【ラブラドゥードル問題】犬種にまつわる噂の真相を確かめにひめはるの里へ

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大自然に囲まれた花と犬の庭園、レイクウッズガーデン「ひめはるの里」まで、気になることがあったので行ってきました。

以前、知り合いから「ラブラドゥードル」という犬種の犬を飼いたいと相談を受けていた私は、このラブラドゥードルについてしらべていたことがあったのですが、そんなとき、海外のニュースを見ていると、なにやら目をうたがうような記事を発見。

「私は怪物を解き放ってしまった──

そこに書かれていたのは、ラブラドゥードルが持つ遺伝的(先天的)な問題・異常についてだったのですが、なんともタイムリーなことに、千葉県の茂原という場所に、その犬たちがいるという情報をキャッチ。

これは、真実をこの目でたしかめに行くしかない……。

これからラブラドゥードルを飼うことを検討している方にとっては、とくに必要な情報になるかもしれませんし、なによりも、気になることがあるのであれば、その答えを知りたくもなるというもの。

今回は、うわさの真相をたしかめるべく、千葉県にある「ひめはるの里(2020年末で閉店・閉園)」まで行ってきたさいに見聞きし、核心にせまることができたように思われた「ラブラドゥードル問題」についてお話しします。

目次

ラブラドゥードルが持つとされる問題と異常

私はパンドラの箱を開け、フランケンシュタインの怪物を解き放ってしまった──

ラブラドゥードルについてしらべているなかで、ふと海外のニュースをながめていると、なにやら物騒な内容の記事が目にとまりました。

その話の内容を要約すると、1989年、重度の動物アレルギーを持つ目の見えない方のため、抜け毛がすくないスタンダード・プードルと、盲導犬としてすぐれた資質を持つラブラドール・レトリバーを交配させた、「ラブラドゥードル」という犬種が誕生。

しかし、その生みの親である、当時オーストラリアの盲導犬団体に勤務していたウォーリー・コンロン氏(90歳)は、なんとラブラドゥードルを生み出したことを、30年間ずっと後悔しているというのです。

というのも、コンロン氏いわく、本格的な交配に乗り出した当初はアレルギーテストの合格率は低く、子犬の毛質、性格、能力は不均一で盲導犬に適しているとはいえず、あとになってみると、遺伝的な問題(たとえば股関節の異常、眼病、てんかん、精神疾患など)もすくなくはなかったと。

さらには、ラブラドゥードルの爆発的な人気から、流行に乗って金をもうけることにしか興味がない、モラルに欠けるブリーダーまでもが続出するなど、氏が望んでいない事態となってしまったそうなのです。

(参考:ラブラドールとプードルを交配した「ラブラドゥードル」生みの親が後悔-livedoor NEWS「怪物解き放った」、ラブラドゥードルの生みの親が後悔表明-CNN.co.jp

30年もまえの話ですから、現在とは環境はちがうはずですし、なにをいおうが本人の勝手でもあるとは思いますが、ラブラドゥードルの飼い主さんからすれば聞き捨てならない話でしょうし、これから飼いたいと思う方からすれば、不安になってしまう話でもあるでしょう。

しかし、私が受けた例の知り合いからの相談は急なものではなかったので、それからとくに動くことはせず、しばらくすると、私はその記事を見たことも忘れかけていたのですが、約1か月後のある日、井戸端会議で私は、ラブラドゥードルが千葉県の山奥にいるという情報を入手。

その話の流れがあまりにも偶然であり、さらにタイムリーだったため、私はなにか、この目で真実を見届けなければならないような気がしてきたのです。

加えて、ラブラドゥードルを飼いたいという知り合いが、ちょうどそのタイミングで説明会に参加するといいはじめたので、これはもう行くしかない、と私たちはそれぞれの目的を持ち、ラブラドゥードルがいるという施設、千葉県の「ひめはるの里」へと向かったのです。

千葉県、ひめはるの里へ(閉園)

電車に揺られること数時間、私は「ひめはるの里(2020年末で閉園)」があった千葉県の茂原駅に到着。

この日は週末だったのですが、どうやら土日はひめはるの里まで行くバスがないらしく、移動はタクシーしかないとのことだったので、駅からはタクシーで移動します。

運転手
運転手

犬を見に来たんですか? そういえばこのあいだも中国地方から……

なんとラブラドゥードルを見に中国地方から来る方もいるそうでした。なお、前述のとおりで、すでに「ひめはるの里」は閉園となってしまっていますが、ここからは、当時見てきたものを記録としてのこしておくことにします。

ひめはるの里の入り口

タクシーに乗ること十数分、レイクウッズガーデン・ひめはるの里に無事到着。タクシー代は駅から1600円ほどでした。

ひめはるの里の券売所

入り口のすぐ左手に券売所があるので、ここで入場券を購入。

ひめはるの里の券売機

入場料は大人600円、子供300円、愛犬300円。ラブラドゥードルは入場料無料で入れるようになっていました。

ひめはるの里の中心エリア

入り口を抜けると、開放的な芝生の広場が。

ひめはるの里はおもに9つのエリアに分かれていて、薔薇や季節の花々を観賞したり、愛犬とゆったりと過ごしたり、園内で飼育されているラブラドゥードルを見たりすることができた施設。

