
パチンコに行ってしまった……
このように、パチンコをやめたあとで「また行ってしまうこと」をスリップ(再パチンコ)といいます。
そしてこの再パチンコは、おそらく多くの人が経験するもので、元依存者の私にも何度も起きました。
では、パチンコでスリップをするとどうなるのか? 本記事ではそれをお話ししていきます。
- パチンコでスリップすると起きる3つの危機
- パチンコでスリップしそうになったらどうすればいいか?
結論からいうと、パチンコ・スロットに依存症状があったのなら、スリップすればまた「元にもどる」だけ。
パチンコがやめられなかった「あの地獄」からせっかく抜け出せたのに、再びまっさかさまに落ちていくだけです。



そこでこの記事では、
パチンコのスリップ後に起こる危機を、私の経験をもとに、具体的に3つお話しします。
1年以上やめていたときでもおなじことが起きたので、何年やめていてもそうなると思います。
スリップしそうになったときの対策もあわせてお話しするので、どうぞこちらもごらんください。


ミナト
10代で行った初めてのパチンコで大勝し、パチンコ・スロット漬けの日々へ。借金を重ね、多くを失い、10数年もの間ギャンブルをやめられなくなる。しかし他者の力も借りて依存症を克服。その経験をもとに依存からの脱出方法を発信している。併設店・専門店での従業員経験もあり。>> プロフィール詳細はこちら
パチンコでスリップしたくなるのはなぜか
- ちょっとだけなら
- もうやっても大丈夫なんじゃ?
- 1回くらいだけならいいだろう……
「パチンコをやめたあとの1回だけ」は、どこかのタイミングで、かならず考えると思います。
では、そもそもの話、なぜまたパチンコに行きたいと考えてしまうのか?



まずは、これから見ていきましょう
このスリップしたくなる現象が起こる理由は、「楽しかった記憶がのこっているから」だと私は思います。
「スリップ」という言葉を知っているということは、
パチンコをやめたくてもやめられなかった地獄を味わってきた
ということですよね?
でも、そのようなつらかった記憶は、時間とともにうすれていきます。
単純な話、つらい記憶ばかりが蓄積されていけば、人はそれに押しつぶされて生きてはいけなくなってしまうから。
ただ、なんでもかんでも忘れてしまえば、今後の危機(おなじ過ちをくりかえす)に対処することができません。
だから、ある程度は、時間がたっても嫌な記憶はのこります。
小中学生のころとか、若いときにやらかした記憶がとつぜんよみがえってきて、



(ウアァァァー!)
と、叫びたくなってしまのは、そういうことなのでしょう。



これも脳の防衛本能らしいです
ということは、楽しかった記憶も、ある程度はのこっているはずですよね?
パチンコ以外のことでもそうですが、
楽しかった(または成功体験の)記憶がなければ、やはり「生きよう」と思えなくなってしまう。
ようは「楽しかった・成功した」の追体験をしたくなる(+嫌な記憶がうすれてくる)からこそ、またパチンコに行きたくなると思うのです。
パチンコでスリップすると起こる3つの危機
- パチンコで勝っていい思いができた
- ほかでは味わえないスリル・興奮を味わえた
こういった記憶はのこり、時間とともにつらい過去はうすれてきます。
だから私たちは、地獄を体験したというのに「またパチンコに行きたくなる」のではないでしょうか?



で、ここからが本題ですが、
じゃあ、それでパチンコに行ってしまえばどうなるのか?
ここからは、私の実体験をもとに、スリップしたあとに起こる3つの危機をお話ししましょう。
1. 意識がまたパチンコに支配されるようになる


脱パチンコに成功していたとしても、スリップしてしまえば、また意識がパチンコに支配されるようになります。
パチンコに行かないのをある程度継続できれば、パチンコのことは考えなくなります。
- 行きたいと思わなくなる
- 行きたくなっても意識をそらせば余裕で回避できる
など、意識がパチンコに支配されることはありません。
ところが、いちどでもスリップしてしまえば、せっかく築いたこの状態が崩壊します。
以下のようにして、
- 実践動画が見たい、解析情報を調べたい
- つぎの休みはどうする? 朝イチから行くか?
- パチンコがやりたいなら、べつに行ってもいいんじゃないか?
当時のパチンコがやめられなかったころに、一気にもどってしまうのです!
そうして「2回目、3回目……」と、パチンコ通いが復活していき、気づけば大負けです。
手をつけてはいけないお金でも使う。場合によってはまた借金をしてパチンコに行く。
とにかく、「本気でヤバい」と感じるまでは、パチンコに行きつづけることでしょう。
こうなってしまった以上、大きく負けないかぎりは、「またやめよう」とは考えられなくなるからですよね。



