PCを捨てたいとき、ハードディスクを破壊すれば個人情報の漏えいをふせげますが、これはあまりおすすめできません。
不要になったパソコンを廃棄処分したいとき、問題となるのがHDD(ハードディスク)内に眠ったデータの消去でしょう。
多くの個人情報が万が一にでも漏えいしてしまえば、パスワード・クレジットカードの不正使用などの被害にあってしまいかねません。
しかし、古いパソコンの場合、そもそも起動できずにデータの削除ができない、なんてこともあるわけです。
そこでこの記事では、最終手段である、ハードディスクを取り出して破壊する方法について解説していきます。
さきにいうと、これはあまりおすすめできず、事業者に回収してもらう方法を推奨したいのですが、とりあえずはどんな感じになるのかということで、ごらんください。
HDDを破壊するために用意するもの(デスクトップ・ノート共通)
パソコンのハードディスクを取り外して破壊するためには、いくつか必要になるものがあります。
おおむね以下のとおりです。
- プラスドライバー
- トルクスドライバー
- ハンマーor ニッパー or 強力なカッター
今回はデスクトップの方法についてですが、ノートパソコンの場合もHDDがある場所(裏のカバーを開ければすぐわかる)が異なるだけで、基本的なことは変わりません。
まずはそれぞれの用途を見ていきましょう。
プラスドライバー
プラスドライバーはPCのカバーを開けるために必要となります。
これは100均などの量販店でも手に入るため、そこまで用意するのはむずかしくありません。
おうちにあれば、おそらくそれでいけると思いますよ。
トルクスドライバー
ハードディスクのカバーをとめているネジは、星型のような特殊な形状をしています。
それを開けるために必要なのが、この「トルクスドライバー」。
「T-8」というサイズでハードディスクのカバーを開けられ、それ以下(T-7以下)で本体の円盤(ディスク)の固定をはずすことができます。
いちおう「T-8」だけあれば問題はないと思いますが、カンペキにやりとげたいのであれば、最低でも2本以上は必要となるでしょう。
ハンマー or ニッパー or 強力なカッター
ハードディスクの円盤(プラッタといいます)部分は、かたいもので叩けばパリンッ! と割れるガラスタイプと、叩いても割れないアルミタイプがあります。
前者の場合はハンマーがあれば破壊できますが、後者の場合、いくら叩いてもけっして割れることはありません。
よって後者のタイプでは、ニッパーで折り曲げるか、強力なカッターで切り込みを入れていく必要が出てきます。
よりカンペキな破壊を求めるなら、かなり分厚いアルミでも切り裂くことができる、「ミゼットカッター」も用意しておくといいでしょう。
ハードディスクを取り出して破壊するやり方の全手順
準備がととのったところで、ここからは、じっさいにPCのハードディスクを取り出して破壊する手順をご紹介していきます。
作業は大きく分けると、以下の2手順。
- PCからのハードディスクを取り外す
- ハードディスクの破壊
それでは、作業スタートです!
1. PCからHDDを取り出す
まずはデスクトップのカバーをとめているネジを、プラスドライバーを使ってはずしていきます。
それができると、このように側面のカバーをずらせるようになるのでスライドさせます。
側面のカバーがはずれるとこのとおり。
「PC」と書かれたプラグにつながっているのがハードディスクですね。
しかしこれは、両側からネジで固定されているので、まずは赤枠のネジをプラスドライバーを使ってはずします。
つづいて反対側のネジをはずすため、さきほどとおなじ要領で、反対側のカバーもはずしましょう。
カバーのすきまからプラスドライバーを差し込めるので、そうしてネジをはずしてあげます。
これでようやく、ハードディスクを取り外せるようになりました。
取り外されたハードディスク。
つぎは、これを破壊する作業に移行します。
2. 取り外したハードディスクを破壊する
このパソコンはかなり古い(おそらく十数年前のもの)ものでしたが、かぶっていたホコリを拭いてあげると、HDD自体はキレイな状態となっていました。
さて、つぎはこのカバーを開けていくのですが……
ここで登場するのが、用意しておいたトルクスドライバー!
