同じウイスキーはもう飲み飽きてしまった?それは、新たな可能性の扉を開く時が来たということだ……!
ウイスキーには多くの良いところがあるのですが、その内の1つは、飲み方次第でいくらでも味の変化を楽しめるというところにあります。
基本的な飲み方さえ知っておけば、年中いつでも、場所を問わずどこでも、初心者からウイスキー好きまで誰とでも、ウイスキーの楽しさ、そして潜在する可能性までをも感じ取ることができるのです。
ということで、今回はウイスキーの基本的な飲み方合計9種類を、バーで注文する際に役立つ頼み方などと併せてご紹介しよう!
ウイスキーの飲み方(9スタイル)
ウイスキーはグラスの厚さや形状、飲む場所や空間によっても味が変わる、味の感じ方が変わる飲み物なのですが、飲み方次第ではアルコール度数そのものを調節することもできるので、当然ながら飲み方によっても味は変わります。
そして、いくつかの飲み方さえ知っておけば、ウイスキーの持つ個性やポテンシャルを最大限に感じ取ることができたり、飲みにくいウイスキーが飲みやすくなったり、同じウイスキーでも飽きずに何度でも楽しむことができるのです!
飲み方によって広がるウイスキーの可能性は無限大。
特に基本の7種類+日本固有の2種類を習得すれば、自分好みのスタイル、気分や季節の変化によっても楽しめるスタイル、さらにその先へ辿り着くことも可能。是非とも様々な飲み方をマスターし、ウイスキーとの対話に役立ててほしい。
それでは、味や香りの変化を中心に、ここからはウイスキーの基本的な飲み方を1つずつご紹介しよう!
1. ストレート
そもそもの話、お酒の飲み方というのは、
- そのまま飲むか
- 何かを加えて飲むか
の2種類しかなく、初めて飲むウイスキーであればまずはそのままで、と言われたりすることもあるほど基本となる飲み方がこれ、ウイスキーのストレートです。海外ではニート(neat)と呼ばれたりすることもあります。
ストレートは、お酒の味を生のままで味わうことができ、立ち昇る香りをじっくりと楽しむことができる、実にダイレクトな飲み方。使用するグラスが底が浅いストレートグラスであれば、味と香りはよりダイレクトに。香りを逃がさないように設計された、真ん中がくびれていて口元が狭まっているテイスティンググラスであれば、より長くウイスキーの香りを楽しむことができます。
ただし、ストレートでウイスキーを飲むということは、40度以上はあるお酒をそのまま飲むことになるので、チェイサーは必須となります。
チェイサーには深酔い防止や、交互に飲むことで口の中がリフレッシュされ、一口ごとにウイスキーの味わいをクリアに楽しむことができるといった効果があり、バーで注文する際は言わなくても出てくるのが基本。もし出てこない場合は何も恥ずかしいことはありません、チェイサーもお願いしますとバーテンダーに伝えよう!
ストレートはウイスキーをまずはそのまま味わいたい方、ゆっくり時間をかけて香りを楽しみながら飲みたい方にオススメ
2. トワイスアップ
トワイスアップは、ストレートの別の呼び方「Straight Up」に対する「Twice(2倍に)Up」という言葉であり、ウイスキー1に対して常温の水1を加えてつくる飲み方のこと。予めストレートに同量の水が加えられたもので、氷は入れません。
トワイスアップは、ウイスキーに水を加える(加水する)ことで、ウイスキーの香りを最大限に引き出すことができるのが特徴。水を加えることによって、常温で空気に触れてゆっくりと開いていく香りをさらに開かせ、アルコール度数が半減することで飲みやすくもなるため、ウイスキーの味わいがよりわかりやすくなります。
そして、そのわかりやすさというのは、蒸留所のブレンダーがテイスティング(味の確認)をする際にトワイスアップを利用するほど。
グラスは香りを楽しむためにもテイスティンググラスがベスト。もちろんストレートと同じくチェイサーも用意しよう!
