【無銭飲食という詐欺】バーでまさかの食い逃げをくらった時の話

食い逃げなんて本当に起こるの?しかもバーで!?って話なのですが、実際にあったんですよねこれが。

途中でお金が足りないことに気付いて怖くなって逃げた、警察に捕まるためにわざと無銭飲食をした。そんな食い逃げにまつわる話は時々耳にしたりもするものですが、実際のところ本当にそんなことはあるのか。

私は学生時代のアルバイトも含めれば10年以上飲食業界に携わってきましたが、そのような現場に出くわしたことは一度もないですし、正直食い逃げなんてものは都市伝説レベルの話だと思っていました。そう、自分が被害に遭うまでは……

食い逃げ事件はバーで起きた

これは私が初めて一人で店を任されるという記念すべき日に起きた話。

当時はバーテンダーとしての経験も浅く、全ての業務を完遂できるレベルにもまだ達してはいなかったのですが、主に人手不足が理由で私は一人で店を任されることになったのです。
正直言うと中途半端なバーテンダーが店に1人しかいないという状況は店の運営上かなり良くないのですが、この辺は致し方無いことだったのでそれは一先ず置いておくことにし、期待よりも不安が勝る心境でその日の営業はスタート。

応援に駆けつけてくれた常連さんにも助けられ、大きな問題もなく私はなんとか業務を遂行していきます。そして、その日の営業も終盤に差し掛かったまさにその時、1人の男性が来店されたのです。

この時、来てくれたお客さん方は帰路につき、店内には私とこの男性だけという状況。
男性は席に着くと、こう切り出しました。

男性客
男性客

……お兄さん、フリーメイソンて、知ってる?

この時、何かゾワッとするものを感じたことを今でも覚えています。
だって、初対面で第一声がフリーメイソンですよ。流石に色々とおかしいでしょ。

(注:フリーメイソンとは秘密結社のことで、「世界を裏で牛耳る真の支配者」だとか、「陰で政治を操る闇の主導者」だとか色々言われていますが、実際のところ何をしているのかはよくわかりません。“秘密”結社ですからね)
湊
ミナト

まぁ、一応名前くらいは……

そこからは秘密結社についての談義が始まり、フリーメイソンには人口を減らす計画があるだとか、同じく秘密結社であるイルミナティのカードゲームではアメリカ同時多発テロ(911)が予言されていただとか、そういったオカルトチックな話が続くこと約30分、私は耐えきれなくなってこう切り出したのです。

湊
ミナト

あの、何か飲まれます……

そう、この男性、まだ何も注文していないのだ!

男性客
男性客

いいの?それじゃ何か安いやつを。あとこれ、あげるよ

「いいの?」の意味がわからなかったのですが、私は男性客の要望通りのものを提供。そして男性客からは何かの総菜が入ったタッパー(食べかけ?)をあげると言われたのですが、そこは丁重に断り、よくわからない話を聞かされること小一時間。店も閉店時間が近付き、男性客もそろそろ帰ると言うので私は会計を出したのです。

ちなみに金額は1100円。すると……

男性客
男性客

え、お金取るの?というかそれ、さっきの総菜と交換てことじゃないの!?

もはや訳が分からない……
総菜と交換って……そんな話あるか!?いや、ないでしょ!

男性客の話は二転三転し……

なんとこの男性、そもそも所持金がない状態で入店し、最初から飲む気はなかったと言うのです。さらにはカードの中にも残高がないのでお金を下ろすこともできないと。

それならなぜ入ってきたのかと私は問い正したかったのですが、事が起きてしまった以上この状況では話し合っていても埒が明かないので、一先ずは男性が後日支払いに来るということで話が付き、私は電話番号と氏名を書いた紙を受け取りました。

しかし残念なことに、これまでの言動からしてこの紙きれ1枚だけでは彼を信用するに足らず、さらに言うとこれだけでは店の経営者に後でグチグチと文句を言われることはわかり切っていたので、私は提案したのです。何かもう1つ置いていってもらえないかと。

