バーには霊(お化け)が集まりやすく、心霊現象が起こるという噂への考察

当サイト記事のリンクは一部に広告が含まれます。

目撃情報が噂されるバーでの心霊現象。夜な夜な繰り広げられるこの手の会話。はたしてそれは、真実なのでしょうか……。

皆さんは、「バーには幽霊が集まりやすい」なんて話を、どこかで聞いたことはないでしょうか? 私は聞かされる側だったので、じつはよくありました。

1日の営業も終盤にさしかかり、お客さんもぽつぽつと自宅に帰り始め、バーが開店前のような静けさを取り戻すと、誰からともなくそういった話を始めたり、突然、自称霊感持ちが出現したりもするのです。

時間も時間ですから、この手の話題は、バーでは地味に盛り上がったりもするのですが、そもそもの話、こういった噂はほんとうなのかというのは、以前から気になるところでもありました。

閉店後の片づけを一人でしないといけないバーテンダーを、恐怖のどん底におとしいれるこの話題を放っておくのは、精神衛生上よくありません。いまこそ、真相を究明する時は来たと思われるので、今回は「バーと霊の関係」について、考察してみたいと思います。

目次

バーに幽霊が出るとされる理由

幽霊の目撃情報や心霊体験、自称霊感持ちの出現など、なぜか定期的に話題にのぼるこの「バーと幽霊」。

この手の話題が心底苦手な私からすれば、フェイクや作り話でも勘弁してほしいかぎりなのですが、「火のない所に煙は立たぬ」のようなもので、そういった話が多いということには、おそらくそれなりの理由があるものと思われます。

まずは、バーには霊が出やすいとされる根拠について、いくつかの説を考察してみましょう。

1. バーで扱う酒が霊的なものと通じている説

バーで扱われているジン・ウォッカ・ラム・テキーラは、「スピリッツ」というカテゴリーに属し、「4大スピリッツ」と呼ばれていますが、大きく分類すると、ウイスキーやブランデー、焼酎といった蒸留酒も、「スピリッツ」というカテゴリーに属しています。

では、この「スピリッツ(spirits)」とはなんなのかというと、「心、精神」という意味のほかにも、「魂、霊魂、聖霊」という意味を持っている言葉で、これらの意味合いには、じつは上記のようなお酒が、スピリッツと呼ばれるようになった由来にも関係があるものなのです。

そもそも蒸留酒は、錬金術師によって生み出された偶然の産物。

人間に不老不死をあたえ、黄金をつくるための触媒となる物質(賢者の石、エリクサー)の生成を目的としていた錬金術師は、その過程で偶然生まれた液体を口にしたとき、燃えるように強いアルコールにおどろいたといいます。

そして、人の精神、魂をもたかぶらせ、肉体を目覚めさせるこの「火の酒」を、錬金術師は不老長寿の霊薬と信じ、「生命の水」と名づけたのです。

それゆえ、蒸留酒は、「スピリッツ」と名づけられたとも考えられています。

かつてはきわめて霊的な存在と信じられていたものが原型となったお酒。それが大量に置かれているバーは、それこそ、研究に身をささげた錬金術師たちのスピリット、さらには、それを霊薬と信じた人々のスピリットと、つながっている可能性はおおいにある、とも考えられるのではないでしょうか?

関連記事

錬金術師と蒸留酒、生命の水についての詳細
生命の水「アクアヴィテ」が意味するもの&ウイスキーの歴史や語源に迫る

2. 霊は水辺に集まる説

海や川、湖畔といった水辺での目撃情報が多発する霊魂。霊の出現場所でいえば、こういった「水」のあるところというのは、最もオーソドックスかもしれません。

それでは、なぜこのように、霊は水と深い関係があるとされているのでしょうか?

これは、霊は「渇き」を癒やすために水辺に集まるといった説や、死を目前にした者だけが見れる「三途の川」というものがあるとされるように、水辺には、現世と常世(とこよ:死後の世界)の境界線があるとも考えられているからです。

渇きを癒やすために集まった霊が、なにかの間違えによって、その境界線を越えてしまい、現世に戻ってきてしまう。そういったことが起きてしまう可能性が高いのが、この「水辺」という場所なのでしょう。

さらにいうと、私たちの体も大半が水でできていますし、この地球上に生命が誕生したのも地球に海があったから、つまり水があったからだといわれています。

水とはまさに生命であり、霊的な関わりが深い存在。そして、それを大量にストックしているのがバーです。この水こそが、霊をバーに引き寄せているのではないでしょうか?

