うさぎさんが見せるいろんな行動や仕草、そして鳴き声とよばれるものは、うさぎさんの感情表現でもあったのです。
うさぎさんは声を出して鳴いたりすることがないので、なにを考えているのかわからないとか、無表情だとか思われてしまったりもしますが、じつはうさぎさんは、とても感情豊かな生きもの。
「ブーブー、キューキュー」と鳴く(鼻から音を出す)、走り回る、鼻でつつくなどの行動にはすべて意味があり、彼らは全身を使ったボディランゲージを駆使して、そのときの気持ちや感情を表現するのです。
うさぎさんはどんな気分なのか、なにを感じているのか。これを理解してあげれば、うさぎさんとのコミュニケーション(意思疎通)もはかりやすくなるので、うさぎさんとの生活も、いちだんとすばらしいものになるというものでしょう!
今回は、うさぎさんの「気持ち」や「感情表現」に焦点をあて、いくつかある鳴き声とされるものや、いろんなしぐさ・行動には、どのような意味がかくされているのかをご紹介していきたいと思います。
うさぎの感情表現とコミュニケーション
野生のウサギはもともと、人とコミュニケーションをとることがほとんどない生活を送っていたため、長いあいだうさぎさんは、無表情な生きものだとずっと思われてきたといいます。
しかし、家畜化が始まった古代ローマ時代、ヨーロッパ各地に広がっていった15~16世紀、日本にたどりついたとされる戦国時代と、うさぎさんは徐々に人と密接な交流をするようになり、それまでの認識や、うさぎさん自体にも、変化があらわれるようになっていきました。
ときにはうれしそうに目を輝かせたり、ときにはおどろいて目を見ひらいたり、またあるときには、目を細めて不機嫌になったり……。
長い時間をかけて、人がうさぎさんのことを理解しようとした結果、うさぎさんたちもしだいに人に心をひらくようになっていき、喜怒哀楽をはっきりとしめすうさぎさんも増えてきたのです!
また、うさぎさんは群れをつくる動物なので、うさぎ同士でのコミュニケーション手段はもともと発達していたのですが、野生下では彼らはおもに、以下の3つの手段で仲間との意思疎通をおこなってきました。
- 音を使ったコミュニケーション
- 体を使ったコミュニケーション
- においを使ったコミュニケーション
音を使ったコミュニケーションでは、うさぎさんは体を使ったさまざまな音で。体を使ったコミュニケーションでは、耳や尻尾、体全体を使ったボディランゲージで。においを使ったコミュニケーションでは、人間の10倍以上の嗅覚があるとされる、うさぎさんならではの能力でおたがいのにおいを通じ、意思疎通をはかることができたのです。
そしてこの、あますところなく発揮されるうさぎさんのコミュニケーション手段は、なんと、私たちにも理解できるものがたくさんあります。
とくに「音」と「体」を使った意思表示は、うさぎさんの気持ちがはっきりとあらわれるものも多いと考えられているので、それぞれのコミュニケーション手段がなにを意味しているのかを理解し、うさぎさんが全身から発する「言葉」を読み取ってあげましょう。
うさぎの鳴き声による気持ちの表現
音を使ったコミュニケーション手段の基本となるのがうさぎさんの「鳴き声」。
うさぎさんは声帯がないので、じつは鳴き声を発することはできないのですが、その代わりに、鼻などを鳴らして意思表示をおこなっていて、この鼻などから出る音が、一般的にはうさぎの鳴き声と認識されています。
うさぎさんの鳴き声は、おもに「プープー(Pu)」「ブーブー(Bu)」「キーキー」という、3つのものがあるので、まずはこれらが意味するものから見ていくことにしましょう。
1. プープー鳴く(喜びをあらわしている)
「プープー」とか「プゥプゥ」といった高めの「Pu」音は、うさぎさんが楽しく遊んでいるときやうれしいとき、機嫌がいいときなどに鼻から出る音で、よろこびなどのいい感情をあらわしています。
ただし、プープー音を出す出さないは、うさぎさんによってもかなり差があると思われ、すべてのうさぎさんがプープー鳴くのかというと、そうでもないような気もします。
当ブログでも活躍しているミニレッキスのイブスター店長は、大好きなおやつを食べたときなどに「プッ」と短く鳴いたりもしますが、基本的にはあまりプープー鳴いたりはしません。
うさぎの品種によっても鳴く鳴かないの差はあるらしい
2. ブーブー鳴く(いろんな感情をあらわしている)
「ブーブー」といった低めの「Bu」音は、うさぎさんが不満を感じているときや、怒っているときに出る音とされていますが、これもうさぎさんによる部分が大きいような気がします。
