【プロスペクト理論】パチンコなどのギャンブルで負けたまま帰れなくなる理由

プロスペクト理論とは?パチンコなどのギャンブルで負けたまま帰れなくなる理由を解説
こまったネコ

負けたままやめるなんてできないよ

パチンコ・パチスロなどのギャンブルで負けていると、なんとかして負けを取り戻そうとしてしまいますよね?

じつはこれは、「プロスペクト理論」という、人間の行動心理が関係しています。

この記事でわかること
  • プロスペクト理論とはなにか
  • 負けたままではギャンブルをやめられなくなる理由
  • 負けを取り戻す心理(ギャンブルの負けを取り返そうとする心理)

プロスペクト理論では、そもそもの話、ギャンブルで負けるのは「人のさが」でもあったことが証明されています。

そこで本記事では、このプロスペクト理論について見ていくことで、「なぜ負けたまま帰れなくなくなってしまうのか?」を解説します。

  • パチンコなどのギャンブルにのめり込んでしまう原因
  • ほどほどでギャンブルを切り上げられなくなるのはなぜか?

この記事を読んでもらえれば、こういったこともわかるようになります。どうぞ最後までごらんください。

目次

ギャンブルは勝てない理論「プロスペクト理論」とは

プロスペクト理論とは、アメリカの心理学・行動経済学者で、ノーベル経済学賞の受賞歴もあるダニエル・カーネマンらによって提唱されたもの。

プロスペクト理論

結果が不確実な状況において、ゲームで勝つ利益・負ける損害の確率を知ったうえで、私たちはどう意思を決定して行動するのか? という人の(一定の)行動心理。

行動経済学という分野では代表的な成果としても知られ、ギャンブル・投資などでよく登場する理論です。

その内容は、以下の3つがポイントとなっています。

  1. 人は利益を得る幸福よりも、損失をこうむる不幸の感情のほうが強い
  2. 人は「利益」を目の前にすると、失うリスクを避けて「確保」を優先する
  3. 人は「損失」を目の前にすると、リスクを背負ってでも「回避」を優先する

ようは、人は失うことに強い恐怖を感じる生きもので、失わないための行動を優先する性質がある、ということです。

ミナト

勝つよりも「負けたくない」わけですね

これを実例をもとに、さらにわかりやすく見ていきましょう。

損失回避とギャンブルの例

たとえば、以下のような状況があったとします。

100%で100万円を得るか、50%で200万円または得られるお金はゼロか

私たちの目の前には「100万円」のお金が入ったドル袋があります。

しかもこのドル袋は、日頃のおこないがいいということで、無条件でゲットすることができます。

イブスター店長

そこでギャンブラーに朗報だ!

なんと、投げられたコインの裏表を当てられたら、100万円のドル袋はダブルアップで「200万円」になるというのです!

そのかわり、ダブルアップチャレンジをはずしたら、もらえるお金はもちろん0円。

つまり、ここでの選択肢は以下の2つとなります。

A:100%で100万円ゲット
B:50%で200万円ゲット or 50%で0円

期待値は+100万円で両方とも一緒。

さあ、どうする……?

イブスター店長

いや、さすがにこれは「A」一択だろ

そう、多くの人は、100%確実にもらえるはずだった100万円を失う(下手するとなにも手に入らない)リスクは回避したいと考えます。

よってこのような状況では、堅実的な「A」を選択する人のほうが多いそうです。

私にもこんなチャンスがあれば、まちがいなく「100%もらえるほう」を選択するでしょう。

では、これをふまえて、つぎの例を見てみます。

負けを取り返せるとなるとどうか

さきほどとはちょっと変わった状況で、以下のようなものならどうでしょうか。

100%で100万円負けるか、50%で負けはゼロもしくは負けが200万円に増える

私たちは旅先のカジノで大負けしていまい、100万円のお金を失ってしまいました。

もう軍資金は底をついてしまったので、負けたお金を取り戻すことはできません。

しかし、そこに天使と悪魔が突然あらわれ、私たちの耳元でこうささやいたのです!

(天使)

待って! このままじゃ100万円負けだけど、チャンスはあるよ!

(悪魔)

よし、コインの裏表を当てられれば、負けた100万円をチャラにしてやる。その代わりはずしたら、負け金はダブルアップで200万円だ

つまり、ここでの選択肢は以下の2つ。

A:100%で100万円を失う
B:50%で100万円の負けはゼロ or 50%で負けは200万円に増える

期待値はこれも、さきほどとおなじで-100万円。

さあ、どうする……!?

イブスター店長

これは「B」も悪くない……。一発逆転を賭けて「B」だ!

