パチンコなどへのギャンブル依存症になってしまうと直結するのが、多重債務などの借金問題。
放っておけば借金がどんどん膨れ上がり、「借金の利息を支払うのに精一杯で、元本が全然減らない」となってしまうのは時間の問題です。
しかし、まだあきらめてはいけません。借金問題を解決する最後の手段として、「債務整理」というものが残されているからです。
- よく聞く「債務整理」とはなにか?
- もっとも利用しやすい「任意整理」のメリット&デメリット
- 任意整理の費用・期間・手続きの流れはどうなっているのか
多重債務におちいると直面するのが、「おまとめローン」も利用できなければ借金も減らない、というかなりきびしい状況でしょう。
しかし救済措置は用意されています。たとえ借金の原因が、パチンコなどのギャンブルだったとしても。
この記事では、そんな借金問題の解決の決め手にもなりうる「債務整理」と、そのなかでも利用者がもっとも多くデメリットもすくない、「任意整理」についてわかりやすく解説します。
利用するしないはべつとしても、この手段を知っていると知っていないとでは話は大きく変わってくるので、ぜひごらんください。
\ まずは借金が減るかの診断から /
払いすぎたお金が戻ってくる場合があります
債務整理とは
「債務整理」とはなんなのか? 簡単にいうと、以下のとおりです。
多額の借金を背負った債務者(お金を借りている人)が、弁護士や司法書士に依頼して債権者(お金を借している業者)と交渉してもらうことで、借金の負担を軽減もしくは免除してもらうことができる(法的な)手段のこと。
借金問題で苦しんでいる人が生活を再建できるようにと設けられた、債務(借金)を整理(減額もしくはゼロに)することができる、借金地獄からの救済措置のことをいいます。
法律の専門家に債権者との交渉を依頼することで、貸金業者からの取り立てや返済の催促も基本的には止まります。
専門家からの通知を受けた貸金業者は、正当な理由なく返済を催促したり、訪問することはもちろん、電話やファックス、メールなどで連絡することも法律で禁止されているから。

借金まみれでどうにもならないのに連絡されても……というのがなくなるのは心強いですね
現在も毎年10万人以上が債務整理を利用し、借金問題を解決しています。
法律がからむので敬遠されがちですが、じつは思ったよりも多くの人が債務整理を利用し、新しい人生を歩みだしているわけです。
では、ここからは、債務整理についてより詳しく見ていくことにしましょう。
債務整理は大きく分けて、「任意整理」「個人再生」「自己破産」という、3つのものに分けることができます。
任意整理
「任意整理」とは、貸金業者と直接和解交渉をすることで、利息のカットや毎月の返済額を減額してもらう手続きのこと。
債務整理のなかでももっとも利用者が多く、その数は毎年100万人以上とも、200万人以上ともいわれています。



どうして利用者の人数が正確にはわからないの?
これは、任意整理は裁判所を通さない手続きのため、正確な利用者数が裁判所によって開示されないからです。
任意整理は原則として、3年間36回(最長5年間60回)の分割払いで、借金の完済を目指します。
個人再生
「個人再生」とは、裁判所の力を借りることで、任意整理よりも借金を大幅に(5分の1程度)減額することができるもの。
減額された借金を3~5年(最長)で支払うことができれば、残りの借金は免除されるという手続きで、毎年約1万人が利用しています。
借金が減額される割合は負債額によって決まりますが、借金の総額が100~500万円までは最低弁済額が100万円と決まっているので、負債額が比較的少ない場合は、大幅な減額は見込めない手続きです。
ただし、減額率は借金の総額に応じて最大で90%まであるので、任意整理では手に負えない借金問題でも解決できる可能性があります。
自己破産
「自己破産」とは、借金の返済が不可能であることを裁判所に認めてもらい、借金をゼロにしてもらう手続きのことで、毎年約7~8万人が利用しています。
基本的に財産は没収となりますが、とくに残したい財産がなければ、ほとんどデメリットもなく借金を帳消しにすることができる、ということもできるかもしれません。
ただし、借金の理由がギャンブルやブランド物を多数買うなどの「浪費」とみなされる場合、免責(債務の追求を免れること)が認められないこともあります。
債務整理の簡単なまとめ
このように、債務整理には利用者の状況に応じて使い分けることができるように、それぞれが異なる特徴を持っています。
そして、これら3つを特徴の違いから簡単に分けると、以下のようにいうことができます。
- 任意整理は借金の減額率は低い代わりに、裁判所を通さないためリスクが低い
- 個人再生・自己破産は借金の減額率は高い代わりに、裁判所を通すのでリスクが高い
ちなみに、この裁判所を通すリスクですが、「個人再生・自己破産」をした場合は『官報』という国が発行する新聞のようなものに住所と氏名が載る、などがあります。
この『官報』はインターネット版もあるので、直近30日分であれば誰でも無料で見ることができます。
とはいえ、実際に『官報』を一般の会社や個人が見ることはまずないので、周囲にばれる心配をする必要もあまりないとは思うのですが、このように債務整理は、メリットだけではなく当然デメリットもあるわけです。
では、そのようなメリットやデメリットを含め、それぞれの債務整理にはどのような特徴があり、なにが自分にいちばん適しているのでしょうか?