まあ時間とお金のムダですよ
でも、そんなことは頭ではわかっていても、またパチンコがやめられなくなってしまうのです。
「生活がおびやかされる」まで行かなければ、問題を解決しようとする気にはならないのでは? と思いますよ。
2. 興味関心がまたパチンコだけに集中する


これがまた危機で、スリップすることで、興味関心がふたたびパチンコに集中するようになってしまいます。
ほかの趣味ができていたとしても、パチンコ以外に興味が持てなくなってしまうのです!
パチンコに依存すると脳が変化してしまい、ギャンブル以外への関心が弱くなる
これは研究でもあきらかになっていることで、じっさいに私もそうでした。



ただ、これは回復すると感じています
私の場合でいうと、読書への興味が強く復活し、パチンコをやめてからはよく本を読むようになりました。
ところが、です。
いちどスリップしてしまえば、本を読む気が失せ、また興味がパチンコだけになってしまったのです!
パチンコに依存すると「依存を発生させる回路ができ、それは一生のこる」ともいわれています。
ようはスリップしてしまえば、一発でその回路が作動し、当時の依存症の状態に“完全に”もどってしまうということです。
まあこれは危機的状況ですよね。



なぜなら……
興味関心がパチンコに全変換されることで、ほかの趣味で(パチンコ以外に)意識をそらすのが、格段にむずかしくなるからです。
だからまたやめられなくなって、パチンコに行きまくる。
こうなってしまうと、趣味をとりもどすには、また「暇つぶし」からはじめないといけなくなります。
暇つぶしから趣味をつくる考え方
3. 自分の意志だけではパチンコがやめられなくなる


パチンコでスリップすると、自分の意志だけではやめられなくなる、あの危機的状況に再度おちいります。



長期間やめられてたのなら、意志の力も強くなってるはず……
と、思ったりもするのですが、まあこれもダメですよね。
スリップしてしまえば、また「あのころ」のように、意志だけではパチンコがやめられなくなってしまいます。
私の経験上、最初(1回目の成功)よりかは、脱パチンコはらくになっていると感じます。
ただ「もう行かない」の意志だけではむずかしく、その他の対策をとるなどしなければ、パチンコのない生活はとりもどせません。



で、そこには、ものすごい労力が必要になるわけです
まあしんどいですよ。
だから、パチンコからいちど離れられたのなら、もう行かないほうがいいのです。
当時の記憶(禁断症状を耐えていた期間)も、うすれてきているかもしれませんが、またあれをクリアしないといけなくなるからです。
最初の1週間をクリアする対策方法
パチンコでスリップしそうになったらどうするか
ここまでの話で、パチンコでスリップすることが、どれだけヤバいかは伝わったことと思います。
それでは、危機がおとずれたら、つまり「パチンコでスリップしそうになったら」どうすればいいのか?



最後に、これをお話ししましょう
これに関しては、ほかの趣味をつくって意識をそらすのも大事ですが、
「なにか問題が起きたとき、それをパチンコ(ギャンブル)で解決する」
とかいう、わけのわからない考えを捨てるのが“最重要”だと私は考えています。
- パチンコで勝てていい思いができた
- 勝てたお金で生活費をまかなえた、欲しい物が買えた
そんな経験は、どこかでありましたよね?
最初のほうでお話ししたとおり、そういった「いわばパチンコによる成功体験」が私たちにはある。
だからこそ、なにか自分の手に負えないような大きな問題が起きたとき、その問題をパチンコで解決したくなったりもするのです。



私の場合でいうと、
つぎのような問題が、パチンコでのスリップの原因になった経験があります。
- 引っ越したいけどお金がない(パチンコで勝てばその資金を調達できるか?)
- このままだと生活が立ち行かなくなる(パチンコで勝ちつづければ生活は維持できる?)
お金を稼ぐ手段がかぎられていて、現状では、問題を解決できるほどの収入を得るすべがない。
ならどうするか?
パチンコでお金を稼ぐしかないだろう……。
こうして、スリップは“突然”起きてしまうのです。
もう大丈夫そうだ、と思っていてもダメ。
「パチンコで問題を解決する」の考えがあるかぎり、再発の危険はつねに付きまとうことでしょう。



