大自然に囲まれた花と犬の庭園、レイクウッズガーデン「ひめはるの里」まで、気になることがあったので行ってきました。
某日、海外のニュースを見ていると何やら目を疑うような記事を私は発見。
「私は怪物を解き放ってしまった──」
そこに書かれていたのはある犬種についてのことだったのですが、なんともタイムリーなことに千葉県の茂原という場所にその犬たちがいるという情報を私はキャッチ。
これは真実をこの目で確かめに行くしかない……。
ということで遠路遥々、千葉県にある「ひめはるの里」まで行ってきました。
パンドラの箱
私はパンドラの箱を開け、フランケンシュタインの怪物を解き放ってしまった──。
私は普段からニュースはよく見るのですが、ふと海外ニュースを眺めていると、何やら物騒な内容の記事が目に留まりました。
その話の内容を要約すると、重度の動物アレルギーを持つ目の見えない方のため、抜け毛が少ないスタンダード・プードルと、盲導犬として優れた資質を持つラブラドール・レトリバーを交配させた「ラブラドゥードル」という犬種が誕生。
しかし、その生みの親である、当時オーストラリアの盲導犬団体に勤務していたウォーリー・コンロン氏(90歳)は、なんとラブラドゥードルを生み出したことを30年間ずっと後悔していると言うのです。
と言うのも、コンロン氏曰く、本格的な交配に乗り出した当初はアレルギーテストの合格率は低く、子犬の毛質、性格、能力は不均一で盲導犬に適しているとは言えず、後になってみると遺伝的な異常も少なくはなかったと言うのです。
さらにはラブラドゥードルの爆発的な人気から、流行に乗って金を儲けることにしか興味がない、モラルに欠けるブリーダーが続出するなど、氏が望んでいない事態になってしまったと。
(参考:ラブラドールとプードルを交配した「ラブラドゥードル」生みの親が後悔-livedoor NEWS/「怪物解き放った」、ラブラドゥードルの生みの親が後悔表明-CNN.co.jp
30年も前の話ですから現在とは環境は違うはずですし、何を言おうが本人の勝手だとは思うのですが、ラブラドゥードルの飼い主さんからすれば聞き捨てならない話だろうと思いながらも、その記事を見たことを忘れかけていた約1か月後。
井戸端会議で私は、ラブラドゥードルが千葉県の山奥にいるという情報を入手。
その話の流れがあまりにも偶然であり、さらにタイムリーだったため、私は何か、この目で真実を見届けなければならないような気がしてきたのです。
そうと決まれば話は早い。行くぞ、千葉県まで!
千葉県、ひめはるの里へ
電車に揺られること数時間、私は千葉県の茂原駅に到着。
この日は週末だったのですが、どうやら土日はひめはるの里まで行くバスがないらしく、移動はタクシーしかないとのことだったので、駅からはタクシーで移動します。

犬を見に来たんですか?そういえばこの間も中国地方から……
なんとラブラドゥードルを見に中国地方から来る方もいるそう。たかだか電車で数時間を遠路遥々などと言っていましたが、これはもう遠路どころの騒ぎではない距離だ。
そしてタクシーに乗ること十数分、レイクウッズガーデン・ひめはるの里に無事到着!タクシー代は駅から確か1,600円ほどでした。
入り口のすぐ左手に券売所があるので、ここで入場券を購入します。
入場料は大人600円、子供300円、愛犬300円。ラブラドゥードルは入場料無料で入ることができます。
そして入り口を抜けると開放的な芝生の広場が。
ひめはるの里は主に9つのエリアに分かれていて、薔薇や季節の花々を観賞したり、愛犬とゆったりと過ごしたり、園内で飼育されているラブラドゥードルを見たりすることができる施設。
山奥と言うほど山奥ではないですが、自然に囲まれた園内は空気が綺麗でとても新鮮。
芝生が広がる広場のエリアには休憩所(売店)もあり、お土産や軽食の販売を行っています。この時はちょうどお昼前くらいの時間でしたが、かなり人は少ないという印象。
土日祝日は園内にいるラブラドゥードルのお散歩を体験することもできます。料金は30分1,500円。
また、園内にはこのような温室ハウスやビニールハウスがいくつかあり、中では様々な植物の観賞もすることができます。
その他にも広場のエリアには八幡湖という大きな池があったり、
池の隣には古花・名花を中心に薔薇の種類と歴史を楽しむことができる、ローリスガーデンという庭園も。
そしてこちらは園内中央にある四季の花々が楽しめるエリア、レインボーガーデン。この先にラブラドゥードルたちがいるとのことだったので、私はさらに歩を進めます。
すると、ワンちゃん注意の看板を発見!
