飽食の時代だからこそ、私たちに必要なのは「飢える」こと。(飢えを)求めよ、さらば(機動力は)与えられん……。
ハングリー精神とはよく言ったもので、人は飢えているとき、お腹が空いているときに集中力などの能力が上がることが知られています。
それは逆に言えば、人は満腹になるとなにもできなくなる、気の抜けた肉のカタマリ、怠惰を極めたナマケモノと化してしまうということ。
食べすぎた、もうダメだ、ベッドにゴロン……。そんな後悔を繰り返す日々は、もう終わったのです。
人に組み込まれた「闘争」の遺伝子
腹が減っては戦はできないのは確かなことですが、腹が減ったからこそ戦を行う生き物もいます。自然界で生きる動物たちです。
例えば、サバンナに生息し、地上最速の動物としても知られるチーター。最高時速は100kmを超えることもあり、獲物の喉元にその牙を突き立てるため、持久が許された数秒間を全力で疾走します。
そしてこのとき、一瞬に全てを賭けたチーターの集中力というのは、空腹状態で発揮されているのです。
腹が減っていても戦はできる。実は、これは私たち人間にも似通った点があります。
私たち人間は元々、大型の動物を狩ったり、木の実などを集めるといった「狩猟採集」の生活をしてきたというのは広く知られていることですが、この時代は飢餓の時代だったといわれています。
なぜなら、狩猟採集は100%成功するわけではないからです。
元々、人間は飢えながら戦っていた。いや、飢えても戦えたのです。それは、飢餓状態でも戦えるシステムが体に備わっていたから。
そしてその遺伝子、生きるための「闘争」の遺伝子は、狩らなくても喰えるようになった現代社会でも、私たちに受け継がれているのです。
空腹がもたらす戦闘能力の向上
それでは、飢餓(空腹)でも戦えるシステムは一体なんなのかというと、これは代表的なものでいえば、アドレナリンというホルモンが分泌されることでの心身機能の向上があります。
お腹が空いてくる(血糖値が下がる)と、血糖値を安定させるためにアドレナリンという物質が分泌されるのですが、これはノルアドレナリンという物質と共に心身に作用し、「精神力UP、注意・集中力UP、身体機能UP」と、精神と肉体を覚醒させる働きがあります。
この働きは「闘争か逃走反応」とも呼ばれ、差し迫った状況で最善の選択ができるよう人間に元々備わっているもの。空腹状態は、いわば「覚醒のトリガー」ということができるのです。
また、空腹状態になると胃から分泌されるグレリンという物質は「空腹ホルモン」とも呼ばれ、食欲を増進させるなどの働きがあることがわかっていましたが、近年になって記憶を司る脳の海馬にもグレリンの受容体があることが判明。
空腹になり、脳に作用することで、「記憶・学習力UP」の可能性が示唆されたのです。
空腹状態で記憶力・学習力が向上するのであれば、「空腹状態=集中力UP」と考えることもできます。私たちにとって本来危険な状態へと近づく「飢餓状態」は、戦闘態勢をONにするブーストスイッチだったのです!
機動力を得よ!満腹にならないための6つの方法
かつての狩猟採集社会では「狩り」に役立ってきた飢餓対策システムは、現代社会においては「勉学・仕事」などに役立つと言うことができます。
ところが、現代社会はお金さえ払えばいくらでも食事にありつける飽食時代。ついつい食べすぎてしまえば、血糖値の急激な上昇を受け、インスリンという物質の働きで脳の活動は低下。眠気を引き起こし、さらにはお腹がいっぱいなため、物理的にも動けなくなってしまうのです。
「食べ過ぎてしまった……」「まだやらないといけないことがあったのに……」「今日はもう寝よう……」
一体何度この状態に陥り、時間を無駄にしてきたことでしょうか。ただ、そんなことはわかっていても、食べすぎはなぜかやめられないのです。
……が、そんな無駄な時間を垂れ流す日々とはオサラバする時は来ました。ここからは、お腹が苦しくて動けないという意味のない時間を消し去り、圧倒的な機動力を得るために私が実践している、満腹にならないための方法をご紹介しよう!
