ついにくだらなさ最大級の事件が起きてしまいました。親族間での遺産相続問題、骨肉の争いなるものが……。
血を分けた実の兄弟や姉妹のあいだで、遺産の相続でもめるなんて話はちらほら聞きます。さらには、それが裁判沙汰にまで発展するなんてことも世の中にはあるわけですが、そんな話は富豪一族とかだけの話だろうと思っていました。
まさかの、身内のあいだでそんなことが起こってしまうまでは。
現在、この事件は係争中であり、あまりのくだらなさに、私は開いた口がふさがらないのですが、この件に関してはいろいろと思うところがあるので、ここに事件の発端などを残しておこうと思います。
遺産相続問題は起こるべくして起きた
2020年、私の祖母は天寿をまっとうし、現世から旅立つとともに、深い眠りにつきました。しかし、それからほとんど間をおかずして、遺産相続問題が勃発してしまったのです。
この件に関しては、登場人物と遺産について整理しておかなければならないので、まずはそこからお話ししたいと思います。
祖母には2人の娘がいました。1人は私の母であり、もう1人は私の叔母にあたる人物で(もはやこの人物を叔母と呼ぶことさえもいとわしいので、これは「姉」もしくは「原告」と呼ぶことにします)、遺産とは祖母の家、というかほぼ土地です。
祖母は、母と姉からすれば実家にあたる家(持ち家)にもともと住んでおり、先に祖父が他界してからは、そこで1人で暮らしていたのですが、年齢が年齢だったので、途中からは母が実家に戻り、私の母が世話をみながら2人で暮らしていました。
ちなみに、姉はなにかの際に、「お母さんの世話は私はいっさいみないから」と、本人を前にして言い放ったらしく、祖母の介助が必要になってからも、実家に帰ってくるということは一度もなかったそうです。
そういうことをふつうに言えてしまう人間ですから、私も子どものころに何度か会ったときから、ヤバそうな人だなとは思っていました。
遺産に関しては遺言書が残されていた
その後、祖母は公的な施設に入居することになり、私の母はほとんど毎日、1日2回は見舞いに行っていましたが、そこでも姉が来るということはありませんでした。まさに宣言どおりといったところで、われ関せずをつらぬいていたようです。
ところで、話は変わりますが、この姉という人物は昔から金が大好きだったようで、玉のこしに乗り、わりといいところに住み、不動産もいくつか所有しているなど、べつに金に困っているわけではないようでした。ただ、金への執着は人一倍強く、自分の金は減らさない、取れるものは取るという考え方でいつも動いていたようです。
私はそういった話も聞いていたので、祖母が他界する時が来たら、遺産相続では間違いなく面倒くさいことになるだろうな、と思っていました。そして、それはおそらく生前の祖母も感じていたのかもしれません。
祖母は生前に遺言書を残し、遺産はすべて私の母に相続させると書き残していたのです。
そのことを祖母から聞いた母は、そうはいっても、さすがにそういうわけにはいかないと思い、いくらか姉に包むために別でお金を貯めていました。
いま思えば、なにがどう転んでも、このくだらない争いを避けることはできなかったのだと思います。96歳の誕生日を迎えてからしばらくしたのち、祖母は入居先の一室で、静かに息を引き取りました。
原告は弁護士を立てて金を取り立てる
祖母の葬儀はいちおう姉が喪主ということになりましたが、実際はすべて私の母がおこなっており、葬儀のあとの親戚とのやりとり(たとえば遺骨を送り届ける)なども一緒でした。祖母が他界してからも、母はけっこう忙しく動いていました。
しかし、姉はこの時を虎視眈々とねらっていたのかもしれません。葬儀が終わったその日に母を呼び出し、自分の家族にはばれない場所でこっそりと、遺産をどうするかすぐに切り出してきたのです。
母は、「いまはそれどころじゃないから少し待ってほしい」と伝えましたが、姉は1秒たりとも待てなかったのでしょう。それからすぐに弁護士を立て、相続の話し合いを強行したのです。
さて、ここでもう1つ整理しておきたいのですが、遺産を相続する人には、遺言書にかかわらず、一定の割合(2分の1~3分の1)の財産を相続することが法的に認められた「遺留分」という権利があります。
これによって、たとえば今回のケースでいえば、遺言書にはすべて私の母に相続させるとなっていましたが、姉にも一定の財産を受け取る権利があるので、母に対してそれを請求することができるわけです。
そこで、話を戻して、原告が弁護士を立てて話し合いを強行したので、仕方なく母も弁護士に依頼せざるをえなくなり、ここで遺言書の存在があきらかになると、原告は方針を切り替え、この遺留分を請求してきたのです。
弁護士はその道のプロですから、弁護士同士で話し合い、このへんが落としどころだろうという金額で決着をつけ、それを原告側に持ち帰りました。
ところが、なんとこの金の亡者は、その額では納得できないとわめきちらし、裁判を起こすという暴挙に出たのです!
裁判なんて起こしたところで、たいして額も変わらんだろう、と私は思うのですが、強欲な守銭奴と化してしまった原告は、少しでも多くの金が欲しいのでしょう。まこと愚かの極みとしかいいようがありません。
人はそんなにも金が必要なのか
この際なので、私のお金に対する考え方を少しお話ししたいと思います。
私は、金というものがあまり好きではありません。それは、金(というかギャンブル)によって人生をかなり狂わされたというのもありますが、原告さながら金の魔力にとりつかれ、いうなれば「人ならざる者」に成り下がったような連中を、この目でそれなりに見てきたからです。
私の場合は独り身なので、まだこんなきれいごとがいえているのかもしれませんが、べつに金なんてものは必要な分だけあればいいと思いますし、死後の世界に持っていくなんてことも当然できるわけがないですから、そんなに必死こいてかき集めるようなものでもないと思っています。
世の中には、みずから人としての誇りを捨て去り、どんなに汚い手を使ってでも、金を手にしようとする人がいますが、私はどれだけ飢えていても、誇りだけは捨ててはいけないと思って生きています。
人に迷惑をかけたり、人を蹴落としたり、時にはルールの裏をかいてまで金を手にしようとしたりする行為に、なにか意味はあるのか、私にはいまだにそのへんはよくわかりません。
ただ、今回のように敵から攻撃されたときなどは、金があれば、その力ですべてを終わらせることができるため、ある程度の蓄えは必要ではあると思います。
しかしながら、そういったときのために汚い手を使っていては、みにくい奪い合いが延々と繰り返されるだけだと思うので、やはり金というものは、そこまでして手にしなければならないものではないと私は思いました。
今回のまとめ
・金の亡者にだけはなってはいけないと思う
・原告と顔を合わせることはおそらくもうないだろう
今回の一件は、祖母を愛したすべての人間の気持ちを踏みにじる、卑劣で、非常にあさましい行為であるように私には感じられました。
原告側にもいろいろと思うところがあるのかもしれませんが、遺言書うんぬんの前に弁護士を立てているわけですから、もはや金以外はどうでもよかったのでしょう。だからこそこんなことになっているのだと思います。
遺留分は相続人に認められた権利であり、それを主張するのはべつに悪いことではありません。ただ、そういったものは、相続人同士で話し合えばいいことですし、わざわざ裁判沙汰にするようなことでもないだろうと私には思えてしまいます。
現時点ではまだ裁判は終わってはいませんが、一定の金額が提示され、それを支払ったところですべては終わりです。おそらく、私たちは今後二度と、顔を合わせることもないでしょう。
こんなくだらない争いごとは、今回きりで終わらせなければならない、私自身や後世にも繰り返させてはいけないと考えさせられた事件でした。
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