【MTB】とり村見学はいよいよ鳥と出会う後半パート「ミートザバード」へ

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とり村見学は、いよいよ後半パートの鳥たちとの対面へ。はたして、鳥たちにとっての新しい家族は現れるのでしょうか。

飼い主のやむをえない理由などによって保護された鳥たちが暮らす保護施設であり、鳥たちが新たな里親を待つ家でもある「とり村」。

私はちょっとした理由からここに行く機会があり、見学前編となる前回は、とり村の1階でおこなわれた前半パート、里親になるための「里親説明会」までをお話ししたのですが、今回はいよいよ鳥たちがいる2階にあがっていき、実際に鳥たちと出会う後半パートの、「ミートザバード(MTB)」というプログラムへ。

そこでは、いったいどんな鳥たちが暮らしていたのでしょうか。私たちが鳥たちと出会うのと同様に、鳥たちも新しい家族と出会うことはできたのでしょうか。そして、私が出会った「ある一羽の鳥さん」とは……?

とり村の見学は、いよいよ後編に突入です。

(注:鳥さんの引き取りには費用がかかり、その目安にもなるので、鳥さんたちのだいたいの市場価格もあわせてご紹介しています)
目次

(見学後編)MTB:Meet The Bird

とり村のバードラン兼里親説明会の会場

里親説明会では、とり村を運営する認定NPO法人「TSUBASA」が設けている里親制度、里親になるまでの流れ、「TSUBASA」が大切にしている鳥さんたちへの考え方である「鳥の十戒」などの説明があり、これは40分ほどで終了。

とり村のグッズ販売エリア

説明会を終えてからは、鳥の餌などが販売されている通路を戻り、鳥さんたちがいる2階にあがっていきます。

ちなみに、とり村は1階がおもに里親相談スペースや説明会の会場、2階が鳥さんたちが暮らしているスペースとなっていて、2階にあがる前には、鳥さんたちへの感染症防止のため、靴の底を消毒する必要があります。

消毒液でひたした布を踏んでからあがっていくので、靴は底がぬれても大丈夫なものを用意してくるといいと思いますよ。

ケージの中に入っているとり村の鳥

そして2階の入り口をくぐると、ついに「MTB(ミートザバード)」の会場へ!

「MTB」の会場では、鳥さんがそれぞれケージの中に入っているので、外から鳥さんをながめることができます。

ケージに付いている鳥の説明カード

ケージには鳥さんの名前、性別、年齢、治療歴や、性格などが書いてあるカードがそれぞれ付いていて、ケージの中の鳥さんが、どんな鳥さんなのかがわかるようになっています。

とり村のヨウム

それでは、ここからは、私が出会った鳥さんたちの一部をご紹介していきます。こちらは最初に出会ったヨウムさんです。

ヨウムは2017年、国内外の野生動植物を守るために制定された「種の保存法」に基づいて、「国際希少野生動植物種」という種類に指定されることになりました。

これにより、ペットホテルに預ける場合や病院での入院、人に譲渡する場合は環境省に申請することでもらえる登録証が必要となることになったのですが、「MTB」に出ているヨウムさんはすべて登録済みなので、そこは安心です。

興味を示すとり村のヨウム

アフリカ原産で、50年以上生きるというヨウムは、人の言葉をまねる賢さを持ち、世界中で人気のある大型のインコ。こちらに興味を示していました。

法律で指定された2017年以降は、値段は上昇傾向にあり、市場価格はだいたい30万~50万円となっています。

とり村のモモイロインコ

こちらはモモイロインコさん。

オーストラリア原産のモモイロインコは、インコという名がつけられていますが、じつはオウムの仲間。あざやかな赤系統の毛色が特徴的。

平均寿命は約40年で、市場価格はだいたい30万~40万円となっています。

とり村のワカケホンセイインコ

こちらはワカケホンセイインコさん。

インドやスリランカ原産のワカケホンセイインコは、ペットとして飼われていたものが野生化する現象が、日本を含む世界各地で報告されている鳥さんで、このインコさんも、保健所で保護されたことがきっかけでとり村に来たそうです。