イブスター店長
イブスター店長

大量の酒、大量の液体、大量の「生命の水」……

3. 合わせ鏡を通して霊が現れる説

鏡同士を合わせることによって、鏡のなかには無限の空間が広がり、そこが「霊道」、つまり霊の通り道となって霊が出現するという説があります。

ふつうのバーには、鏡なんてもの、トイレくらいにしかないでしょ? と、思われるかもしれません。しかし、あるのです。鏡の代わりになるものが、それも大量に……。

そう、お酒のボトルです。

お酒のボトルに手をかざしてするとよくわかるのですが、鏡ほど鮮明にはうつらないものの、光が反射すると、ボトルに手がうつります。しかも、液体で満たされている部分は、それがより鮮明にうつるのです!

バーにはボトルが数十本、数百本とならべて置かれていますから、「合わせ鏡+水」の相乗効果で、霊力の増大は必至。こんなものはまるで、水に吸い寄せられた霊に、好き放題、行き来できる通り道を提供しているようなものでしょう。

これは、かなりきな臭くなってきました……。

4. 丑三つ時に霊が現れる説

お店によってはお客さんも帰り始め、お店の営業もそろそろ終わりというまさにそのときに訪れる「丑三つ時(うしみつどき)」。これがいちばん危険かもしれません。

丑三つ時とは、「草木も眠る丑三つ時」という言葉があらわすように、不気味なほど静まりかえった真夜中の時間帯のことで、現在では、午前2時~2時半のあいだが丑三つ時にあたります。陰陽道でいうところの「鬼門(鬼が出る不吉な方角)」と深い関係があることから、不吉な時間帯(=霊が出やすい時間帯)とも考えられています。

日本に古来伝わる呪いの一種に、わら人形を神社の御神木に釘で突き刺し、トンカチで叩きまくる「丑の刻参り(うしのこくまいり)」というものがありますが、これがおこなわれる時間が「丑の刻(午前1時~3時ごろ)」であることからも、この時間帯は、霊の力が最も増大する時間だと、昔から考えられていたのでしょう。

バーテンダーが疲れ果てたところで霊力を増す幽霊。はたして、バーテンダーに太刀打ちするすべは、残されているのでしょうか……?

現場から見聞きした心霊現象からの考察

バーに霊が現れるという説は、このあたりが妥当なところで、これだけの理由があれば、たしかに現れてもおかしくはないとも考えられますが、結局はどれも、推測の域を出ない話ということもできます。

そこで、ここらでいったん代表的な説への考察は切り上げ、ここからは、私が現場で目撃、または耳にした事例についてご紹介しながら、検証を進めていきたいと思います。

今回は、2つの事例から、バーには霊が現れるのかを考察してみましょう。

(case1)とある経営者の話

これは、とあるバーの経営者が、新規出店のために内見をおこなっていたときの話です。

その経営者(Y氏とします)は、1店舗目として出したお店の経営が軌道に乗り始めたため、そろそろ次の店舗を出したいと考え、少しずつ店舗拡大に向けて動き始めていたのですが、そんな矢先、まるで待っていましたといわんばかりに、不動産業者からいい物件があるとの連絡が来たそうです。

くだんの物件は、家賃も安く、間取りも広くてよさそう。ただ、フロアがあるのが地下2階。Y氏はそのとき、なにやら嫌な予感がしたといいます。地下の物件に特有の圧迫感ではなく、受けたのは、別の嫌な感じでした。

しかし、見るだけならただですし、地下物件ということを除けばかなりいい物件でもあったことから、内見だけはしておこうと、約束を取りつけることにしたのです。

そして迎えた内見当日。不動産業者の案内で地下へと続く階段を下りていくと、階段の途中で、Y氏はあるものを見つけました。

女性が描かれた絵画が、階段の途中に飾ってあったのです。

それを見たとき、背中につららが落ちてくるような寒気を感じ、Y氏は急に帰りたくなってしまったといいます。が、見るものも見ないで帰るのも業者に悪いと思い、手早く物件の間取りを確認することに。

店内は地下ということもあって重い空気が漂っていたそうですが、意外となにごとも起きません。Y氏は胸をなでおろし、急ぎ足で、もと来た道を引き返すように、階段をのぼっていきました。

しかしその帰り際、まさに地上への出口はすぐそこというところまで来たとき、Y氏はなにかを感じたのです。後ろに引っ張られるような力を。

そのまま地上に出てしまえばよかったのかもしれませんが、Y氏は、どうしてもそれを無視することができませんでした。気になったからというよりも、いつのまにか、無意識のうちに、振り返ってしまっていたのです。

経営者
とある経営者

そのときさ、動いたんだよね。階段に飾ってあった絵の、女の人の目が……。ギョロって、こっちを見たんだよね……

湊
ミナト

えぇ……

にわかには信じがたい話ですが、本人がそういうのであれば、そうなのかもしれません。Y氏は、バーで(正確にいうとバーに続く途中の階段で)霊を見たのです!