ちなみに、せっかくだからまずはストレートで飲んでみたい、少しずつ水を加えて飲んでみたいという方は、「ストレートで加水用の水ももらえますか」と頼めば、ストレートのウイスキーと加水用の水が出てくると思うので、自分好みに水を加えて香りの開き方を楽しむこともできます。
本格的にウイスキーと向き合いたい方にお勧めの飲み方。グラスはブレンダーなどの協力の元に完成し、現在も多くの蒸留所で使用されている「グレンケアンクリスタル」が定番
3. オン・ザ・ロックス
ストレートに次いで最もポピュラーな飲み方がこれ、ストレートに氷を加えたオン・ザ・ロックス。オーバーロックスや、オーバーアイスなどとも呼ばれたりしますが、日本では基本的に「ロック」と省略して使われます。
オン・ザ・ロックスは、氷を加えて常温のウイスキーを冷やすことで、時間の経過と共に氷が溶けだし、アルコールの刺激が抑えられて飲みやすくなるのが特徴。一口飲む度にグラスに響く軽やかな氷の音が楽しく、徐々に飲みやすく、まろやかになっていく自然な味の変化をじっくりと楽しむことができます。
グラスはずっしりとしたロックグラスを使用し、すぐに氷が溶けてしまっては面白くないので、大ぶりで角が少ない氷、できれば丸く成形した氷が理想的。
ただし、ウイスキーは冷やすと香りが上がりにくくなるため、飲みやすくなる代わりに香りが感じにくくなるという飲み方でもあります。
アルコール度数が比較的高いウイスキーや、普段飲んでいるウイスキーをゆっくりとくつろいで飲みたい時などにオススメ。グラスは国産ガラスメーカー「東洋佐々木ガラス」が使い勝手良し
4. ハーフロック
ハーフロックはオン・ザ・ロックスにウイスキーと同量の水を加えた飲み方、つまり、ウイスキー1対水1をロックでつくったもので、言わばオン・ザ・ロックス&トワイスアップとでも言うような飲み方です。
ハーフロックは、オン・ザ・ロックスに予め同量の水を加えることで、ウイスキーの香りと味をよりマイルドに引き出すことができるのが特徴。始めからウイスキーに加水することで香りを立ちやすくし、ロックでは強いと感じるウイスキーでもさらに飲みやすくすることができます。ハーフロックの水をソーダなどに変えることも可能!
ただし、ハーフロックは日本ではメジャーな飲み方の1つではありますが、海外ではメジャーではないと思われるので(少なくとも私は外国人の方からハーフロックという言葉を聞いたことは一度もなく、海外ではウイスキーに氷と水を加える飲み方は一般的ではないため。また、ハーフロックはサントリーが提唱したとされているため、日本固有の飲み方の可能性が高い)、海外で注文する際はハーフロックでは伝わらない可能性が高いと思っていた方がいいと思います。
ロックよりも香りを楽しみたい?ロックを最初からもう少し飲みやすくしたい?それならハーフロックを試してみてくれ
5. 水割り
水割りは氷を入れたタンブラー型のグラスに、ウイスキー1に対して水2~3程度を注いでつくる飲み方。古くから日本で愛されてきた飲み方の1つです。
水割りは、角があるウイスキーでも、それを水が柔らかく包んでくれるため、ウイスキーをより淡麗でまろやかにすることができるのが特徴。ウイスキーがするすると喉元を過ぎていく心地良さを感じることができます。
ただし、水割りもハーフロックと同様、日本で生まれた独自の文化であり、場合によっては(割るウイスキーによっては)味のバランスが崩れてしまうこともある飲み方です。
水割りは水で割ってもバランスが崩れにくく調整されているジャパニーズウイスキーや、食事のお供として楽しみたい方などにオススメ
6. ソーダ割り(ハイボール)
タンブラー型のグラスに、ウイスキー1対ソーダ3~4程度を注いでつくる飲み方がこれ、かつては一大旋風を巻き起こしたソーダ割り(通称ハイボール)。
ソーダ割りは、冷たい水と炭酸の刺激が弾けるような爽快感をもたらし、サッパリと喉を潤すことができるのが特徴。喉越しもよく、そして飲みやすいため、暑い時期にはピッタリの飲み方です。
ちなみにハイボールとは、日本ではウイスキーをソーダで割ったものを指すのが一般的ですが、広くはウイスキー以外のスピリッツやリキュールなどを炭酸飲料等で割ったもの、つまりカクテルを指す言葉なので、バーで注文する際は、個人的にはですが「ソーダ割り」を使用した方がスマートな気がします。
ソーダ割りは喉越しが良く飲みやすいため、喉が渇いている時や、ウイスキー初心者の方にもオススメ
7. ミスト
ロックグラスに細かく砕いたクラッシュアイスを敷き詰め、そこにウイスキーを注げばミスト・スタイルの完成。ミストとは「霧」を意味し、暫く置いておくとグラスの周りに霧のような水滴がつくことから名付けられた飲み方です。
ミストは、グラスの中の氷が細かく砕かれている分ウイスキーと馴染みやすく、ウイスキーをキンキンに冷やして飲むことができるのが特徴。見た目も涼しげで、ソーダ割りと同じく爽快感があり、暑い時期との相性も良い。ソーダを少し加えてみてもグッド!