帽子をかぶっているような姿がなかなかクール。

平均寿命は25~30年で、市場価格は2万~3万円となっています。

とり村のオオバタン

こちらはオオバタンさん。

インドネシア原産のオオバタンは、ワシントン条約によって国際取引が禁止されている絶滅危惧種で、鳴き声が大きいことで知られる大型のオウム。このオウムさんも、鳴き声による近隣トラブルでとり村に引き取られたそうです。

平均寿命は40~60年で、市場価格はだいたい60万~70万円からとなっています。

とり村のオカメインコ

こちらはオカメインコさんたち。

オカメインコはオーストラリア原産で、こちらもインコという名がつけられていますが、じつはオウムの仲間。(基本的には、頭についている「冠羽:かんう」という飾り羽があるのがオウムで、ないのがインコ

このオカメインコさんたちは、ひと家族から一斉引き取りされたそうです。

平均寿命は15年前後で、市場価格はだいたい1.5万~3万円となっています。

とり村の放鳥スペース

続いて、奥のスペースに移動します。

こちらはとり村の放鳥スペースで、晴れの日は日光浴をしたり、雨の日は水浴びをしたりと、鳥たちがそれぞれ自由に過ごしているそう。こちらにも「MTB」に参加している鳥さんたちがいたので、引き続きご紹介していきます。

とり村のヨウム

こちらはふたたびヨウムさん(2羽目)。

ケージの中でアクロバティックに遊んでいました。

とり村のクルマサカオウム

こちらはクルマサカオウムさん。

オーストラリア原産のクルマサカオウムは、こちらも鳴き声が大きいことで知られていますが、特徴的な淡いピンク色の毛色から、「世界一美しいオウム」とも呼ばれています。

飼育下では世界一長生きしたオウムとしても知られ、アメリカ・シカゴのブルックフィールド動物園で、83歳まで生きた「クッキー」さんが有名。

しかし、繁殖がむずかしいことから、値段は非常に高額になる傾向があり、平均寿命は約40年ですが、市場価格はだいたい100万円前後からとなっています。

とり村のキバタン

こちらはコバタンさん。

インドネシア原産のコバタンもワシントン条約に指定されているオウムで、鳴き声は大きい鳥さんです。オウムは基本的に、鳴き声が大きいと考えておけば間違いはないかもしれません。白と黄色のコントラストが特徴的。

平均寿命は40年以上で、市場価格はだいたい40万~60万円前後となっています。

男性には興味がないコバタン

ちなみに、このコバタンさんは男性はあまり好きではないそうで、私はスルーされました。この無関心な顔よ。

とり村のモモイロインコ

ふたたびモモイロインコさん(2羽目)。

こちらのオウムさんも女性が大好きな男の子。

とり村のヨウム

そしてラストにヨウムさん(3羽目)。

ヨウムさんは毛並みがよく、ウロコのようになっていて格好いいですね。

ほかにも中型の鳥さんなどもたくさんいたのですが、「MTB」に参加していた鳥さんのご紹介は、このへんまでにしておきたいと思います。ほかにも鳥さんを見たい場合は、「TSUBASA」HPの「MTB参加鳥一覧」からも見ることができるので、気になる方はぜひ見てみてください。

ヨウムが仲間になりたそうにこちらを見ている

ひととおりの鳥たちと出会うことができたので、このあたりで私は一度外に出ようかと思い、「MTB」会場の入り口に向かって歩いていきました。

すると、最初に出会ったヨウムさんが、なにかをいいたそうにこちらを見ていたのです。

そしてこのとき、私のなかに眠るアニマルセンスは、ふたたび鳥の声を聞いたような気がしました。

とり村のヨウム

ヨウム
ヨウム

待てよ、ミナト……。鳥に選ばれし男……

湊
ミナト

…………

ヨウム
ヨウム

いっしょに帰らないか……?「おれたち」の家に……

湊
ミナト

こ、これは…………仮登録だ!

