パチンコをやめて「FX」へギャンブル依存症のまま移行しようとした結果

持たざる者が持つことを許された剣、その名も「FX」。ギャンブル依存症を断ち切る刃となるのでしょうか、それとも……

当時、重度のパチンコ依存症だった私がギャンブル問題を解決するために考えた策の1つに、「投資(FX)へ移行する」というものがありました。

1日に何万円もパチンコで負けるのであれば、まだ投資のほうが健全なのではないか。パチンコはなにも抵抗できずにただ負けるだけですが、FXなどの投資であれば、社会情勢や経済状況といった勝つための情報を収集することができるので、真剣にやれば勝率を上げることができるのではないかと。

「うまくいけば投資だけで生活できるんじゃないだろうか?」

そんな甘いことを考えていた時期が私にもありました。しかし、脳を焼かれたままの私にとって、FXというものは結局のところ、ただのギャンブルにしかならなかったのです。

FXはデモトレードだけは勝てる

パチンコをやめたくてもやめられない状態が延々と続いていた当時、なんとかしてこのギャンブル問題を解決しなければならない、そして借金だらけの人生を変えなければならないと思い立った私が模索し、たどり着いたのが「投資」でした。

ほぼほぼ運のくせに、ものすごい強運を発揮したとしても負けるパチンコやスロットとは違って、社会情勢や経済を読みきる力があれば、投資は勝率を上げることができるとされています。

であれば、そこに全力を注ぎ込めば、少なくとも毎月パチンコで使う金額よりも失うということはなく、うまくいけば、パチンコで負ける分くらいは勝てるのではないかと思われたからです。

しかし、ここでもやはり軍資金が問題となりました。

私は当時借金がある状態だったので、投資に関しては鉄則といわれる「余剰資金」なんてものはおろか、そもそも満足な種銭さえも持ち合わせてはいませんでした。

加えて、投資(とくに株)と聞くと、最低でも百万円単位の種銭が必要というイメージを当時は持っていたので、私の場合は、投資などという言葉を発するだけでもおこがましく、その権利すらないものと思われたのです。

結局は金がない人間はなにも始めることができず、世の中は金を持っている人間だけが金を増やせる仕組みになっている、ということでしょうか。

いやはや、世界は腐りきっている。

ところが、私が抱えるこの致命的な問題を解決してくれるものがありました。そう、外国為替証拠金取引、通称「FX(Foreign Exchange)」です。

FXは、投資額を上回る損失を被る可能性もありますが、投資額(軍資金)が少なくても、そこに倍率をかけて大きな金額を動かすことができるという、「持たざる者」が手にすることができる諸刃の剣。

こんなものはまさに私のような人間のために用意されているとしか思えず、私はさっそくスマホのアプリを使用して、デモンストレーション版でのトレードを開始しました。

ためしに軍資金は100万円で通貨の取引を開始すると、あれよあれよとお金が増えていき、なんと初回のトレードは+40万円と、ただ放置していただけで軍資金が1.4倍になるという結果が。

湊
ミナト

これは、勝てる……

それはまさに「楔を以て楔を抜く」の第2撃とでもいいましょうか。パチンコへの依存を、投資で制する時が来たのです!

FXの勉強を始めた

こんなにも簡単にお金が増えるのか、とFXの恐るべき瞬発力を目にした私は、さっそく本屋に向かい、FXの入門書を購入しました。

それからは基本的なトレードのやり方であったり、通貨の値動きであるチャートの見方、社会情勢が動くとどう影響があるのかなど、必要な情報をすべて1冊のノートにまとめてきます。

たまには机に向かって数字の勉強をするのも悪くはない。そんなことを考えながらFXの勉強に励むこと約1~2か月間、このときは気持ちがFXで金を稼ぐ、実力で金を稼ぐということにすべて向いていたのでしょう。その期間中に、私はパチンコ店に行くことはありませんでした。

当時の私からすれば、1か月間パチンコ店に行っていないというのは奇跡に近い状態で、このときすでに、FXへの移行作戦は一定の成功を収めているかのように思われたのです。

しかし、入門書に記されていた一文によって、この流れは一転することとなります。

実際にやってみなければわからない! まずは1万円だけ口座に入金し、実際にトレードしてみよう!FX入門書

湊
ミナト

1万円……だけ!?

