うさぎさんの毛は季節によってゴッソリと抜け落ちたりもするので、抜け毛を飲み込んでしまわないようにグルーミングをしてあげよう!
うさぎさんの体はいつもフサフサした毛で覆われていますが、一年中同じ毛が生えているというわけではなく、季節の変わり目などによって毛が生え変わったりもします。
特に、換毛期という大きな毛の生え変わりの時期になると、体から古い毛が大量に抜けるのですが、これを放っておくと、うさぎさんが自分自身の体を舐めて毛繕いをする際に抜けた毛を大量に飲み込んでしまい、最悪の場合では命に関わる事態になってしまうこともあるのです。
よって、普段から飼い主さんはうさぎさんにグルーミング(毛繕い)をしてあげる必要があるのですが、グルーミングはうさぎさんとのコミュニケーション手段の一つでもあり、やってあげると喜んだりもするので、今回はグルーミング(ブラッシング)の方法、そしてうさぎさんの体毛事情についてもご紹介したいと思います。
目次
うさぎの換毛期
私たちが季節に合わせて衣替えをするように、うさぎさんにも毛が生え変わる「換毛期」という時期があります。
元々厳しい自然環境の中で生きてきたうさぎさんたちの世界には、エアコンやヒーターといった便利なアイテムは存在しません。よって、夏は暑さを凌ぐため、冬は寒さを乗り越えるために自らの毛を生え変わらせ、夏は涼しい毛を、冬は暖かい毛をまとって外の温度変化に適応してきたのです。
そして、この温度変化が激しい夏と冬の季節に備えた、毛の生え変わる時期こそが換毛期で、ウサギの換毛期は主に、冬毛から夏毛へと変わる「春」と、夏毛から冬毛へと変わる「秋」の2回。
もう少し細かく分けると年に4回の換毛期があり、大体1~2週間で毛が生え変わるのが一般的とされていますが、室内飼いで一年を通してそこまで温度変化がない場合は、それ以下、もしくはほとんど換毛がないということも少なくはないとされています。
ちなみにイブスター店長の場合はやはり春と秋が一番毛が抜けますが、夏と冬、そして季節の変わり目以外にも少しずつ毛は抜けているので、ほとんど毎日のように抜け毛はあるように感じます。

換毛期の頃は毛色が変わったり、眉毛ができたような表情になることもあるぞ
グルーミング・ブラッシングの必要性
うさぎさんには換毛期があり、量の多い少ないはあるものの、年中毛が抜けることもある訳ですが、実はこの抜け毛を放っておくのはよくありません。
というのも、うさぎさんはとてもキレイ好きな生き物なので、毎日自分の体を舐めて毛繕いをしているのですが、特に換毛期の時期は抜け毛が多いため、体を舐めて毛繕いをする際に抜け毛も一緒に飲み込んでしまうからです。
特にうさぎさんの胃は深い袋のような構造になっているため、イヌやネコのように口から異物を吐き出すということができません。
通常であれば飲み込んだ異物はうんちと一緒に排泄されるのですが、換毛期に多くの抜け毛を飲み込んでしまい、そこにいくつかの条件が重なると「毛球症」という非常に危険な病気になってしまう可能性があるのです。
毛球症(胃腸うっ滞)
毛球症はうさぎさんの胃腸の働きの低下や、牧草などの繊維不足、ストレスや換毛期などの条件が重なることで発症する、うさぎさんの病気の中でも致死率が高いと言われる危険な病気です。
特に換毛期のうさぎさんは毛を生え変わらせることに多くのエネルギーを消費するため、換毛期は体力の消耗が大きいと一般的に言われているのですが、神経質なうさぎさんの場合はこの時期に毛繕いが増えることもあるため、飲み込んでしまった大量の抜け毛を体力の消耗も相まってうまく排泄できないままでいると、抜け毛が胃や腸に停滞して次第に毛玉となり胃腸の働きを止めてしまうのです。
そうなってしまうと胃腸にガスが溜まり、うさぎさんは激しい痛みもあってご飯を食べることができなくなってしまうのです。緊急性が高い場合は外科手術が必要となることもあります。
毛球症の予防には様々な方法がありますが、やはり基本となるのは日々のグルーミングで抜け毛を取り除いてあげること。グルーミングでうさぎさんを病気から守ってあげよう!
グルーミング・ブラッシングのやり方
うさぎさんにグルーミングをしてあげる方法はうさぎさんの毛の長さによって用意する物も少し変わってくるため、短毛種と長毛種によっても異なります。よって、ここからは短毛種と長毛種別に分けてグルーミングのやり方を見ていきたいと思います。
短毛種の場合に必要なグッズ
イブスター店長はミニレッキスという短毛種なのですが、ミニレッキスのグルーミングは物凄い楽です。ブラシが1本あればそれだけで十分だったりもします。
それではまず、グルーミングに必要な物から見ていこう!
