【デマ注意】連鎖を食い止めろ!新型コロナ日本版チェーンメールの罠

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あの七面倒臭いチェーンメールという文化は、どうやらいつの時代になっても変わらずに存在するようだ……。

2020年4月、全世界で流行している新型コロナウイルスの猛威は止まることを知らず、増え続ける感染の拡大を何とかして食い止めるため、日本ではついに史上初となる非常事態宣言が発令されることとなりました。

特に、増え続ける感染者を受け入れる医療の現場では何もかもが不足し、医療体制がひっ迫する状況へと追い込まれていたのですが、そこでまさかの、ギリギリの状態だというのに、医療関係者の足を引っ張るような事態が発生してしまったのです!

そしてその正体こそが、私が昔からあまり好きではない、「チェーンメール」だったのです……。

目次

新型コロナウイルスのチェーンメール

私が初めてチェーンメールなるものを目にしたのは、確か中高生くらいの時だったと思うのですが、どうも初めからあのチェーンメールというものは苦手で、このメールを見た人は幸せになれる云々という内容のものはまだしも、最もナンセンスなのがいわゆる「不幸の手紙」というもの。

このメールを見た人は(場合によっては身内も)不幸になる。それを回避するためには10人以上に同じメールを送らなければならない……。

貞子かな?と言いたくもなるのですが、こういったメールはいつも、見た自分も嫌な気分になりますし、そんなものを誰かに送るのも嫌ですし、送られた方も嫌な気分になるという、本当に誰も得をしない、実に救いようがない内容なのです。

見た瞬間に誰もが苦虫を噛み潰したような顔になり、どう転んでも酷い胸やけのような後味が残る……。なので、とにかく私はこの手のチェーンメールは好きではないのですが、なんと、また届いてしまいました。

しかも今回は、注意喚起を装ったコロナウイルスverで……。

問題のチェーンメール本文

そもそもチェーンメール自体を見たのも、本当に何年ぶりかわからないほど久々だったような気がするのですが、まだ見ていないという方も少なくはないとは思うので、一応簡素化しつつ書き起こしておきます。

ちなみに、このチェーンメールにはいくつかバリュエーションがあるようなのですが、私の元に来たのは二部構成となっていました。

【情報共有】

新型コロナウイルスは感染しても何日も症状が出ないことがあるため、咳と熱の症状が出て病院に行った時は、肺の50%が繊維化している。つまり、症状が出てから受診をすると手遅れになるケースが多い。

そこで、台湾の専門家は自身で症状をチェックできる簡単な診療を示しており、深く息を吸って10秒我慢し、その間に咳や息切れ等の不便がなければ、肺は繊維症状になっていない、つまり感染していないということになる。

また、日本の医師は15分に一度水を飲むことを推奨しており、これによって口に入ったウイルスが胃へと流し込まれ、胃酸によって死滅する。

【日赤医療センタードクターから】

現在、東京の日赤総合病院で働いているが、この数日で患者が急増し、当病院のコロナ病床は満床になった。重症者もいて、現場では既に医療崩壊のシナリオも想定されている。

現実は非常に厳しく、近い将来、本来助けられる命が助けられなくなる事態になると感じている。このまま感染が拡大すれば、助ける命を選択する医療に切り替えなければならなくなる。

だから外出を控え、人と会話をしないでほしい。感染を食い止める方法はこれしかない。このメッセージをできる限り多くの人に送ってほしい。もう時間がない。

何やらそれらしいことが述べられていますが、どうも引っ掛かるところが多く、胡散臭さがプンプン漂ってきます。それでは、ここからはこの忌々しきチェーンメールの検証をしていこう。

チェーンメールの問題点と矛盾点

このチェーンメールは、前半の情報共有部分と後半の医療関係者の呼びかけという二部で構成されていますが、これはもう先に言ってしまうと、前半も後半もおかしい。

特に、太字にした部分に問題があり、この問題点を突き詰めていくと、このチェーンメールが何なのかが判明していくのではないかと思います。

それでは、まずは前半部分から見ていこう。

1. 前半の情報共有

前半部分の問題点は主に3点あり、

  1. 肺の50%が繊維化して手遅れ
  2. 息を吸って10秒間止めれば感染がわかる
  3. 15分に一度水を飲めば胃酸で殺菌できる

という部分に違和感を感じるのですが、実はこれらの話は2020年3月、つまり日本で拡散が始まった1か月前には海外のSNS等で既に広まっていたものらしく、ニュースメディアである「CNN」はこの件について専門家の意見を紹介しています。

