ギャンブル依存症(パチンコも)は保険が適用されるので病院に行くのもあり

ギャンブル依存症は世界的に見ても精神的な病気だと考えられているので、病院にかかるさいは保険が適用されます。

2019年末、パチンコ・パチスロや、競馬・オートレースなどの公営競技(賭博)にのめりこんでしまうギャンブル依存症の治療が、保険適用になるとのことで、「それはおかしいんじゃないか」と、反対意見も出るなどして物議をかもしていましたが、のちにこれは適用が決定。

ギャンブル依存症の方は、全額自己負担ではなく、保険が適用された費用で病院を受診することができるようになり、病院に行くという選択肢も現実的にありになってきました。が、じつをいうと、ギャンブル依存症はそのまえからも保険が適用されていたりもしたのはご存じでしょうか?

そう、当時は「なぜギャンブル依存症に公的保険が?」ともいわれたものですが、もともと保険は適用されてもいたので、ほんとうに困っている方は、今後もなんのうしろめたい気持ちもなく病院に行ってもいいのです!

また、そうなると、この保険適用うんぬんはなんだったのか? という話にもなってくるので、今回は、じっさいに受診しようかと考えて病院に電話をしたこともある私が、関係者に聞けた話もまじえ、ギャンブル依存症と保険の関係や、病院に行くメリット、いつから保険がスタートしたのかなどを、この件が気になる方にも向けた話とあわせてお話しします。

ギャンブル依存症が保険適用なのはなぜか?

WHO(世界保健機構)によって作成された『国際疾病分類』では、ギャンブル依存症は「病的賭博」、アメリカ精神医学会によって作成された『精神障害の診断・統計マニュアル(DSM)』では、ギャンブル依存症は「ギャンブル障害」とよばれ、世界的にもギャンブル依存症は、精神的な病気であると考えられています。

とくに日本の場合、かつては30兆円規模といわれたパチンコ業界や、現在の売上は右肩上がりをつづける公営賭博など、ギャンブル大国といわれるほどギャンブルの市場規模は大きく、この問題は、ギャンブル依存症者の数も、過去にさかのぼれば世界でいちばん日本が多い、という統計結果が出ているほど大きなものにもなっています。

対象がギャンブルという「遊び」に該当するもののため、よくわからない方からすれば、「それは自己責任なんじゃないの?」と思われてしまうかもしれません。

しかし、依存症というのは、脳の伝達機能に異常が起こることによって、自分自身では制御不能になってしまう「コントロール障がい」であって、けっして自己責任という言葉で片づけられるようなものではないと私は思います。

ところで、この依存症は、大きく分けると2つないし3つの種類に分けることができ、よく聞くものでいえば、以下のように分類することができます。

  • 物質依存・・・アルコール、ニコチン、(違法)薬物など
  • プロセス(特定の行為)依存・・・ギャンブル、買い物、インターネット、ゲーム、盗癖など
  • 関係依存・・・性依存、DV依存など

依存対象はそれぞれ異なれど、すべてには「自分自身ではやめたくてもやめられない、依存症状をコントロールできない」という共通点があります。

これらに分類されるものは、たしかに最初はだれしもが、自分の意思でやりはじめたものも多いといえるかもしれません。とはいえ、自分の意思で始めたものが、自分の意思でやめられなくなってしまっていたとしたら、その人はどうすればいいのでしょうか?

依存症状によって、人に手を差し伸べてもらえなければ、その状況から脱することができない人も世の中には数多くいます。

自分だけではほんとうにどうにもならない場合、そういったかたがたには、すこしは公的な救済が用意されていてもいいのではないでしょうか?

IR誘致(カジノ)がらみの決定に問題があった?

ギャンブル依存症の保険適用は、それがれっきとした病気であって、当事者だけでは問題を解決できないケースもすくなくはないから、ということに大きな理由があるように思われますが、この話にはべつの側面(裏側)もあったようなので、こちらも見ておくことにしましょう。

2019年というと、日本ではカジノをふくむ統合型リゾート(IR)の誘致をひかえ、ギャンブル依存症対策の強化をせまられていた時期ですが、そういったタイミングで厚生労働省は、ギャンブル依存症に公的医療保険を適用する検討に入ったと報じられました。

関係筋によると、「中央社会保険医療協議会(中医協)」という、健康保険制度や診療報酬の改定などについて審議する、厚生労働省の諮問機関による議論……ようは専門家の会合でそういった話があがって会議がおこなわれ、最終的には、2020年4月からの保険適用が決定。

つまり、ギャンブル依存症に保険が適用されたのは、結局のところカジノをつくるためなんじゃないか? という話で、だからこそこの件は、批判的な反対意見もあがることになってしまったのではないかと思います。

この件が決まったのにはカジノがからんでいる、というのは、タイミング的に考えても、おそらくそうだといえるかもしれません。

40%の成功率が確認された治療プログラムと効果

とはいっても、この件で保険が適用されることになった、複数人の患者グループがギャンブルにのめり込んだきっかけや、対処法について考えるといった、意見交換をするなどの「集団治療プログラム」には、以下の効果が確認されています。

時間/対象者介入者非介入者
1か月56.4%4.4%
2か月46.8%4.4%
3か月42.6%2.2%

なんと、治療プログラムを受けた介入者は、3か月後の断ギャンブル率が40%を超えていたというのです!

