【生きるために戦え】ウォーカーヒルの扉はカタストロフへの入口だった

不本意にも打ち鳴らされる、全てを賭けた戦いの始まりを告げる鐘。その先に待っているものは、生還か、それとも……

ウォーカーヒルのカジノへの通路

過去最悪とも言われた日韓の緊張状態に気後れしてしまった私は、時期が時期だけに一人で飲食店に入ることができず、こうなれば最後の手段とパラダイスカジノ・ウォーカーヒルへ。

生活費を稼ぐための勝負……。ところが、この時私がやろうとしていたのは、夕食にありつくための戦いでした。

「自分は一体、何をしているのだろうか……

しかし、喰わなければ人は生きてはいけません。私は生きるため、ウォーカーヒルで勝負せざるを得なかったのです。

韓国カジノ旅行2nd(1日目・中編)

ソウル市内にあるオブジェ

セブンラックカジノの前にある「フードカルチャーストリート」を抜けた私は夕食を求めてウォーカーヒル方面へと歩き出していました。

ウォーカーヒルには24時間営業のビュッフェ形式のレストランがあるのですが、もしそれが利用できなかった場合、私は食事抜きで勝負しなくてはならなくなってしまうため、道中にレストランがないか探していたのです。

しかし、セブンラックカジノに近い三成(サムソン)駅周辺は有名企業の高層ビルが立ち並ぶビジネス街で、この時の時刻は既に23時。当然レストランが見当たるはずもなく、あったとしても閉まっているようでした。

そして見つけたのは、謎の巨大なオブジェのみ。

湊
ミナト

流石にこれ、もう無理だな……

ウォーカーヒルは「Hill」と名の付く通り、山に囲まれた丘の上のような場所に位置しているので、ここに行くと本当にこれ以上動けなくなってしまう。

しかし、暫く歩いてみるもレストランがある気配を全く感じなかった私は、これ以上周辺を探しても無理だと諦め、タクシーに乗り込んでウォーカーヒルへと向かうことにしたのです。

僅かな夕食にありつける可能性に賭けて……

ウォーカーヒルに到着

湊
ミナト

ウォーカーヒルまでお願いします……

運転手
運転手

はいはい、お客さんカジノですか?

どうやらタクシーの運転手は日本語が少し話せる様子。そこで、カジノに到着するまでには幾らかの時間があったので、私は気になっていた例のアレについて聞いてみることにします。

湊
ミナト

そういえば日本で聞いたんですけど、韓国の方はあまり一人で外食されないんですか?

運転手
運転手

う~ん、そう……焼肉店とか多いですからねぇ

どうも濁されたような感じで、ここでは有効な回答を得ることはできず。

何か、この話題には触れてはいけない部分でもあるのだろうか?

ただ、一人での外食が少数派であるのだろうということは、この時の運転手の答え方からして恐らくそうなのだろうとは思われました。

パラダイスカジノ・ウォーカーヒルの入り口

そしてタクシーに乗ること約15分、私はついにウォーカーヒルに到着!……が、ここであることに気が付きます。

湊
ミナト

そういえば、タクシーの領収書貰うの忘れてしまった!

そう、実はウォーカーヒルはカジノまでのタクシー代を(確か)3万ウォンまで負担してくれ、それをポイントで還元してくれるのです。

しかし領収書がなければこのサービスは利用できないので、仕方なく私は先へと進んでいきます。

ウォーカーヒルのエントランス

回転式の扉を抜けて少しホテルの中を捜索してみるも、やはり開いているレストランは見当たらず。

こうなったらもう行くしかない!私はついにカジノの入場ゲートの方へ。

ウォーカーヒルのカジノへの通路

カジノへと続く通路にあるオブジェが懐かしい。

トランプの装飾が増えて少し豪華になっていましたが、そんなことよりも今はただ、早く食事にありつきたい……

生きるための戦い

カジノに入場した私はフロア内を見渡しながらまずはレストランへ。しかし、案の定まだ何のゲームもプレイしていない私に食事を喰う権利はなく、レストランを利用するには300ポイントを貯めなければなりませんでした。