すべてを見ていくとかなり長くなってしまうので、今回は「任意整理」にしぼり、 以下の点を詳しく見ていきたいと思います。
- 任意整理のメリットとデメリット
- 任意整理の手続きの方法や費用
- 任意整理を利用すると借金はいくらになるのか
わかりやすく解説するので、どうぞ肩の力を抜いてごらんください。
任意整理のメリット
任意整理のメリットは、なんといっても高額な利息をすべてカットできること、手続きが債務整理のなかでもっとも楽なこと、などが挙げられます。
ほかにもいろいろあるので、ひとつずつ見ていきましょう。
1. 高額な利息や遅延損害金をカットできる
任意整理最大のメリットとして、以下のものがあります。
- 今後支払わなければならない高額な利息を基本は全カットすることができる
- 返済が遅れている場合は別途加算される延滞損害金もカットすることができる
たとえば100万円の借金があった場合、消費者金融の利息はだいたい18%なので、1か月あたりでは1万5000円もの利息が発生します。
100万円×0.18(18%)÷12(か月)=15,000円
10万円の借金で、1か月約1500円の利息がかかると覚えておくとわかりやすいです。
また、返済が遅れてしまうことで発生する延滞損害金は、消費者金融の場合だいたい20%なので、同様に計算すると、このようになります。
100万円×0.2(20%)÷365(日)=547.9円
返済が遅れてしまうと1日あたり約548円が、1か月間遅れてしまえば1万6438円が延滞損害金として利息に加算される。
通常の利息と合わせると、1か月で3万1438円もの金額となってしまうわけですね。
すでに返済が滞ってしまっていてもそうでなくても、任意整理で利息をカットすることができれば、返済は一気に楽になることは間違いありません。
実際に、任意整理によって100万円の借金がどうなるかシミュレートしてみると、以下のようになります。
借入額 | 金利 | 月返済額 | 返済回数 | 利息合計 | |
---|---|---|---|---|---|
A社 | 50万円 | 18% | 15,000円 | 47回 | 198,327円 |
B社 | 30万円 | 18% | 9,000円 | 47回 | 118,912円 |
C社 | 20万円 | 18% | 6,000円 | 47回 | 79,313円 |
合計 | 100万円 | 18% | 30,000円 | 47回 | 396,552円 |
任意整理後 | 100万円 | 0% | 27,777円 | 36回 | 0円 |
100万円の借金があり、それを毎月3万円ずつ返済。
借入可能額が増えてもいっさい追加で借りず、最短で返済したとする場合、完済までには約4年間かかり、利息は合計で約40万円かかります。
しかし、任意整理を利用後は、利息がゼロになるため毎月の返済額も減り、返済の期間も3年間に減らすことができます。
もちろん利息はゼロなので、1円も利息を支払う必要はありません。
また、借金が150万円あった場合はどうなるかというと、これも以下のとおりで、
借入額 | 金利 | 月返済額 | 返済回数 | 利息合計 | |
---|---|---|---|---|---|
借入額 | 金利 | 月返済額 | 返済回数 | 利息合計 | |
A社 | 70万円 | 18% | 14,000円 | 94回 | 603,473円 |
B社 | 50万円 | 18% | 10,000円 | 94回 | 431,021円 |
C社 | 30万円 | 18% | 6,000円 | 94回 | 258,570円 |
合計 | 150万円 | 18% | 30,000円 | 94回 | 1,293,064円 |
任意整理後 | 150万円 | 0% | 41,666円 | 36回 | 0円 |
同じく毎月3万円の返済をした場合、最短でも完済までは約8年間、利息の合計は約130万円にまで膨れ上がることとなってしまいます。
一方、任意整理をした場合では、月々の返済額が約1万1700円増えますが、3年間で借金を完済することができ、約130万円もかかるはずだった利息はゼロになります。



でも、150万円も借金があるんだったら、毎月3万円なんかじゃ利息でほとんどなくなっちゃうよ