1万円でFXを始めた場合、値動きで得られるお金は数百円とか、うまくいっても1000円とか、だいたいそんなものです。

そんなデモトレードに毛が生えたようなお遊びに時間を費やしている暇はないと感じられ、それに、こういった勝負ごとはなんの根拠もなく勝てると思い込んでしまうもので、私はこの入門書の指示を無視。

指定された金額の10倍である、10万円を口座に入金してしまったのです。

軍資金となったお金の出どころに関しては……これは察していただければと思います。少なくとも、「余剰資金」ではなかったことはいうまでもありません。

リアルマネーでのトレード開始

入門書の指令を無視した軍資金10万円で、ついにリアルマネーでのFXトレード(本番)がスタートします。

問題はどこの通貨で取引をするか。初心者であれば最もメジャーな米ドル/円から始めるのが定石とされ、私も最初はドル円から入ったのですが、初心者にもすすめられるだけあって、これは値動きの幅が小さく、思ったように成果を上げることができません。

そこで、私が手を出したのは、ギャンブル性が高いといわれる「南アフリカランド」でした。

この通貨は、ほかと比べて値動きが激しいといわれ、初心者が手を出す通貨ではないとも聞いていましたが、なんといっても、このときの私は病的ギャンブラーです。

投資とはいうものの、お金を賭けてお金を儲けるという点に関していえば、結局のところギャンブルとなんら変わらないため、投資であるFXにもギャンブル性を求めてしまっていたのでしょう。

私は軍資金のうちの6~7割を取引の証拠金(担保のようなもの)にあて、初めから全力でのトレードに臨むことにしたのです。

FXが勝てない理由&トレードの弊害

初めのうちはお金が増えた、減ったと一喜一憂していましたが、しばらくトレードを続けていくうちに、私の前に大きな2枚の壁が立ちはだかりました。

それは、目の前に利益が転がっていると利益を失うリスクを回避したくなる、つまり利益を伸ばすことよりも確保したくなる、という1枚目の壁。

そして、損失を目の前にすると損失を回避したくなり、そのためにリスクを背負うことはいとわなくなる、という2枚目の壁でした。

この現象に関しては「コツコツドカン」と呼ばれていたり、「プロスペクト理論」というものがあてはまり、早めの利確(利益の確定)によって少しずつためた勝ち額が、遅すぎた損切り(損失の確定)によってすべてなくなってしまい、だいたいの人はこれによって負けていくというFXの負け確パターンのようなものです。

とくに、投資に使う軍資金が生活資金だった私は、もろにこの2つの壁に挟まれてしまい、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりと、まるで2つの壁のあいだを無限にバウンドし続けるボールのような状態となってしまっていました。

さらには、含み損(まだ確定していない損失)がもう取り返せないというところまで増えてくると状況は一変。

仕事中も家にいるあいだも四六時中チャートが気になるようになり、寝るときもスマホを握ったままでの寝落ち、そのうえ目覚ましもかけていないのに目が覚めるようになってしまい、寝起きにチャートを見て絶望するという、健康状態にまで異常が起き始める事態となってしまったのです!

こうなってくると、私が考えることは1つしかありません。FXで負けたお金をほかで取り返さなくてはならない、勝って金を稼がなくては、やっぱりあそこに行くしかない……

損切りをし、トレードしていた通貨の損失を確定させたあと、私はパチンコ店に舞い戻ってしまったのです。

投資は生活資金を賭けるものではない

いまとなってみればどう転んでも時間の問題だったとは思うのですが、たとえば数十円、数百円の値動きであれば、それくらいでしたら別に痛くもかゆくもないので、こうはならなかったのかもしれません。

しかし動く金額が、とくに私の場合は、数万円となってくると生活を圧迫する、というよりも借金が増えるわけで、そんな状態では含み損を耐えることなんてできるはずもなく、そもそもギャンブル依存症特有の「生活資金を賭けている」時点で、なにもかもが間違っていたのだと思います。