そう、この状況では、手持ちの100万円を失うのは避けたいとの思いから、下手すると負けが倍になるリスクを背負ってでも損失を回避したいと人は考えます。

よって、さきほどは堅実的な判断をした人でも打って変わって、多くの人はギャンブル性の高い「B」を選択するそうです。

ちなみにこの話は、じっさいにあった(同様の)実験でも証明されています。

そしてこのことから、つぎのことがわかりました。

人は利益を目の前にすると、利益を失うリスク(損失)の回避を優先し、損失を目の前にすると、損失自体の回避を優先する傾向(損失回避性)がある。

パチンコなどのギャンブルで負けたままでは帰れなくなってしまう理由。

それは、この損失回避性(損失回避バイアス)という、いわば人のさがともいえるものが関係していたのです。

ギャンブルは負けるとメンタルがマヒする(感応度逓減性)

プロスペクト理論では、「感応度逓減性」という、損失回避とはべつの傾向も取り上げられています。

これも、パチンコなどで負けたまま帰れなくなる原因のひとつとなっているので、見ていきましょう。

感応度逓減性(かんのうどていげんせい)とは、

  • 感応度(感じる度合)
  • 逓減性(しだいに減ること)

という言葉が持つ意味のとおりで、以下のことをいいます。

あつかう金額が大きくなればなるほど、利益や損失といった、1単位ごとに感じる幸福や不幸の感情がしだいに減っていくこと。

これも画像を見ながら簡単に説明します。

1袋30円と50円のもやしと、1袋19800円と19780円のもやしの20円差の感じ方の違い

たとえば、まったくおなじ商品のもやしが、つぎの値段差で販売されていたとすると、

  • スーパーA店では「30円」
  • スーパーB店では「50円」

この場合、たいていの人は「20円も安いA店」でもやしを購入すると思います。

イブスター店長

そりゃそうだ

ところが、ウルトラレアな「超絶高級もやし」なるものが存在するとして、つぎの値段差で販売されていたらどうでしょう?

  • スーパーA店では「1万9800円」
  • スーパーB店では「1万9780円」

20円くらいの差であれば、どっちで購入しても変わらない、と感じるようになってこないでしょうか?

20円という金額の差はおなじなのに。

イブスター店長

たしかに、それくらいならいいな

そして、この損得勘定の変化は、もちろんパチンコなどでも起こりえます。

勝ち負けでのメンタル
勝っている時

2~4万円あたりまでは、「もっと勝てる! もっといけ!」と興奮するが、ある一定のラインを超えると、だんだん興奮も冷めてきてなんだか家に帰りたくなってくる

負けている時

2~4万円あたりまでは、「このままだとやばい、なんとかしないと」とあせりや苦痛を感じるが、ある一定のラインを超えると、だんだん感覚もマヒして痛くなくなってくる

勝っているときはまあいいでしょう。

問題なのは、負けているときです。

お金にたいする感覚のマヒ(負けの痛みが消える)で、いくらでも負けられるようになってしまうからです。

ミナト

それでも「負けは取り返したくなる」と

そう、しかもそれプラスで、負けたままでは帰れなくなるわけですよね。

  • 目先の損失はリスクを背負ってでも回避したい
  • 金銭感覚がマヒしているのでいくら負けても痛くない

よって、このメンタルの変化によっても、私たちはギャンブルにじゃぶじゃぶとお金をつぎ込んでしまうのです。

もう取り返すことなんて、かぎりなく不可能に近いとわかっていても。

負けの苦痛は勝ちの喜びの2倍!「価値関数」とは

  • 負けは取り戻したくなる
  • 負けていると金銭感覚がマヒする

ここまでの話で、以上のことがわかりましたが、「とっておき」がまだあります。

こちらです。

人は利益を得る幸福感よりも、損失をこうむる痛みのほうがはるかに(2倍)強い。

プロスペクト理論では、最初に見てきたような「A or B」の実験を重ねることで、理論の根幹ともいえる2つの基準が導き出されています。

そのうちの1つが、この“不幸は幸福の2倍になる”という傾向を数値でしめした「価値関数」とよばれるもの。

価値関数は、以下のようにグラフ化されています。

プロスペクト理論の価値関数

これは利益を得たとき・損失をこうむったときに、人が感じる幸福や不幸の感情(心理的価値)を数値化してあらわしたものです。

そしてこのグラフから、つぎのことがわかりました。

価値関数でわかったこと
  • 100の単位では、金額がプラスになった+100時の目盛りは「1.5」
  • 反対に、金額がマイナスになった-100時の目盛りは「3.0」
  • つまり損得の金額が同じでも、喜びや痛みの感情にはじつに2倍の開きがある

「5万円勝ったときの喜び<5万円負けたときのガッカリ感」ということですね(しかも2倍)。

それでは、これがギャンブル、とくにパチンコにおいてはなにを意味するのか?

これに関しては、満たされない苦痛を延々と味わいつづけることになる、ということができるかもしれません。

パチンコの負けによる苦痛は癒えない

ミナト

パチンコってやたらと負けますよね

5万円くらい負けることはいたってふつうにあります。

でも、10万円勝つことはほとんどありませんよね?

イブスター店長

5万円負けと10万円勝ちはおなじ……

そうなのです。

負けることによって味わった苦痛が、勝つことでプラマイゼロへと浄化されることがほとんど起きないのです!

そうなると、どうなってしまうでしょう?