イブスター店長の場合は、遊んでいるときや興奮しているときなどにも「ブゥブゥ」と鳴きながら走り回ったりもしますし、食事にありつけたときには、満足げに「ブッ」と短く鳴いたりと、ブーブー系の鳴き声は、むしろよろこびの感情をあらわしているようにも見えます。
反対に、怒っているときは、「ブーブー」というよりも、どちらかというと「ブフゥー」のような鼻から息を出す(吐く)ような音とともにスタンピング(後述します)をしたりもするので、似たようなブーブー音でも、表現している感情が正反対なこともあるといえるでしょう。
このへんは、うさぎさんがブーブー鳴いているときの表情や、ブーブー鳴いているときのまえになにがあったのかなどの状況を加味して考えると、うさぎさんが楽しいのか、それとも怒っているのかは、なんとなくわかると思います。
つまり、うさぎさんがブーブーいっているからといって、かならずしも怒っているとはかぎらないというわけですね。
うさぎのブーブー音は状況べつで判断してくれ
3. キューキューやキーキーと鳴く(苦痛・恐怖をあらわしている)
「キューキュー」や「キーキー」といった甲高い音は、うさぎさんが恐怖や苦痛を感じている悲鳴だとされ、これは鼻ではなく食道あたりから出る音だといわれています。
「キュー」音は小さな鳴き声で、モルモットが「キュイキュイ」と鳴いているような音に近く、「キー」音は「キィィィィ」といったサルの鳴き声のような、インコが「ピィィィィ」と鳴いているような音に近く、その音量はかなりのもの。
後者の「キー」は、悲鳴というよりも絶叫のようなもので、外で外敵に襲われたときなどに見られる鳴き声です。
ちなみにイブスター店長の場合、床から持ち上げたときにいやがって、小さく「キューキュー」と鳴いたことが以前あり、「キーキー」の悲鳴に関しては、クモなどの虫がケージの中に侵入してきたのが原因としか考えられない状況で、いちどだけ聞いたことがあります。
「キーキー」は、基本的に室内飼いのうさぎさんの場合は、ほとんど聞くことはない鳴き声だと思います。
もしもうさぎさんが室内でキーキー鳴いていることがあれば、ケージの中で足などをはさんでしまっているなど、どこか体にけがをしてしまっている可能性や、そういった外傷がないのにキューキュー鳴いている場合は、なにかしらの病気で苦しんでいるという可能性も考えられるので、原因の特定がむずかしいときは、大事をとって動物病院に連れて行ってあげたほうがいいかもしれません。
「抱っこ」=「捕獲」=「命の危険」=「キュー」だ(?)
うさぎの体を使った気持ちの表現
うさぎさんは鼻から出る音(鳴き声)を使って感情を表現したりもしますが、鳴き声に関しては、それぞれのうさぎさんによってかなりの差があるように思われるので、あまり鳴き声を発さないうさぎさんもすくなくはないと思います。
そんなときは、もっとわかりやすい、うさぎさんのボディランゲージから気持ちを読み取ってあげましょう。
うさぎさんの体を使ったコミュニケーション手段は、おそらく私たちがもっともわかりやすいうさぎさんの感情表現で、うさぎさんの行動やしぐさには、それぞれ意味合いがかくされています。
これを理解できれば、私たちもうさぎさんの仲間入り。ここからは、うさぎさんの感情があらわれやすい、代表的な7つの行動についてご紹介していきます。
1. 垂直ジャンプ、ひねりジャンプ(喜びの感情表現)
うさぎさんが機嫌がいいときや、楽しいとき、うれしいときなど、これ以上ないというよろこびを表現するときは、その場で垂直にジャンプしたり、走っていきおいをつけてからの「垂直ジャンプ+ひねり」という技を披露してくれます。
ひねりジャンプは、じゅうぶんな走れる距離がないと発生しにくく、イブスター店長は、鳴き声はあまり使わない代わりにジャンプを多用します。
2. 短くダッシュ(楽しい気持ち)
こちらも楽しいときにうさぎさんが見せる行動で、ケージの外などでうさぎさんが突然走り出す短いダッシュはよろこびのあらわれ。頭を左右にふりながら、全身で楽しい気持ちを表現したりもします。
たまにすべってこけてしまうのも、楽しいからこそというものでしょう!
フローリングはすべるから注意してくれ
3. 足元をぐるぐる回る(愛情表現)
野生のオスウサギの求愛行動に、メスのウサギのまわりを走り回るというものがあり、オスのウサギはそのようにしてメスに求愛をします。
それのなごりなのか、うさぎさんは飼い主さんの足もとをぐるぐると回ることがあり、この行動は、うさぎさんが飼い主さんのことが大好きだという感情を表現していると考えられています。
足もとをぐるぐる走り回っているときや、歩くとうしろからついてくるときなどは、うさぎさんをなでてあげましょう!
