【消毒液と酒の違い】エタノール、メタノール、アルコールとは何なのか

消毒用エタノールはアルコール。お酒に含まれているアルコールはエタノール。それでは消毒液とお酒の違いとは……

手指などに使用する消毒液にはアルコールが含まれている。同じく手指などにも使える消毒用エタノールという製品がある。そしてメタノール?待てよ、アルコールはお酒……

普段気にすることがなければこれらの違いを知ることなどないかもしれない。しかし、今こそこれらの違いについて知る時がきているのではないだろうか。

ということで、説明しよう!訳の分からないエタノールやらアルコールやらの違いを!

エタノールもメタノールもお酒もアルコール

訳が分からなくなる前に先に結論から言うと、エタノールもメタノールもお酒も全て「アルコール」という物質、アルコールという大きなカテゴリーに属している仲間であり、アルコールは皆さんがご存知の通り、揮発性が高く、無色で、よく燃える液体です。

つまり、エタノールもメタノールもお酒もアルコールを含んだ液体であると言うことができるのですが、その最もな違いはズバリ、飲めるのか、飲めないのか。これでこの「エタノ・メタノ・サケノ問題」は大体の話がつくと言ってもいいかもしれません。

それでは何が飲めて、何が飲めないのか。お酒はもう飲めることがわかっているので、ここからは主にそれ以外のエタノールとメタノールについて見ていきたい。

エタノールとは

エタノール(別名エチルアルコール)とはアルコールの一種であり、酒精とも呼ばれる化学成分で、お酒にも含まれています。と言うか、お酒のアルコール成分の正体がこのエタノールです。

現在から遡ること約5,000年。紀元前3,000年頃にはメソポタミア文明で知られるシュメール人が酒を造る様子を石碑に残したと考えられ、少なくともそれ以前からブドウが地球上に存在していたことから、人類は遥か昔から天然のワイン(アルコール)を飲んでいたと考えられています。

そして、この天然のワインとはアルコール発酵で生まれたアルコール(エタノール)を含んだ飲料のこと。

つまり、人類が最初に認識したアルコールは自然の中で生まれたエタノールであったと言うことができるので、アルコールと言えばエタノールのこと、もしくはお酒のことを指すことが多かったりもします。

現在はエタノールは飲料以外にも様々な用途として利用されるようになり、エタノールとはアルコールというカテゴリーの代表格のような存在なのです。

エタノールの原料

ビールやウイスキーなどのお酒として造られるアルコール(エタノール)は、全て自然の力を利用したアルコール発酵によって造られていきますが、工業的に生産されるエタノールは発酵と合成の2種類の方法が採られています。

発酵で造られる工業エタノールは主に糖質とでんぷん質の原料に分かれ、糖質由来のものはラム酒の原料としても知られるサトウキビが。でんぷん由来のものはバーボンウイスキーの原料としても知られるトウモロコシや、ウォッカなどの原料としても知られる麦類やジャガイモなどの芋類が使用され、これはお酒を造る時と同様、自然の力を利用して造られています。

一方、合成で造られる工業エタノールは、天然資源であるエチレン(石油化学基礎製品)を原料に化学合成によって造られています。

これらの工業エタノールには様々な用途があり、お酒に添加する醸造用アルコールやお酢の原料、食品防腐剤として利用されるもの、つまり人の体に入る(食べられる)ものは発酵によって造られたエタノールだけが。

シャンプーなどの化粧品や塗料、洗剤などに利用されるもの、つまり人の体に入ってはいけない(食べられない)ものは合成(または発酵)によって造られたアルコールが利用されることになっています。

このように、人工的に造られるエタノールは私たちの身近にある多くのものに利用されているのですが、今回は特に消毒液とお酒の違いは何かと題しているので、身近なエタノールの利用法として、ここで少し消毒液についても詳しく見ていこうと思います。

消毒用エタノールは飲めるのか!?

エタノールには殺菌・消毒効果があるため、病院などでよく見かける消毒用アルコールや、テーブルなどを掃除するために使用する消毒液にも利用されているのですが、その化学成分(化学組成)自体はお酒に含まれているエタノールと実は変わりません。

よって、理論上は消毒用エタノールも飲めるような気がしてくるのですが、当然ながら消毒液は飲料用のアルコールではなく、かなり危険となる場合もあるのでやめておいた方がいいです。

それではなぜ消毒用エタノールを飲むと危険なのか。よく見かける消毒液を例に見ていきたいと思う。

1. 無水エタノール

無水エタノールとはアルコール濃度が99.5%と、ほぼ水を含まない純度の高いエタノールのことを言い、揮発性の高さから電化製品の掃除用などに使われてきました。

一見するとアルコール濃度が高いので殺菌効果も高いように思われがちですが、実はアルコール濃度の高さ故、あっという間に蒸発してしまうので消毒には向いていません。消毒液として利用する場合は少し水で薄めて使用する必要があります。

また、水で薄めれば無水エタノールは飲めるのか?という話にもなるのですが、無水エタノールはアルコール濃度を極限まで高めるため「ベンゼン」という爆薬の原料などにもなり、人体にとっては発癌(白血病等)のリスクを高める危険な物質が添加されて蒸留が行われています。

