ワインやウイスキーのコルク栓が途中で折れてしまった、ボトルの中に落ちてしまった、という場合の救出方法を伝授します。
ワインを飲もうと思ってコルク栓を抜こうとしたら、途中で折れたり、ちぎれたり、割れたり(崩れて壊れたり)してしまった。ウイスキーを開けようとしたら、やはり同じく、いきなりコルク栓が折れた。
コルクは自然由来のものなので、こういったことは、いろんなボトルを開けていればいずれは起きてしまうことですし、とくに、初めてこの状況におちいると、本気であせってしまうと思います。
ただ、安心してください。ウイスキーでもワインでも、口元で折れたコルク栓は、じつは簡単に取り出すことができるのです。
しかも用意する道具も、だいたいお家にあるものだけ。方法さえ知ってしまえば、だれでも簡単にできることなので、今回はそんな、ワインやウイスキーのコルクが折れたときの抜き方(救出方法)を、予防対策とあわせてご紹介しましょう。
ワインやウイスキーのコルクが折れる原因
コルクが折れたらどうすればいいのかという話を始める前に、コルクが折れたり割れたりしてしまう理由を、事前にできる対策といっしょに確認しておきましょう。折れてしまってからではすでに遅いのですが、ボトルを開けるさいに、コルクが折れないように工夫することもできるのです。
コルクというものは、柔軟性や弾力性にとみ、密封性にすぐれた性質がありますが、天然素材からつくられたものなので、ひとつひとつがまったく同じものではなく、つくられた年代によっては、コルクの品質にばらつきがあるということもあります。
そんなコルク栓が折れる理由は、おもに以下の4つです。
- コルクの経年劣化
- コルクが乾燥している
- 開栓時に圧力がかかる
- 糖分がコルクに染み込んでいる
1. コルクの経年劣化(ボロボロ)
コルクは天然素材を原料とした自然のものなので、長い時間がたてば、当然劣化することもありえます。
そんなとき、経年劣化によってコルクのどこかに小さなヒビが入っていたり、もろくなっていたりすると、コルク栓をひねったさいに、ボロッと折れてしまうのです。
これは、どうしてもふせげない部分もあるので、ある程度はしかたがないと思っていたほうがいいかもしれません。
2. コルクが乾燥している(カピカピ)
とくにウイスキーなどのボトルの場合は、箱に入れられて縦置きで保管されていることが多いと思うのですが、この状態で長く置かれていると、コルク栓が乾燥してかたくなってしまうことがあります。
これによってなにが起こるのかというと、コルク栓をひねっても動かなくなってしまい、まるでコルクが、ボトルの口にガッチリとHOLDされているようになってしまうのです。この状態で力まかせにコルク栓をひねると、ボロッと折れてしまうと。
そこで、乾燥したコルクの対策ですが、ボトルを横に寝かせてコルク栓を中の液体で湿らせると、乾燥したコルクがやわらかくなったり、すべりがよくなったりすることがあります。
ボトルを縦置きにしようが横置きにしようがコルクは乾燥しない、という説もありますが、開栓前はやっておくに越したことはないと思いますよ。
3. 開栓時に圧力がかかる(キリキリ)
ウイスキーやワインのボトルはコルク栓によって密封されていますが、コルク栓を引き抜こうとすると、引き抜く方向とは逆の方向の(戻そうとする)圧力がコルクにかかるため、とくにワインのボトルなどは、途中まではうまくいっていたのに最後の最後でコルクが折れた、なんてことも起こったりします。
これへの対策ですが、ウイスキーの場合は、さきほどの乾燥対策と同様にボトルを横にして、コルク栓の部分をやさしくグリグリと左右にずらし、コルクをずらして空気をボトル内に送り込みます。ワインの場合は、オープナーのスクリューをコルクにすこし貫通させてから引き抜くようにします。
こうすることによって、「プシュー」とボトル内に空気が送り込まれ、圧を逃がすことができるのです。
4. 糖分がコルクに染み込んでいる(ベタベタ)
コルクは密封性にすぐれていますが、経年劣化でコルクが収縮したり、弾力性が低下したりすると、ウイスキーやワインの持つ水分が、コルクをすり抜けられるようになってしまって、液体が蒸発(揮発)することもあります。
それと同様に、ワインやウイスキーに含まれる糖質の成分がコルクに染み込んでしまうことがあり、糖分がコルクに染み込むと、ベタベタした糖分がかたまって、コルクがボトルの口にガッチリと張り付いてしまうことがあるのです。
これへの対策は、ぬらしたタオルや蒸したタオルでボトルの口をつつんで蒸らし、コルク栓をあたためていくと、バリバリにかたまった糖分がやわらかくなり、コルクの張り付きが緩和されることがあります。
コルクの見た目があやしいときは、ぜひ試してみてください。
折れたコルクの抜き方&取り出し方
このように、ボトルを開ける前にちょっとしたひと工夫をすることで、コルクを折れにくくすることができるのですが、すでにコルクが折れてしまった、これらの対策を打ったけれどコルクが折れてしまった、という場合は、一刻も早く折れたコルクを救出しなければなりません。
では、具体的にはどうすればいいのか? という方法をここからは見ていきましょう。
今回は、ウイスキーのボトルで折れたコルクを取り出すことにしますが、まずは用意するものがあります。それがこちら!