これを使って、カバーのネジをすべてはずしていきます。
シール(紙)の中にもネジがかくれているので、これをはずすのも忘れずに。
そしてカバーがはずれたハードディスクがこちら。
保存状態は良好ですね。
ちなみに、この円盤(プラッタ)もネジで固定されていて、これをはずすためには「T-7」以下のトルクスドライバーが必要となります。
しかし私は「T-7」以下のトルクスドライバーは持っていなかったので、ペンチとミゼットカッターで破壊することにしました。
これでハードディスクの破壊は完了です。
完全に破壊できたわけではないので、個人情報を復元・取得される可能性はゼロではないかもしれませんが、ひとまずはデータの漏えいはないのではないかと。
あとは、これらをどう廃棄処分するか(捨て方はどうするか)。
そしてこれこそが、じつは最大の問題でもあるのです。
不要なPCを無料で廃棄処分する(回収してもらう)方法
家庭で不要になったパソコンは、じつは粗大ゴミや不燃ゴミとしては出せません。
「資源有効利用促進法」という法律にもとづき、リサイクルが義務づけられていて、メーカーなどの専門業者に回収してもらわなければならないことになっているからです。
なお、2003年以降に製造されたPCには、「PCリサイクルマーク」というシールが貼られています。
これがあれば、無料でメーカーに回収してもらうことができるのですが、残念なことに、古いPCのメーカーは、倒産・事業撤退していることもすくなくはありません。
そうなると、回収に費用がかかってきます。これは自作の場合もおなじで、べつの業者にたのまなければならなくなるのです。
参考までに、そういった回収をおこなっている、一般社団法人の「パソコン3R協会」に依頼した場合を見てみましょう。
内容 | 料金 | 内容 | 料金 |
デスクトップ | 4400円 | 液晶一体型PC | 4400円 |
ノート | 4400円 | CRTディスプレイ | 5500円 |
液晶ディスプレイ | 4400円 | CRT一体型PC | 5500円 |
(参考:PC3R-回収再資源化料金)
CRTとはブラウン管のディスプレイ(昔のテレビのような正方形に近いもの)のことですが、このとおり、安くはないお金がかかってしまいます。
では、どうするか?
そこでおすすめできるのが、「リネットジャパン」という、国によって唯一認められた、PC等の宅配回収サービスにたのむ方法です。
リネットジャパンに最初から頼んでおくのがおすすめ
リネットジャパンとは、環境省・経済産業省から認定された、自治体とも連携している、パソコン無料回収のサービスをおこなっているリサイクル事業者です。
パソコンが1台ふくまれていて、規定のサイズ内(3辺の合計が140cm・20kg以内)であれば回収費用は無料。液晶モニターがあれば、それもいっしょに回収してくれます。
使い方はとても簡単で、
- 公式サイトから回収を依頼
- 自宅で梱包(ラベルを用意する必要なし)
- 佐川急便の配達員に回収してもらう
たったのこれだけ。
ちなみに、リネットジャパンによると、ハードディスクを物理的に破壊すると、有害物質が飛び散るおそれがあるといいます。
そのため、回収の申し込み後にデータの消去ソフトがダウンロードできるようになっているのですが、これ(データ消去)には5~6時間ほどの時間がかかるらしく、PCが壊れていればそれも使えません。
しかしそんなときでも安心してください。
「おまかせ安全データ消去サービス」を利用すれば、3300円の費用がかかりますが、データの完全消去を代理でおこなってくれるのです!
自力でハードディスクを破壊しようとすると、工具を用意する費用がかかります。それに私も、作業中に異様な金属臭は感じていました。
だからこそ、最初にこの方法はおすすめできない、と私はいっていたのです。
データの消去は、政府機関・上場企業も採用する高度な技術を駆使しているとのことなので、安心してまかせることができるでしょう。
PCを廃棄処分したいのなら、最初からリネットジャパンに回収を依頼し、ついでにデータの消去もたのんだほうが、結果的には手間もかからず安くなる、ということです。
今回のまとめ
・有害物質が飛び散るおそれもある
・リネットジャパンに回収を依頼したほうが早い
私の自宅に眠っていたデスクトップのパソコンは、かなりまえから壊れていて、もうそうするしかない! と思ってハードディスクを破壊するという手段をとりました。
しかし回収の段階になってよくしらべてみると、メーカーは事業撤退していたのか見あたらず。
どうしようかと、市区町村のサイトで処分方法をしらべていたところ、そこでリネットジャパンを知り、結局はリネットジャパンにPCを回収してもらいました。
最初からそうすべきだったと思っています。
ホコリをかぶったハードディスクをきれいにしてあげたとき、データの消去さえしてあげれば、コイツはまだまだ現役でがんばれそうだ、という気がしました。
代理でデータの消去をしてくれる事業者がいたとは知らなかったため、今回、私はそうしてしまいましたが、かぎりある資源を有効活用できるのなら、それに越したことはありません。
そんなわけで、PCの処分や、ハードディスクの処理に困っているのなら、リネットジャパンに回収&データの消去をしてもらうことを私はおすすめします。
リネットジャパンの申し込み手順はこちら
→ リネットジャパンはやばい?パソコン無料回収を利用してみた感想&その手順
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