これも気になると思うので、最後に、「150万円の借金を毎月5万円」を返済にあてた場合も見てみましょう。
借入額 | 金利 | 月返済額 | 返済回数 | 利息合計 | |
---|---|---|---|---|---|
A社 | 70万円 | 18% | 23,000円 | 41回 | 241,946円 |
B社 | 50万円 | 18% | 17,000円 | 40回 | 164,430円 |
C社 | 30万円 | 18% | 10,000円 | 41回 | 101,523円 |
合計 | 150万円 | 18% | 50,000円 | 41回 | 507,899円 |
任意整理後 | 150万円 | 0% | 41,666円 | 36回 | 0円 |
月々の返済を5万円に増やし、最短で返済をしても、約50万円の利息がかかってしまいます。
任意整理をすれば、毎月の返済金額も減額することができ、返済期間も短縮、約50万円かかるはずだった利息もカットすることができるのです。
任意整理は、基本的に借金自体が減額されるものではないですが(これは後述します)、利息がカットされることで、どれだけ負担が減るかは一目瞭然ですね!
2. 過払い金が発生していた場合は回収することができる
貸金業者の利息は、「利息制限法」という法律で、上限が15~20%までと定められています。
ところが、「出資法」という法律では、刑事罰の対象となる金利(利息のこと)の上限を29.2%と定めていました。
そのため、刑事罰には科せられないけれども、利息制限法で定められた利息を上回ることができる、いかにも怪しいゾーンがかつてはあったのです。
これが「グレーゾーン金利」というものです。


平成18年(2006年)の貸金業法改正以前は、多くの貸金業者がグレーゾーン金利での貸し付けをおこなっていたことが、かねてより問題視されていました。
しかし平成22年(2010年)には、貸金業法等の改正が完全施行されたことで、グレーゾーン金利は撤廃。
これによって、貸金業者が自主的にグレーゾーン金利の撤廃を始めた平成20年(2008年)以前から借金がある場合、「過払い金」を支払っている可能性が出てきたのです。
そして、もし過払い金が発生していた場合、任意整理によって借金自体を減額することができます。
過払い金が元本を上回っていた場合は、過払い金で借金を完済することができ、それでもまだ過払い金が余っていた場合、これは過払い金を返還請求することもできるのです。
過払い金請求の時効は、貸金業者との取引終了から10年間。
長い期間にわたって貸し借りの取引がある場合は、過払い金が発生している可能性があり、それを返還してもらえる可能性も出てきます。
過払い金詳細はこちら
3. フリーターや主婦でも利用することができる
フリーターや主婦の方が任意整理をするのはむずかしい、と思われるかもしれません。
が、3~5年間継続して借金を返済することができる、パートやアルバイトなどでの安定した一定の収入が見込めれば、これは問題ありません。
なお、専業主婦の場合でも、たとえば配偶者の収入から債権者への返済ができれば問題なく手続きすることが可能です。
任意整理の場合は、家族など、他者の収入から支払いをすることも認められているからです。
4. 手続きや書類集めなどに手間がかからない
任意整理は裁判所を通す手続きではないため、弁護士や司法書士に一任してしまえば、その後は返済をしていくだけです。
裁判所へ行くなどの手間はかかりません。
また、必要書類も身分証明書や住民票、源泉徴収票など、比較的ラクに集めることができるものなので、書類集めもむずかしいものではありません。
その他のメリット
任意整理のその他のこまかいメリットとしては、以下のようなものがあります。
- 貸金業者からの支払い催促が止まる
- 持ち家や車など手放したくない財産がある場合、財産を手放さなくてもよく、財産を維持することができる
- 一定の職業に就業できなくなるなどの職業制限がない
- 分割払いによる返済なので月々の生活が楽になることが多い
- 借金の理由がギャンブルや浪費であっても利用できる
- 債務整理のなかではもっとも費用が安い
- 裁判所を通さないため官報には載らない
注目すべきは、借金の理由がギャンブルなどの「浪費」として扱われてしまうものでも利用できることであったり、債務整理のなかではもっとも費用が安い、などがあります。