だいたいはお家にあるであろう、アイスピックが1本あればOKです。
アイスピックは、あると自宅できれいな氷をつくることもできるので、ないという方は、このさいに購入しておくといいかもしれません。
また、これは内緒にしておきたいことでもあるのですが、アイスピックは山忠のものがおすすめですよ。
アイスピックはロングタイプだとなおよしだ
それでは、物が用意できたところで、さっそく作業に取りかかりましょう!
きれいな氷の作り方はこちら
→【タッパーで作る】お家でも簡単にできる透明な氷と高純度の丸氷の作り方
コルクがかたくて頑丈な場合
まずは折れたコルクがかたくて頑丈な場合から。この場合、このように折れた瓶口のコルクに、できるだけ深く、ななめにアイスピックを刺します。
コルクがかたく、アイスピックが刺さるようであれば、コルクを中から引きずり出すようにしてアイスピックに力を入れ、すこし動いたら、いちどアイスピックを抜いて刺す場所を変え、同じようにしてコルクを引き上げていきます。
なお、このときのポイントは、同じ場所で一気に引っ張りあげようとすると、コルクがくずれてしまう可能性があるので、アイスピックで刺す場所をすこしずつ変えていくこと、やたらめったらいろんなところを刺さないこと、の2点です。
うまくいけば、刺して動かしてを2~3回ほどくりかえせば、スポン!とコルクが抜けますよ。
コルクがもろくなっている場合
このように、コルクにアイスピックが刺さる場合は、あせらずにやれば簡単にコルクは取り出せるのですが、問題となるのは、コルクの劣化などによって、アイスピックを刺すと、コルクがボロボロとくずれてしまう場合です。
こういった場合は、上記の方法ではうまくいかないことも多いので、つぎの方法に移行しましょう。
アイスピックで刺すとコルクがくずれてしまう場合、以下の状況によって、取る対策は変わってきます。
- コルクはもろいが、瓶口で固定されている
- コルクはもろく、固定も弱い
①のコルクが瓶口で固定されている場合、コルクが動かないのであれば、瓶口にはまっているコルクを上のほうから少しずつアイスピックでけずっていき、あとちょっとのところまできたらアイスピックをななめに刺し、コルクを引き上げるようにして力を入れると、いっきに取れる場合もあります。
ただし、引き上げるのが無理そうな場合は、被害(お酒にコルク片が混じる)を最小限に抑えるために、ボトルの中にあえてコルクを落として救出しましょう。
②の固定が弱い場合も同様に、ふれた瞬間に落ちてしまいそうな場合は、へたにいじってコルクの破片がボトルの中に飛び散る前に、あえてボトルの中に落として救出したほうが無難です。
ボトルの中に落ちたコルクを取り出す方法
では、ここからは、コルクがボトルの中に落ちてしまった、被害を抑えるためにボトルの中にコルクを落とした、という場合の取り出し方について見ていきましょう。
この状況になると、用意する道具がすこし増えます。使用するアイテムは以下のとおり。
- お酒を一時的に入れ替えるための容器
- 繊維が飛び散りにくい布
- じょうご(なくてもできます)
- こし器(あればでOK)
全部キレイで乾燥しているものを使うようにしてくれ
これらの道具を使って、ボトルの中に落ちたコルクを取る方法とその手順は、以下のとおりです。
手順1:お酒を移し替える
まずはボトルの中にプカプカとコルクを浮かせたまま、中のお酒をべつの容器に移し替えます。このとき、じょうごがあると作業がすこし楽になるので、あれば使ってみてください。
移し替える容器は清潔なものを使用し、お酒を移し終えたら、コルクの破片がないかを確認し、上からラップなどをかけて置いておきます。
手順2:ボトル内に布をたらして引き抜く
つぎに、繊維が飛び散りにくい清潔な布を、ボトルの中にできるだけ深く入れてたらしたら、そのままボトルを逆さにし、落ちたコルクを瓶口のほうに転がして、布の上に乗っけます。
それができたら、あとはいっきに布を引き抜くだけ!