ブラシ
グルーミングは抜け毛を取るブラシがなければ何も始まりません。
ブラシは先端がステンレスのピン状になっているスリッカーブラシと、ゴムでできているラバーブラシの2種類があり、私はスリッカーブラシを愛用しています。
画像のものはマルカンのソフトスリッカーブラシ。
こちらはあまり見かけなくなったので生産終了となっているのかもしれませんが、一応まだ在庫はあるようなので購入可能です。サイズも丁度よくて使いやすいですし、特に短毛種のうさぎさんにはオススメだ!
また、うさぎさんによってはスリッカーブラシを嫌がることもあるため、そういった場合はラバーブラシを使うといいと思います。ラバーブラシはミニマニマンのウサギのビューティーグルーマーが評判良し。
グルーミングスプレー
短毛種の場合は毛が絡まったりすることも特にないので(少なくともミニレッキスの場合は一度もなし)グルーミングスプレーはなくても問題はないのですが、グルーミング前の汚れ落としや仕上げとして使用するとうさぎさんの被毛がふかふかになり、皮膚を守ってくれるためうさぎさんが病気にもなりにくくなります。
グルーミングスプレーはペット事業や有機微生物事業を手掛けるトーラス社のグルーミングスプレーや、うさぎ専門店オリジナルのOYKグルーミングスプレーがオススメ。
仕上げ用ブラシ
さらにグルーミングの仕上げにツヤ出し用のブラシでブラッシングをしてあげると、うさぎさんの被毛がツヤツヤになります。
これは以前モルモットさんを飼っていた時に同様のものを使用していましたが、確かにツヤは出ます。こちらもなくても大きな問題はないのですが、あるに越したことはないでしょう。
仕上げ用ブラシは、ミニマルランド(マルカン)天使のうさぎシリーズのハンディーブラシが評判が良いですよ。
短毛種のグルーミング手順
前述の通り短毛種のグルーミングはとても簡単で、基本的には手でなでる、抜け毛をブラシで回収するの2アクションで完了します。
長毛種と比べて抜け毛も少ないため特に大変なこともありません。短毛種の飼い主さんは是非トライしてみてほしい!
(手順1)手でなでて抜け毛をブラッシング
まずはうさぎさんが横になってくつろいでいるところを頭からお尻の方へかけてなでてあげます。
この時グルーミングスプレーがあれば毛に吹きかけたり、手につけて揉み込んでみてもいいと思います。
するとどうでしょう、頭の方からうさぎさんをなでてあげたことで、抜け毛がお尻の方に集まってきました。
そこでブラシの出番!浮いてきた抜け毛をブラシで回収していきます。
ブラッシングは優しくなでるように、浮いてきた毛をすくい取るくらいの力加減で行います。
(手順2)手順1を繰り返す
体をなでる、抜け毛を回収するの1セットが終わったら、再びうさぎさんの体をなでて抜け毛をお尻の方へ集めていきます。
そして同じようにブラッシングで回収!
もちろん最初からブラシで抜け毛を回収しても大丈夫なのですが、力が強かったりするとブチブチ!とうさぎさんにとっても嫌な音と共に、必要以上に毛が抜けてしまうこともあるため注意が必要です。
それと、手でなでていた方が効率良く抜け毛も集まっていき、うさぎさんもなでられることで気持ちよさを感じることができるので、私は手でなでながらのグルーミングをお勧めします。
そして最後に、あれば仕上げ用のブラシで毛並みを整えてあげ、ツヤを出したらその日のグルーミングは終了!
ちなみにこれは換毛期のイブスター店長の抜け毛。
1回のグルーミングでこれくらいの抜け毛が回収できます。
換毛期の時期はこれくらいの量が毎日抜けるので、グルーミングも毎日してあげるようにしよう!

特に始めのうちは声をかけながらグルーミングをするようにしてくれ
長毛種の場合に必要なグッズ
長毛種の場合は短毛種の比ではないほど毛が抜けることもあり、毛が絡まったり、毛が周囲に飛び散ったり、静電気が起きたりと、結構大変だと聞いています。
知り合いの長毛種の飼い主さんは、うさぎさんの抜け毛で掃除機が3台壊れたらしいです。それは流石に掃除機に問題があるような気がしますが……。
まぁそんなことで長毛種のグルーミングは短毛種よりも万全な準備が必要となるので、始める前にチェックしておいてほしい!
ブラシとグルーミングスプレー
ブラシは短毛種の場合と同様に必要となりますが、抜け毛の量が多いため、少し大きめのブラシにしてみてもいいかもしれません。また、グルーミングスプレーは毛の絡まりを防ぐ役割もあるため、長毛種の場合はあった方がいいと思います。
仕上げ用のブラシは短毛種同様、あるに越したことはないので、必要であればゲットしておこう!