山奥というほど山奥ではないですが、自然にかこまれた園内は、空気がきれいでとても新鮮。

ひめはるの里のセンターハウス(休憩所)

芝生が広がる広場のエリアには休憩所(売店)もあり、お土産や軽食の販売もおこなわれていました。

ひめはるの里のお散歩体験サービス

土日祝日は園内にいるラブラドゥードルのお散歩を体験することもでき、こちらの料金は30分1500円。

ひめはるの里の温室ハウス

また、園内にはこのような温室ハウスやビニールハウスがいくつかあり、中ではさまざまな植物の観賞をすることも。

八幡湖

広場のエリアには八幡湖という大きな池があったり、

薔薇のローリスガーデン

池の隣には古花・名花を中心に、薔薇の種類と歴史を楽しむことができる、ローリスガーデンという庭園も。

ひめゆりの里中央エリア、レインボーガーデン

つづいてこちらは、園内中央にある四季の花々が楽しめるエリア、レインボーガーデン。このさきにラブラドゥードルたちがいるとのことだったので、私はさらに歩を進めます。

ラブラドゥードル触れ合い広場

すると、ワンちゃん注意の看板を発見!

奥のスペースがラブラドゥードルのふれあい広場となっていたのですが、ほかの犬が近づくと吠えることがあるらしく、犬を近づけないでくださいとのこと。

ラブラドゥードルの展示販売所

そして、この近くに子犬の展示販売場があり、ここで私たちは、ラブラドゥードルを家族として迎え入れるための説明を聞いてきたわけです。

ふれあい広場でじっさいにラブラドゥードルも見てきましたが、それについてお話しするまえに、すこしラブラドゥードルを取り巻く事情や、ここで聞いた説明事項についてお話ししておくことにしましょう。

ラブラドゥードルを取り巻く環境と「FCH」システム

もともとはラブラドール・レトリバーと、スタンダード・プードルとを交配させて生まれたラブラドゥードル。

さきほどもお話しした問題などから、オーストラリアの盲導犬団体が途中で交配をあきらめるも、じつはその後も有志によってアレルギー・フレンドリーなどの特性を重視した改良が重ねられ、新たに4犬種の血統を取り入れた結果、「オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)」という犬種が誕生。

1998年には、オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(LAJ)が設立され、2004年には、「AL」が単なるラブラドールとプードルのクロス(ミックス・雑種)ではなく、独自の品種であることが同協会によって公式に発表されました。

ようするに、厳密にいうと、ラブラドゥードルとAL(オーストラリアン・ラブラドゥードル)は異なる犬種となっているのです。

また、日本におけるラブラドゥードルを取り巻く環境としては、オーストラリア協会の協力のもと、日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALAJ)が設立され、ALAJは日本での「AL」の保護育成や純血種としての認知を推進する活動をしているとともに、日本で唯一「AL」の犬籍登録と血統書の発行をおこなっています。

そして日本の協会(ALAJ)に、唯一法人格として登録しているのがここ、レイクウッズガーデン(ひめはるの里)を運営していた、「ニチイグリーンファーム」という会社なのです。

ようするに、ひめはるの里で販売されていた子犬や、ふれあいコーナーにいたラブラドゥードルは、すべてオーストラリアン・ラブラドゥードルという、ラブラドゥードルとは似て非なる純血種で、基本的に血統書付きの「AL」が販売されているのも、ニチイが運営する施設くらいになるということ。

そのため、県外からもいろんな方が来たり、血統が守られていることによる数のすくなさから、子犬もすぐに売り切れてしまうそうなのです。ちなみに、私が行ったこのときも子犬はいませんでした。

したがって、これらの「AL」を取り巻く事情をふまえると、ラブラドゥードルの生みの親であるコンロン氏のインタビュー記事が、一部誤解をまねくような内容であることもいなめないとも私は感じました。

FCH(ファミリーケアホーム)システムについて

また、今回の訪問で聞いた説明に、オーストラリアン・ラブラドゥードルをペットとして購入するのではなく(ちなみに、ペットして購入する場合の値段・価格は約35万~50万円)、ニチイの活動に協力して家族として迎え入れる、「FCHシステム」というものがありました。

このシステムに関しては、くわしい部分はSNSなどで公開しないでほしいといわれていたので、当時はふせておいたのですが、おそらく「ひめはるの里」の閉園後に開設された「AL」の販売・紹介などをおこなっている公式サイトで、このシステムについてもくわしく書かれていたので、問題がないと思われる範囲でそれもお話ししておきます。

この「FCH(ファミリーケアホーム)システム」とは、オーストラリアン・ラブラドゥードルのブリーディングに一定期間協力し、契約満了後に、そのまま「AL」を引き取ることができるというもの。

