私は以前、入居していたマンションの上階住民から、足音による精神的苦痛を受けていました。
管理会社に何度も相談するなど、その被害がどれだけのものかを訴えつづけてきました。
が、この騒音トラブルは、じつは「ある問題」をかかえています。
でもそれってあなたの感想ですよね?
なんかそういうデータあるんですか?
そう、被害はあくまで自身の「体感」でしかなく、そのやばさは、なかなか人には理解してもらえないのです。
しかし、この問題を解決する手段として「騒音計」というものがあり、これを使って記録をのこしておけば、
- 管理会社も被害を把握しやすい
- 個人の「体感」ではなく「騒音」だと証明できる
- 訴訟になった場合に証拠として使える
などなど、役に立つことばかり。
そんなわけでこの記事では、騒音トラブル対策としてすぐにできてオススメできる、「騒音計で足音を測る」方法をご紹介します。
騒音は客観的に判断できる「証拠」を残せ
以前、音の専門家によって書かれた『マンションの「音のトラブル」を解決する本』という書籍をご紹介しました。
そのなかに書かれていたのが、騒音被害にあったときの対策としての「証拠の確保」。
「騒音計」を入手してエビデンス(証拠)を残せ。
隣人が出す音がうるさいというのは、あくまでも主観的なもの。
しかし、客観的に判断できる数字をのこしておけば、苦情をいうときに役に立つ(話が伝わりやすくなる)ことがあるのです。
この騒音計は、ネットでも購入することができますが、市区町村の役所で貸し出されていることもあり、1~2週間くらいは無料でレンタルすることもできます。
そんなわけで、私は役所に行き、これを借りてくることにしました。
ちなみに私が感じていた上階の足音は、耳栓をして寝ていても目が覚めるレベルで、完全に常軌を逸していました。体感といってしまえばそれまでですが……。
騒音の判定基準(db:デシベル)と生活音の実測値
役所で騒音計のレンタルをおこなっているかは、ホームページや電話で確認できます。
私はHPで確認したあとに電話で問い合わせ、空いているものを確保しておいてもらいました。
そしてとうとう入手した、悪を滅する武器、それがこちらです!
こちらは音響機器を専門に開発・販売している「リオン」という会社の騒音計。
レンタルしてきたものは古いタイプでしたが、1台で20万円近くもするかなりの高級品。
箱の中には役所が作成した「騒音の基準一覧表」も入っていました。
階層などで基準はわけられていますが、一般的な住宅は「45~50db(デシベル)」を超える音が聞こえてくると騒音だと判定できるようです。
そして「60db」超えは、もはや無視できないレベルだと。
まずは身のまわりの生活音を計測してみた
さすがの私も、もう容赦せんぞ……
と、いきたいところでしたが、上階の住民の足音は「朝と夜中」に過激化する傾向が。
それまでには時間があり、使い方もまだだったので、まずはためしに、身のまわりの生活音を計測してみることにしました。
騒音計には、いくつかの「特性」とよばれる計測のタイプがあり、以下のように分類されています。
- A特性
人間が聞こえる音の大きさにもっとも近くなるように補正がかけられたもの。
- C特性
比較的平坦な周波数を測定するもので、もともとは大きい音の感じ方として作られたものだそう。
- Z特性(F特性)
補正はかけずに平坦な周波数を測定するもので、以前はFLAT特性ともよばれていた。
役所の人からも「A特性」がわかりやすいといわれていたので、身のまわりの生活音は、このA特性で計測することにしました。
一覧にまとめておいたので、これを見ながら、ヤツが帰ってくるのを待つとしましょう。
生活音 | デシベル(db) |
---|---|
TVの音(音量12~15) | 50~60db |
洗濯機(洗濯中/脱水) | 55~58db/63~69db |
換気扇(真下) | 65db |
ベランダ窓の開け閉め | 65~75db |
玄関ドアの閉まる音 | 75db前後 |
カーテンのシャッ!音 | 76db |
掃除機(30cm~1m/至近距離) | 77db/84db |
電気シェーバー(至近距離) | 78db |
トイレ(洗浄/ふた閉め・真上から) | 78db/83db |
ドライヤー(30cm/至近距離) | 79db/90db |
音量の最大値を計測するため、玄関ドアやトイレのふたなどは、最大までひらいたところから自然に閉まる音を計測しました。
そのため、じっさいの(私の)生活音よりも大きい数値がでているものもありますが、このデータで重要なことに気がつきます。
判定基準の「45~60db」と、自分で出している音の実測値の大きな差から、自分が出している音はそれほど気にはならないことも多い、ということです。
「自分は気にならない」
もしかすると、これこそが、騒音トラブルのもっともな原因なのかもしれません。
おっと、そんなことをしているうちに、ヤツが帰ってきたようです……。
悪滅!上階の足音を騒音計で計測してみた!
帰ってきたな、悪魔め……
夜中の2時、上階の住民が帰ってきました(それすらも玄関ドアを閉める音でわかる)。
しかしここで、とんでもない問題が発生します。
ちょうど数日まえ、管理会社に被害を相談していたこともあり、上階の住民はふだんよりも静かになってしまっていたのです!
相変わらず間のわるいヤローだな、ミナト……
前々日、前日と 「天井を突き破ってそのまま落ちてくるのではないか」と思われるほどの足音を立てていた上階民。
それでもいちおう「60db」までは確認できましたが、悪魔のフルパワーでは、「70db」は余裕で出ていたと私は思っています。
わりと重たい騒音計を、天井に向けながら足音が鳴るのを待機するのはけっこう大変で、なんだか「釣り」をしているような気分でした。
ダメだと思って電源をオフにした直後に足音がしたりと……。
とはいえ、「60db」はあきらかに騒音だといえますし、あとになってこの数値も管理会社に報告できたので、騒音計は借りておいてよかったと思っています。
なお、べつの部屋の音や振動は「A特性」ではうまく計測できず、「C特性」のほうでできました。
騒音計を購入する場合は、複数の特性に対応しているものをおすすめします。
記録機能付きだとより証拠としてのこしやすくなるので、そういった機能もあるものがおすすめですよ。
今回のまとめ
- 騒音はあくまで主観なので数値として出す必要がある
- 騒音計は無料でレンタルもできるのでまずは役所に聞いてみよう
- 購入する場合は複数の特性に対応しているものがおすすめ
がまんしていた期間もふくめ、1~2年ほど私はこの騒音トラブルに悩まされていました。
しかしこれが、客観的にみて「騒音」だと証明されたことの意義は、やはり大きかったと思います。
最終的に「引っ越す」という選択を私はとりましたが、管理会社や大家さんにも報告したこの騒音データは、今後の役にもきっと立ってくれることでしょう。
また結局のところ騒音トラブルは、「逃げるが勝ち」となってしまいます。
けれども、なにもしないでがまんしつづけるよりかはいいのは間違いありません。
まだデータがそろっていないのなら、ぜひ計測してみてください。そしてそれをもとに、管理会社や大家さんに相談してみてください。
徹底的に戦うことにするのなら、この「証拠」は、かならずや悪を追いつめる武器となってくれることでしょう!
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