ヨウムの里親(引き取り)仮登録と質問内容

私が鳥の声を聞いたとかいう話はさておいても、「MTB」会場でこちらに強く興味を示していたことが決め手となって、私の母はこのヨウムさんを引き取りたいと思ったらしく、実際に仮登録に進むことになりました。

仮登録は1階の相談スペースでおこなわれ、おもに以下の項目についての質問がありました。

  1. 本人の持病のあるなし
  2. 居住環境
  3. 病院に通院できるかどうか
  4. 引き取り費用

1. 本人の持病あるなし

本人に持病がある、とくに呼吸器に疾患がある場合は、大型の鳥さんを飼うのはむずかしいケースもあるそうです。

鳥の体からは「脂粉」という、羽や脂からなる白い粉が出ます。ヨウムの場合は、この脂粉が、オカメインコなどの小型の比ではないほど出るらしく、これを吸い続けることによって、飼い主がアレルギー反応を発症することもあるからです。とくに高齢者がヨウムを手放すのは、このケースが非常に多いといいます。

ヨウムの脂粉がどれくらい出るのかというと、空気清浄機を置いておくと、数日間でフィルターが真っ白になるほどと聞きました。

したがって、ヨウムを引き取る場合は、とくに呼吸器には問題がないか、そしてできれば、2台は空気清浄機を設置することが望ましいそうです。

2. 居住環境

居住環境に関しては、つねに鳥のまわりには人がいるのか、集合住宅の場合は貸主の許可を取れるのか、一軒家でも周辺の住民とトラブルにならないか、などの鳥が暮らす環境についてでした。

先ほどもご紹介したように、実際に鳴き声が原因で手放された鳥もとり村にいるように、鳴き声の近隣トラブルから手放される鳥たちも多いそうです。

鳴き声に関しては、とくにオウムが大変だそうで、飼い主がいなくなることでの「呼び鳴き」や、朝や夕方に多い「絶叫」の習性がトラブルをまねくことが多く、居住環境によっては、引き取りはむずかしい場合もあるそうです。

ただし、ヨウムは大型の鳥のなかではあまり声は大きくないそうで、実際に私が見ていたときも、3羽ともヨウムは鳴いたりはしていませんでした。

3. 病院に通院できるかどうか

大型の鳥の場合は、病気などの通院だけでも1回1万円など、けっこうな金額になることも多く、引き取ってもらったあとも、できれば年に1回は健康診断に行ってもらいたいとのことでした。

この質問では、動物病院での定期的な健康診断や、病気になった場合は、通院の費用をまかなうことはできるか、ということを聞かれました。

4. 引き取り費用

最後に、とり村での引き取りにかかる費用ですが、ヨウムの場合は、25万円~の費用が発生することになっています。

これに関しては前回お話ししたとおり、とり村に残る鳥たちの生活費や、施設の運営費用などにあてられるもので、金額はけっして安くはありません。しかし、引き取るとなれば、餌代や遊べるおもちゃ代、病気をした際の通院などによって、将来的にその何倍もの金額が必要になるといいます。

これは、引き取り費用以上の金額が今後かかることになりますが、それでも大丈夫ですか? という質問でした。

そしてすべての質問を終え、こちらに問題がなければ「TSUBASA」側で審査をおこない、審査がとおった場合は後日連絡をいただけるということで、今回のとり村見学は終了となったのです。

とり村見学を終えて

今回とり村での里親説明会で、「MTB」会場で、そして仮登録で「TSUBASA」スタッフの話を聞くことができ、彼らの鳥の幸せを第一に考える姿勢に、私は胸を打たれました。

