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【必携】漢字と平仮名の使い分けは「記者ハンドブック」で一発解決だ!

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漢字と平仮名の使い分けなどが記載されたハンドブックを入手したので、ご紹介します。文章を書く方には特にお勧め!

ブログなどの文章を書いていると、早かれ遅かれ、漢字と平仮名の使い分け問題にぶち当たると思います。

例えば、「行く、いく」などの本動詞・補助動詞であったり、「事(こと)、所(ところ)」などの形式名詞、「と言う、という」などの実質的な意味が薄れたものや、「所以、ゆえん」などの難しい漢字・常用外漢字などです。

これらは気になりだすともう切りがないのですが、この使い分け問題をなんと一発で解決してくれる本があるので、今回はそんな文章を書く方は必携のハンドブックをご紹介します。

目次

新聞用字用語集『記者ハンドブック』第13版

学校教育などでは、「漢字にできる文字は漢字で書く」と教わってきた方も少なくはないと思います。かく言う私もその1人で、漢字こそが正義だと思っていた時期もありました。しかし、文章を書くとなると話は変わってきます。

漢字と平仮名には明確な使い分けのルールがあり、漢字の多用は読み手にやさしくない文章に、読みづらい文章になってしまうからです。

これに気がつくと、この漢字は平仮名のほうがいいのか? この平仮名は漢字で書くべきなのか? と、毎回気になるたびにネットなどで調べたりすることになってしまうと思うのですが、そんな七面倒くさいことをする必要はありません。

そう、この一冊があればね!

こちらは愛されて60年、漢字などの文字の使い方を新聞を基準に収録した『記者ハンドブック』の第13版。新聞、通信、放送だけでなく、一般の記事にも役立つ文字表記のルールが記されたベストセラーです。

記者ハンドブックの用字用語集

特に注目すべきは漢字と平仮名の使い分けを一覧にした「用字用語集」で、この項目だけでも350ページにも及ぶ大ボリューム。

本が分厚いので、このように開いたままの状態でも使うことができます。まさに文章を書く際に手元に置いておきたいハンドブックと言えるでしょう!

(※最新版はこちらです↓)

本の内容(一部を抜粋)

記者ハンドブックのメインは「用字用語集」と言ってもいいと思いますが、その他にも文章を書く際に役立つ情報が満載。そこで、ここからは、このハンドブックに記載されている内容のいくつかを抜粋してご紹介していきます。

1. 用字用語集(漢字と平仮名)