(case2)店内で霊を見たという女性

続いてこれは、実際に私が現場で心霊現象に遭遇した(?)ときの話です。

その日は営業も終盤にさしかかり、時刻はまもなく閉店となる、ちょうど丑三つ時。それまでにぎやかだったお店は静けさを取り戻し、店内にいるのは、私と、女性の常連のお客さん(レイカさん:仮名)だけでした。

当時、私は日中も別の仕事をしていて、帰宅して数時間後にはまた仕事と、なかなかハードな生活を送っていました。そのため、店を閉めたらぱっと帰れるようにしておかなければならず、レイカさんと話しながら、少しずつ片づけを進めていたのです。

この日、レイカさんは少し飲みすぎていていたようですが、この方は、酔っていても時間がきたらきちんと帰るしっかりとした方で、そろそろ帰ろうかなというそぶりを見せていました。

しかし突然、レイカさんの動きがビクッ!と止まったのです。なにごとかとよく見てみると、どうやら店の奥の一点を見つめているようでした。

女性客
とある女性客

あそこに誰かいる……

レイカさんは飲みすぎると、たまにおかしなことをいいだすクセがありましたが、それは誰だって飲みすぎると、そうなってしまうというものでしょう。

私は、ちょっと飲みすぎたんじゃないですか、などと適当なことをいって、その場に走った緊迫した空気を変えようとします。

女性客
とある女性客

ほんとだって、見て、あそこに……

これはきな臭い。

霊的なものが、丑の刻に突入したことで出現した可能性もゼロではないのかもしれませんが、現実的に考えられるのは(まずありえないことですが)、私もレイカさんも気づかないうちに、誰かがお店に入ってきていて、奥のほうに行ってしまった、という可能性でした。

誰か(人)ではなくても、どこからか小動物が迷い込んでしまった可能性だってあるでしょう。

これは、念のため確認しておかなければなりません。

いたってまじめな表情のレイカさんにはそのまま座っていてもらい、私はカウンターを出て、「なにかがいる」らしい店の奥のほうへと行きました。

鬼が出るか蛇が出るか。いや、霊が出るか、それ以上に危険かもしれない不審者が出るか。私は決死の覚悟で、その「一点」の場所へと歩を進めたのです。

すると……!

湊
ミナト

いや、なにもないですね

はたして彼女には、常人には見えないなにかが見えていたのでしょうか。それとも、やはりただ酔っていただけだったのでしょうか?

真実は、バーのうす暗さとともに、闇の中へと消えていったのです。

今回のまとめ&結論

・バーには霊が出やすいとする根拠はけっこうある
・現場で霊を見たという報告もけっこうある
・結論としては、霊感のない人間にわかるわけがないともいえる

これをいってしまえば、今回のはなんだったのか、という話にもなってしまうのですが、そもそも霊の存在が不明である以上、霊が出るかどうかなどというのは誰にもわからず、そして私の霊能力がゼロである以上、結論の出しようがありません。

ただ、私がいつも大切にしている、「実際に自分が見聞きし、感じたことこそがまぎれもない事実」という方針を基準に考えると、(case1)のY氏からは、完全に私をおどかして楽しんでいる感を感じ、(case2)のレイカさんは、その前からの言動や飲酒量からして、やはり酔っていただけの可能性が高いと判断。

したがって、少なくとも今回の話だけでいえば、バーでの心霊現象や、この手の話というのは、基本的にはバーテンダーやお客さんを怖がらせるためのものであって、だいたいはガセの可能性が高い、と結論づけることができるのではないかと思います。

ほかにも考えられる説や、より信憑性の高い目撃情報はまだありますが、「霊の話をしていると霊が集まってくる」ともよくいうように、これ以上くわしく踏み込んでしまうと、私の身が危険にさらされてしまう可能性も出てくるので、今回はこのへんでやめておきたいと思います。

いるかいないかはわかりませんが、あまりなめてかかっていると、痛すぎるしっぺ返しをくらうこともあります。お化けには気をつけるようにしましょう。

スポンサーリンク

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント(確認後に反映/少々お時間をいただきます)

コメントする

目次