その話はくつがえっていたのです!
「ギャンブル依存症になると、依存症状を発生させる回路は脳に一生のこる」といわれています。
さびついた回路に油を差してよみがえらせ、ふたたび電流が流れるようにする……。
そのためには、「たった1回」のギャンブル行為があればじゅうぶん、ということなのでしょうか?
ひとたび足をすべらせれば真っ逆さま。
今回でわかったのは、パチンコの1回だけなんてのは不可能であり、とりわけ過去に依存経験があったのなら「それはなおさらの話だ」ということです。
今回のまとめ
- パチンコで1回だけはギャンブル依存者には不可能
- 勝っても負けてもまた行くので1回だけではおわらない
- 別のギャンブルに関してはまだ検証の余地あり
今回の検証で、パチンコをやめるのに成功したとしても、1回だけ遊ぶなんて芸当はできるようにはならない、ということがわかりました。
負ければ負けたお金を取り返したくなります。
中途半端に勝てれば、勝ったお金でズルズルとパチンコ漬けの生活にもどっていきます。
元パチンコ・スロット依存者なら、こうなる可能性はきわめて高いので、「1回くらいなら……」と思っても絶対に行かないほうがいいでしょう。
ようするに、パチンコ依存症の克服に成功したのなら、なにがあっても二度とパチンコ店には行ってはいけない、ということです。



これが、体を張って私が出した結論です……
それから、パチンコをやめたあとで再度行ってしまうと、ほかの趣味ができていたとしても「興味関心がまたパチンコに全変換」されます。
それが2回目以降を誘発する(大きな)原因にもなると感じました。
ですから、今後パチンコに行きたくなることがあったら、
- 行けば確実にまた昔のような地獄にもどると考え、
- そうならないようにべつの趣味で気をそらしてあげる
そのようにするのがベストだと思いましたよ。
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