「引き取ってもらえればそれでいい」

そんな考えを持っている人は誰一人として存在せず、スタッフの皆さんが、「鳥を幸せにしてくれる人に、そして鳥とともに幸せになってくれる人に引き取ってもらいたい」という信念を持っていることが、はっきりと伝わってきたのです。

モラルに欠けるペットショップなどでは、「世話は簡単ですよ、大きな声では鳴かないですよ、散歩は必要ないですよ」などと、動物を売ったあとのことは知らんとばかりに愛らしい動物をその手にぶらさげ、購入をたきつけるような、無責任な発言ばかりをする人もいることは事実です。

しかし、「TSUBASA」はそうではありませんでした。

鳥の餌代や、空調費用、送迎に使用する車のガソリン代だってそう。余裕があるはずがないのです。それでも、運営が苦しかったとしても、鳥のためにという信念は曲げない。

鳥を引き取るための条件がきびしいのは、すべて、鳥たちのことを想っているからこそなのです。

そして、「MTB」に参加している鳥たちのなかには、人に対して強い警戒心を持っている鳥や、精神的なストレスから、みずから毛を抜いてしまう鳥もいました。

飼い主に手放されたことで心に深い傷を負っている鳥や、自分を手放した人間に対して、強い不信感を抱いている鳥も少なからずいたと思うのです。

そこで、私は見学の途中から、自分にもなにかできることはないだろうか、と考えるようになりました。

前回お話ししたとおり、私がとり村を訪れたのは、とくになにも考えず、ただ里親を希望していた母についてきただけでした。けれど、「TSUBASA」スタッフの真摯な姿勢と、保護された鳥たちを見ていて、微力ながら、自分にもなにか協力できることはないかと思ったのです。

説明会では、「TSUBASA」のスタッフがこのようにおっしゃっていました。

「ご友人や、お知り合いなどに、ぜひTSUBASAの存在を広めてほしい」

いまの私にできることは、こうして自身が持っているブログで、一人でも多くの人に、私が見てきたものを伝えることしかできません。今回こうして、見学会で見てきたもの、感じたことを書いているのは、じつはそういった理由があったからなのです。

また、これで最後になりますが、「TSUBASA」には、社会全体が動物愛護に関心を持てる世の中になるよう、動物を取り巻く環境を変えていきたいという想いもあるといいます。

動物の命を預かるということは、それ相応の責任がともなうこと。一人でも多くの人が、動物を飼う前に責任を果たせるかをしっかりと考え、動物にとって最善の暮らしを提供してあげられる世の中になってほしいと、この見学会をとおして私も思いました。

とり村見学での報告は、以上となります。

認定NPO法人TSUBASAのホームページからは、里親説明会の申し込みやイベントの参加、バードランの会員登録などもおこなうことができます。興味のある方は、ぜひのぞいてみてください

(後日談)ヨウムの里親が無事決定しました

里親として引き取ったヨウム

(先祖の墓参りに同行したヨウムさん)

仮登録から約2週間後、「TSUBASA」から審査通過の連絡があり、里親を希望していたのは私の母でしたが、できれば別居している家族もいっしょに来てもらいたいとのことだったので、私もふたたび「とり村」へ。

2次面会では、仮登録であった話の再確認や、今後の説明などがあり、ここでも問題はなかったことから、そのままホームステイの準備が開始。ケージなどの用意がととのったところで、母はもう一度とり村へ行き、ホームステイが始まりました。

そしてホームステイ期間中も問題はなく、無事にヨウムさんの里親が決定。現在とり村にいたヨウムさんは、私の実家で暮らしています。

とくにとり村でそういった話はありませんでしたが、寿命の長いヨウムさんの面倒を母がみられなくなることがあれば、そのときは、私がヨウムさんの世話を引き受けることになっているので、彼もひと安心でしょう。

私もときどき実家に帰り、ヨウムさんと「Meet The Bird」をしています。

ヨウム
ヨウム

集え、とり村へ……。鳥に選ばれし者たち……

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