湊
ミナト

まさかこれ、タクシー代のポイントでもいけたのか……

今となってはそれが可能だったのかどうかは定かではないのですが、それがどうであっても、空腹で判断力が低下している状態で勝負に挑まなくてはならないという予想していた最悪の状態に陥ってしまった私は、こうなった以上は一刻も早くポイントを貯める必要がありました。

そこで、どの程度ゲームに参加すれば300ポイントが貯まるのかを受付に聞いてみると、

受付
受付

それはちょっとわからないんですけど、大体30分もゲームをプレイすれば貯まると思います。たぶん……

どうした、誰も彼も歯切れが悪いぞ……!?

ただ、これに関しては内部事情なので詳しくは言えなかったのかもしれませんが、いずれにせよ、私はもうやるしかないところまで来てしまっていたので、いよいよテーブルゲームのエリアへ。

そして、生活を賭けた勝負……いや、食事にありつくための戦いが始まったのです。

始まりを告げるブラックジャック

ウォーカーヒルは一通りのテーブルゲームが揃っていますが、私が勝負するのは基本的にブラックジャックかバカラなので、まずはBJのテーブルへ。

この時稼働していたBJのテーブルは2~3台で、ミニマムベットは5万ウォン(約4,500円)と10万ウォン(約9,000円)の2種類。レートが安いテーブルには先客が2人、高い方は0人です。

普段であれば私は空いているテーブルを好んで選ぶので後者に着きたいところではあったのですが、しかしこの時、正直言うと全く勝てる気がしていませんでした。

半日以上何も食わず、落ち着いてビールも飲めず、挙句の果てには食事をするために勝負をしなければならない……。果たしてこんな状態で自分に幸運が舞い込んでくるだろうか?いや、そんなはずはない。そう思われたからです。

ギャンブルはそんなに甘いものではない……よって、私はリスキーな高レートは避け、低レートのテーブルに着席することにし、50万ウォン(約4万5千円)をチップに交換します。

そして両サイドに別のプレイヤー、中央に私という布陣でついにゲームはスタート!

ブラックジャックでAと4のソフトハンド

記念すべき初手は「A・4」のソフトハンドで、これは基本戦略であるベーシックストラテジー(BS)通りの「ダブルダウン」を選択し、見事勝利。

隣の男性が「こいつはBSを知っているんだな」と一人頷くのが視界の脇に映ります。

……が、その後の展開は全くもってダメ!

ミニマムベットしか賭けていないもののチップは物凄い速さで削られていき、あっという間に最初に交換したチップは全て消失!

湊
ミナト

ない……。全てが、ない……

流れも何もない。勝てる気配もない。このテーブルにいても何もない!

まさかのほぼほぼストレートで10連敗を喫した私は、このテーブルに長居するのは危険と感じ、仕方なく空いていた高レートのテーブルに移動。

まずは、この負けを取り返さなくては……

一瞬の判断ミスが破滅への扉を開く

ミニマムベットが10万ウォン(約9,500円)のテーブルに移動した私は、追加で50万ウォン(4万5千円)をチップに交換。

しかし、これも、瞬殺。

文字通りまだ何もしていない状態で、手持ちの軍資金の半分近くである100万ウォン(約9万円)が一気に消え失せる!

湊
ミナト

これ結構ヤバいぞ、真面目に……

このまま軍資金の全飲まれは余裕で起こり得る。ただ、引くに引けない私はさらに追加で50万ウォン(約4万5千円)をチップに交換。

すると、韓国に来たタイミングといい、勝負運の悪さといい、あまりにもついていない私の境遇を天が憐れに思ったのか、ここから猛追が始まり、なんとあと1ゲーム勝てば一先ずプラスマイナスゼロの状態にまで復活!

