【歴史は繰り返す】街からティッシュ、トイレットペーパーが消えた日

薬局に行くと、紙類の棚には何の商品も陳列されていませんでした。その光景を見た私は、正直笑うしかなかった。

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大による集団パニックにより、再び街からティッシュやトイレットペーパー、さらにはキッチンペーパーまで、紙という紙が姿を消してしまいました。

これはまるで1973年に起きたという、オイルショックをきっかけとした「トイレットペーパー買い占め騒動」と全く同じような状況でしょう。

そこで私は言いたい。とりあえず落ち着いてくれと。

きっかけはSNSで広まった憶測

新型コロナウイルスの影響でマスクが品薄となるや否や、すぐに買い占めを行った転売屋がマスクを高額で転売し始め、店頭に並んだ数少ないマスクを手に入れるために連日販売店には長蛇の列ができるなど、街は既にパニックに近い状況となっていたのは皆さんもご存知の通りでしょう。

そして、それに追い打ちをかけるようにして始まったのが紙の買い占め。

マスクの品薄、それに伴うメーカーの増産体制と絡み、

  • マスクの原料に紙が使われる
  • 中国からトイレットペーパーの原料が輸入されなくなる

といった憶測がSNSで拡散され、紙不足の恐怖に駆られた群衆は仕方がないにせよ、またしても金に群がる亡者たちはティッシュ、トイレットペーパーといった紙の買い占めを強行。結果、街から紙という紙が姿を消してしまいました。

正直言うと私は、そんな憶測で騒いでいるのはSNSの中だけだろうと高を括っていたのですが、いざティッシュがなくなり購入しようと薬局まで行くと完売。コンビニでも完売。スーパーでも完売と、街に紙は一切れも残っていませんでした。

湊
ミナト

いや、鼻水が止まらないんだけどな……

そう、不覚にも風邪を引いてしまい鼻水が止まらなかった私は、その状況に立ち尽くし、もはや苦笑いをするしかなかった。

さらに、紙を探すため最後に向かったスーパーで私が見たものは、米、乾麺、缶詰、インスタント食品など、保存がきく食料品の買い占め。

爆発的な感染力を持つ新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、政府は全国の小中高校に一定期間の休校を要請(あくまでも要請であって強制ではない)。それによって保護者の方々は食糧の消費が増えることに備え、買いだめを余儀なくされていたのです。

これはもう1973年のオイルショックに端を発した「トイレットペーパー買い占め騒動」の再来と言えるでしょう。やはり、歴史は繰り返すのだ。

1973年、トイレットペーパー買い占め騒動

エジプト・シリア軍がイスラエルを奇襲し、アラブ諸国を巻き込んで始まった第四次中東戦争を背景に、中東の原油産油国は原油価格の70%引き上げを決定。これが俗に言う「オイルショック」の始まりで、当時の政府は紙を節約することを呼びかけました。

すると、世間では紙がなくなるのではないかという憶測が憶測を呼び、新聞社でこの噂が取り上げられたこともあって集団パニックとなり、街からはトイレットペーパーが消え失せたのです。

さらに、事態はそれだけでは収束せず、トイレットペーパー以外の日用品にまで買い占めは及び、事態を重く見た政府はトイレットペーパーなどの紙類4品目を「国民生活安定緊急措置法」の指定品目に追加し、標準価格を設定。

この国民生活安定緊急措置法とは、簡単に言えば生活必需品を独占して販売することを規制したようなもので、

物価が著しく高騰し又は高騰するおそれがある場合において、生活関連物資等の供給が著しく不足し、かつ、その需給の均衡を回復することが相当の期間極めて困難であることにより、国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるときは、別に法律の定めがある場合を除き、当該生活関連物資等を政令で指定し、政令で、当該生活関連物資等の割当て若しくは配給又は当該生活関連物資等の使用若しくは譲渡若しくは譲受の制限若しくは禁止に関し必要な事項を定めることができる。第二十六条

このように、緊急事態によって物資不足となり、国民の安定した生活が脅かされる場合はその物資を高額で譲渡するといったことに制限を設けることができるとし、

第二十六条第一項の規定に基づく政令には、その政令若しくはこれに基づく命令の規定又はこれらに基づく処分に違反した者を五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する旨の規定及び法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して当該違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する旨の規定を設けることができる。第三十七条

これに違反する場合、違反者には相当の罰則を設けることができると規定したのです。

しかしながら、実のところ、当時の紙生産量は安定していたと言い、オイルショック云々で紙は減るどころか、むしろ増産まで行えていたと言うのです。

よって、トイレットペーパーの品薄は、結局のところ群衆のパニックによる買い占めが行われていただけの話で、そんな訳ですから事態は次第に収束。紙の在庫は通常の水準へと回復していったのです。

2020年、紙の買い占めも結局デマでした

それでは話を戻して、今回の騒動について。

2020年の紙の買い占めは、①マスク生産による原料不足、②中国から紙が輸入されなくなる、といった憶測から始まったと先程も言いましたが、

  1. マスクの原料は基本的にはポリエステル由来の繊維である「不織布」であり、ティッシュやトイレットペーパーの原料は木材由来の「パルプ」
  2. 中国から紙が輸入されなくなるとあるが、トイレットペーパーは約97%が国内で生産されている

このような理由から、紙不足になるというのは完全なデマであって、街から紙が消えているのは、かつてのオイルショックの時にあったような在庫がないわけではなく、ただ単に買い占めが行われているからなのです。

少し古い統計ですが、2017年に行われた日本でのティッシュ、トイレットペーパーの生産・国内出荷量と輸入量は以下の通りで、

(2014年)国内出荷量輸入量国内産割合
トイレットペーパー1,037,94747,681約95.6%
ティッシュペーパー446,263120,126約78.8%

(出典:衛生用紙産業における海外実態調査(pdf)

近年はトイレットペーパーの国内シェアが増え、ティッシュペーパーは輸入量が増えているようですが、トイレットペーパーは勿論のこと、多少輸入に頼っているティッシュペーパーも買い占める必要もないほど在庫はあると聞いています。

よって、今後紙が不足するというのはただのデマだったと言うことができるでしょう。本当にありがとうございました。

パニックによる買い占めが終わればすぐに在庫は復活すると思います。つまり、街の人たちが皆一度冷静になって落ち着き、いつも通りの必要な分だけを購入するようになれば、この事態も収束するはずなのです。

間違った情報に踊らされてはいけない。そしてこんな時だからこそ、恐怖に囚われて平常心を失ってはいけないと、私は思う。

今回のまとめ

・紙不足はまたもやデマでした
・しかしながら、歴史は繰り返す
・困っている人も多いはずだ

私の場合、たまたまトイレットペーパーを少し前に切らしてしまい、買い占めが始まる前に1つだけ購入していたのでなんとかなりましたが(トイレットペーパーでも鼻はかめるので)、トイレットペーパーを切らしてしまっている人は真面目にトイレにも行けなくなっていると思います。

私は普段から買いだめはしないですし、今回の件があっても買いだめをする気はまるでないのですが、やはりこういったデマで割を食うのはその物を本当に必要としている人だと思います。

こんな緊急事態だからこそ、人のことも考えて行動することが事態の収束に繋がっていくと思います。もしパニックに陥ってしまっているのであれば、とりあえず酒でも飲んで一旦落ち着いてほしい。混乱をより大きくするのは、やはり混乱した1人1人の行動だ。

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