ようするに、私は投資を始める前から、負けることが約束されていたのです。

デモトレードだけはやたらと勝てるというのは、お金が増えても減ってもなにかが変わるわけでもなく、いってしまえばどうだっていいことなので、含み損があってもいくらでも放置し続けることができ、プラスになった時点で利確すればいいだけの話だからなのではないか、とも私は思います。

また、パチンコの場合は勝ち負けは1日で決着がつきますが、投資の場合は負けていると、延々とお金が減っていくか、マイナスが維持されているのを見続けなくてはならないため、負けたお金を取り返したいという思いが人一倍強い私には、それが精神衛生上きわめてよくありませんでした。

当然といえば当然のことですが、「投資」は生活資金を賭けるものではなく、あくまでも余剰資金でやるものです。

私がやっていたのは投資ではなく、ただの「投機」でした。ギャンブルへの依存を断ち切れていない状態での投資(FX)は、パチンコと同じで、生活資金を賭けたギャンブルにしかならなかったということです。

なにか、見えない力を感じた

また、これに関しては真偽の確かめようがないので、聞き流してもらってかまわないのですが、私のように少額で投資をする者がいる一方、とんでもない巨額を動かせる投資家や企業もいるわけで、そういった個人や企業というのは、やろうと思えば意図的に値動きのチャートを動かせるのではないかと思うのです。

たとえば外国で起きた経済に関する悪いニュースが流れたりすると、投資家が保有している通貨を手放したりするなどで一気にチャートが動いたりしますが、それと同じようなことを強大な力を持った個人または企業がおこなえば、意図的にチャートを動かせることになります。

予想屋ではないですが、発言力を持った投資家に売れとか買えとか言われたら、そのとおりにしてしまう、といったことと似たような話です。

そこで、そういった可能性があるなかで私はなにを感じたのかというと、意図的に動かされたチャートで弱者が刈り取られている感、カモにされている感が尋常じゃなかったのです。

もう耐えきれない、もうダメだ、と損失を受け入れて取引を確定させたとたんに、一気に値動きが元に戻るという展開がほんとうに多く、これは私と同じように手放した人が多かったので値動きが戻ったのだと思うのですが、どうも見えない仕掛け人がいるような気がしてしかたがありませんでした。

ただの眉唾ものかもしれませんが、私はこの見えない力の存在を感じたこと、そもそも余剰資金がなかったこと、そして健康被害が出そうになるなど、精神衛生上よくなかったことから、結局FXはやめてしまいました。

おそらく私の場合、余剰資金があっても勝てないと思います。なんというか24時間継続のギャンブルをしているような感じで、疲れてしまいました。

今回のまとめ

・投資の軍資金は余剰資金が鉄則
・ギャンブル依存症の状態で投資に移行するのは危険
・見えない力はあるのかもしれないし、ないのかもしれない

その後、パチンコが再開されてからも私は軍資金をさらに投入し、複数の通貨を同時に取引したり、リスクを分散させたり、ほかにもさまざまな手法を試してみたりもしたのですが、結局は負けている状態、お金がマイナスになっている画面を見続けるのに耐えられず、性に合っていないんだろうなと思ったのでFXは引退しました。

もし、パチンコをやめて投資に移行したいと思うのであれば、まずはパチンコをやめること、借金がある場合は借金をすべて返すこと、なくなっても痛くないような余剰資金でやること、この3つの鉄則は守ったほうがいいと私は思います。

ただ、人間は欲深いので、最初にそういったルールを決めていても、途中から余剰資金ではないお金まで投入してしまうというのはよくある話で、私の知り合いにも、ウン百万円ほど途中までは勝っていたのに、最終的にはウン千万円負けたという人もいるので、手を出さないのがいちばんなような気もします。

とくに私のように、負けたお金を取り返したいという思いが強い方は、やめておいたほうがいいのかもしれません。取り返しのつかないことになってからでは遅いですからね。

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