おもに以下のような条件を満たすことで、「AL」を実質的には生体価格無料(デポジットを全額返還)でお迎えすることができます。

  • 自宅が活動場所のブリーディング施設から半径130km以内にあること
  • 契約から原則6年間はALのブリーディングに協力し、交配・出産時はALをニチイに預けること
  • ALがオスの場合、交配時には、急な呼び出しになることも了承できること
  • 生後12か月はニチイが指定するドッグフードをあたえること
  • 被毛カットの制限にしたがうこと
  • 定期的におこなわれる講習会にALといっしょに参加すること

くわしくは公式サイトの「FCHシステム」のページをごらんいただければと思いますが、ニチイがおこなっている「AL」を守る活動に参加したい方は、これを利用してみるのもいいかもしれません。

なお、「AL」をペットとして購入する場合も、FCHシステムに協力して受け取る場合も、施設でのマッチング(対面)が必要となっていて、ひめはるの里の閉園以降は、千葉県流山市の「レイクウッズ・ラブラドゥードルズ」という場所でマッチングがおこなわれているそうです。

オーストラリアン・ラブラドゥードルふれあい広場

ラブラドゥードル触れ合い広場注意書き

ラブラドゥードル問題のなぞがだいぶ解けてきたところで、最後に、ふれあい広場で見てきたオーストラリアン・ラブラドゥードルたちをご紹介しましょう。

ラブラドゥードルふれあい広場

ALのサイズは、ミニチュア、ミディアム、スタンダードの3種類!

ラブラドゥードル触れ合い広場の中

体の大きさや毛並み、毛の色もさまざまです。

ラブラドゥードルの顔

こちらはALのご尊顔。やさしいまなざしをしています。

横になるラブラドゥードル

こちらは寝るAL。

寝ているラブラドゥードル

モップのような毛。

座るラブラドゥードル

毛はすごいですが、たしかにアレルギー・フレンドリーといわれるだけあって、抜け毛やにおいはすくないように思われます。

大きいラブラドゥードル

「AL」たちを見ていると、大きなスタンダードサイズは寝ていたりとおとなしく、小さなミニチュアサイズは活発に動きまわっているという印象でした。

そして「AL」たちとのふれあいをおえたところで、今回の調査は終了! 以下、今回見てきたものをふまえたうえでの結論とまとめです。

結論&今回のまとめ

・ラブラドゥードル問題の真相は雑種の話
・純血種はオーストラリアン・ラブラドゥードル
・お迎え時は悪質なブリーダーに注意しなければならない

現在日本におけるラブラドゥードルというと、いわゆる雑種としてのラブラドゥードルではなく、オーストラリア協会が品種として認定したオーストラリアン・ラブラドゥードルのことを指すほうが多いと思われ、それを前提として考えると、すくなくとも日本にかぎっていえば、生みの親であるコンロン氏が後悔しているほど、ラブラドゥードルを取り巻く環境はわるいものではないような気もします。

有志によって改良が重ねられた結果、アレルギー・フレンドリーの特性や、コンロン氏の当初の目的である人助け、つまり介助犬としての能力も徐々に発揮されるようになっているとも聞きますし、氏が後悔しているという最たる理由と思われる「悪質なブリーダーによる交配」というのも、ALの場合は協会のきびしい管理のもとでおこなわなければならないとされているので、そこまで問題があるとも思えません。

また現時点ではALは、すぐれた能力をそなえた純血種の統括団体である「国際畜犬連盟」や、日本の畜犬団体である「ジャパンケネルクラブ(JKC)」の公認犬種ではないため、協会は犬種の固定化、登録を目指しているともいいます。

そういったことからも、この問題は純血種ではなく雑種の話であって、かつ以前の話だと結論づけられるのではないかと思うのですが、それもやはりいまでこその話なので、その過程で氏が後悔せざるをえない事情も多々あったのだと思いますし、世界的に見れば、おそらく現在も、悪質なブリーダーが存在するというのもたしかなことかもしれません。

加えて、今回ラブラドゥードル(雑種)を見に来た私は、オーストラリアン・ラブラドゥードル(純血種)を見ていたわけですから、完全に真相をたしかめることはできなかったようにも思われますが、いずれにせよ、今回見てきたものやALの背景から考えるに、ラブラドゥードルを取り巻く環境はいい方向に向かっているのではないかと私は思うのです。

氏は後悔しかないといいますし、氏がもともとやろうとしていた「人を助けるため」という目的は、それが最優先されているわけではないのかもしれませんが、有志が継いだことによって「AL」が生まれ、補助犬や介助犬、盲導犬としての未来にも向かっているともいいます。

生みの親は、もしかすると、すべての情報をシャットアウトしてしまっていたのかもしれません。しかし、過去よりもいまの可能性を見てあげることのほうが、やはり重要なのではないでしょうか? じっさいにオーストラリアン・ラブラドゥードルを見ていた私は、今回そのように思ったしだいです。

なお、ふれあい広場の方もいっていましたし、散歩している人からも聞いたことがあるのですが、ここまで(人に慣れるように)しつけをするのはかなり大変だそうで、お迎えを考えている方にとっては、これこそがいちばんの「問題」かもしれません。

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