350ページにも及ぶ「用字用語集」には、かなりの数の語が用例や補足付きで収録されています。参考までに、いくつか取り上げておきます。

語(単語)表記備考
敢えてあえて副詞的用法
明後日あさって字音・字訓で読む場合は漢字でもよい
当たる当たる1個当たり、~に当たりなど
後(あと)後、あとあと一息、あと3時間などは平仮名書き
言う言う、いう思ったことを言葉で表す・述べる場合は「言う」。実質的な意味が薄れた場合は「いう」
活かす生かす常用漢字表にない音訓
如何にもいかにも常用漢字表にない音訓
行く行く、いく「行く」の意味が薄れた場合は平仮名で「いく」
頂く頂く、いただく(して)いただくなどの補助動詞は平仮名
色々いろいろ
ウサギ、うさぎ常用漢字表にない字
内(うち)内、うち朝のうち、3日のうち1日は、などの形式名詞は「うち」
得る(える・うる)得る~ができる、~かもしれないの意を表すときは漢字
美味しいおいしい常用漢字表にない音訓
及びおよび接続詞の「及び」は平仮名
恐らく恐らく、おそらく副詞的用法
且つかつ副詞的用法
気付く気付く気が付く、気付く(づくは漢字)
極めて極めて副詞的用法
下さい下さい、ください~してください、などの補助動詞は平仮名
来る来る、くる朝が来るなどの動詞は漢字、行ってくるなどの補助動詞は平仮名
事(こと)事、こと具体的な事柄は漢字、抽象的な内容は平仮名
流石さすが常用漢字表にない音訓
様(さま・よう)さま、よう死にざま、夢のよう、などの接尾語・形式名詞は平仮名
様々さまざま
暫くしばらく常用漢字表にない音訓
過ぎ過ぎ、すぎ食べ過ぎ(度を越えている)などの連用形の後は漢字、昼すぎなどの時刻・年数・距離などは平仮名
凄いすごい常用漢字表にない音訓
既に既に、すでに副詞的用法
即ち、則ちすなわち常用漢字表にない音訓
凡て・総て全て常用漢字表にない音訓
棲息生息常用漢字表にない字
大体大体、だいたい副詞的用法
大抵大抵、たいてい副詞的用法
沢山たくさん副詞的用法
唯・只ただ常用漢字表にない音訓・字
たとい・たとえたとい・たとえ(~しても)例い、例え、は誤用
例える例える例えば、例え話(副詞的用法)
タヌキ、たぬき常用漢字表にない字
度(たび)このたび、~するたび、などはなるべく平仮名
貯める・溜めるためる常用漢字表にない音訓・字
容易いたやすい常用漢字表にない音訓
遂に・終についに常用漢字表にない音訓
付く付く、つくくっつく・加わるものは漢字、色気づく・傷つく・近づくなどは慣用で平仮名書き
つくる作、造、創、つくる会社、金、機会などの抽象名詞は平仮名で「つくる」
辛いつらい常用漢字表にない音訓
出来・出来る出来・できる~することができる、などの動詞・副詞は平仮名
時、とき時期・時間・時刻を示すものは漢字、場合を示す形式名詞は平仮名
所、ところ位置・場所は漢字、それ以外・誤読のおそれがある場合は平仮名
無い無い、ない「有」の対語は漢字、~しない、などの用法では平仮名
何故なぜ字音・字訓で読む場合は漢字でもよい
何、なに、なん「なに」と読む場合は比較的漢字、「なん」と読む場合は比較的平仮名
博打・博奕ばくち常用漢字表にない音訓・字
(~を)始め(~を)はじめ(主たるもの)をはじめ、の場合は平仮名
話・話し話・話し話される内容・名詞は「話」、話す・動詞的なものは「話し」
引っ引っ、ひっ引っこ抜くなどは漢字、ひっぱたくなどは平仮名
ひとり一人、1人、独り慣用句などは「一人」、人数などは「1人」、孤独などは「独り」
閃くひらめく常用漢字表にない字
風(ふう)風、ふう今風などは漢字、こんなふうになどは平仮名
相応しいふさわしい常用漢字表にない音訓
ページ常用漢字表にない字
方(ほう)その方(ほう)がいいなどは漢字
正しく・正にまさしく・まさに副詞的用法
見出す見いだす常用漢字表にない音訓
観る・看る・視る見る常用漢字表にない音訓。~してみるなどの補助動詞は平仮名
以てもって常用漢字表にない音訓
萌やし・糵モヤシ常用漢字表にない字
物、もの~したものだ、切腹もの、などの形式名詞は平仮名
所以ゆえん常用漢字表にない音訓
良い良い、よい、いい~してよい、もうよい、などの補助用言・接尾語は平仮名
因る・由る・依る・拠るよる常用漢字表にない音訓
訳、わけ道理・事情・理由は漢字、~するわけだ、などの形式名詞は平仮名

(参考:記者ハンドブック 第13版 共同通信社)

このように、基本的には常用漢字表にない音訓・字や、「していく、してください、していただく」などの補助動詞、「うち、とき、もの」などの形式名詞といったものは平仮名で表記するのがよいとされ、使い分けの傾向としては、常用の漢字で本来の意味を持つものは漢字、漢字本来の意味が薄れているものは平仮名、と言うこともできます。

CHECK

補助動詞とは、動詞本来の意味が薄れ、他の動詞の補助的な役割をする動詞のこと。形式名詞とは、形式上は名詞ですが、実質的な意味を持っていない名詞のことをいいます

ただし、常用漢字表にない語の表記、例えば「活かす 生かす」や、「棲息 → 生息」などは、常用漢字に合わせることで逆に意味が伝わりにくくなることもあるため、書く文章のジャンルによっては、常用外の漢字をあえて使用したり、平仮名にしたりする場合もあります。

また、漢字本来の持つ意味という点で考えると、「恐らく」はこわい・おそろしい、~し得るなどの「得る」は入手・獲得といった意味合いが強く感じられる場合もあるため、放送字幕や小説などによっては、こういったものも漢字の意味合いが強いものは漢字、それ以外は平仮名と書き分けられていることも多いです。

加えて、「あちらの方」などには読み方が複数あるため、「あちらのほう」なのか「あちらのかた」なのかわかりにくい場合もあります。このような場合にも、「かた」は漢字で「ほう」は平仮名、といったふうに使い分けられることがあります。

