バーテンダーはバーの仕事だけでも生活していけるのでしょうか。そんな知られざる懐事情についてご紹介します。
バーの仕事(とくに個人店)は求人情報などに載ることもあまりないため、バーテンダーの仕事は儲かるのか、稼げるのか、そして、バーでの仕事だけでも生活していけるのか、といった収入事情に関しては、あまり表に出ることはないように思います。
ふだんからかよっているお店のバーテンダーは、どれくらいもらえているのだろう、と気になる方もいるでしょうし、これからバーで働いてみたいと考えている方は、生活があるので、いくらもらえるのか心配な部分もあると思います。
そこで、そんな気になる皆さんのため、今回は休業中とはいえ経験者の私が、バーテンダーのリアルな給料事情についてご紹介したいと思います。アルバイトと正社員、時給制と月給制など、そういった雇用契約による違いについても言及していきます。
目次
バーテンダーの給料は店の種類にもよる
バーテンダーとして働く場合、大きく分けると働くバーは、ホテルのバーか街のバーの2択になると思うのですが、それぞれの給与面での特徴を簡単にまとめると、以下のようになります。
ホテルバーの場合
- アルバイトでも基本的に22時以降は深夜手当が発生する
- 交通費の支給などの福利厚生がしっかりしている
- 社員として働く場合はそのホテルの給与水準に応じた給料となる
ホテルバーは運営元がホテルなので、労働条件はきっちりとしているといった印象です。給与面のイメージとしては、バー(飲食店)も運営している会社で働くような感じで、基本的に払ってくれるものはきちんと払ってくれます。
雇用形態は正社員、アルバイトなどがあり、正社員として働く場合も、アルバイトとして働く場合も、街のバーよりも給料は高めに設定されています。ホテルバーは一般的に高級店になるので単価も高く、ホテルの売上もあるからだと思います。
しかし、ホテルバーで働くということは、ホテルの看板を背負うということでもあるので、基本的に業務はカッチリとする必要があり、個性が出しにくい、自由が利きにくいといった話も聞きます。それもあっての好待遇なのでしょう。
私はホテルバーでの勤務経験はありませんが、経験者の友人、知り合いに話を聞くと、給与面に関してはだいたいこのようになっているようです。
街のバー(特に個人店)の場合
- 基本的に深夜手当は時給に含まれている(実質出ない)
- 有給、残業手当などの福利厚生には期待しないほうがいい
- 雇用形態はアルバイトのみで、社員登用はない場合もある
- 休憩時間はないことも多い
街のバーというと一般的には個人店が多いので、おもに個人経営のバーで働く際の給料についてご紹介します。
まず、個人経営のバーのすべてがそうだということはけっしてないのですけれど、労働の条件はきっちりとはしていないというか、それが当たり前といった印象で、ホテルバーのような待遇は期待しないほうがいいと思います。
雇用形態は、会社として運営しているバーであれば正社員登用もありますが、一般的に街のバーは、経営者が個人事業主として運営していることのほうが多いと感じられ、そのような場合で正社員登用が行われていなければ、何年間いたとしても、雇用形態はアルバイトのまま(非正規雇用)ということになります。
アルバイトであれば、給料は時給での計算になります。しかし、バーは基本的に深夜帯に営業するものなので、深夜手当が含まれた時給となっていることもめずらしいことではありません。
一人で営業する場合は休憩を取る時間はないので、お客さんがいないあいだが休憩時間のようになり、閉店時間の関係で自転車やバイクで通勤するのであれば、交通費は支給されないと思っていたほうがいいかもしれません。
ただ、街のバーは経営者やバーテンダーの個性が強く反映されるように思うので、ホテルバーとは反対に、自由が利きやすいといったメリットがあり、経営者の、そして自分たちの店として運営していくやりやすさはあるように思います。
もっとも、営業時間なども経営者の自由であり、一般的にホテルバーよりも長く営業していることが多いので、営業時間が長いバーであれば、ホテルバーでアルバイト、または正社員として働くよりも稼げる場合もあります。
バーテンダーの時給の相場
バーテンダーの仕事の時給については、アルバイトとして働く場合、これはだいたい1000~1400円程度が相場だと思います。
1400~1500円あたりはかなり高いほうで、それ以上となると、ふつうのバーで働くバーテンダーの仕事ではない可能性も出てくるので、やたらと給料がいいバーの求人が気になったときは、きちんと内容を確認する必要があるでしょう。
なお、誰でも最初は未経験であり、初めのころはなにもできなかったわけですが、未経験でもさすがに最低賃金くらいは保障されるのではないかと思います。
東京の場合であれば、年々最低賃金が上がっていて、いつの間にか1000円を超えたようなので、完全未経験の場合でも、いちおう時給は1000円以上ということにはなっています。
ただし、前述したように、個人経営の店はそのへん(給与面)がしっかりしていないところも多く、「給料は手渡し」というところもあるので、スタート時給は最低賃金未満ということも実際にあるかもしれません。