1. 先に野菜を食べる
食事は先に野菜を食べたほうがいいというのは、恐らく多くの方が聞いたことがある話だと思うのですが、野菜から先に食べることで、急激な血糖値の上昇を抑え、眠気のもととなるインスリンの分泌も抑えることができます。
そもそも野菜を食べないという方は、この機会に食べる習慣をつけるのもあり!
2. よく噛んで食べる
これも大前提の話ですが、よく噛んで食べることで、満腹中枢という脳の部位が刺激され、少ない量でもお腹がいっぱいに感じやすくなります。
すぐ飲み込むような食べ方は胃腸の負担にもつながるので、これは意識したほうがいいですよ。
3. あとちょっとだけだから食べてしまおう、はやめる
「残すには少なすぎる。けれどもお腹はもう十分。さて、どうしたものか。いや、食べてしまおう……」
これは、やめたほうがいいです。大体あとから後悔することになると思うので。
お腹はもう十分と感じたのであれば、たとえ少しだろうと、残したほうがいいと思います。そして(できれば)、次の食事に回したほうがいいですよ。
4. 大盛は頼まない
お腹が空いているときは、なんでもかんでも大盛にしたくなりがちですが、大盛という選択肢はもう捨てるべきでしょう。
食べ始めてから「やっぱりちょっと多かったな」と感じ始め、「残すのもよくないから全部食べてしまおう」となり、「食べすぎてしまった……」となるのが関の山だからです。
それに、普通盛りで物足りなさを感じても、1~2時間もすればちょうどよくなってくると思います。するにしても、中盛り程度に抑えておくのがいいかもしれません。
5. 間食はしない
間食を取り入れることで食べすぎを防ぐ方法も確かにあるのですが、私はほとんど間食はしないようにしています。
例えばチョコレートが食べたかったとしても、そこはあえて我慢。すると、慢性的な空腹状態とも相まって、毎日チョコレートが食べたいと思うようになってきたりもするのですが、そんなことをしてなんの意味があるのかというと、毎日飢えることができるのです。
飢えは生命の活力。飢えれば飢えるほど人は戦うことができます。
もちろん、たまにお菓子などを買ったりすることもありますが、そのときはできるだけ1回で食べ切れる量を買うようにしています。
大量にお菓子などを家に置いておくと、そんなに食べたくなくてもつい食べてしまうというのが人のさが。家に余計なお菓子類は置かないこと、これはかなり大事です。
6. 同じものをひたすら食べ続ける
どんなに美味しいものでも毎日食べていれば必ず飽きます。そこで、同じものを大量に作り置きし、毎日それを食べ続けることで、食べる量を減らしていくという方法です。
特にオススメなのはカレーの作り置き。基本的にどんな野菜をぶち込んでもおいしくなる、そして豊富な栄養を摂ることができるカレーを大量に作り、それを毎日食べ続ける。なくなったら数日間置いてまたカレーを作る。毎日食べる。この繰り返し。
恐らく、1か月もやればだいぶゲッソリしてくるはずです。
あんまりやりすぎると健康によくないと思うので、無理はしないほうがいいと思いますが……まぁ効果はかなりありますよ。
今回のまとめ
・飢えは生存本能を呼び覚ます
・慣れると少量の食事でも満足できるようになる
私の場合、いろいろと理由があって満腹状態になりたくはなくなったため、今回のような方法を取ることで飢えを維持することにしたのですが、明らかに効果があることを実感できています。
特に集中力もそうですが、動ける時間が増えたというのは非常に大きい。
食後だというのに、次は何を食べようか、翌日は何を食べようか、と食事のことばかり考えていたりもしますが、慣れると腹八分目でも満足できる(抑えられる)ようになってきますし、それくらいがちょうどいいような気もしてきました。
動ける時間を増やしたい、集中力を上げたいという方は、一度飢えてみることをお勧めします。まぁ、人間の集中力は金魚以下らしいですが……。
金魚以下の集中力を持続させる方法
→ パチンコはストレス発散・解消に効果はある?なぜまた行きたくなるのかも解説
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