うさぎの脳に寄生するエンセファリトゾーンとイブスター店長の戦い

イブスター店長の脳に侵入した原虫(寄生虫)が突如として彼の体の自由を奪う!「駆逐してやる……!」咆哮するイブスター店長。果たして戦いの果てに待つものとは。

怪我をすることもなくすくすくと成長していったイブスター店長。しかしそんな彼に何の前触れもなく奇病が襲い掛かかりました。その名はウサギの脳に原虫が寄生することで発症し、うさぎさんの身体機能に異常をきたす「エンセファリトゾーン症」。手遅れになってしまえばうさぎさんの身体に後遺症が残ったり、最悪のケースでは食欲不振などからうさぎさんが死に至ってしまう危険な病です。

私は急いでイブスター店長を連れて動物病院へ。果たしてイブスター店長は脳への侵入者を駆逐し、病に打ち勝つことができたのか?
これはミニレッキスのイブスター店長と、寄生虫「エンセファリトゾーン」との戦いの全記録。(2017年7月~11月頃の出来事)

生後7か月目、イブスター店長に異変が起きる

イブスター店長7か月目

生後7か月にもなるとイブスター店長はだいぶ大きくなりましたが、まだまだ成長期。人間の年齢で言うと大体14~15歳くらいで、体もまだスリムです。特に怪我をしたり、体調を崩したりすることもなく順調に育っていたのですが、この頃からイブスター店長の身に異変が起き始めました。

「ガタッ……ガタガタ……ガタン!ガタン!!」

辺りは寝静まった某日深夜、イブスター店長の小屋から突然大きな物音がしたのです。何事かと慌てて飛び起きイブスター店長の小屋を見に行くと、そこにはふらふらと体を揺らしながらなんだかやばそうなことになっているイブスター店長が!
急いで小屋から出してみるといつも散歩するように部屋の中を歩き出しましたが、平衡感覚がおかしくなっているのか真っ直ぐ歩くことができません。壁にぶつかったりと危なかったのでなんとかイブスター店長を落ち着かせると、数分後には平衡感覚も戻ったようでいつも通りに戻りました。

一体今のはなんだったんだろうか……

その日は一先ず様子を見ることにしました。

【この日確認できた症状】

  • 静かな夜に突然小屋の中で暴れだした
  • 平衡感覚が保てずふらふらしていて真っすぐに歩けない

旧イブスター店長の家

(旧イブスター邸。ここで幼少期を過ごす)

それからはイブスター店長の健康状態に異常がないか暫く観察していましたが、餌はしっかり食べていますし、うんちなどもいつも通りしていたので特に健康状態には問題はない様子。しかし最初の発作が起きてから約1週間後、またしても深夜の静かな時間帯にイブスター店長が突然小屋の中で暴れだしたのです!
流石に二度も同じようなことが起きるのはおかしい。最初は私もびっくりしてしまいしっかりと見れていなかったので、イブスター店長を落ち着かせながら注意深く観察します。今回は以下の症状を確認することができました。

【この日確認できた症状】

  • お尻をあげて後ろ足を引きずっているような歩き方
  • しっぽが内側に丸まりやばそうな気配
  • 小屋の上に飛び乗ろうとしても平衡感覚がおかしくなっているのかジャンプできずケージの壁にぶつかってしまう
  • 数分後には症状は治まる

うん、これは何かおかしい。医者に行こう!

動物病院で診察を受けた

うさぎのキャリーケース

私はイブスター店長を連れて動物病院へ。ちなみにこのキャリーケースは体の大きいイブスター店長でもすっぽり入るのでお勧めです。上と横から開くので獣医の先生に診てもらう時にも便利。Sサイズがイブスター店長にはちょうどいい大きさです。

タクシーに乗って動物病院へ到着。先生にイブスター店長を診てもらいます。

獣医
獣医の先生

これは……もしかするとエンセファリトゾーンかもしれない

先生の話によると平衡感覚が取れないなどの症状からエンセファリトゾーン症(Ez症)という病気の可能性があるとのこと。しかし外的な要因、例えば外で誰かが叫んだとか、隣の部屋から大きな物音がしたとか、そういった要因でウサギが驚いてしまい、小屋の中でパニックを起こしてしまっている可能性もあるとのことでした。
例えば騒音などでうさぎさんが驚いて小屋から落っこちてしまったり、ケージの中で体をぶつけてしまったりすると、それが原因でパニック発作のような状態になってしまうこともあるのです。

よってこの日はもう少し様子を見てみて、また異常があればもう一度診察してもらうということになりました。

エンセファリトゾーン症(Ez症)とは

usagi
イブスター店長

説明しよう!

