時代の移り変わりなどから、現在苦境に立たされているバー業界は、これからどうなっていくのでしょうか。
- バー業界の隆盛と衰退の歴史
- バーとバーテンダーは今後どうなるか?
戦後、バー業界は数々の苦難を乗り越え、本格バー・ショットバーの時代が幕を開けました。
しかし幻想となったバブル景気の崩壊を皮切りに、時代背景などの影響もあって、しだいに業界は衰退。
現在は、またしてもバー業界は苦境に立たされているように感じます。
そこで気になるのは、バーとバーテンダーは今後どうなっていくのか、ということでしょう。
ミナトただ、結論からいうと、バー業界の未来は明るいと思っています
この話は、私が自分で見聞きしたものに加え、各種データなどから総合的に判断したものです。
したがって、かならずしもすべてが正しいという保証はありません。
しかし、いかに苦しい状況であっても、明けぬ夜などない・バーに未来はあると私は信じています。
この記事では、バー業界の近況から見た、バーが現在置かれている状況を見ていきます。
それをもとに、今後バーやバーテンダーはどうなっていくのかという将来を考えてみたいと思います。


ミナト
元バーテンダー。現在は兼業ブロガーとして活動中。夢は海外放浪の旅にでること、自分のお店をつくること。ブログを通してひとりでも多くの方のお役に立ちたいと思っています。当ブログのコンセプトは「24時間営業の人生の休憩所」。>> プロフィール詳細はこちら
本日の1本


- ジョニーウォーカー・ゴールドラベル|ブレンデッドスコッチウイスキー
【ひと言】:ハチミツのような甘さと金色の輝き。余韻も上品。グレート級の飲みやすさ



バー業界の未来は黄金のように明るいはず! 今日はゴールドラベルを飲もう
バー業界の全盛期:バブル景気といざなみ景気


まずは、これまでのバー業界の歩みについて見ていきます。
スナック・カラオケ、カフェバー、そして本格バー・ショットバーと、バー業界は、時代の潮流に乗ってそのスタイルを変化させてきました。
そんななか、バー業界が全盛期を迎えることとなったのは、以下の時期だったと思われます。
- 日本中が沸いたとされる「バブル景気」の時期
- それに次ぐ好景気、「いざなみ景気」と呼ばれる時期
私はバブル景気を知らない世代なので、人から聞いた話でしか、当時のことを知るすべがありません。



しかし1986年から1991年までつづいたバブル経済期は、日本中が沸いていたとのことです
いろんな方から聞いた話をまとめるに、おおむね以下のような感じだったといいます。
バブル景気の日本
- 飲み代から遊び代まで、とにかく会社の経費でなんでも落ちる
- 毎晩のように朝まで遊んで酒を飲み、寝ないで仕事に行くのはあたりまえ
- 好きなだけお金を使っても余るが、もしなくなったら借金してでも遊ぶ
- 近年の中国人さながらの爆買いを敢行し、海外の観光地を荒らす
- タクシーが止まってくれないので、万札をチップとしてちらつかせて止める
- ワンレン(ワンレングスの髪型)、ボディコン(ボディラインを強調した服)、ジュリ扇(羽つきの派手な扇子)
もちろん、バブル景気の影響をまったく受けずに、現在とほとんど生活は変わらなかったという人もいました。
が、いずれにせよ、バブル景気の時代は、現在からは想像もつかないような、ある種の「クレイジー」な時代であったと。
そしてバー業界も、この時代の恩恵を、おおいに受けることができたそうです。
レストランに行く前の待ち合わせや夕食後はもちろんのこと、つぎのように利用者は多く、
- 投資などのマネーゲームに興じる大人
- キャバクラ・クラブの女性を連れてくる男性客
- ディスコにかよう若者
- プールバー(ビリヤードができるバー)の大流行
当時からお店を経営している方のなかには、現在と比べてじつに10倍以上の売上があった、という人もいました。
また、バブル崩壊後の日本において、
2002年から2008年まで続き、かつては戦後最長の好景気となった第14循環、通称「いざなみ景気」
でも、バー業界は大きな盛り上がりを見せたといいます。





イザナミ景気ってのは、国生みという国土創生神話に登場した日本神話の女神「イザナミノミコト」が名前の由来だそうだ
このころも外食・お酒にお金を使う人は多かったそう。
- バーにもかかわらずオープン待ちをする人
- 金額はいとわないという人
- やはり深夜まで飲み続ける人
など、連日多くのお客でバーはにぎわいました。
この時期にお店を経営していた人に聞いた話では、比較的容易に店舗を拡大していくこともできたそうです。
ところが、全盛期から見て復活を迎えていたバー業界は、このあとに起こるできごとや時代の変化によって衰退が始まっていったのです。
バー業界の衰退:近年は時代の変化も