静電気防止スプレー
さらにグルーミング中に大量に抜けた毛が服などに張り付くことも多いため、静電気防止スプレーがあれば作業が捗ります。
集毛器
また、周囲にも毛が飛び散るためグルーミング集毛器があると尚良し。これはないよりかはあった方がいいという声が多いです。
両目グシ
長毛種の場合はデリケートな顔周りなどのグルーミングも必要になるため、細かい作業ができる両目グシも必要になります。また、毛玉がほぐれない時はノミ取りグシでとかすことができるので、こちらも必要であれば用意しておいた方が無難です。
長毛種のグルーミング手順
長毛種の場合は抜け毛が多いため、お尻、脇腹、顔周りといった順番で、3つに分けてグルーミングを行うのが良いとされています。
なかなか大変だとは思いますが、毛球症のリスクは短毛種よりも高いため、しっかりと抜け毛は回収してあげたいところ。
(手順1)グルーミングの準備
長毛種の場合はうさぎさんを膝の上に乗せて行うのが一番いいのですが、膝の上で大人しく座っていてくれないうさぎさんも多いと思うので、そういった場合はうさぎさんの縄張り外(知らない部屋)などに連れて行くか、それが難しければ床の上で座っているところを狙ってグルーミングを開始。
この時集毛器があれば起動させ、静電気防止スプレーを体全体に吹きかけます。
(手順2)両目グシで毛の流れを整える
次にお尻から脇腹にかけて両目グシを使い、片方の手で毛をかきあげながら、毛の流れに沿って少しずつ毛をとかしていきます。
この時毛玉があった場合は無理に引っ張らず、指でほぐしてあげるか、毛の根本を押さえてノミ取りグシでとかしてあげます。
片側のお尻、脇腹のブラッシングが終わったら、反対側も同じように両目グシを使って毛をとかしていきます。
(手順3)グルーミングスプレーをかける
グルーミングスプレーには毛が絡まるのを防ぐ効果もありますが、毛が飛び散りにくくなる効果もあるため、両目グシでのお尻、脇腹のブラッシングが終わったらスプレーを体全体に吹きかけ、両手を使って全身に揉み込んでいきます。
(手順4)ブラシでブラッシング
そしてここからが本格的なブラッシング。グルーミングスプレーを揉み込んだらスリッカーブラシ、またはラバーブラシを使って、(手順2)と同様にお尻、脇腹の順にブラッシングしていき、抜け毛を回収します。
ブラシを使う際は短毛種同様力の入れすぎには十分注意し、優しくブラッシングを行うようにするといいでしょう。
(手順5)顔周りのブラッシング
お尻、脇腹のブラッシングが終わったら最後に顔周りをブラッシングしてあげます。顔周りをブラッシングする際は空いている手でうさぎさんの目をカバーし、再び両目グシに持ち替え、まずは頬の毛からブラッシング。
それが終わったら目元はカバーしたまま、おでこ、耳の後ろを両目グシでとかしていき、グルーミングは終了となります。
また、お腹のブラッシングができない場合はグルーミングスプレーを手にかけ、左右からお腹に手を入れ、前から後ろになでるようにすると抜け毛がとれますよ。

ブラッシングを嫌がる時は日をまたいだりと、少しずつ挑戦するようにしてくれ
うさぎがグルーミングを嫌がる時は
うさぎさんが床の上でもグルーミングを嫌がる時は、まずは普段からなでてあげることから始めるといいと思います。
野生のウサギ同士でもグルーミングは行われているため、うさぎさんにとってもなでられるということは気持ちがいいことのはず。よって、まずはグルーミングが気持ちのいいことだとうさぎさんに知ってもらう必要があるのです。
うさぎさんをなでてあげると、歯をカリカリと鳴らしたりすると思うのですが、これは気持ちがいいことを表しているうさぎさんの感情表現です。
そういった行動が見られたら手に水やグルーミングスプレーをつけて、ハンドグルーミングから始めてみるといいと思います。これだけでも結構抜け毛は取れるので、ブラシを怖がるうさぎさんの場合はまずは手でブラッシングをすることから始めてみるといいですよ。
また、特に長毛種のうさぎさんで、どうしてもグルーミングができないという場合は、うさぎ専門店や動物病院でもグルーミングをしてもらうことができるので、プロの手を借りるというのも一つの手だと思います。
グルーミングやブラッシングはうさぎさんの被毛の状態を良好に保つこと、毛球症の予防や全身の健康チェック、マッサージ効果で血行の促進、そしてうさぎさんとコミュニケーションが取れるなど、うさぎさんにとって良いことばかりです。是非グルーミングの方法をマスターし、うさぎさんの健康維持に役立てて下さい。
今回のまとめ
・まずは手でなでることから始めてみよう
・グルーミングは毎日してあげると尚良し
うさぎさんのケージの中を見ると換毛期以外でも抜け毛が付いていたりすると思うのですが、私たち人間と同じように、うさぎさんの場合も少なくとも1本も毛が抜けないという日はなく、毎日抜け毛はあるものだと思います。
なので、グルーミングは換毛期だけ行うのではなく、ブラシで体を少しなでてあげたりするなど、毎日こまめに行ってあげた方がいいでしょう。
そうすることで、換毛期に長時間ブラッシングをしていてもうさぎさんが嫌がらなくもなりますし、うさぎさんもブラッシングが気持ちよく感じるようになってきて、好きになってくれたりもします。
グルーミングは毎日。これは結構大事だ!
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