生活費を賭けて勝負にきた「韓国カジノ旅行2nd」。
この戦いは、バカラでおとずれた最大のチャンスを失い、
「こうなったら、もう最後までいこう!」
ついに、正真正銘の、最終局面をむかえようとしていました。
そしてむかえた最後のゲーム。
……ハハッ
これがおわったとき、私は笑っていました。
この笑いが意味するものとは、いったいなんだったのか?
ここでまさかの、生還への「ウルトラC」か……!?
破滅のカジノ旅行・運命の3日目、そのすべては、勝負が決するときにあきらかになります。
ミナト
海外旅行が趣味の兼業ブロガー。以前はカジノにハマるもギャンブルにはもう懲りて……? 現在は観光メインで旅行を楽しみながら、現地での体験や旅行に役立つ情報も発信中。いずれは海外を放浪する旅にも出たいと思っています。>> プロフィール詳細はこちら
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韓国カジノ旅行2nd(3日目・後編)
バカラのテーブルで起きた「認知的不協和」状態。
これにより、最大の好機を逃した私は、ほとんど戦意を喪失してしまっていました。
これ以上のチャンスがあるとは思えない。
もうムリだろう、この勝負は……。
どこかで勝負をあきらめてしまい、負けるとしか思えなくなっていたのです。
このときのこっていた軍資金は75万ウォン(約6.7万円)。
けっしてすくない額ではなく、一発逆転の可能性もじゅうぶんにあります。
でも、(勝ちを逃して)ヤケにもなっていて、「ここはひいて日をあらためよう……」という気にはなれなくなっていたのです。
それなら、もう最後までいこう
正直いって、ダメそうな気しかしませんでした。
虫の息のいま戦ったところで、もはや結果は見えていました。
「それでも、わずかでも可能性があるなら、それに賭けるしかない……」
いま思えば、みずからトドメを刺されにいった部分もあったのかもしれません。
しかし、いずれにせよ私は、最後の勝負に挑むことにしたのです。
ラストチャンスはバカラの「トドメの一撃」で
バカラのテーブルで発生したPLAYER連は、ちょうど3回で終了。
そのつぎはBANKERがきて、さあどうする? となりました。
まあ、そりゃあこうでしょ
PLAYERが切れたタイミング、ここで私は、全額をBANKERにベットすることにしました。
さきほどのPLAYER連をモノにできなかった以上、もういちどPLAYERに……とはなれなかったからです。
私のベットを見たまわりの中国人客は、PLAYER側にベットしていきます。
「コイツはよくはずすから逆張りだ!」
もう全員が……敵にしか見えませんでした。
でも、そんななか、中国人のおっちゃんがひとり、BANKERに乗っかってくれます。
(たのんだぜ兄ちゃん)
30万~35万ウォンほどと、安くはない金額をベットしていたので、私もただでおわるわけにはいきません。
「チン!」
ノーモアベット
そうしてベットは締め切られ、バカラでのゲームは、ラストチャンスの開始となりました。
確実にとる!悪魔が宿ったPLAYERの2枚
バカラはPLAYERとBANKERにチップを賭けている人がいる場合、絞りはPLAYERからとなります。
PLAYERに最高額をはっていたのは、中国人の男性客。
ベットが締め切られたあと、彼の手もとに2枚のカードが配られました。
う~ん……
でも、おそらく、私のやられっぷりを見てのことだったのでしょう。
……なんだか絞るのも気の毒だよ兄ちゃん。
その負けっぷりからして、もうけっこうヤバいんだろ?
「ひとおもいにオープンするから、あとはそっちでなんとかしてくれ」
そんなことをいうかのように、彼は、一気に2枚のカードをめくったのです。
死にゆく者にたいしての、せめてもの優しさでした。
そして開かれたPLAYERのカードは……
…………。
ナチュラル「9」。
ここでまさかの最強カード……!!
それを見たとき、私はかるく吹きだしてしまいました。
これはもう絶対にムリ。
最高でも引き分けで、あとは全部負け。こんなのは、ほとんど負け確のようなものだったからです。
悪魔め……
確実に殺りにきやがった……。
奇跡的に生還をはたしたカジノ旅行初日の逆パターンでした。
あそこで私を殺りそこなった悪魔は、ここで、確実に、私を仕留めにきたのです。
最強のナチュラル「9」。もうかわすことなんてできない、必殺の一撃で。
サンピン!男性客の叫びは届くか?
…………
落ち目の人間がつかむ未来なんてものは、こんなものなのでしょう。
私はもうほとんど負けを確信しながら、1枚目のカードを、絞らずにオープンしました。
BANKERの1枚目は……
「1」。
そして2枚目も、そのままひらいてしまおうとしたときでした。
サンピン!!