かつては戦後最大といわれたいざなみ景気は、突如として終焉を迎えることとなります。
それは、アメリカの大手証券会社「リーマン・ブラザーズ」が経営破綻し、世界的な金融危機を引き起こした「リーマンショック」に端を発したものでした。



このころから、バーの繁栄には、ふたたびかげりが見えはじめたそうだ
そしてその後、さらなる追い打ちをかけるようにして起きた「東日本大震災」。
これによって、バー業界のみならず、飲食業界は大きく揺れることとなっていくのですが……。
ここでは、ある集計データを見てみましょう。


(「飲食店」の倒産、休廃業・解散動向調査 2018年度 をもとに作成)
こちらは、帝国データバンクによって調査された、2000年以降の飲食店の倒産・休廃業・解散件数をまとめたものです。
グラフは目安となっていますが、2008年のリーマンショックでは1113件、2011年の東日本大震災では、1134件もの飲食店が倒産・休廃業・解散に追いやられました。
同じく帝国データバンクの別の調査によれば、バーの倒産件数は、この年(2008年)が2020年までのあいだで過去最多となっています。



実際に私が勤めていたバーも、リーマンショックからガクッと客足が途絶えはじめたといいます
東日本大震災以降は、被害の甚大さ、酒の自粛ムードもあいまって、10年、15年とつづいてきたバーが次々と閉店。
店舗を拡大していたバーも、規模の縮小を余儀なくされるなど、このあたりから、浮いた話を聞くことはほとんどなくなっていきました。
また、このデータのポイントは、飲食店の倒産・休廃業・解散の件数は、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災があった年を抑えて、2018年が最も多いところにもあります。
2018年は、「かつて戦後最長といわれたいざなみ景気を超える好景気がおとずれている」といわれていたのに、です。
2018年の倒産・休廃業・解散の件数は1140件で、そのうち、最も多かった業態が「酒場・ビヤホール」で18.1%。ちなみに、「バー・キャバレー」は6.7%と、酒を主とした業態は、全体の24.8%、約4分の1を占めていました。
この、言っていることと起きていることが矛盾したようなデータの理由は、いったいなんなのか。
これに関しては私は、やはり時代の変化なのではないかと思っています。
酒離れや、将来の貯蓄、漠然とした不安……。



あとは、健康志向とか、酒場やバーに行くお金がないとかだな
人それぞれの理由があるとは思いますが、そういったものをすべてひっくるめてひと言でいうと、
ほんとうに必要なものにしかお金を使わない、もしくは使えない
という人が増えてきているからだと思います。
お金がある、景気はいい、などといっても、それはしょせん一部だけの話。
結局は全体にまで行き届くような話ではなかった、ということなのかもしれません。
バーとバーテンダーの今後はどうなる?


バブルの崩壊、景気の悪化、自然災害、時代の移り変わり……。
バー業界が全盛期からは衰退してきているのは、ほぼまちがいないことだと思います。
さらには、2020年ごろから始まった「新型コロナウイルス」の流行によって、バー業界はさらなる打撃を受けました。



繰り返し発令される緊急事態宣言等と、それにともなう営業時間の短縮要請……
バーではこれから開ける時間に閉めなければならないということが起きました。
お客さんも外出自粛要請によって、行きたくてもバーには行けないという、真に危機的な状況がおとずれました。
今後もきっと、問題はかたちを変えて起きていくでしょう。
では、まるで先が不透明なこれからの時代、バー業界は、いったいどうなっていくのでしょうか?