布を引き抜くのといっしょに、コルクもスポン!と抜ける場合もありますが、ボトルの中に落ちたコルクが大きかったり、かたかったりすると、瓶口までしか出てこない場合もあります。
その場合は、最初のやり方と同様に、アイスピックで刺して、瓶口にはまっているコルクを引き上げていけばOK!
これにて、コルクの救出は完了です。
手順3:お酒でボトル内を洗浄する
コルクが取れたら、ボトルの中に落ちたコルクの破片がないかを確認し、破片が残っている場合は、移し替えたお酒をすこしボトルにもどして洗浄します。
洗浄に使用したお酒は、捨ててしまうのももったいないので、そのまま飲んでしまうかしてしまいましょう。
手順4:お酒をボトルにもどす
最後に、あればじょうごを使って、ボトルの中にお酒をもどします。
ふたは新しいコルク栓が必要になるので、こういうときのために、ウイスキーやワインのコルク栓は捨てずにストックしておくと便利ですよ(ワインのコルクは刃物などでけずればウイスキーのコルク栓の代用品として使えます)。
以上、折れたコルクの取り方でした。
ところで、そもそもワインをうまく開けられない、移し替えられないときはどうすればいいんだ?
(救出ex)便利アイテムを活用してみよう!
とくにワインの場合、ソムリエナイフのスクリューが、変にコルクの端のほうに入ってしまうことで割れてしまった、といった、単純なミスでコルクが折れることもあります。
自宅でひとりで飲む場合はいいですが、友人とのパーティや、大切な人とのお祝いなどのときにしくじってコルクが折れてしまうと、「もうワインなんか開けたくない!」となってしまいますよね。
せっかくの大切な時間に水を差すなんてことは、きっとワインも望んでいないでしょう。そこで、そんなトラブルが起きてしまわないように、ワインを簡単に開けたい場合はソムリエナイフにこだわらず、便利なアイテムの活用も検討してみてください。
スクリュープル(セルフ・プリング式)オープナー
スクリュープルは、石油採掘に使われていたボーリング技術と、NASAで開発された特殊コーティング技術から発明された「だれでも簡単に、そして最小限の力で」ワインを開けられる超すぐれもの。
使い方はひじょうに簡単で、スクリュープルを立てたワインの瓶口にセットしてスクリューを刺し、あとは時計周りにハンドルを回すだけで、コルクが自動的に引きあがってきます。その使いやすさは、「世界最速オープナー」としてギネス記録に認定されているほどのもの。
ワインのコルクを抜くさいに役立つことまちがいなしのスクリュープルは、簡単、スムーズ、失敗なし! 一家に一個置いておくのもいいでしょう!
ワイン好きな人へのプレゼントとしてもおすすめだ
二枚刃(プロング)式オープナー
二枚刃式オープナーは、コルクをはさんで抜栓するタイプのワインオープナーで、コルクに穴を開ける必要がないため、コルクの破片が出にくいという特徴があります。
とくにコルクがもろくなっていることが多い、ヴィンテージもののワインを開封するさいにおすすめのオープナーですが、樹脂製コルク(プラスチックからつくられるコルク)に使用すると、ボトルの口が割れてしまう危険性があるため、取り扱いには注意が必要でもあります。
使い方は、ボトルを立てた状態で長いほう、つづいて短いほうの刃をコルクの両サイドにグリグリと刺し込んでいき、奥まで刃が入ったら、ハンドル部分を回転させながらコルクを引き抜いていけばOK!
ヴィンテージワインがお好きな方や、コルクを傷つけずに集めたい方におすすめの一品といえるでしょう。
失敗は避けたいヴィンテージワインを、長い眠りから覚醒させるためだけにつくられた、「ザ・デュランド」という、スクリューと二枚刃式が合体したコルク抜き(高級品)もあります。
いちおういっておくが武器ではないぞ
コルクリフター
コルクリフターは、ボトルの中に落ちてしまったコルクを、ボトルの中身を移し替えることなく、そのままの状態でも救出することができる便利アイテム。
ボトルを立てた状態でコルクリフターをボトルの中にたらすと、先端が鉤爪状になった3本のキャッチャーがコルクをキャッチ。中心部分についたリングを下げてそのまま引き上げれば、無事にコルクを救出することができるという仕組みになっています。
スパークリングやシャンパンといった、移し替えるのが不可能な発泡性のものや、ボトルの中身を移し替えている時間がない、移し替えるのが面倒、という方におすすめのアイテムです。
UFOキャッチャーみたいなものだ
ワインのオープナーやコルクの救出グッズにはさまざまなものがあるので、便利アイテムを活用して楽しくボトルを開け、お酒をたしなんでみてください。それでは、よいウイスキー&ワインライフを!
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