ディーラーのアップカードは7でプレイヤーは6+6で12

そして迎えた生死を分ける1ゲーム。

ディーラーのアップカードは「7」、私の手は「6・6」で、BS通りであればカードをもう1枚引く「ヒット」が最善手。

しかし、私はここで判断を誤ってしまう。

湊
ミナト

今の流れならスプリットいけるんじゃないか?上手くディーラーがバーストすればプラマイ0からプラス1だ……

そう、あわよくばと、ここで欲が出た……

これで勝ったらもう300ポイントも貯まっているだろうし、レストランに行こう。そんな生温いことを考えながら私はチップをもう1枚追加し、この重大な局面では手を分ける「スプリット」を選択。

ディーラー17、プレイヤー15と14でプレイヤーの敗北

……が、そうは問屋が卸さない!

セオリーを無視したここ一番の勝負は、そのままヒットしておけば「12+8=20」で勝利、プラスマイナスゼロになっていたところ、スプリットにしたことで両方の手が敗北するという痛恨のミスを犯してしまい、その後はもう突然丘が崩れて崖下に落下したかのような急降下。

結果、120万ウォン(約10万8千円)負け。

守るべきところでセオリーを破ったことが天の怒りを買ったのか、それからはBSを守るももう遅かった。

このままブラックジャックで勝負していても無理……。そう感じた私は、残ったチップを持ってバカラのテーブルへと移動したのです。

熱を感じられなくなっていたバカラ

100万ウォン程度であれば一気に動く。大丈夫、まだ大丈夫だ……。私はそう自分に言い聞かせ、残りの紙幣のほぼ全てを追加で交換。120万ウォン(約10万8千円)と端数のチップを手にバカラのテーブルに着席します。

恐らく金に余裕があれば負けを一気に取り返すため、この手持ちを全て1ベットに叩き込んでいたかもしれない。ただ、それを外すと本気で終わってしまうため、そんなことはできません。

そこで、私はまずは様子見も兼ね、ミニマムベットの10万ウォンで勝負開始。

しかし、カードを絞っても何も感じられない。

かつてはカードを1枚絞る(スクイーズする)度にドキドキ・ハラハラと胸をときめかせたものですが、恐らく1ベットに5万円、8万円、10万円と、これまでの経験によって高額の勝負に慣れができてしまっていたせいで、低い金額ではアツくなれなくなっていたのです。

そうなると負けを取り返したいこととも相まって、必然的にベット額は30万、40万、50万ウォンと上がっていきます。

その結果、全敗。

BJから移動した際に持っていたチップ、新たに交換したチップ、その全てがここで消失。まだ何もできていないというのに、カジノに来る前に両替した軍資金の半分以上である約250万ウォン(約23万円)は、カジノの蓄えとして吸い込まれていってしまったのです。一介の養分になるが如く……

湊
ミナト

嘘だろ、これ……。まだ、夕食すら食べてないんだが!?

カジノ側からすればそんな訳の分からない事情なんぞ知ったことじゃないだろう。私に、テーブルへの「ステイ」のアクションは残されてはいませんでした。

満身創痍の中、レストランへ

一度クールダウンしよう。今、自分は満足に食事もできないことで焦燥感に駆られ、変にアツくなっている……

私は会員カードを持ってウォーカーヒルのレストランへ。そしてバーコードリーダーにカードを通します。すると……

ピッ……「169pt」

モニターに表示された数字は、まさかの300ポイント以下。

湊
ミナト

……嘘だろ、これ!!???

30分もやればという話は一体なんだったのか!?20万円以上負けてもレストランが利用できないなんて……そんな話あってもいいのか!??

が、貯まっていないものは仕方がない(金額よりも回数が重要らしい)。とはいえ、食事をするために勝負をしていたというのに、食事にありつけないまま帰る、というわけにはいかなかった私は、こうなったらもう一発やってやると財布の中身を確認。

しかし、この時になって私は思い出したのです。まさか両替した有り金を全部負けるなんてことは露ほども思っていなかったため、残りの日本円とクレジットカードは全てホテルに置いてきたことを……

つまり、帰るしかない。ウォーカーヒルは強制退場……

湊
ミナト

………………

もやは、発すべき言葉が見つからない。

私は、例えようがない無念さ、悔しさを背負いながらウォーカーヒルを後にし、無情にもタクシー乗り場へと向かったのです。

次回へ続きます。

スポンサーリンク
この記事をシェアする

コメントを残す