また、任意整理は裁判所を通さない手続きのため、不特定多数に見られる可能性がある『官報』に、個人情報は掲載されません。
任意整理のデメリット
ここまで見ていくと、もはや利用待ったなしなのでは? とも思えますが、デメリットもあることはあるので、次は任意整理のデメリットについて見ていきましょう。
1. 一定期間クレジットカードやローンが利用できなくなる
任意整理をすると、信用情報機関に最低でも5年間、任意整理をしたという情報が「事故記録」として登録されます。
これが俗にいうところの「ブラックリスト状態」です。
信用情報機関とは、加盟しているクレジットカード会社や消費者金融、銀行などの金融会社から登録される、信用情報(支払い状況や残高など)の管理や提供をおこなっている機関です。
この信用機関に事故記録が載る、つまりブラックリスト入りすると、最低5年間はキャッシングやローンなどの新規の借り入れや、クレジットカードの利用ができなくなります。
これが、任意整理(債務整理はすべてそう)の最大のデメリットといえるでしょう。
しかし、これは逆にいえば、メリットと捉えることもできます。
なぜなら、返済したあとで空いた借入可能額から、再びお金を借り入れることができなくなるから。



正直、これは「ギャンブル依存者にとっては」デメリットではありません
ギャンブル依存者にとってもっとも凶悪なのが「借入可能額」です。
これがあるせいで、返しては借りてを繰り返し、またパチンコなどに行き、借金がまったく減らなくなってしまうのですが、これが強制的に不可能になる。
任意整理によってブラックリストに登録されるのは、新たな借金をつくれなくなるペナルティです。
が、それはペナルティではなく、ギャンブルへの資金源を強制的に断つ「救済」と考えることもできるのです。
任意整理後にどうしてもカードを使う必要がある場合は、デビットカードやプリペイドカードでも代用できます。
必要なときは、それらを活用するといいと思いますよ。
2. ほかの債務整理と比べると借金の減額率は低い
任意整理は、過払い金が発生しない限りは、原則として借金の減額は利息分のみとなります。
そのため、ほかの債務整理と比べると、借金の減額率は低くなります。
とくにデメリットというほどのことでもないですが、3年間(最長5年間)で元金の返済がむずかしい場合は、任意整理ではなく、個人再生や自己破産を検討する必要も出てきます。
3. 任意整理に応じない貸金業者もいる
任意整理は債権者との「交渉」になるので、話し合いに応じてくれなければ取引は成立しません。
実際、任意整理に応じない業者はほとんど存在しないといわれていますが、ごく一部の業者では、任意整理には応じないところも存在するといいます。
たとえば新規の貸付は停止していて回収専門となっている(経営が危うい)業者などがそれにあたります。
万が一、お金を借りている業者がそのようなところであった場合、これも個人再生や自己破産を検討する必要が出てきます。
任意整理のメリット&デメリットのまとめ
任意整理は毎年多くの人が利用しているだけあって、デメリットよりもメリットのほうが大きいように感じられます。
利息をカットすることで、3~5年間で借金を完済することができそうであれば、これ以上借金を増やしたり、返しては借りての繰り返しで、利息だけを払い続けるようなこともありません。
最大のデメリットであるブラックリスト入りも、ギャンブル依存症を克服するためのいいリハビリ期間となります。
私は最低でも8年以上は借金生活を続けていましたが、そんなことになるのなら、さっさと任意整理を利用しておけば、時間もお金(新規の借り入れ+利息)も無駄にならずにすんだわけです。
利息をカットすることができても、以下のような場合は、 その他の債務整理を検討する必要が出てきますが、
- 3~5年間で借金を完済できないほど総額が多い
- 貸金業者が話し合いに応じてくれない(これはほぼないと思いますが)
そうでないのなら、まずは相談だけでもしてみる価値はあるでしょう。
「相談したから利用しないといけない」なんてことはないので、そこは安心してください。
では続いて、任意整理の手続きの流れを見ていきましょう。
まずは無料で相談から
任意整理の流れと所要期間
- 任意整理を利用するさいは、どういった手続きが必要になるのか?