4. 鼻でつんつんつつく(かまってほしい)
飼い主さんの足などを鼻でつんつんとつつくのは、うさぎさんのかまってほしい、遊んでほしいという気持ちの表現。
空いたペットボトルなどの簡単に倒れそうなものなどを鼻でつついて、倒したり、動かしたりと、単純に遊んでいるときもこの「鼻つつき」は見られます。
5. 歯をこすり合わせる(気持ちがいい)
うさぎさんが体をなでてもらっていたり、マッサージをしてもらっていたり、グルーミング(毛繕い)をしてもらっているときに聞こえてくるカリカリ音。これはうさぎさんが歯をこすり合わせて、気持ちがいいことを表現しています。
「カッカッ」とか「コッコッ」とか、そんな感じの音が聞こえてくることや、ひとりでリラックスして横になっているときにもカリカリすることがあります。
なお、うさぎさんをなでているときにうさぎさんの頭のさきに手をかざすと、手の下に自分の頭を突っ込んでくることがありますが、これは野生のウサギ同士で、優位のウサギが下位のウサギに「なでろ」と催促することのなごりで、グルーミング(毛繕い)をしてほしい気持ちをあらわしています。
6. 手をペロペロなめる(愛情表現)
食べ物やおやつの味がついているというわけではなく、うさぎさんが飼い主さんの手をなめるという行動は、うさぎさんの愛情表現だといわれています。
ただ、そのなめる行為の延長で、うさぎさんが手を甘噛みすることもあるのですが、これは放っておくと、うさぎさんに噛みぐせがついてしまうこともあるため、場合によっては対策を取ったほうがいいかもしれません。
噛まれそうな気配を察知したら手を引っ込めるとか、噛まれたら「痛い」と声を出して、うさぎさんに噛まれると痛いということをわかってもらうとか、うさぎさんと向き合って真剣にさとすとか、そういった方法などがあります。
ちなみに“甘”ではないキツめの噛みは、ふつうに流血するので注意しましょう。
流血したとしても絶対にうさぎを叩いてはいけない
7. 足で床を叩く(スタンピング・怒り)
うさぎさんが後ろ足に体重を乗せて地面を「ダン!」と叩く行動は、俗にいう「足ダン」や「床ダン」という行為で、正式には「スタンピング」といいます。
スタンピングはもともと、野生のウサギが外敵からの襲撃といった危険を察知したときに、警戒の合図を仲間に知らせるためにしていた行動ですが、おうちのうさぎさんの場合は、基本的にはいやなことがあった、されたことに対する、怒りの気持ちを表現するためにスタンピングをします。
またそのほかにも、飼い主さんを呼んでいるときや、ケージから出してほしい、餌がほしいなどの欲求や不満があるとき、興奮しているときにもスタンピングをすることがあり、食器が割れたりといった大きな音がしたときには、本来の意味で飼い主さんに危険を教えようとスタンピングをすることもあります。
ただし、このスタンピングがはげしいと、足の裏の毛がはげてしまう「ソアホック」という病気のもとにもなるので、とくにケージまわりは、できるだけうさぎさんが怒らないような、快適な環境をつくってあげるといいでしょう!
とくに短毛種はソアホックに注意してくれ
今回のまとめ
・ボディランゲージでさまざまな感情を表現
・キー、キュー、足ダンには注意!
うさぎさんは彼らだけの言葉を持ち、さまざまな方法で私たちとコミュニケーションを取ろうとしてくれる、感情豊かな生きものです。
今回見てきたようなうさぎさんの感情表現を理解すれば、うさぎさんとの関係がますます深まることまちがいなしでしょう! ぜひ、うさぎさんがなにをしたいのか、なにを感じているのかを察してあげ、うさぎさんと接してあげてみてください。
今回ご紹介した以外にも、うさぎさんの行動には多くの意味がかくされていますが、ひとまず重要なものは、今回でご紹介できたのではないかと思います。
飼い主さんの皆さんが、うさぎさんと楽しい時間を過ごせることを、そしてうさぎさんの毎日が、すばらしいものになることを祈っております。
うさぎのソアホック対策はこちら
→ うさぎのソアホック対策で効果があった6つの治し方&完治までの経緯【予防策も】
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→ミニレッキスの飼い方を子ウサギの飼育環境(ケージ・備品)を中心に紹介
コメント(確認後に反映/少々お時間をいただきます)
コメント一覧 (2件)
勉強になりました。
ありがとうございます。
仕草で感情表現していたことは、知りませんでした。
イチゴッチさん、こちらこそコメントありがとうございます!
私が飼っているイブスター店長は、頭をなでたりブラッシングをしてあげると、いつも歯をカリカリ鳴らしています。
私たちがマッサージされるような感じで、うさぎさんもなでられるのは気持ちがいいんでしょうね。
ほかにもいろんな(意味のある)仕草はあるので、いずれまとめられればと思っています!