(サンピン?)
ああ、「スリーサイド」のことか……。
PLAYERが「9」のこの勝負、私たちが生還できるとしたら、BANKERの2枚目は「8」でなくてはなりません。
その「8」がでるのは、カードの横にマークが3つあるスリーサイドのみ。
ようは、中国人のおっちゃんは「とりあえずスリーサイドを引け!」といっていたのです。
おっちゃんも、まあまあの金額でBANKERに乗ってくれています。
これをテキトーにめくっておわらせてしまうのは、うん、彼にたいしても失礼というものでした。
よし、
……いっちょやるか!
ラストチャンスの1枚、ここは、しっかりと絞っていこうじゃありませんか!
生きるか死ぬか!超接戦を制したのは……
BANKERの2枚目はしっかりやる。
それが、乗ってくれた中国人のおっちゃんにたいする礼儀というものでしょう。
私はまずこれを、縦から絞ることにしました。
足(マークが2つ)がつけば可能性あり、つかなければ、その時点で終了です。
そして足は……つきました。
となると、横はツーサイドか、スリーサイドか、フォーサイドのどれか。
どいつがくる……?
つぎは横から絞っていくと……
……スリーサイド!!
私は中国人のおっちゃんに「とりあえずスリーサイドは引けた!」と目配せをします。
スリーサイドは「6、7、8」のいずれか。
「8」がでる確率は、単純に考えれば3分の1です。
約33%を引ければ、この勝負を引き分けに持ち込むことができます。
まあでも、ここまでだろうな……
スリーサイドを引けただけでも、うまくいったほうです。
あとは真ん中にマークなしで、「6」でおわりとかが関の山だろう。
そう何度も、奇跡が起こるわけもない……。
そう思いながら、再度カードを縦にして絞っていくと……
なんと、こんどは、中央の片側にマークがついた……!?
まさかこれ「ある」のか……?
カードの片側にマークがついたとなると、このカードは「7 or 8」です。
もう片方にマークがつけば、BANKERも「9」で引き分け。
50%を突破できれば、未来はつながる。ここで死ななくてすむ……!
そうなのか?
オレは、まだ生きていてもいいのか……!?
マークが見えるか見えないかまで絞り、
「……神よ!」
そして最後は、一気に、2枚目のカードをオープンしました。
…………が、
……ここまで。
ラストの50%は突破できず、2枚目の数字は「7」。
BANKERの合計は「8」と、あと一歩届かずに、私の負けは確定してしまったのです。
カジノで破滅を迎えた男に訪れた「救済」
勝負が決したバカラのテーブル。
私が賭けた75万ウォンは没収され、この時点で、総資金460万ウォン(約41.5万円)の全敗が確定しました。
しかし私は、このとき、にやけていました。
負けたくせに、ニヤニヤと、ひとり笑っていたのです。
(なんだコイツ……変なヤローだな)
おなじテーブルに座っていた女性は、そんな私を見て、けげんな表情を浮かべていました。
頭がいかれてんじゃねーのか? と。
でも、そうではなかったのです。
私はこのとき、いうなれば「救済」を感じていたのです。
もうカジノで勝負なんてしなくていい。
生活費を稼ごうなんて、そんなわけのわからないことをしなくていい。
これ以上、ギャンブルで精神をすり減らす必要なんてない。
そんな「救済」を。
……どこかで、こうなることを望んでいたのかもしれないな
思えば、もう最初からしんどさは感じていました。
メシを食うために勝負したり、負けてはいけないビハインドをかかえていたり
そして、それでもカジノで勝負しないといけなかったり……。
すべてがバカげた話だったのです。
最初から、なにもかもが、まちがっていた。
生活費を賭けて生活費を稼ぐなんて、こんなことはすべきではなかったのです。
仕事という保険があるならまだしも、それがない状態で「負けたらおわり」だなんて……
そんなので、勝てるわけがなかった。
バクチで未来を切り開くなんて、できるわけがなかった!
でも、それも、もうおわりなのです。
これ以上、勝負はしなくていい。
パチンコ・スロットでボロクソにやられたとき、逆にすがすがしい気分になったことがありました。
いまの気持ちは、あの開放的な気分によく似ている。
そう、自分は、ギャンブルから解放されたんだ……
もう戦わなくていいんだ。
……帰ろう。
ホテルに帰ろう!
こうして韓国カジノ旅行2ndは、3日目の夕方に「決着」となりました。
結果は所持金全敗で破滅。
破滅で(完)です。
ただ、日程が決まっている旅行には、まだつづきがあるわけで……。
……そう。
このあと私には、「敗北者のリアル」なる、地獄の試練が待ち受けていたのです。
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