【除菌&消臭】消毒液の代用品に急浮上した「次亜塩素酸水」の可能性

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不足するアルコール消毒液の代用品として名乗りを上げた次亜塩素酸水。最終兵器、スピリッツを超えることはできるか……?

漂白剤に利用されている次亜塩素酸ナトリウムから作る「次亜塩素酸ナトリウム液」と名前が酷似しているものの、全くの別物と言ってもいい「次亜塩素酸水」。

次亜塩素酸水は殺菌効果や安全性の高さから様々な分野で利用されているものですが、新型コロナウイルスによる消毒液の不足から、消毒用アルコールの代用品として注目を浴び始めています。

新たに名乗りを上げた消毒液の代用品。果たしてその効果やいかに。

目次

次亜塩素酸水(酸性電解水)

次亜塩素酸水とは、塩酸または塩化ナトリウム水溶液(食塩水)を電気分解することで得られる、殺菌効果を持つ水溶液のことを言います。専用の装置を使用することで生成することができ、2002年には食品添加物として認可。

主成分は「次亜塩素酸」で、これは漂白剤などの主成分と元を辿れば一緒ですが、漂白剤の次亜塩素酸ナトリウムとは全くの別物と言うことができます。というのも、食品添加物として認可されているように、次亜塩素酸水は安全性が高いのです。

次亜塩素酸水は漂白剤から作る次亜塩素酸ナトリウム液(アルカリ性)とは違って酸性の液体で、その濃度の違いから、

  • 強酸性次亜塩素酸水
  • 弱酸性次亜塩素酸水
  • 微酸性次亜塩素酸水

この3つに分類されるのですが、中でも最後の「微酸性次亜塩素酸水」が殺菌効果も高く最も安全であることが厚生労働省によって検証されています。

次亜塩素酸水の殺菌効果と安全性

厚生労働省が行った有効性の検証によれば、培養した大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、レンサ球菌、黒コウジカビなどの各種微生物に、微酸性次亜塩素酸水を添加して殺菌効果を検討したところ、1分でほとんどが死滅するという結果が得られ、これは次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)等と同等以上の殺菌効果となりました。(※1)

また、ほうれん草を微酸性次亜塩素酸水に10分間浸した後に水で洗って処理したところ、有効塩素(消毒力のある成分)は検出されず、残留性が低いことも判明。(※2)

さらに、1つ上の「弱酸性次亜塩素酸水」はノロウイルスに対しても有効であることが判明し(※3)、弱酸性・微酸性次亜塩素酸水の2種類に関しては、使用後、食品を食べる前に除去される場合は安全性に懸念がないと考えられる、と結論付けられました。(※4)

要するに、次亜塩素酸水、特に微酸性次亜塩素酸水に関しては、漂白剤と同じレベル、もしくはそれ以上の殺菌効果があり、且つ安全性も高いということがわかったのです。

(※1,2,4:厚労省‐次亜塩素酸水(pdf)/※3:厚労省‐ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書(pdf)

次亜塩素酸水の利用先

殺菌効果も高く、安全性も高いという性質から、次亜塩素酸水は歯科医院などでも利用され、設備や空間、食品、食器など様々な物の除菌に使用されていたりもするのですが、実は次亜塩素酸水はあくまでも「食品添加物」であって、一部の医療機器(手術時手洗、内視鏡消毒等)を除いては、現状、基本的に医薬品として認可されているものではありません。

厚労省の検証によって殺菌・消毒作用や、安全性は認められているため、確かに除菌効果は認められるのですが、現段階では食品添加物としての扱いとなっているのです。

なので、テーブルやドアノブなどの身の回りの物を除菌することはでき、消毒液の代用品としても使用できる可能性はあるのですが、立ち位置がややグレーな状態となっていて、一般的に流通している次亜塩素酸水は「除菌・消臭雑貨」という扱いの場合も多くなっています。

追記

5/29付けで、新型コロナへの有効性を検証していた製品評価技術基盤機構(NITE)は次亜塩素酸水の空間噴射・手指への噴射など、直接人体に触れる使用法の安全性については未だ科学的な根拠が示されていないため、そのような使用方法は控えるよう呼びかけています

使用するにあたっての注意点

アルカリ性の漂白剤と違い、弱い酸性であれば直接手で触れても肌荒れのリスクは低く、安全性も認められている次亜塩素酸水ですが、使用するにあたって注意すべき点はあるので、最後に注意点を確認しておきたいと思います。

