バーでの出会いはたしかに存在します。ただ、バーでのナンパは迷惑行為となってしまうので、やめたほうがいいですよ。
バーでの出会いがきっかけで友達になり、しだいに恋愛感情が芽生えて付き合い始め、最終的には結婚へ……。
この手の話はよく聞く話で、都市伝説のようにいわれることもありますが、実際に私が勤務していたお店や、知り合いのお店でもあったことから、たしかにそのようなことは存在します。
しかし、だからといって、我先にと、一人で飲んでいる女性に声をかける(ナンパをする)のはNGで、お店にとっては迷惑行為となってしまうこともあります。そもそもバーは、そういった異性との出会いを求めて行く場所ではないからです。
では、結婚にまでいたった人たちは、なぜそこまでたどり着けたのでしょうか。なぜバーでのナンパ行為は、よろしくないとされているのでしょうか? 今回は、その理由について解説します。
バーは大人の社交場であり、偶然性を楽しむ場所
バーには人それぞれの楽しみ方があります。仲間うちで語り合うのが好きな方もいれば、バーテンダーとしか話さないような方もいますし、誰とも話さず、お酒と向き合って考えごとをするような方もいます。
しかし、バーの醍醐味といえばやはり、偶然その場に居合わせたお客さんと会話をしたり、コミュニケーションをとったりすることができる、「大人の社交場」としての側面が生む楽しさでしょう。
年齢、職業、出身など、なにからなにまでもが違い、当然ながらこれまではお互いのことを知るはずもなく、通常であれば出会うことのなかった人間が、偶然同じバーで知り合い、帰るころには、「また会いましょう、この店で」と、仲良くなることができてしまう。
これこそが、バーの最大ともいえる醍醐味なのではないかと私は思っています。
そして、この醍醐味という味わいをより深くするのが「偶然性」です。そもそも最初は、お互いを知るはずもないので出会いは偶然となりますが、その後になって、ふと思うのです。
またあの人に会えたらいいな、あの人は今日はいるかな、と。
そんなことを考えながらバーの扉を叩き、偶然にもまた会うことができたら、お互いの再開を喜ぶ。これがいいのです。同性同士でも、異性間でもです。
けれど、残念ながら時代の移り変わりとともに、この偶然性を楽しむことができる人というのは、減ってきているように私は感じます。それはどういうことかというと、こういうことです。

また会いましょう、このお店で

あ、ところでLINEとかやってます? 連絡先教えてもらってもいいですか? 来るとき連絡するんで
これ……!
現在は相手の連絡先を聞く方法はいくらでもありますし、ほんとうに簡単なので、すぐに人の連絡先を聞こうとする人もいます。
もちろん、バーで連絡先を交換することが、かなずしもマナー違反になるということはありません。しかしこの行為は、私が思うに、以下のようなことを招いてしまうのです。

偶然性がなくなるんだなぁ
お店の売上的な話でいえば、事前に約束して来てくれたり、「いまお店で飲んでいるから」と呼んでくれたりするのはありがたいこと。ただ、それでは、バーでの醍醐味である「偶然性」が、失われてしまったりもするのです。
人それぞれ考え方があるとは思いますが、私は、バーでは、初対面で相手の連絡先を聞くということ自体が基本的にあまりよくないと思っているので、そう考えると、バーでのナンパという行為がさらにNGとなるのは必然であり、もはやいうまでもないことだと考えられるのです。
バーでのナンパ行為がNGな理由
それでも、人の出会いは一期一会だ、この機を逃せば二度と会うことはないかもしれないし、そんなバーの粋な楽しみ方よりも、出会いを優先したい! と思う方もいるでしょう。
そこで、なぜバーでのナンパ行為がNGとなるのか、ここからはその理由について解説していきます。バーでのナンパがよくない理由としては、おもに3つ。
- 女性客に迷惑がかかる
- ナンパされたほうが二度とお店に来なくなる
- バーは「社交場」であって「出会いの斡旋所」ではない
以下、詳しく説明します。
1. 女性客に迷惑がかかる
基本的には、ナンパというのは、男性から女性に対しておこなわれるものですが、一人で飲みにくる女性のお客さんにも、いろんな事情があったりもします。
仕事関係のストレス解消や息抜きであったり、恋愛や家庭の問題で悩みがあったり、純粋に一人で飲んで落ち着きたいということであったりと、理由は人それぞれあるでしょう。
では、そんなときに、ナンパ目的の男が近づいてきたらどう思うでしょうか。まぁうっとうしいことこの上ないですよね(少なくとも私だったらそう思いますし、何人かに聞いた常連さんも同意見でした)。
なかには、一人で飲んでいる女性はナンパ待ちと勘違いしている男性もいるようですが、そんなわけあるか! という話で、バーでのナンパ行為は、まず基本的に、女性客に対しては迷惑なものです。
加えて、大切なお客さんに迷惑をかけられる行為は、店側にとっても迷惑なことなので、ナンパは女性客・お店と、ダブルで迷惑な行為となってしまうのです。
2. ナンパされたほうが二度とお店に来なくなる
そのような迷惑なナンパ行為をされた女性客が、二度とお店に来なくなってしまうことがあります。
たとえば、先ほどのように連絡先を聞かれた女性のお客さんが、いつものバーに行こうと思ったところで、こう思ったとしましょう。