これに関しては、希望的観測ではなく、私は「バーもバーテンダーという仕事も残りつづけるだろう」と思っています
ここまで暗い話ばかりを取り上げてきました。
しかしバーの危機なんてものは、それこそいまに始まった話ではありません。
戦後の日本では、そもそもバーの営業が禁止されている時期もありました。
そんななかでも、シャッターをおろしてひっそりとバーは営業していたといいます。



アメリカでも、「禁酒法」といって、酒の販売が禁止されていた時代があったんだ
しかし発令されていた当時は、やはり無許可で営業していたバーはたくさんあったそうです。
ウイスキーの本場スコットランドでも、なんと、100年にわたる密造酒時代なんてものもかつてはあったのです。


しかし、いずれの問題も、終息の時を迎えてきました。
いつだってバー業界は、長い夜を耐えしのび、まぶしい朝日をその身に浴びてきたのです。
そして、バー業界がこの世から消え去ることはないというのは、もう1つ、そういいきれるだけの理由があります。
バーテンダーという言葉の意味と、旅人の世話をする人


この話をするには、バーの語源や、バーというものは何かを説明する必要があります。
本題から逸れないよう、手短に、「バーとバーテンダーとはなんぞや?」という話をしましょう。
かねてから存在していた「酒場」がバーと呼ばれるようになったのは、1800年代の「アメリカ西部開拓時代」にあったとされています。
アメリカでは当時、領土拡大のため、人びとは西部の未開拓地域(フロンティア、新天地)を目指し、馬に乗って移動をしていました。
フロンティアとは、先住民のインディアン掃討の最前線(侵略)を意味するものでもあります。



西部劇(ウェスタン)のように、カウボーイが活躍するだけの、ただ格好いい時代ではじつはなかったんだ
しかしいずれにせよ、彼らは拳銃などを持って武装し、次々とフロンティアを開拓していったのです。
そんななか、旅の疲れをいやすため、そして喉の渇きをいやすため、人びとは旅の途中、よく酒場に立ち寄っていました。
酒場とは、のちにバーと呼ばれるようになるもの。そこでは酒場の責任者は、旅人の疲れをいたわってくれました。
そしてそういった背景から、
酒場でお客の世話をする人を意味する、「バー(bar:酒場)テンダー(tender:世話をする人)」という言葉が生まれた
とされているのですが、私はバーテンダーという言葉を意訳すると、「旅人の世話をする人」と訳せるのではないかと思っています。
西部開拓時代から続くバーの本質的な部分は、酒場に来た人と酒場の責任者というよりも、旅人と旅人の世話をする人です。
そしてその関係は、いまもなんら変わりはないと思うからです。
1800年代では、西を目指した旅人がいました。
現代では、明確な目的地が見えないことがありながらも、私たちは人生という長い旅をしています。
旅をする人がいるのであれば、世話をする人も当然、必要になってきますよね。
そこで、おせっかい焼きな人たちは、みずから旅人の世話を買ってでるのです。
バーという休憩所を開き、旅の疲れをいたわるバーテンダーとして。
人生という旅を続ける人がいるかぎり、



そして、旅人の世話をしたいと思う人がいるかぎり、です
バーとバーテンダーが消えることはないでしょう。
とりわけ、旅人をいたわるスピリットを持っている人が、世の中に1人でもいればです。
これから先、どんなに時代が変わろうとも、旅の休憩所がなくなることはないと私は信じています。
よって、バー文化は今後も残りつづけると思いますし、バー業界の未来も明るいと思います。
SNSなどを利用し、休息の場をリアルでは必要としない人も増えてきています。
でも、そこに本当の休息がないことに気づいた人たちは、どんどんリアルに戻ってきています。



とくに最近は、若い人のほうがその傾向にあるようだな
SNSなどに疲れた人たちが、人との本当のつながりや温もりを求めてバーに回帰することは、今後も増えていくような気がします。
今回のまとめ
- バー業界、飲食業界は時代とともに衰退してきた
- しかし人が人生という旅をつづけるかぎり、バー文化は残ると思う
- バー業界はきっと明るいはず。利用者の回帰も今後あると思う
バー業界は、とくに近年は、苦難の道のりを歩んできたと思います。
しかし私たちが人生という旅をつづけ、休憩したいと思うときがあるかぎり、バー文化は残ると私は信じています。
SNSの時代ですが、人の温もりを求めて、ローカルなバーへの回帰も今後は増えると思います。



あと、ものすごく単純な話、やりたいと思う人が1人でもいれば、バーは残ると思うんですよね
バーの文化を残したいと思う人が1人でもいれば、この文化は残りつづけると思うわけです。
AIによるロボットバーテンダーもいずれは登場するかもしれません。



しかし、そういうものが作られていたり、作られようとしていたりすること自体が、だな
人は酒場という人生の休憩所を求めていることになるのではないかと思うのです。
私もこのすばらしい文化を今後残していけるよう、努力していきたいと思っています。
現在はバーテンダーとしての活動は休止中ですが、いずれは旅人の世話を直接その場でできるように、まい進していきます。


コメント(確認後に反映/少々お時間をいただきます)