- 任意整理の手続き完了までには、どれくらいの時間がかかるのか?
続いて、これらを詳しく見ていきます。
任意整理の一連の流れは、以下のようになっています。


任意整理の流れは、大きく分けるとこの7段階。
相談に始まり返済に終わります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
まずは弁護士・司法書士などの専門家と、以下のような項目について話し、任意整理が利用できるかどうかを相談します。
- 債務はいくらあるのか
- 収入はどれくらいで返済にはいくらあてられるのか
- 貸金業者はどの業者で何件か
- 取引期間はどれくらいなのか
債務整理の法律相談は、弁護士も司法書士も基本的に無料となっているので、そこは安心です。
専門家に依頼が受任されると、債権者に「受任通知」が送られます。
債権者が受任通知を受け取った時点で、支払い催促などの取り立てが止みます。
受任通知とは、「依頼を受けたので、これからは債務者に代わって専門家の私と話し合いましょう」という手紙のようなものです。
債務状況は貸金業者との取引履歴がわからなければ正確に把握できないため、債権者に取引履歴を開示するよう求めます。
ちなみに、これらの一連の作業はすべて専門家が代わりにやってくれますが、取引履歴の開示請求は自分でもおこなうことができます。
私も取引履歴の開示請求は自分でしたことがあり、だいたい1~2週間ほど時間がかかります。
取引履歴が開示されたら、グレーゾーン金利での貸し付けがないかを「利息制限法」に基づいて計算しなおし、過払い金が発生していないかを確認します。
もし過払い金が発生していた場合は、債権者に過払い金を請求することができます。
利息の引き直し計算によって、正確な残りの借金額が確定したら、任意整理後の返済計画を、専門家と一緒に立てます。
専門家が債権者と交渉し、利息をカットしてゼロにしてもらうことや、残った元本を分割で支払うことに同意してもらいます。
無事に交渉が成立したら、あとは利息がカットされた借金を分割で支払っていき、借金の完済を目指します。
一連の流れまとめ&所要期間
このように、任意整理は裁判所を通さない手続きのため、債権者とのやりとりが中心となるシンプルな流れとなっています。
しかしそれゆえに、手続きにかかる時間も、債権者の対応によって変わってくる場合があります。
債権者の対応が早ければ、手続きは1~2か月で終わることもありますが、債権者が取引履歴を開示するのが遅かったり、交渉がもつれる場合は、手続きが6か月以上に長引いてしまうこともあるそう。
そのため、手続きは短期決着から長期戦にまでなることもあるので、任意整理の手続きにかかる期間は、平均すると3か月程度と見られています。
気持ちに余裕を持たせるためにも、「任意整理の手続きには3か月はかかる」と考えておくといいと思いますよ。
任意整理の費用
ここまでで、任意整理の手続きの流れも見終わりました。
しかし、いちばん気になるのは「利用するのにはいったいいくらかかるのか?」ということだと思うので、ここからは、任意整理の費用と相場について見ていきましょう。
任意整理にかかる費用は、以下のようになっています。
着手金 | 2~5万円(1社につき) |
報酬金 | 2万円(1社につき) |
減額報酬 | 10% |
過払い金報酬 | 20%(交渉) 25%(訴訟) |
それぞれの項目について補足していきます。
着手金
着手金とは、専門家が依頼を受任した(受け付けた)ときに発生する費用のこと。
依頼された内容が成功するかしないかにかかわらず発生する料金です。
弁護士事務所、司法書士事務所によって金額は異なりますが、債権者1社につきだいたい2~5万円が相場となっています。
ただし、借金は完済済みで過払い金請求のみの場合は0円が多いです。
報酬金
報酬金とは、依頼された案件が成功したときに発生する費用で、成功報酬のことです。
債権者1社につき、だいたい2万円が相場ですが、これも過払い金請求のみの場合は0円が多いです。
減額報酬
減額報酬とは、利息の引き直し計算によって元本(借金自体)が減額された場合、その減額された金額の10%を報酬として別に支払うというものです。
引き直し計算で元本が変わらなかった場合は、減額報酬は発生しません。