ちなみに私の場合は、スタート時はたしか900円で(これは当時の最低賃金以上)、7年以上働いて最終的に1200円でした。時給だけを見れば悪くはないようにも思えますが、無給の時間もけっこうあったので、かなり安いほうだったと思います。
(月収例)アルバイトでも稼げる場合もある
ここまでを見ると、街のバーはいいかげんで待遇が悪い、と思われてしまいそうであり、実際問題としてそういったお店も少なくはないことから、これはあながち否定することもできません。
しかし、お店によっては、雇用形態がアルバイトでも十分に稼ぐことができる仕事でもあり、バーの仕事だけでも生活していけることもあるので、ここでは、そんな一例をご紹介したいと思います。
友人Aの場合、繁華街の立地で1日12時間ぶっ通しという過酷な環境で働いていましたが、そのお店は従業員に稼がせてあげたいという経営者の意向で時給はかなり高く設定されていたらしく、実際にかなり稼いでいました。
これだけあればバーの仕事だけでも余裕で生活していけますし、一般的な仕事をするよりも儲かっていたと思います。
友人Bの場合の場合は比較的高級住宅街のエリアで、ちょうど人手不足だったことから好条件で働くことができたそうです。
これだけでも十分生活していけますが、友人Bの場合はほかにもいろいろと仕事をしていたので、もっと稼いでいましたよ。
そして私の場合、わりと閑静な住宅街のエリアで働いていましたが、店に勤務していた後半は収入よりも休みが欲しかったので、そんなに多くは入っていませんでした。
週5日ほど入っていた時期もありましたが、1日の勤務時間が短かったこともあり、バーの収入だけで生活していくのは残念ながら不可能で、ほかでも働くことでなんとか生計を立てていた状態です。
バーだけでの月収については、いろいろと察してください。
月収制にしてもらえる場合と注意点
街のバーで、雇われているバーテンダーが一人でお店を任せられていたり、店を辞められてしまうと困るといったような場合、比較的まれなほうだとは思いますが、給料を時給制から月給制にしてもらえることもあります。
この場合、基本的には時給で働くよりも多い金額が提示されるわけですけれど、街のバーは経営者の方針で営業時間が伸びることもあるので、場合によっては時給で働いていたほうがよかったということも起こりえます。
月給制になったとしても雇用形態はアルバイト(非正規雇用)のままということも当然ありますし、いい条件だとは思ったものの、ふたを開けてみれば前よりも悪くなってしまったということもあるわけです。このへんはしっかりと考えてから決めたほうがいいでしょう。
給料に納得がいかない場合は、経営者にこちらから交渉を持ちかけることで、月収制にしてもらえることもできるかもしれません。
バーテンダーの年収と相場
これまで見てきたとおり、バーテンダーの年収は、お店の種類、雇用形態、時給制や月給制といった制度によっても異なります。
アルバイト(非正規雇用)であれば年収200万円以下もざらにありますし、正社員として働く場合は基本的に通常の飲食店と大差はないので、300~400万円のあいだが相場と見られていますが、正社員でももちろん300万円を下回ることだってあります。
それに、私からすると、バーテンダーの仕事で年収が300万円中盤~後半であれば、けっこういいほうなのではないかと思うので、この仕事は正社員でも、年収は300万円前後からと思っていたほうがいいのかもしれません。
とはいえ、年収1000万超えの高収入も不可能ではありません。
3店舗、4店舗と事業を拡大していったことで、それくらい稼いでいた人は知っているので、そのレベルを狙いたいのであれば、独立して店舗を拡大していくなりすれば到達することはできると思います。
もっとも、私はバーで儲けようとは思ったことがないですし、このご時世、酒離れなどでバー業界は苦境に立たされていたりもするので、バーテンダーの仕事は基本的に高収入は望めないと思っていたほうがいいですよ。
今回のまとめ
・個人店は労働条件はそこまでよくはない
・基本的に儲からないと思っていたほうがいい
バーテンダーの給料は働くお店によっても変わってきますが、街のバーで働く場合、労働条件はそこまでよくはないのが基本だと思っていたほうがいいと思います。
この仕事は、労働条件はもういいとして、働きながらスキルを身につけさせてもらって独立を目指す、というのが王道のルートのような部分もあり、そういった流れが受け継がれてきているような気もするからです。
未経験の場合はかなり聞きにくいかもしれませんが、あとから揉めるのはお互いにとってもよくないので、労働条件が気になる場合は、働く前に細かく聞いておき、そして納得したうえで働くことにしたほうがいいでしょう。
さもないと、私のようにとんでもない生活を強いられる可能性も出てきますから……。
ちなみに、私がバーテンダーの仕事を探したときは、いくつか求人サイトも見ていたのですが、当時はフロム・エーナビがいちばん求人が多かったように思います。バーでの仕事を探す際は、
フロム・エーナビものぞいてみてください。
某バーテンダーの1日の生活
→【限界状態】バーテンダーの生活リズムと1日のスケジュールを紹介します
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