パチンコで負けて苦痛を味わう → 損失分の負けを取り返そうと躍起になる → 勝てたとしても苦痛は浄化されない → パチンコで負けて苦痛を味わう

この一連の流れが無限にループすることになってしまいます。

さらには、これまでの話(金銭感覚のマヒ・負けを取り返したい)も加わり、この苦痛はつぎのとおり地獄と化してしまうでしょう。

お金をつぎ込みすぎて金銭感覚がマヒしてくる → 大敗してさらなる苦痛をため込む → それでも損失分を取り返そうと躍起になる

あれだけのリスクを背負って勝っても、たったこれだけの勝ち。

勝てたとしても微々たるものなのに、今日もこんなに負けてしまった……。

その苦痛が、エンドレスにつづくのがパチンコなのではないでしょうか?

確率の魔法にだまされる!それが「確率加重関数」

プロスペクト理論の根幹のひとつは、「価値関数」という損得の感じ方のちがいでした。

では、残るもうひとつはなにかというと、それが「確率加重関数」とよばれるものです。

確率荷重関数:人は確率のちがいによってリスクを避けたり、リスクを背負いやすくなってしまうというもの。

これもさきほどと同様にグラフ化されているので、見てみましょう。

プロスペクト理論の確率荷重関数

このグラフがなにをあらわしているのかというと、以下のとおりです。

確率荷重関数
35%以下の確率

35%以下は過大に評価、つまり実際の確率以上に信用する

35%以上の確率

35%以上は過少に評価、つまり実際の確率以下でしか信用しなくなる

ようは、人は確率を主観的に感じていて、35%以下の体感信頼度は上がる(35%以上になると下がる)傾向がある、ということです。

これも、パチンコで置き換えてみるとわかりやすい。

たとえば、つぎの確率で当たりが継続する場合、人はあまり確率を信用できません。

  • 【50%】・・・即終了必至。継続する気がまったくしない
  • 【66%】・・・50%に毛が生えた程度。期待だけあおる無能の極み
  • 【75%】・・・さすがにこれはと思わせておいて即終了という悪魔

ところが、つぎの確率で当たるとなると、なぜか人は確率を信用できてしまいます。

  • 【20%】・・・運がよければ一発で当たる。己の引きを信じろ
  • 【25%】・・・75%で即終了する悪魔がいるなら25%で即当たる天使もいる
  • 【33%】・・・無能の極みは有能の極みへ。当てられる気しかない

このように、人は確率をゆがめて認識する傾向があります。

では、それがなにを意味するのか?

人は高い確率でも安心できずにリスクを回避したがり、逆に低い確率では、根拠もなくリスクを背負いやすくなる、ということなのです。

こんな経験はないでしょうか?

パチスロのイベント日
  1. 高設定くさい台に座れても「たまたまでは」と他が気になる(場合によってはそこでやめる)
  2. さすがに高設定と思われたので全ツッパを決め込むも途中から低設定が濃厚になる
  3. 「でも途中までは」と、低設定(=勝率が低い)でもやれると信じて続行するもボロ負け

最初の「高い勝率」は信用できないのに、最後の「低い勝率」は信用できてしまう。

それは、私たちが確率をきちんと認識しておらず、低い確率を過信してしまうからでもあるのです。

たまたまだろうで出玉確保(信用できずにリスク回避)をしたら、あとの人に出されてやっぱり高設定だった、もありますよね。

結果、負けが込んでくると損失を回避したいのとあいまって、私たちは現実的ではないリスクを簡単に背負い込んでしまうと。

ミナト

そりゃ負けますよね

パチンコやスロットは、当たる可能性がみょうに信用できる数値に設定されています。

ようするにパチンコは、こういった人の心理を突いてくる要素が、あちらこちらに散りばめられているのです。

そんなパチンコで勝てるでしょうか?

どう考えてもむずかしい、と私には思えてしまうのです。

今回のまとめ

  • 人は損失を回避するためならリスクを背負う
  • 使う金額が大きくなればなるほど金銭感覚はマヒしていく
  • 負けの苦痛は勝ちの2倍で、35%以下の確率はなぜか信頼できる

パチンコは勝てないようにできているので行けば負けます。

そうすると人の心理で、こんどは負けたままでは帰れなくなってくるので、よけいに負けていくわけです。

さらに、パチンコのおそろしさはそれだけではありません。

そう、やっているうちに依存症になる可能性があるということですよね。

ミナト

ちなみに私は、元重度のギャンブル依存者です

  • パチンコ以外に趣味がなくなっている
  • 途中で勝ちを確保してやめるのができなくなってしまった
  • 借金をしながらパチンコを打っている

そう(依存症に)なると、プロスペクト理論どころの話ではなく、ひたすら負けるようになります。

そもそも勝てないようにできていて、人間の心理でも勝てないというのに、ギャンブル依存症でさらにしぼりとられてしまうからです。

思いあたる部分があれば、どうぞ関連記事や、趣味か依存症の判断基準もごらんください。

とくに「やめたい」と思うことがあったのに、やめられないのが続いているとしたら、それは依存症の可能性は高いと思いますよ。

ちなみに、プロスペクト理論を克服する(=パチンコで負けたまま帰る)のは、元依存者の私には不可能でした……。

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