奥のスペースがラブラドゥードルのふれあい広場となっているのですが、他の犬が近付くと吠えることがあるらしく、犬を近付けないで下さいとのこと。
仕切られている部分をぐるっと回って行くと広場の入り口に辿り着けます。
ちなみにその途中に子犬の展示販売場があるのですが、ふれあい広場でのラブラドゥードルを見る前に、少しラブラドゥードルを取り巻く事情についてご紹介したい。
ラブラドゥードルを取り巻く環境
元々ラブラドール・レトリバーとスタンダード・プードルを交配させて生まれたラブラドゥードルですが、オーストラリアの盲導犬団体が途中で交配を諦めるも、その後も有志によってアレルギー・フレンドリーなどの特性を重視した改良が重ねられ、新たに4犬種の血統を取り入れた結果「オーストラリアン・ラブラドゥードル(AL)」という犬種が誕生。
1998年にはオーストラリアン・ラブラドゥードル協会(LAJ)が設立され、2004年にはALが単なるラブラドールとプードルのクロスではなく、独自の品種であることが同協会によって公式に発表されました。
なので、厳密に言うとラブラドゥードルとALは異なる犬種となっています。
また、日本におけるラブラドゥードルを取り巻く環境としては、オーストラリア協会の協力の元、日本オーストラリアン・ラブラドゥードル協会(ALAJ)が設立され、ALAJは日本でのALの保護育成や純血種としての認知を推進する活動をしていると共に、日本で唯一ALの犬籍登録と血統書の発行を行っています。
そして日本の協会(ALAJ)に唯一法人格として登録しているのがここ、レイクウッズガーデン(ひめはるの里)を運営しているニチイグリーンファームという会社なのです。
要するに、ひめはるの里で販売されている子犬や、ふれあいコーナーにいるラブラドゥードルは全てオーストラリアン・ラブラドゥードルという、ラブラドゥードルとは似て非なる品種で、基本的に血統書付きのALが販売されているのも、ひめはるの里くらいということになる訳です。
なので県外からも色んな方が来たり、数が少ないため子犬もすぐに売り切れてしまうらしいのです。ちなみに私が行ったこの時も子犬はいませんでした。
そこで、これらのALを取り巻く事情を踏まえると、ラブラドゥードルの生みの親であるコンロン氏のインタビューをまとめた記事が、誤解を招くような内容であることも否めないとも思えました。徐々に真実が垣間見えてきたような気がするぞ。
しかし結論を出すにはまだ早い。先にふれあい広場に行かなければ!
オーストラリアン・ラブラドゥードルふれあい広場
まずこちらはALふれあい広場の注意書き。なんと20分100円という破格の安さ!注意書きは必ず読んでおこう。
ふれあい広場を外から覗いてみるとなんだか凄いことになっています。ALのサイズはミニチュア、ミディアム、スタンダードの3種類!
体の大きさや毛並み、毛の色も様々だ!
こちらはALのご尊顔。優しき眼差しだ。
寝るAL。
モップのような毛。
とにかく毛が凄いのですが、確かにアレルギー・フレンドリーと言われるだけあって抜け毛や匂いは少ないです。
ALたちを見ていると、大きなスタンダードサイズは寝ていたりと大人しく、小さなミニチュアサイズは活発に動き回っているという印象でした。
そしてALたちとのふれあいを終えたところで今回の潜入は終了!以下、今回見てきたものを踏まえた上での結論です。
結論&今回のまとめ
現在日本におけるラブラドゥードルと言うと、いわゆる雑種としてのラブラドゥードルではなく、オーストラリア協会が品種として認定したオーストラリアン・ラブラドゥードルのことを指す方が多いと思うのですが、それを前提として考えると、少なくとも日本に限って言えば生みの親であるコンロン氏が後悔しているほど、ラブラドゥードルを取り巻く環境は悪いものではないような気もします。
有志によって改良が重ねられた結果、アレルギー・フレンドリーの特性やコンロン氏の当初の目的である人助け、つまり介助犬としての能力も徐々に発揮されるようになっているようですし、氏が後悔しているという最たる理由と思われる「悪質なブリーダーによる交配」というのも、ALの場合は協会の厳しい管理の元で行わなければならないとされているようなので、そこまで問題があるとも思えません。
また現時点ではALは、優れた能力を備えた純血種の統括団体である「国際畜犬連盟」や、日本の畜犬団体である「ジャパンケネルクラブ(JKC)」の公認犬種ではないため、協会は犬種の固定化、登録を目指しているとも言います。
しかし、それもやはり今でこその話なので、その過程で氏が後悔せざるを得ない事情も多々あったのだと思いますし、世界的に見れば恐らく現在も悪質なブリーダーが存在するというのも確かなことかもしれません。
さらに、これを言ってしまうと何をしに来たんだという話にもなってしまうのですが、正直言うとラブラドゥードルを見に来たと思ったらオーストラリアン・ラブラドゥードルを見ていたという事態が今回起きたため、完全に真相を確かめることはできなかったのですが、今回見てきたもの、ALの背景から考えるに、ラブラドゥードルを取り巻く環境はいい方向に向かっているのではないかと私は思うのです。
氏は後悔しかないと言いますが、氏が元々やろうとしていた「人を助けるため」という目的は、それが最優先されている訳ではないのかもしれませんが、有志が継いだことによってALが生まれ、補助犬や介助犬、盲導犬としての未来にも向かっているとも言います。
もう何も見たくないとの思いから、全ての情報をシャットアウトしてしまっているのかもしれませんが、過去よりも今の可能性を見てあげるべきなのではないかと、今回ラブラドゥードルを見ていて私は思った次第です。
ちなみに、ふれあい広場の方が言っていましたが、ここまで人に慣れるようにしつけをするのはかなり大変だったそうです。お迎えを考えている方にとっては、これが一番の問題点かもしれません。
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