精神疾患が発症したのは12~13歳、ちょうど中学1年生のころでした。それはなんの前触れもなく、突然襲い掛かってきたのです。
当カテゴリー「発症と克服の経緯」では、私が精神的な病を患い、そしてそれらを克服するまでの経緯がメインで、私の半生のようなものでもあります。
また、なぜ精神を病んでしまったのかといった原因となる出来事や、病を発症する要因となったようなことはできるだけ詳しく書いていきたいとも思っています。この話が、どなたかのご参考になれば幸いです。
なんの前触れもなく……いや、いま思い返してみると、やはりいろいろと前触れはあったのかもしれません。
精神疾患が発症するまで
私は生まれは関東ですが、父の仕事の都合で家族ごと引っ越し、年間を通して1日中晴れの日が、全国的に見てもかなり少ない地域で育ちました。
朝は晴れていても夕方から雨になったり、天気予報で「晴れ」と出ていても突然雨が降ってきたりと、とにかく雨や曇りでどんよりとした日がやたらと多く、日の光を浴びる時間が少ないところでした。
家族構成は、父、母、兄、私、弟の5人家族。それに加えて、さまざまな小動物も飼っていたのですが、これに関しては、子どもが感受性豊かに育ってほしいとの思いが母にあったからだそうです。
せっかくなので歴代の小動物たちもご紹介します。
そのほかにも金魚などのお魚なんかも飼っていたりしたのですが、あげだすと切りがないので割愛します。
小学生までの暮らし
母は教育熱心で厳しいというのもありましたが、過保護だったと思います。
門限は厳しく外泊なんてもってのほかで、もう少し自由にやらせてほしいという思いはあったのですがいっさい認められず。遊びたいのに遊べないというフラストレーションは小学生のころはそれほどでもなかったものの、年を取るにつれて強くなっていきました。父は基本的に放任主義です。
また健康面では、体は大きく活発、誰とでも仲良くといった性格で、このころは体調を崩すこともほとんどなく、病とは無縁のような人間でした。
ただ、ひとつあるとすれば、集団登校中に突然唾を飲み込む音が気になるようになってしまい、唾を飲み込めなくなり、学校まで吐くのを我慢するなんてことが起きていたことを記憶しています。
思えばやはり、このころから予兆はあったのだと思います。
対人恐怖症の一種に「唾恐怖症」というものがあります。人前で唾を飲み込む音が気になってしまい、気にしはじめると、どんどん唾液が出てきてしまうというものです。
中学生のころの暮らし
小学校から中学校へ上がるときというのは、友達はたくさんできるかな、どんな中学生活になるのかな、と期待に胸を膨らませると思うのですが、それと同時に不安も感じるものですよね。
たとえば恐ろしい上級生に目をつけられたら嫌だなとか、新入生いびりにあってしまったらどうしようかとか。私の場合、期待よりも不安のほうが大きかったことを覚えています。
ただ、当時私がいたエリアは治安が良かったということもあり、恐ろしい先輩に絡まれるなんてことはほとんどなかったので、この不安に関してはすぐに払拭されることとなります。が、問題はその先にありました。
男性はこのころにいわゆる「思春期」というものが訪れます。体の成長とともに精神状態が不安定になりやすい時期でもあるため、この時期に赤面症になってしまう人は多いともいわれています。
そして、私もなってしまったのです。
少し話が脱線しますが、私が住んでいたところは男の子が女の子に話しかけるのがタブー視されているかのごとく、女の子と話していると誰かしら男が文句というか、やたらとなにか言ってくるところでした。
「お前なに女子と話してんだよ!?」
「女たらしか!?」
とか、そういった具合に。
そこで私は思うわけですよ。お前ら中学生か……!? と。まぁ登場人物は全員中学生なので、そのとおりなんですけど……。
そんなこんなで、周りには女の子と話しているとちょっかいを出してくる奴がたくさんいたのですが、女の子と話すたびにからかわれたりしていると、こっちも女の子と話すことが恥ずかしいことのように思えてくるわけで、その結果、ある日突然赤面したのです。
状況の流れとしてはこう。
人間、事前知識がないことに直面すると、なにが起きているんだ!? と軽いパニック状態になったりもしますが、パニックが起きることの原因を突き詰めていくと、それはえたいの知れないものに対する不安や恐怖であったりもします。
このときの私にはそんなことは知る由もありませんでしたが、初めて赤面したという経験は自分自身でも気づかない「恐怖心」として私の心に根付いてしまっていたのだと思います。
その後の私は、①「女の子と話す」→②「からかわれる」という一連の流れが起きるたびに赤面してしまうようになり、それは次第に①「女の子と話す」だけでも赤面するようになっていったのです。
赤面症の発症とその症状
ちょうど年齢的にも女性を意識し始める時期だったこともあったとは思いますが、一度女性と話していたことがきっかけで赤面してしまったという経験は、無意識のうちに「再び顔が赤くなってしまったらどうしよう」という不安、つまり恐怖心として私の心の奥底に住み着いてしまいました。
それからというもの、症状は悪化の一途をたどり、私はなにかあるたびに赤面するようになってしまいます。
女性と関わることに関しては言わずもがなで、たとえば人前で話したりだとか、びっくりしたとき、食事中の沈黙や、一度も会ったことがない知らない人と話すときでさえも、症状は出るようになってしまいました。
また、緊張や不安がきっかけで一度赤面症の症状が出たことに関しては、それ以降も同じような状況に身が置かれるたびに症状が出るようになり、症状が出ていなかったことに関しても、「もしかしたら」と無意識に考えてしまうことで、赤面症の症状が出るようになってしまったのです。
そして、顔が赤くなっているのを周りに見られたくない、落ち着け、赤面するなと思えば思うほど、症状は悪化していきました。
当時は相談できる相手も、自分になにが起きているのかもまったく見当がつかなかったため、どうすればいいのかわからず、一人で悩むことしかできません。
赤面症は思春期の終わりとともに姿を消す、なんて話もありますが、中学校を卒業し、希望していた高校へ無事入学を果たすも、依然として症状は落ち着くことはありませんでした。
こうして、10年以上にわたる対人恐怖症(赤面症)との、果てしなく長い付き合いは始まったのです。
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