1. 安価な生成機に注意

次亜塩素酸水は専用の装置さえあれば水と塩だけで作ることができるため、次亜塩素酸水の生成機は多くの物が流通しています。通販などで簡単に入手することができ、1度購入してしまえば塩と電気代くらいで無限に次亜塩素酸水を生成することができるという、それはまるで夢のようなマシーン。

ただ、この生成機、安価な物には注意した方がいいような気がします。

安価な機械は中国製品が多いですが、新型コロナウイルスが蔓延してからというもの、マスク、防護服、体温計、検査キットなど、大量の粗悪品が中国から出てきているので、果たして3千円前後の生成器で安全な次亜塩素酸水が本当に作れるのか?というと、私はなんだか怪しいような気がします。

購入するのであれば初めから作られている原液を購入した方がいいかもしれません。

2. 混ぜるな危険

次亜塩素酸水も主成分は漂白剤と元を辿れば同じもの(塩素系)なので、トイレ用洗剤などの酸性タイプの製品と混ざると毒性の強い塩素ガスが発生します。過去には塩素ガスによる死亡事故も起きているため、こちらも使用する際には注意が必要となります。

3. 寿命は短い

比較的寿命が長い微酸性次亜塩素酸水であれば「未開封、未希釈」で3~6か月以上は保存することができるようですが、業務用などで用いられる強酸性次亜塩素酸水は数日で効果を失ってしまうため、長期の保管にはあまり向いてはいません。

また、水道水に残った塩素を日光に当てたり、汲み置きすることで「カルキ抜き」ができるのと同じように、次亜塩素酸水は紫外線、高温に弱く、消毒力が分解されやすいものでもあります。

4. 汚れに触れると効果を失う

次亜塩素酸水は殺菌の効力を発揮すると自分自身はすぐに分解されるという性質があるため(だからこそ安全性が高い)、汚れが多い場所では十分な消毒効果を得ることはできません。

よって、消毒目的で使用する場合は事前に消毒箇所を洗浄するなどした後で使用することが望ましく、洗浄後の仕上げとして利用することでより効果を発揮します。

5. 手指消毒への有効性は未確認

新型コロナウイルスによってアルコール消毒液が不足する中、経済産業省は消毒液の代用品として次亜塩素酸水についても言及。

経産省は当初、次亜塩素酸水は主に食品やドアノブなど身の回りの物は消毒対象となりますが、医療用消毒器の認可を受けた場合を除き手や指には使えないと説明。医療用のものは一般には出回っていないため、手指には適用外としていました。

しかし、その後の4月17日に開かれた有識者による検討委員会で、委員側から一般に流通し、手指に使われる商品も一部あるとの指摘を受け、経産省は次亜塩素酸水の一部を手指の消毒対象に追加したのです。

ただ、政府は4月10日に行われた閣議で、品薄となっているアルコール消毒液の代わりに使われることのある「次亜塩素酸水」について、「現時点では手指の消毒に活用することについての有効性が確認されていない」とする答弁書を決定しています。

というのも、次亜塩素酸水は前述の通り、

  • 紫外線、高温に弱く、消毒力が分解されやすい
  • 殺菌の効力を発揮すると自分自身はすぐに分解される

という性質があるため、厚生労働省は「次亜塩素酸水は殺菌効果はあるものの、長続きしないため、用途は限定される」という判断を下したからです。

次亜塩素酸水が持つ消毒液の代用品としての可能性は低くはない。しかし、現時点ではやはり決め手に欠けるか。

今回のまとめ

・次亜塩素酸水は食塩水などを電気分解することで得られる消毒水
・消毒力は高く、安全性も高い
・現時点では手指消毒への安全性・有効性は未確認

現段階では、新型コロナウイルスに対して有効とされている成分は、アルコール消毒液と塩素系漂白剤の次亜塩素酸ナトリウムのみ(後に一部の住宅洗剤などにも有効成分が含まれていることが判明)。

次亜塩素酸水は食品添加物としては認可されていますが、医薬品としては基本的に認可されていないこともあり、現状では手指を消毒するための、アルコール消毒液の代用品としてはあと何歩か及ばずと言ったところでしょうか。

医薬品として認可されたアルコール消毒液と同じ成分(エタノール)を持ち、厚生労働省に特例として代用が認められている最終兵器「スピリッツ」。やはり消毒液の代用品にはこのスピリッツを私はお勧めしたい。

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