エンセファリトゾーン症(略してEz症)とはエンセファリトゾーン・カニキュリ(クニクリ)という原虫(寄生虫の一種)がウサギの脳や腎臓に寄生することが原因で引き起こされる病気です。感染経路は生まれてくる時の母体感染や、感染しているウサギの尿から感染し(ペットショップなどで子ウサギが同じケージに入れられている場合、他のうさぎさんのおしっこを舐めたりしてしまうため)、実は多くのうさぎさんがEzに感染していると言われていますが、感染しているからといって全てのうさぎさんが症状を発症するわけではなく、むしろ発症しない場合の方が多いとも聞きます。

エンセファリトゾーン症の症状は脳に寄生した原虫が脳炎を引き起こすことによって発症し、主に以下のような症状が見られます。

  • 斜頸(首が左右どちらかに傾いてしまう)
  • 眼振(眼球が左右または上下に揺れ動く、目の焦点が合わない)
  • ローリング(姿勢を保持できなくなり、横に倒れてゴロゴロ転がってしまう)
  • 真っすぐに歩けない(ローリングまで行かないものの、姿勢保持ができない)
  • 痙攣(ウサギがピクピクと痙攣してしまう)

治療はフェンベンダゾールという駆虫薬を使って原虫(寄生虫)を駆除しますが、原虫によって脳組織が破壊されてしまうと斜頸や麻痺などの後遺症が残ってしまう場合もあるそうです。よって早期の治療が重要で、早期に治療を始めれば何の後遺症もなく完治させることができたり、斜頸や麻痺などの症状が改善する場合もあると言います。

三度目の症状を確認。再び動物病院へ

病院で診てもらってから約1週間後、今度は昼間の時間帯にちょうど私がイブスター店長の小屋の近くにいた時に症状が現れました。

「ガタガタ……ガタン!ガタン!!」

今度はケージ内に設置してある小屋(ラビットハウス)の上から突然落っこちてしまい、そのまま暫く体が痙攣して動けなくなってしまったのです!

【この日確認できた症状】

  • 時間帯は昼間。特に騒音などはなし
  • 突然発作を起こしたように小屋の上から落っこちた
  • 暫く体が痙攣していて動けない
  • 動けるようになったあとも真っすぐに歩けない

どうも外的な要因でびっくりしてしまい、パニック発作を起こしているようでもなさそうだったので私はイブスター店長を連れて再び動物病院へ。

エンセファリトゾーン症の検査

獣医の先生に状況を説明し、やはりエンセファリトゾーン症の疑いがあるとのことで検査をすることになりました。Ez症かどうかは血液検査で抗体値を調べればわかるそうですが、検査は外部の委託となり、Ezの抗体値以外にも検査をするため、全ての検査結果が出るまでは最低でも2~3週間ほどかかるとのことでした。(エンセファリトゾーンの抗体検査だけなら1~2日で結果が出ます)

獣医
獣医の先生

それじゃあ耳から採血するので外でお待ちください……

採血って私も苦手なんですよね……。しかも耳から……
頑張ってくれ、イブスター店長……

獣医
獣医の先生

終わりました。大人しくていい子でしたよ

それからは検査の結果を待つことになりました。

診察費用
カルテ登録料 500
診察料 1,500
採血処置料 1,000
血液検査 2,800
血液生化学検査 5,000
エンセファリトゾーン抗体検査 8,700
合計 19,500円

検査結果と治療開始

検査の結果を待つ間も2~3回ほど発作のような症状が出ていましたが、斜頸、ローリングといった重い症状はありませんでした。発作自体は大体数分程度で治まり、長くても十数分ほどです。
そして結果を待つこと約3~4週間、獣医の先生から電話がかかります。血液検査の結果が出たということで私はすぐに動物病院へ。

獣医
獣医の先生

はっきりとしたことは言えないんですが、イブスター君の場合はグレーゾーンです

先生からEz症の検査結果を見せてもらいながら説明を受けます。まず、Ezの抗体値の判定基準は以下のようになっています。

<判定基準>
40倍未満 抵抗体価。エンセファリトゾーン感染の可能性は低い
40倍~160倍 感染診断にはペア血清による抗体価を診る必要あり。グレーゾーン
320倍以上 特徴的な臨床症状が認められる場合は感染の可能性が高い