ただし、氷が細かいということは溶けやすいということでもあるので、特に暑い時期などは時間をかけて飲むことは難しい飲み方でもあります。
心も体も涼しくなりたければこれを飲め!
8. フロート
フロートとは「浮かぶ、浮かせる」といった意味の言葉であり、その言葉の通り、グラスに氷を入れて注いだ水の上にウイスキーを浮かせた飲み方。というのも実は、ウイスキーは水と比べると僅かに軽いため、水の上から静かに注ぐと二層に分かれるのです。
フロートは、初めはストレートに近く、続いてロック、最後に水割りと、徐々に味の変化が楽しめる水割りの変形型。液体の比重差を利用しているのも面白く、見た目も美しい。
フロートの技術は様々なカクテルでも応用されていますが、ウイスキーフロートに関しては先ほどの水割りと同様、日本では広く知られてはいますが、海外ではあまり一般的ではない飲み方だと思われます。
ウイスキーフロートは1度で3度美味しいカクテル。見た目もグッド
9. お湯割り(ホット)
予め温めておいた耐熱グラスに、ウイスキー1に対してお湯3前後を注げば、とても簡単、ウイスキーのお湯割りの出来上がり。
お湯割りは、立ち昇る湯気と共にウイスキーの香りを引き立たせ、体の芯まで温めてくれるのが特徴。冷え切った体をほぐしてくれたり、緊張でこわばった体をリラックスさせてくれます。
ちなみに、ウイスキーをお湯割り、ウイスキーをホットではなく、「ホットウイスキー」という呼び名で注文する場合、これにはウイスキーを使った温かい飲み物という意味もあるため、ウイスキーにお湯や砂糖、レモンなどが加えられたカクテルが出てくる場合もありますが、これは店やバーテンダーの解釈によって分かれたりもします。
寒い日はこれを飲んで温まろう!グラスは日本で唯一の耐熱工場を持つ国産耐熱ガラスメーカー「HARIO」がオススメだ!
今回のまとめ
・ストレート、ロック、ソーダ割りが人気
・細かいことは気にせず、好きな飲み方で楽しむべし
バーでウイスキーを注文する場合は、銘柄を指定した後で飲み方を指定するか、銘柄を指定した後でバーテンダーにお勧めの飲み方を聞くか、何の銘柄にすればいいのかわからない場合は、それもバーテンダーに聞けばOK!
また、このウイスキーはこうしなければいけない、初めて飲むウイスキーは必ずストレートにしないと……といったように型にハマってしまうと、何でも途端につまらなくなってしまうこともあります。
飲み方を気にするあまりウイスキーを敬遠してしまうというのは、恐らくウイスキーも喜ばないでしょう。なので、私はですが、基本的には好きなように飲んでみればいいじゃないかと思っています。
基本さえ押さえておけば、その先、つまり割りものを変えたり、割る比率を変えたりといった応用が効くようにもなります。まずは今回の9種類の中から、お好みの飲み方を見つけてみてほしい。
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