以下、米ベイラー医科大学の専門家、ロバート・レグリー・アトマー博士の意見と共に、これらの問題点を見ていきたい。

肺の50%が繊維化して手遅れ

熱や咳で病院へ行く頃には肺の50%が繊維化していて既に手遅れ。

この「肺の繊維化」というフレーズは普段から聞き慣れないものであり、何かとんでもなく恐ろしいことが起きるのではないかと思わせるのですが、そもそもこの肺の繊維化というのは何なのか。

簡単に説明すると、肺の末端には吸った空気が運ばれる「肺胞」という小さな袋があるのですが、その周りに「間質」という毛細血管が流れる壁のようなものがあり、この壁が厚く硬くなってしまい、血液中に酸素が取り込まれにくくなる状態が「肺の繊維化」と言うようです。

そこで、症状が出てからでは手遅れになってしまうのかというと、アトマー博士は「完全な間違いであり、極めて人騒がせな情報だ」と指摘。

新型コロナウイルスで肺の繊維化が見られる例はほんの一部で、患者の8割はそこまで重くはない症状で済むと強調しています。

息を吸って10秒間止めれば感染がわかる

深呼吸をして息を10秒間以上止めても咳などが出なければ、肺は繊維化を起こしていない、つまり感染していないということになる。

博士はこれも同じく「間違い」と言い切りました。

急性のウイルス感染症にかかった時は気道が炎症を起こし、深呼吸で咳が出てしまうことも多いと言い、これは、線維化とは無関係。また、10秒間息を止められたからといって、新型コロナウイルスに感染していないということにもならないのだそうです。

15分に一度水を飲めば胃酸で殺菌できる

水を飲むことでウイルスが胃に流し込まれ、胃酸で消滅するというのは、専門家によっても意見が分かれるようではあるのですが、やはりこれも同じく、博士は呼吸器ウイルスにこの予防法が効くことを示す証拠はないとし、「たとえ効果があったとしても、鼻からの侵入は防げない」と指摘しました。

唾液には抗ウイルス・抗菌作用があるため、唾液を切らさないことが予防にも繋がる可能性もあるのかもしれませんが、現時点では唾液に含まれる免疫物質が新型コロナウイルスに効くかどうかも不明。

よって、以上のことからこのチェーンメールの前半部分は全てガセネタと言うことができるでしょう。

(参考:新型コロナをめぐる誤情報が拡散、専門家は否定-CNN.co.jp

2. 後半の医療関係者の呼びかけ

後半部分はハッキリ言うと、連日のように報道される海外の医療現場、国内の医療現場を知っていれば誰でも想像で書けそうな乳臭い内容ではあるのですが、実はこのチェーンメール最大の問題がこの後半部分にあります。

それは、タイトルの「日赤医療センタードクターから」という部分と、それに続く「東京の日赤総合病院」という箇所です。

日赤医療センタードクターから

まず、日赤(日本赤十字社)医療センターという病院は、実際に東京の渋谷区広尾にあるのですが、このチェーンメールの騒動を受けて、当センターは「患者さんへのお知らせ」と題し、以下の文章をホームページで公開しました。

現在、当センター医師の名を騙り新型コロナウイルス感染症に関する情報がfacebook・Twitter・LINE等のSNSや「チェーンメール」で拡散されている旨のお問い合わせが多数寄せられており、本来業務に多大な支障をきたしております。
本件内容は当センターで発信したものではございません。
本件へのお問い合わせはご遠慮いただきますようお願い申し上げます。日本赤十字医療センター

要するに、医師の名を騙ったこのチェーンメールのせいで業務に支障をきたし、逆に「医療崩壊のシナリオ」を誘発させるような事態となっているのです。

病院に迷惑をかけるために作為的にそうしているのか、信憑性を出すために勝手に病院の名称を使用したのか、その理由については定かではないのですが、これは許されるようなことではないでしょう。

東京の日赤総合病院

また、東京には「日赤総合病院」という名称の病院は存在しません。

すぐ下の行で病院の名称が違うというのは、もはや責任逃れのためなのか、意図的に名称を変更しているようにしか私には思えない。

よって、以上のことから、この新型コロナウイルスに関するチェーンメールは全てが完全なデマであることが判明しました。本当にありがとうございました。

今回のまとめ

・新型コロナのチェーンメールはデマ
・病院に迷惑がかかる事態にも発展
・連鎖は自分が食い止めろ

新型コロナウイルスという全てが未知のウイルスの蔓延により、誰もが不安で先の見えない日々を過ごしていますが、親切心は時として毒に変わってしまうこともあります。

なので、新型コロナに限らず、情報というものはまずは疑った方がいい。これからも同様のデマはどんどん出てくるでしょう。

そして、この手の迷惑極まりないチェーンメールは受け取った側が誰かに回さなければそれ以上拡散されることはありません。負の連鎖を食い止めるのは自分自身。ガセネタを掴まされたのであれば、そこで握り潰してしまおう。

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