イブスター店長の場合は抗体値は160倍。確かこのペア血清による抗体検査に時間がかかっていたという話だったと思いましたが、それを踏まえた上でもエンセファリトゾーンの感染はグレーゾーンということでした。

そして治療の方針ですが、まずEzに感染している可能性がある以上そのままにしておくわけにはいかないので、駆虫薬を飲んでEzを駆除していきます。さらにイブスター店長がてんかん持ちの可能性もあるとのことで、てんかん発作を抑える薬も同時に飲むとのことでした。

ウサギのてんかんの薬

てんかんの薬を飲むことでウサギのてんかん発作を抑えることができるそうですが、薬には副作用があり、喉が渇くため水を沢山飲むようになったり、食事の量が増えることがあるので餌のあげ過ぎに注意する必要があるそうです。さらにてんかん持ちの場合は、場合によってはてんかん発作を抑える薬を一生飲み続けないといけないらしく、治療の方針としては初めのうちは毎日薬を飲ませ、少しずつ薬の量を減らして様子を見るのがいいとのこと。

しかしイブスター店長の場合はてんかん持ちなのかどうかもこの時点ではまだわからないことに加え、Ezの薬を1日に1回、てんかんの薬を1日に朝と夜に1回ずつと、結構な負担になってしまいそうだったので、先生と相談し、てんかんの薬は最初の1週間だけにしてもらい、あとはEzの駆虫薬を毎日飲ませて様子を見ることになりました。

Ezの駆虫薬を飲むのは4週間です。イブスター店長とエンセファリトゾーンとの戦いが始まりました。

usagi
イブスター店長

駆逐してやる……!オレの脳から……一匹残らず!!

診療内容 数量 単価 料金
Ezの薬 7(1週間分) 220 1,540
てんかんの薬 14(1週間分) 200 2,800
処方量 330
合計 4,670円

イブスター店長とエンセファリトゾーンとの戦い

薬は両方とも内服薬で、シリンジという針のない注射器のようなもので薬を飲ませます。うさぎさんに薬を飲ませるのって本当に至難の業なんですが(うさぎさんにもよりますが)、この時はなぜかシリンジを差し出すとイブスター店長は進んで薬を飲んでいました。まだ若かったからかもしれませんし、確かEz駆虫薬に味がついていて飲みやすくなっているとか先生が言っていたような気もします。とにかくこの時は薬を嫌がらずに飲んでくれていたので本当に助かりました。

しかし理由は定かではないのですがEz駆虫薬を飲み始めてからイブスター店長の発作の回数が増えたのです。それまでは大体1週間に1回程度だったのが、3~4日に1回ほどに。

まさか……エンセファリトゾーンが抵抗しているのか……

エンセファリトゾーン
エンセファリトゾーン

このわたしを少しでもキズつけてみろッ!同じ場所を数倍の痛みにしてお返しする!

まぁそれはないと思いますが、次の週の薬をもらうためと、この件のことを聞くために私は動物病院へ。先生に発作の回数が増えたことを報告します。

獣医
獣医の先生

発作の回数が増えたんですか?うーん……

駆虫薬を飲み始めてから発作が増えたというのは先生も釈然としない様子。おそらく駆虫薬で攻撃されているエンセファリトゾーンが脳内で暴れているということはないと思われます。私は残りの3週間分の薬を貰い、最後の戦いに備えます。

診療内容 数量 単価 料金
Ezの薬 21(3週間分) 220 4,620
処方量 330
合計 4,950円

エンセファリトゾーンとの戦いは最終局面へ

初めこそ発作の回数が増えましたが、その後はだんだんと症状は落ち着いていき、発作を確認できたのは3週間の間で1~2回程度でした。そして迎える服薬最終日。

usagi
イブスター店長

やったか!?

イブスター店長の病と闘う意志がエンセファリトゾーンを打ち負かしたか!?あとは症状が出ないことを祈るだけです。

その後2週間、3週間が過ぎてもイブスター店長は発作を起こすことはありませんでした。しかし安堵も束の間、駆虫薬を飲み終えてから4週間目に再びイブスター店長は発作を起こしてしまったのです。

エンセファリトゾーン再発か!?