たとえば、200万円あった借金が引き直し計算によって100万円に減った場合、「減額された100万円の10%」、つまり10万円が減額報酬となります。
ただし、依頼する専門家によっては0%の場合もあります。
過払い金報酬
過払い金報酬とは、引き直し計算によって発覚した過払い金で借金の元本がなくなり、それでもまだ払いすぎている分を返還してもらった金額、つまりマイナスの借金がプラスになった金額に対する報酬のことです。
たとえば、200万円の借金が過払いによって0円になり、さらに100万円多く支払っていた場合は、返還された100万円に対して過払い金報酬が発生します。
ちなみに、すこしややこしい話をしておくと、上記の「200万円がゼロになって100万円多く払っていた」ケースでは、減額報酬と過払い金報酬の両方が発生します。
- 200万円の借金が0円になった減額報酬 →「200万円の10%=20万円」
- 100万円多く支払った金額返還での過払い金報酬 →「100万円の20%=20万円」
しかしこれは、逆に考えれば、200万円の借金がゼロになってさらに60万円も浮いたということになるので、損をすることはありません。
また、過払い金の請求には「交渉」、つまり両者の話し合いによる和解か、「訴訟」、つまり裁判を起こして請求するという方法があります。
貸金業者とは交渉によって和解が成立すればいいのですが、なかには、以下のように交渉がもつれる場合があるからです。
- 満額は返せない
- これくらいの金額しか出せない
そういった場合には訴訟を起こし、裁判で話し合いにけりをつけることもあります。
裁判を起こすには手間や費用がかかるので、その場合は、過払い金報酬も5%ほど上がることが多いです。
任意整理の特徴まとめ
ここまで任意整理のメリット・デメリット、手続きの流れ、所要時間、費用などを見てきましたが、それらをいちどまとめて振り返ってみます。
内容 | 任意整理 |
---|---|
借金の減額率 | 過払い金がなければ原則利息カットのみ |
手続きにかかる費用 | 1社につき着手金・報酬金合わせて4~5万円+減額報酬0~10% |
手続きにかかる時間 | 平均3か月 |
成功率 | 成功率は高く、基本的に失敗しない |
手続きにかかる手間 | 専門家が代わりにしてくれるのでほとんどない |
裁判所への出頭 | 裁判所を通さないので出頭する必要はない |
利用条件 | 本人に収入がなくても利用できる |
借金を作った原因 | 問われないためギャンブルが原因でも利用できる |
職業制限 | パート・アルバイトでも利用可能 |
バレる可能性 | 家族や会社などにバレる可能性は少ない |
依頼する専門家によって多少前後しますが、任意整理は債務整理のなかでも格段に費用が安く、利用条件もやさしいです。
また、裁判所を通さないので手続きも比較的楽であり、『官報』に記録として残されないので、家族や会社などにバレる心配も少ない。
そしてなにより、借金の原因がパチンコなどのギャンブルでも利用することができます。
ギャンブル依存症が原因でできてしまった借金でも、任意整理は利用できます。借金問題を解決したいという意志さえあれば、法律の専門家が私たちを助けてくれるのです。
あとは成功率をさらに上げるために、誰に協力を依頼するか。
最後に、任意整理はどの専門家に依頼すればいいのかを見ていくことにしましょう。
任意整理は弁護士か司法書士どっちがいいのか
債務整理を利用する場合は「弁護士」か「司法書士」という選択肢がありますが、任意整理の場合は裁判所を通さないということもあって、どちらに頼んでもそこまで大きな差はありません。
ただ、場合によってはいくつかネックになる決まりごともあるので、まずは司法書士に依頼する場合から、それぞれ分けて見ていきます。
司法書士に依頼する場合
任意整理を司法書士に依頼する場合、司法書士は「1社から」の借り入れ額が140万円を超えている案件は扱えないという決まりがあります。
「総額ではなく1件」の借り入れ額です。
たとえば、以下のように合計3社から300万円の借入があった場合、
- A社100万円
- B社100万円
- C社100万円
これは債務額の合計は140万円以上ですが、1社からの借入額は140万円以下なので司法書士は業務をおこなえます。
しかし、A社200万円、B社50万円、C社50万円の場合では、A社からの借入が140万円を超えているので、A社に関しては業務をおこなうことはできません。