男性客
男性客

そしたら免許証……いや、そういえば明日車の運転があるからダメだ

男性客
男性客

それならパスポート……いや、明日必要になる事があるかもしれない

正直この辺から私もだんだんとしんどくなってきたため、もう何でもいいからコピーしたものを置いておいてくれればそれでいいと提案します、が……

男性客
男性客

コピーするお金がない

湊
ミナト

…………

私はポケットマネーから10円玉を何枚か彼に渡し、彼は「すぐコピーして戻ってくるから!」と言い残し、店から出ていきました。

もしかするとこのまま戻ってこないかもしれない。けれど、戻ってくると言ったのだからその言葉を信じようと思い、私は店で彼が戻るのを待つことにしたのです。

そして、男性客は姿を消した

店の近くにはコンビニが何軒かあったので、コピーを取って戻ってくるだけであれば5~10分もあれば事足りるはずだったのですが、30分待っても、1時間待っても、彼が店に戻ってくることはありませんでした。

湊
ミナト

食い逃げかぁ……

こうなる可能性は少なからずあるとは自分でもわかっていましたし、何でもかんでも人の言うことを信用していると碌なことにならないというのは、今まで生きてきた中で身に染みて味わってきたはず。

湊
ミナト

まぁでも、嘘をつくよりも、つかれる方が楽だしいいか

そんなことを考えながら、とりあえず私は男性客が置いていった電話番号に電話をかけてみることに。すると、6~7コールほどで彼は電話に出たではないか!

男性客
男性客

…………

しかし、私が話しかけるも彼は無言を貫いています。
これは恐らく嘘をついて逃げたという後ろめたい気持ちがあるからでしょう。そしてすぐに電話を切らないのは、恐らくこちらがどう出るかを探っているように思われ、ここを好機と見た私は、彼がこちらの出方を窺っている隙に畳み掛ける!

湊
ミナト

このままだと店の方針で警察に通報することになってしまいます。いつでもいいので、お金払いに来てもらえませんか?私だってこんなことで通報なんかしたくないんですよ

男性客
男性客

…………(ブツッ)

切れた。しかし、言うことは言った。

私は、今回の分は自分が自腹を切って立て替えること、経営者は本来即通報するところ私が立て替えたので一先ずは不問とすることにしたこと、こんなことで警察には通報したくないこと等を彼に伝えました。リアクションはありませんでしたが、全て聞いていたのは間違いないはず。

また、これはこの時に始まった話でもないのですが、従業員の出した損失を従業員に払わせるのってどうなのよ?と思いながらも、もう早く帰りたかった私はさっさと店を閉めて帰宅。

こうして初の一人営業は、有り得ないトラブルによって無事とは到底言い難いものとなってしまったのですが、なんとか終えることができたのです。
そして、何かしらの記念すべき日には不吉なことが起こる可能性が高いというジンクスがこの日、私の中で生まれたような気がします。

後日談&今回のまとめ

・従業員をだましての喰い逃げは詐欺に当たる
・食い逃げは都市伝説などではなかった
・フリーメイソンは社会貢献活動をしている

人の良心に付け込み、それを足蹴にしていく者に対抗するためには、人を信じることをやめるしかないのかと。この一件以降私の心はまたしても穢され、この件は次第に風化していきました。

されど1,000円ですが、たかが1,000円。
この程度の金額であればもういいかと。端から警察に通報する気もありませんでしたし、私の中では終わったこととして処理されていたのです。

しかし、問題が起きた日から数えて2~3週間後に彼は店の前に現れました。飲食代金の1,100円をその手に持って。

彼はこう言いました。

「ミナト君もきっと生活大変だと思うんだけど、そんな中、お金立て替えててもらってごめん」

今になって思えば警察に通報されたくなかったから返しに来たのではと思えてしまうのですが、その時の私は、人を信じた自分の心が救われ、まだ人を信用してみようかなと思えたのです。

食い逃げは食い逃げですが、一応返しに来てくれたのでこの件は丸く収まり終了。それからこの男性の姿を店で見かけることはありませんでしたが、色々といい勉強になったバー食い逃げ事件でした。

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