4週間の投薬で原虫は駆除できたはずですが、以前よりも明らかに発作の頻度は減ったもののなぜかまた発作を起こしてしまったイブスター店長。
エンセファリトゾーンを完全に駆逐することができていなかったのか?それとも先生に言われたようにてんかんの症状なのか?そんなことを考えながら暫く様子を見ていたのですが、ある日私の母がイブスター店長を見たいということで私の家に来ることに。

その日は雨が降っていて母はレインコートを着ていました。普段見かけない人を見てびっくりさせてしまうかもしれないので私が先に家に入り、続いて母が中に入ります。

母

イブちゃ~ん!

usagi
イブスター店長

!!!!!

すると母を見たイブスター店長は普段見慣れない人が入ってきたこととレインコートのガサガサ音にびっくりしてしまい、物凄い勢いで小屋の上から転がり落ち、ケージの中で痙攣して動けなくなってしまったのです!

イブスター店長の倒れている体勢

(ケージの中で痙攣していた体勢はこんな感じ。ちなみにこれはくつろいでいるところ)

これが獣医の先生が言っていたびっくりして起こるパニック発作か!なんて感心している場合ではなくイブスター店長を落ち着かせます。イブスター店長は真っすぐ歩くことができず後ろ足を引きずるような動きをしています。

……?この動きはなんだかエンセファリトゾーンの症状と似ているな……

おそらくEz症が再発したわけではなかった

その後1か月に1回あるかないか程度イブスター店長の発作を確認することができましたが、これは上記の通り、おそらくびっくりして起きたパニック発作だったのではないかと思っています。
例えば目立った騒音がなかったとしてもうさぎさんが寝ていたところに耳元に蚊のような虫が飛んで来たとか、動物も夢を見るとも言われているので、私たちが悪夢を見て飛び起きたりすることがあるように、もしかするとうさぎさんもびっくりする夢を見て飛び起きたということもあるかもしれません。そして小屋からジャンプして着地に失敗したことでパニック発作を起こしてしまうこともよくあるそうなので、まさにそのような「びっくりして飛び起き、どこかにぶつかり、パニック状態になってしまう」という一連の流れが起きていたのではないかと思います。

よってイブスター店長の場合は治療後にエンセファリトゾーン症が再発したわけではなかったと思われますが、そうなるとパニック発作の症状とEz症の症状が似ているのでそもそもEz症ではなかったのでは?とも考えられるのですが、治療前は同じケージ、同じ飼育環境で発作の回数が異常に多かったのでやはりイブスター店長はEz症だったのではないかと思っています。

そして時は流れ、2019年現在。イブスター店長は何の後遺症も残らずにエンセファリトゾーン症を治すことに成功し、小屋を拡大して着地の失敗などの危険も取り払ったこともあり、発作を起こすことはなくなりました。

イブスター店長は病に打ち勝つことができたのです!

usagi
イブスター店長

おまえ(Ez)は敵を知らなすぎたようだな。勉強不足だ!

Ez症まとめ

イブスター店長の場合エンセファリトゾーンではなかったという可能性も捨てきれないですが、発作の頻度からEz症を発症していた可能性は高く、現在後遺症もなく元気でいられるのはやはり早期の治療が功を奏したからだと思っています。
これはEz症に限った話ではないですが、うさぎさんの様子がおかしかったり、何か気になることがあればとりあえず動物病院に行ってみた方がいいかもしれません。これはあの病気かな?と思っているともっと深刻な事態だったりすることもあります。

また、エンセファリトゾーン症が発症する年齢ははうさぎさんによってバラバラです。イブスター店長の場合は1歳未満でしたが、3歳、5歳と時間が経ってから発症する場合もあるそうですし、一生発症しない場合もあります。うさぎさんの年齢に関係なく、イブスター店長のように突然発作が起き始めたらEz症の可能性も視野に入れた方がいいかもしれません。

そして最後に医療費です。今回のEz症の治療には医療費だけでも3万円ほどの金額がかかりました。うさぎさんの薬は飲み薬だけでも結構な金額になることも多いので、心配な方は最初の1~2年間だけでもペット保険に加入しておいたほうがいいかもしれません。特にうさぎさんの成長期である1年目と、成長が落ち着いてからの2年目は体が大きくなったり、食べられる物が増えたり、行動に変化が見られたりと、うさぎさんも大きく変化していくのでそれだけトラブルも起きやすいように感じます。
動物病院で相談したら検査や検診で高いお金がかかってしまうからまだ聞かなくていいか……とならないように、お金のことが心配であればペット保険に入っておこう!

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