過払い金の制限
また、過払い金の請求にも制限があり、1社からの過払い金が140万円を超える場合も同様に、司法書士は業務をおこなうことができません。
これも先ほどと同じで、以下のような状況で合計250万円の過払い金があったとすると、
- A社150万円
- B社50万円
- C社50万円
A社に関しては、司法書士は権限外となってしまいます。
とはいえ、1社からの過払い金が140万円を超えるというのはそうそうないので、これはそこまで気にしなくてもいいともいえます。
訴訟を起こされた場合
そしてもうひとつ、貸金業者との交渉がもつれ、業者から訴訟を起こされた場合、司法書士がかかわることができるのは簡易裁判所までという決まりがあります。
裁判所は「簡易 → 地方 → 高等 → 最高」と上がっていきますが、地方裁判所以上は、司法書士はかかわることができません。
そのため、万が一貸金業者が訴訟を起こし、
簡易裁判所での判決に控訴(不服申し立て)→ 地方裁判所にもつれこむ
となった場合、その後の手続きは自身でおこなうか、新たに弁護士に依頼する必要が出てきます。
司法書士に依頼するときのポイント
司法書士に任意整理を依頼するときのポイントをまとめます。
以下の3点が条件となってきます。
- 1社からの借入額が140万円以下
- 過払い金があれば1社140万円以下
- 訴訟でもつれこまない貸金業者
基本的には、これらの状況が起こるのはまれだといえます。
そのため、1社からの借入もそこまで多くなく、大きな過払い金が発生することもなく、貸金業者が大手であれば(大手ほど訴訟は起こさないので)、司法書士に依頼したほうがいいともいえます。
なぜなら、弁護士に依頼するよりも、司法書士に依頼したほうが、一般的には費用が安く済むから。
司法書士は、大きな事務所では、全国に対応していて動きも早いです。
- 費用をできるだけ抑えたい
- 早く借金問題を終わらせたい
- とくに条件には問題はなさそう
このような場合なら、司法書士に依頼したほうがいいともいえます。早くて安いからです。
弁護士に依頼する場合
続いて、弁護士に依頼する場合ですが、簡単にいうと、「司法書士の制限がなくなった版」が弁護士です。
任意整理を弁護士に依頼する場合は、140万円以上の借入額や、過払い金の金額制限はありません。
万が一貸金業者が訴訟を起こしてきた場合も、裁判所での業務制限もなく、オールマイティーに業務を遂行してくれます。
ただし、そのぶん司法書士と比べると、費用がすこし高くなる傾向があります。
- 万全を期して任意整理に臨みたい
この場合は、最初から弁護士に依頼したほうがいいといえます。問題が起きた場合に対応してもらえるからです。
債務整理(任意整理)まとめ
必要な情報が出そろったところで、債務整理(任意整理)についてまとめます。
債務整理は、「借金額がいくらであればこの債務整理がいい」、というような明確な基準はありません。
それは、債務者それぞれの状況によって、なにがいちばん適しているのかが変わってくるからです。
そこで、以下の2点を基準に考えるという方法があります。
- 利息がカットされれば元本の返済ができるのかどうか
- 家などの残したい財産はあるのかどうか


- 利息をカットすることで毎月借金を返済していけそうなのであれば、もっともリスクが低く、手続きも楽な任意整理を利用する
- 借金自体が減額されないと返済はむずかしい、という場合は、財産状況に応じて個人再生・自己破産を検討する
こういった基準で考えるのもいいと思います。
どの債務整理を利用する場合でも、利息の引き直し計算はおこなわれます。
まずは借金がいくらなのかを確定させたうえで、どの債務整理がいちばん自分に適しているのか、専門家といっしょに考えていくのがいいでしょう。
弁護士・司法書士への相談は基本的に無料なので、借金問題で行き詰まっているのであれば、ぜひ利用を検討してみてください。
おすすめの弁護士事務所・司法書士事務所
債務整理は個人でおこなうこともできますが、高度な専門知識や、長期にわたる手続きが必要となり、債権者との交渉も難航する場合もあるなど、たったひとりで臨むには難易度が高すぎます。
とくにギャンブル依存症を患っている状態であればなおのこと。