この有効な治療法にもとづき、精神科医および看護師、または作業療法士の指導のもと、「人数は10人、期間は3か月を限度に、2週間に1回、60分以上」の依存症集団療法が、2020年4月から開始(保険適用)となったわけですが、これが決定した背景・疑惑はさておき、ギャンブル依存症の方にはよい知らせといえるかもしれません。

病院に行って治療を受ければ、なにもしないのに対し、10~20倍近くの効果が得られる可能性があるからです。

ギャンブル依存症の治療は、投薬などではなく、このようなグループでのセッションがもっとも効果的ともいわれています。病院に行くのも、ひとつの選択肢として頭に入れておいてもいいかもしれないですね。

(参考:厚生労働省-診療報酬改定について厚生労働省保険局医療課-令和2年度診療報酬改定の概要〔pdf〕

もともと保険が適用されていたのはなんだったのか

元ギャンブル依存症の私は、じつは今回の保険適用が始まる2020年4月よりももっとまえに、病院を受診しようかと考えたこともあり、依存症を得意とする病院に電話で問い合わせたことがあります。

ところが、受付に費用に関する質問をしたとき、その回答は、以下のようなものとなっていました。

病院
病院

すべての治療プログラムは保険が適用されますので、費用は3割負担となります

なんと、この病院では、ギャンブル依存症の治療はもともと保険が適用されていて、自己負担額は、以前から3割(自立支援医療制度が利用できれば1割負担)になっていたそうなのです!

加えて、集団治療プログラム(「集団精神療法」または「集団認知行動療法」など)といった、新しく保険が適用となった療法と似たような、複数のギャンブル依存症の患者が集まっておこなう治療にも、保険は適用されると。

となると、この保険適用の件はいったいなんだったのか? という話にもなってきます。

これに関しては、病院によっては全額自己負担(自由・自費診療)のところもあるなど、どういうわけか病院によっても異なるようなのですが、もしかすると「精神科」ということで、そういった病院は以前からも保険が適用されていたのかもしれません。

結局私は病院には行かなかったので、くわしいことまでは聞けませんでしたが、いずれにせよ、もともと保険が適用されていた病院があるのであれば、新しく保険が適用されたから行きにくい(公的保険にたよるのに負い目を感じる)ということは考えなくてもいいと思います。

ようするに、私がいいたいのは、病院に行くことを検討されている方は、変にためらう必要はないということです。

病院に行かないでも済む場合もある

ギャンブル依存症の克服には、集団でのプログラムが効果的とされていますが、これがおこなわれているのは、なにも病院だけではありません。

GA(ギャンブラーズ・アノニマス)という、ギャンブル問題の解決を目的とした世界的な自助グループでは、定期的にギャンブル依存症の本人、または本人以外も集まるミーティングが全国でひらかれ、当事者同士でのグループセッションがおこなわれています。

また、これは東京に限定されますが、リカバリーサポートネットワーク(RSN)という、パチンコ・パチスロの依存問題を解決するために設立された相談機関では、ギャンブル依存症の本人、または家族で参加する対面相談会が毎月おこなわれています。

GAは寄付で成り立っているので、完全に無料というわけではないですが、基本料金は無料ですし、RSNの対面相談会に関しては完全無料。

公的保険どうこうも関係ありませんし、それが気になる方は、こういったところを利用する・参加することで、病院に行くまでもなく、ギャンブル依存症が回復していくこともあるでしょう。

また、結局は病院に行かなかった私がギャンブル問題を解決し、「元」ギャンブル依存者となれたのは、パチンコ店を出入り禁止になるプログラムを活用するなど、自力で、あるいは他者の力を借りて行動してきたからにほかなりません。

さきほども見てきたとおり、なにもしていなければ、ギャンブル問題を解決できる可能性は2~4%以下、長期で考えれば、もっと低い確率でしか成功しないともいえます。

自分ひとりでも始められることはたくさんありますし、病院にまで行く必要もなく問題を解決することができれば、それに越したことはないでしょう。

方法は以下またはページ末尾の関連記事などにまとめてありますので、病院に行くことに抵抗がある方や、まだ自分ひとりでも戦える余地がある方などは、まずはそういった病院に行かないでもすむ方法からためしみてはいかがでしょうか?

今回のまとめ

・ギャンブル依存症にも保険が適用された
・もともと適用されていた病院もあるので負い目を感じる必要はない
・病院に行かずにすむ方法もあるのでまずはいろいろ試してみてほしい

2020年4月以降は、もともと保険が適用されていた病院は関係ないようでもありますが、一定のガイドラインにそえば、ギャンブル依存症の治療は保険適用となりました。ただし、そうではない(ガイドラインにそっていない等の)場合は、病院によっては保険適用外のまま、ということにもなるようです。

今後、病院の受診を検討される方は、このガイドラインにそったプログラムがあるか、その病院は保険が適用されるのか、ということは、さきに確認しておいたほうがいいでしょう。

費用は病院にもよりますが、3割負担なので、初診は3000~4000円とか、再診は1500円とか、そこまで高いわけではありません。

ただでさえギャンブル依存症でお金がないのに、病院に行くと高い費用を請求されてお金がもっとなくなってしまう……ということは、以前よりも起こりにくくなっているはずなので、病院を受診しようかと考えている方は、そこは心配する必要はないようです。

この件は、決定した背景が背景だけに、反対意見も散見されましたが、もともと保険が適用されていた病院もたしかにあるので、これを利用することに、負い目を感じたりする必要はないでしょう。ギャンブル問題を解決するひとつの選択肢として、どうにもならないときは、病院の受診も考えてみてください。

もっとも、2020年、そして2021年以降は、コロナ禍によってグループをつくってのセッションは感染リスクが付きまとうため、できることなら、自分ひとり、または最小限の人との接触で問題を解決したほうがいいともいえます。

なにもしなければ問題はほぼ解決することはないと思われますが、病院に介入してもらわなくても、自分で自分自身に介入することはできます。ぜひ、ためしたことのない方法があれば、実践してみてください。

病院に行かなくてもギャンブル依存症は回復することは、元重度の依存者だった私が実証しているので、きっとだいじょうぶですよ。

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