したがって、これらを完全に守ることが読み手にやさしい文章になるかというと、必ずしもそういうわけでもないと思われるので、自由が利くものに関していえば、最終的には「用字用語集」を参考に、使い分けのマイルールを作って統一していくのがいいでしょう。

2. 用語について(句点の付け方)

「用語について」の項目では、読みやすい記事にするための用語の使い方などが記されています。今回はその中にある「句点(。)」の使い方を、かっこでくくった場合について一部取り上げておきます。

句点は「文の終わりに付ける」という大前提がありますが、かっこでくくった文については、付け方のルールが以下のように変化します。

  • 段落全体を構成する場合は付けない
(例)「長きにわたる亀との戦いは、もう終わったのだ」
  • 段落の最後にある場合は付けない
(例)勝利を確信した兎。しかし、目の前に新たな敵が立ちはだかる。「我々タヌキは、敗戦濃厚の亀たちに加勢することにした」
  • 直前に主語などの語句がある場合は、段落の最後にあるときでも、「と述べた」などの述語が省略されているので句点を付ける
(例)それを聞いた亀の長老は一言「見計らったな、このタヌキジジイ」。

この項目ではその他にも、読点(、)や中点(・)引用符(「)、その他の記号の使い方なども解説されています。

3. 誤りやすい語句(誤用例)

「誤りやすい語句」の項目では、誤用、適当でない言い方、本来の意味ではない使い方が浸透してきている語句などが解説つきで例示されています。これもいくつか取り上げておきます。

誤用例

まずは誤用されることが多い語句の、誤用例と正答例から見ていきます(書き換え例は一例)。

愛想を振りまく愛嬌を振りまく、愛想がいい
足元をすくう足をすくう
怒り心頭に達した怒り心頭に発した
汚名挽回汚名返上、名誉挽回
汚名を晴らす汚名をすすぐ・そそぐ
酒を飲み交わす酒を酌み交わす、杯を交わす
過半数を超える半数を超える、過半数を占める、過半数に達する
射程距離に入る射程(圏)内に入る
知らなさすぎる知らなすぎる
姿をくらませた姿をくらました
雪辱を晴らす雪辱する、雪辱を果たす、屈辱を晴らす
念頭に入れる念頭に置く
ひと段落一段落(いちだんらく)
火ぶたを切って落とす火ぶたを切る
的を得た指摘的を射た指摘、当を得た指摘
眉をしかめる眉をひそめる、顔をしかめる
無実を晴らす無実の罪を晴らす
老体にむち打つ老骨にむち打つ

(参考:記者ハンドブック 第13版 共同通信社)

いくつか補足しておくと、「姿をくらませた → 姿をくらました」は、サ行五段活用動詞「くらます」の連用形「くらまし」に、過去・完了・存続・確認の助動詞「た」がついたもので、マ行五段活用動詞の「くらむ」とは別もの。

「火ぶたを切って落とす → 火ぶたを切る」は、火縄銃のふたを開いて(切って)点火の用意をする、戦いを始める準備をする、といった意味なので、火ぶたを落としてはいけない誤用の代表例のようなもの(銃が使えなくなるから)。これは「幕を切って落とす」との混用とされています。

また、「知らなさすぎる → 知らなすぎる」に関しては、「すぎる」が打消しを表す助動詞の「~ない」に続くときは、「~なすぎる」となるのが一般的となっているため、ラ行五段活用動詞「知る」の未然形「知ら」+打消しの助動詞「ない」は「知らなすぎる」となります。

ただし、この「なさすぎる、なすぎる」の「サ」入れ問題には例外が多く、首を突っ込めば突っ込むほど訳がわからなくなってくるので、あまり深入りはしないほうがいいと私は思います。

CHECK

サ行五段活用:未然(サ/ソ)連用(シ)終止(ス)連体(ス)仮定(セ)命令(セ)
ラ行五段活用:未然(ラ/ロ)連用(リ/ッ)終止(ル)連体(ル)仮定(レ)命令(レ)

適当でない言い方

続いて、必ずしも誤用とはいえないものの、本来は適当でない(本来の意味ではないものが定着した)言い方、話し言葉では普通に使われるものの、書き言葉では避けたい用例などについて見ていきます。