途中で挫折して手続きを放棄し、ギャンブル行為が再開してしまえば、せっかくつかみかけた借金問題を解決する機会を失ってしまいかねません。
そこで、以下の点を重視し、債務整理の手助けをしてくれる事務所を最後にご紹介します。
- 債務者の目線に立って親身に相談に乗ってくれるかどうか
- 債務整理にかかる費用、利用者の口コミや評判
- 事務所の経歴や信頼度などの総合的な評価
「任意整理を利用したいけれど、どこに相談すればいいのかわからない」ということもあるかと思います。
どうぞご参考にしてみてください。
ひばり法律事務所は、東京錦糸町に事務所を構える弁護士事務所。
業務拡充にあたって個人事務所から弁護士法人に組織を変更したことにより、事務所の名前も変わりました。
東京大学法学部卒の名村弁護士など、ベテラン弁護士が所属しています。
ひばり法律事務所は、相談は24時間全国に対応していて、借金問題の相談は何度でも無料。
任意整理の費用は1社につき着手金・報酬金がそれぞれ2万2000円+減額報酬11%+諸費用5500円(税込)と、料金設定も安く、支払いは分割払いにも対応しています。
弁護士事務所なので、万が一債権者との交渉がもつれたときも、安心して業務を依頼できる。それが最大の強みであるともいえます。
- まずは相談だけしてみたい
- 万全の態勢かつ費用を安く抑えたい
- 家族や会社に知られたくない
ひばり法律事務所は、そんな場合におすすめの弁護士事務所ですよ(プライバシーの厳守も徹底されています)。
\ 万全の態勢かつ低価格! /
新大阪法務司法書士事務所は、「親切・丁寧・低価格」を強みとした司法書士事務所。
代表の金井司法書士は、さまざまな業種を経験するなかで、「法律家は開かれたもので、相談しやすい身近な存在であるべきだ」と考えるようになり、「気軽に相談していただける法律家」をモットーとされているそう。
事務所は大阪にありますが、相談は24時間全国に対応。
そして、とくに注目すべきは料金設定で、同事務所がとくに得意とする任意整理では、着手金・報酬金は金融会社1社につき1.1万円~(税込)と、業界でもかなりの低水準となっています。
もちろん相談料も無料となっているので、「ただでさえお金がないのに出費が……」ということを心配しなくてすむのがいいですね。
- もっと気軽に相談してみたい
- できるだけコストをおさえたい
- 過払い金や債権者には問題はなさそう
新大阪司法書士事務所は、そんな場合におすすめの司法書士事務所です。
\ 親切・丁寧・低価格 /
また、女性の方には、新大阪司法書士事務所の女性のための窓口である、「債務Lady」もおすすめできます。
借金問題は、とくにパチンコなどのギャンブルとなればなおさらで、旦那さんやご家族、ご友人にも相談しにくくなってしまいます。
そこで、そんな女性の方のために開設されたのが、女性スタッフが対応してくれるこちらの「債務Lady」。
料金体系は新大阪司法書士事務所と一緒なので、着手金・報酬金は1社につき1.1万円~(税込)と安く、24時間全国対応で相談料も無料。
- ひとりで悩みや借金を抱えている
- 借金問題を人に打ち明けることができない
- そのままでは問題を解決できそうにない
債務Ladyは、そんな女性の方にこそ、おすすめできる窓口ですよ。
\ 女性のための窓口 /
最後におすすめするのが、全国6都府県に拠点を置く「司法書士法人みつ葉グループ」が診断してくれる、借金減額の無料シミュレーター。
借金の総額は、貸金業者とのやりとりが必要なことから、これだけでは正確な数字を出すことはできません。
ただ、債務整理を利用することはできるのか、借金の総額は減額できるのかなどは、このシミュレーターでもおおまかに判断してもらうことができます(詳細は電話相談)。
シミュレーターは3つの質問に答えるだけで利用でき、利用料はもちろん無料!
- 自分から相談するのは気が引ける
- まずは借金が減るのかを知りたい
- ためしに相談だけでもしてみたい
質問は簡単なものだけなので、「自分から相談するのは……」という場合でも、気軽に利用することができると思います。
借金問題でお困りなら、みつ葉グループの無料シミュレーターもおすすめですよ。
\ 3つの質問に答えるだけ /


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