年単位でやめられていたとしても、だな
そこで、覚えておいてもらいたいことがあります。
「自分の力で解決できない問題は基本的には起きない」ということです。
問題はパチンコで解決する、の考えは捨てよう
ここでいったん、スリップの原因をまとめましょう。
- 自分の手に負えなそうな問題が起きた
- その問題を解決するにはお金が必要だ
そんなとき、「パチンコで勝てれば……」の考えが頭をよぎると、一気にスリップの危険性が高まります。



なぜかというと、
運がよければ、「ただ座っているだけ」で問題を解決できる可能性があるから。
そしてその可能性は、過去の成功体験にもとづいているので、再現性が見込めてしまうからです。
ただ、さきのとおりで、私たちの人生で起こる問題は「それ相応の問題」がじつは大半です。
もちろん例外はありますが、いい例が借金で、
- 借金(借り入れ)は年収の3分の1までしかできない
- つまり年収が300万円なら、100万円までしか借金はできない
など、クレジットカードや家族からなどを除けば、ふつうの人は莫大な借金なんてできないようになっているのです。



言い換えれば「返せる借金しかできない」ということだな
それとおなじことで、自分の人生にふりかかる問題は、基本的には自分の力で解決できることしか起こりません。
さきほどの私がスリップした原因(引っ越し・生活費)でいうと、つぎのとおりです。
- 貯金をはたけば普通に引っ越しはできた(ただ使いたくなかっただけ)
- 生活費なんてリボ払いでしのげた(その間になんとかすればよかっただけ)
そう、スリップする必要なんて、みじんもなかったのです。
ですから、大きな問題に直面したときは、
「パチンコで解決する、ではなく、自力でなんとかして問題を解決する」
と考えなければならないのです!
「パチンコで解決する」の考えを捨てること。
それこそが、スリップしそうになったときの「防止策」になるということですね。
スリップすれば問題が大きくなるだけ
また、スリップすれば「問題が大きくなるだけ」なのも認識しておきましょう。
このお金がからむスリップ問題は、だいたい20万~30万円(が必要)がいいところだと思います。
- 家を買いたい
- 車を買いたい
とか、問題が数百万円・数千万円規模の話になると、パチンコで解決しようとは考えなくなります。



それはそうです
そんな金額は「パチンコでは解決できないと知っているから」ですよね。
だったら(数十万円規模の問題なら)、数か月間働けばいいだけの話です。
「パチンコで問題を解決しよう」のさきにあるのは、資金を減らした「やっぱり行かなければよかった」だけなのです。
いちおう、再度私の話もしておきましょうか。
当時パチンコのスリップで資金を減らした私は、そのせいで引っ越しのタイミングが遅れ、致命的な50%ハズしをやらかしました。
同じ建物で2部屋空いていて、片方が超ハズレで片方が当たり。ほんのわずかの差で当たり部屋が埋まり、私はハズレ物件をつかまされたって話です(結果論ですが……)。
パチンコで問題を解決しようとすると、こういうことが起こるのです。
問題は人それぞれだと思いますが、ほぼまちがいなく、おなじような“やらかし”が起こるでしょう。



そんなわけですから、
パチンコで問題を解決する、ではなく、なんとかとして自力で解決する。
人生で壁にぶち当たったときは、こう考えるようにしましょう!
スリップしそうになったら相談窓口の「RSNに電話をする」のも有効です。相談員の方もそういっていたので、電話をしてみるのもいいと思いますよ。
今回のまとめ
- 過去の成功体験(+記憶の薄れ)がスリップを誘発する
- パチンコでスリップすると地獄にまた逆もどりになる
- 人生で起きた問題は基本自力で解決できる。パチンコに頼ったらダメ
ギャンブルに依存したことがある人間は「二度とやってはいけない」とよくいわれます。
その対象がパチンコ・パチスロなら、それはまちがいなく、そのとおりだと私は思います。



あれはムリですね
ごく一部の人は例外的に復帰できるのかもしれませんが、ふつうの人は不可能です。
ですから、パチンコ・スロットをするのは、もう(いさぎよく)あきらめたほうがいいでしょう。
それから、人生でなにか大きな壁にぶち当たったとき。
1~2回うまく勝てたとしても、またパチンコ通いが復活して、最終的には「問題をさらに大きくしてフィニッシュ」になるのはほぼ確実です。
パチンコで問題をどうにか……というのは「逃げ」でもあると思います。



なので、そんなときはギャンブルに逃げずに、
「自力での」解決策をさがしましょう。
パチンコへの依存(超レベルの問題)を解決できたのなら、ちょっとやそっとの壁は、自分の力で乗り越えていけるはずです!
スリップしてしまったらの対策
パチンコ以外の趣味はつくろう!
自力で借金を返済していくコツ
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