語句備考
雨模様本来は雨が降りそうな空の状態のことで、「降ったりやんだり」の両様に解釈できる場合は、「小雨が降る」など具体的に書く
確信犯本来は宗教・政治・思想的確信のもと正しいと信じてされる犯罪、それを行う人のこと。悪いとわかっていながら行われる犯罪や行為、それを行う人のこともいうようになった
気が置けない人遠慮・気兼ねの要らない人の意。油断できない、気が許せないの意に使うのは誤り
さわり音楽の聞かせどころなど、最も興味を引く部分の意。出だし、最初の部分で使うのは誤り
敷居が高い本来は、不義理をしたり面目ないことがあったりして、その人の家に行きにくいこと。最近の俗用として、手が出しにくい、ハードルが高いの意で使われることがある
他力本願浄土門で阿弥陀仏の本願によって救済されるの意。他の力を当てにする意で使わない
追撃敗走・劣勢にある敵を追いかけてさらに攻めるのが本来の意。先行する相手などに対しては「猛追、追い上げ」を使用
鳥肌が立つ恐ろしさや寒さのために肌がざらつく状態を指すのが本来の意。感動の表現に使うのは好ましくない
情けは人のためならず善いことをすればよい報いがあるという意。情けはその人のためにならないといった意は誤り
破天荒本来はこれまでなし得なかったことをすることで、未曾有と同義。近年は豪快で大胆な人を表す場合にも使われる
魅せる「魅せるプレー」などは文法的に誤りで、正しくは「魅する、魅した」だが、文語的なので「魅了した」などと工夫する
役不足本来、役者が自分の役を不足として不満を言う意。「荷が重い・大役過ぎる・力不足」などの意に使うのは誤り

(参考:記者ハンドブック 第13版 共同通信社)

こちらもいくつか補足しておくと、「鳥肌が立つ」は「悶絶(もだえ苦しんで気絶すること)」と似たようなもので、本来は感動的な場面で使用するべきではない言葉ですが、私の経験上、実際に感動するシーンなどを見て鳥肌が立つことはよくあることなので、許される場面では使用しても問題はないとは思います(実際、辞書にも載っている)。ただ、オフィシャルな場面での使用は控えたほうが無難かもしれません。

また、「魅せる」に関しては、サ行変格活用動詞「魅する」の終止形「魅する」、または連用形「魅し」に、過去・完了・存続・確認の助動詞「た」がついた「魅した」が正しい用法で、「魅せる・魅せた」は「魅する」+「見せる・見せた」の合成語という説があります。

スポーツ番組などでは多用されているような気がしますが、こちらもオフィシャルな場面では使用しないほうが無難だと思います。

CHECK

サ行変格活用:未然(シ/セ/サ)連用(シ)終止(スル)連体(スル)仮定(スレ)命令(セヨ/シロ)

4. 差別語、不快用語

そして最後に、特に気をつけなければならない「差別語、不快用語」について、いくつか取り上げておきます。

職業

特定の職業を表記する際は、インタビューなどで当事者が意識的にそのまま使用した場合を除き、以下のように書き換えること(※1)。

土方、土木建設労働者、作業員
炭鉱夫、抗夫炭鉱作業員、坑内員
百姓、農夫農民、農家の人、農業従業者
床屋理髪業、理髪店、理容師
バーテンバーテンダー
サラ金消費者金融
坊主僧、僧侶、坊さん

〇〇屋

「〇〇屋」の形で職業・肩書を示すのは避ける。ただし、店舗を示す「駅前のパン屋」、愛称的な「八百屋さん、魚屋さん」などは構わない(※2)。

歴史的記述

次のような言葉は現在の事象では言い換えるが、過去の劣悪な労働環境や、その時代を示すため必要な場合は使用してもよい(※3)。

  • 女工 → 女性従業員
  • 女中 お手伝いさん
  • 女給 ウェートレス、(バー)従業員、ホステス

(※1~3 参考:新聞用字用語集 記者ハンドブック 第13版 p.491-492)

ちなみに、「バーテン・女給」という言葉が危険な単語であることは、以下の記事で解説してあります。気になる方は読んでみてください。

今回のまとめ

・記者ハンドブックは必携の一冊
・漢字、平仮名の使い分けから表記のルールまで情報満載!
・ほんの一部でもこのボリュームに脱帽

記者ハンドブックの総ページ数は750ページにも及び、大きく分けて5つの章の中に、大量の有益な情報が詰め込まれています。

今回見てきた内容は、それのほんの極一部。まだまだ書き切れないほどのお役立ち情報が満載となっています。

基本的に縦書きの新聞用ルールブックですが、横書きのブログなどでも非常に役に立つことは間違いなしの内容で、これは文句なしに「買い」の一冊といえるでしょう。文章を書かれる方は、手元に置いておくことをお勧めします。

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