そういえばこないだナンパされたな。アイツがまたいたら嫌だな……
この時点で、もうお店には来られなくなる可能性は低くはありません。
一人で飲みたいからとバーに行こうと思っても、あまりよくないほうの偶然で、問題のナンパ男と遭遇してしまえば気まずいですし、そういったことを考えると、ほかのお店に行ったほうがいいかな、ともなるものです。
そして、そうなるとどうなってしまうでしょうか。大切な女性のお客さんを消し去ったナンパ男は、お店からは、お客さんを消し去る敵として認定されてしまうこともあるのです。
3. バーは「社交場」であって「出会いの斡旋所」ではない
最初に見てきたように、バーは大人が、会話やコミュニケーションを楽しむ粋な場所であって、出会いを斡旋する場所でも、絶好の出会いスポットでもありません。ナンパ目的でバーに行くというのは、はなから間違っていることなのです。
出会いを目的とするのであれば、婚活バーや、お見合いバーなど、そういった、まさに出会いを目的としたバーもあるので、そういったところに行ったほうがいいと思います。
あんまりふつうのバーでナンパばかりしていると、バーテンダーから追い出されてしまったり、最悪の場合、もうお店には来ないでほしいといわれてしまうこともありますよ。
ちなみに、この「バーは出会いの斡旋所ではない」というのは、私が以前勤めていたバーのマスターがよくいっていた言葉です。
バーで出会って結婚までいく場合とは
それなら、なぜナンパはよくないのに、バーで出会って結婚までいく男女がいるのさ? という話になりますよね。
これに関しては、「粋な大人同士が自然とそうなった」、としかいいようがありません。
どういうことか、これもご説明しましょう。
たとえば、バーのたしなみ方を知っている紳士淑女の常連さん同士、お互いの趣味が合いそうだなとか、話が合いそうだなという場合、バーテンダーのほうからお客さんをお客さんに紹介したりもします。
それは同性同士であれ、異性間であれです。
また、常連さん同士、毎回のようにお店の中で顔を合わせていれば、あいさつくらいはするようになったりもしますから、自然とそこから、会話に発展することだってありえます。
その結果、異性間のお客さん同士が、お店で会うたびに話をするような仲になり、男性と女性ですから、もう少しお互いのことを知りたくなるのも不思議なことではなく、「今度いっしょに食事に行ったあとで、このバーに来ませんか?」といったことから始まって、自然と恋愛関係に発展することもあるのです。
最終的には、そのまま結婚にいたる、ということだってあるわけです。
残念ながら、恋愛関係となったあとで破局してしまい、双方がお店に来られなくなってしまうことももちろんあります。これはバーあるあるだと思いますが、それはそれでしかたありません。なぜなら、自然のなりゆきでそうなってしまったからです。
いずれにせよ、バーで結婚までいく人がいるというのは、いたって自然な流れでそうなったものであって、たまたまいつも居合わせた同士が、たまたま親密な関係となり、そのままゴールインにいたったという、まさにこれも、バーの醍醐味である「偶然性」がもたらした産物に違いないと私は思うのです。
ようは、思いがけずにそうなっただけの話、ということですね。
今回のまとめ
・バーでのナンパはNG行為なので注意しよう
・バーで出会って結婚までいく場合はたしかにある
これはバーにかぎった話ではありませんが、バーで流れる時間というものは、1分1秒たりとも同じものはありません。
お酒にしても、気温の変化などによる微妙な味の違いはあるはずですし、そのときにしかいないお客さん、そのときにしかいないお客さんがしている会話、そのときに流れている音楽など、まさにその瞬間しか楽しめないものがあると私は思っています。
今日はなにが起きるんだろう。お店では、どんな会話が繰り広げられているのかな。そして今日は、どんな人と会えるかな。それがわからないからこそ、バーはおもしろいのです。
バーにいると、ほんとうに予想だにしなかったことが起きたりもします。せひとも皆さんも、バーが持つ偶然性を楽しんでみてください。
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