つまり、無水エタノールには危険性の高いベンゼンが残留している可能性があるのです。

ベンゼンが残っていたとしても微量かもしれませんが、わざわざそんな危険なものを飲む必要はないでしょう。よって、無水エタノールは薄めても飲まない方がいいです。

2. ちょっと高い消毒用エタノール

日本では厚生労働省が定めた「日本薬局方」という規格基準により、消毒用エタノールのアルコール濃度は最も殺菌効果が高いと考えられる76.9~81.4%と決められているのですが、同じアルコール濃度の消毒用エタノールでも高い物と安い物があります。

実はこれには、酒税法が関係しています。

ちょっと高い消毒用エタノールに含まれているエタノールは「第一級アルコール」という自然由来の物を発酵して造られたアルコールのみが使用されているため、その分酒税がかかり、値段が少し高くなるのです。

つまり、ちょっと高い消毒用エタノールはお酒と同じ成分のエタノールなので、飲もうと思えば飲めるのです。お酒との違いはもはや、飲料用かそうでないかの違いとも言えるかもしれません。

ただ、これも本来の用途は消毒用であって飲料用ではないので、わざわざこれを飲む必要はないですし、飲んでも美味しくないと思います。しかしながら、一応飲めるものではあります。

3. ちょっと安い消毒用エタノール

ちょっと高い消毒用エタノールと同じ見た目、成分で、「IP」などの表記がされている消毒用エタノールは少し安い値段で販売されているのですが、これも先ほどと同様に酒税法が関係しています。

「IP」表記の消毒用エタノールには、イソプロパノール(イソプロピルアルコール)という「第二級アルコール」に分類される、飲むと人体にとって有害な物質が添加物として含まれているため、酒税がかからず少し安い値段で販売することができているのです。

ちなみに、このイソプロパノールというアルコールを摂取すると、

  • 生殖能、または胎児への悪影響
  • 中枢神経系、腎臓、全身毒性の障害
  • 呼吸器への刺激
  • 血管、肝臓、脾臓の障害

このように、人体が危険に脅かされる危険性があります。よって、「IP」などの表記があるちょっと安い消毒用エタノール(イソプロパノール入りの消毒液)も飲むようなものではないので注意しよう!

結論:消毒液と酒は主成分が同じ、副成分が違う

当然の話ですが、消毒液(消毒用エタノール)はあくまでも消毒用であって飲み物ではなく、物によっては人体にとって有害な物質が含まれていることもあるので飲まないほうがいいです。

また、上記のような消毒液に含まれている成分から、消毒液と酒の違いは何かという疑問について答えを出すとすると、「消毒液もお酒も主成分であるエタノールは同じものですが、消毒液には飲むと危険なものが含まれている可能性があり、お酒は飲んでも安全なものしか含まれていない。つまり副成分が違う」と、言うことができると思います。

ただし、前述の通りで、一部の消毒液には安全なエタノールと水分のみが使われているものもあることはあります。しかし、そもそもそれは飲料用ではなく、飲んでも美味しくはないという決定的な違いがあるので、エタノールという成分は同じであれど、消毒液とお酒は似て非なるものと言うことができるでしょう。

メタノールとは

また、これも併せて確認しておきたいのがメタノール。

メタノール(別名メチルアルコール)もアルコールの一種であり、エタノールと名前が非常に似ているので混同してしまいがちですが、メタノールは非常に危険な劇物であるので特に注意が必要となります。

メタノールは体内に入ると「ギ酸」という毒性の強い物質に分解されるのですが、これの量が多いとメタノール中毒を引き起こし、最もよく知られる症状で失明、最悪の場合では死に至ることもあるのです。

日本を含む世界中の各地で、メタノールを摂取して失明者、死亡者が出たというのは珍しくはない話なのですが、こういった話の大体はエタノールにメタノールを混ぜた密造酒を飲むことでメタノール中毒を引き起こしているのが原因です。

メタノールは純度100%であれば、10mlが失明量、30~100mlが致死量となるため絶対に飲んではいけません。

一般的には「燃料用アルコール」などの名称で販売されているので、これを扱う場合は特に注意する必要があるでしょう。ちなみにこの燃料用アルコールは消毒液としては基本的には使えないのでご注意を。

食品に含まれるメタノール

メタノールを経口で摂取するのは危険ではあるのですが、メタノールという物質は果物に含まれる食物繊維(ペクチン)が分解される際や、野菜などの穀類がアルコール発酵で分解される際にも生まれるため、実は果物ジュースやワイン、蒸留酒などにも微量ながら含まれています。

しかしながら、日本では酒精飲料に含まれるメタノールの含有量が1㎎/1㎤(改正案1.2㎎/ml)を超える場合は食品衛生法に違反するとして厳しく管理されているので、通常の果物ジュース、お酒などを飲む場合はそこまで気にする必要はないでしょう。

要は怪しい密造酒などに手を出さないこと、お酒は飲み過ぎないことが大事なのです。

今回のまとめ

・消毒液とお酒は似て非なるもの
・エチルは胃散る
・メチルは目散る

消毒液に含まれているエタノールもお酒に含まれているエタノールも成分は一緒ですが、消毒液の中には人体に有害なものが含まれていたり、メタノールのような致命的に危険な物質が含まれているものもあるので、飲料用ではないアルコールは飲まない。これはもう鉄則と言えるでしょう。

エチルアルコールは胃散る、メチルアルコールは目散るなんて言葉を聞いたことがある方も多いとは思います。特にメタノールには注意するようにしよう!

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