カジノで勝って未来を切りひらく。
この無謀としか思えない戦いは、ついに3日目を迎えることとなりました。
カジノ旅行初日はプラマイゼロ。
2日目は負けたものの、まだ致命傷ではない。
これなら、まだやれるはず……
そして勝負は、ノーガードの殴り合いへと発展するのですが、ここで私は「認知的不協和状態」なるものにおちいってしまい……?
はたして、そのさきに待ち受けているものは生還か破滅か!
韓国カジノ旅行2ndは、運命を決する佳境に突入しようとしていました。
ミナト
海外旅行が趣味の兼業ブロガー。以前はカジノにハマるもギャンブルにはもう懲りて……? 現在は観光メインで旅行を楽しみながら、現地での体験や旅行に役立つ情報も発信中。いずれは海外を放浪する旅にも出たいと思っています。>> プロフィール詳細はこちら
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韓国カジノ旅行2nd(3日目・前編)
カジノ旅行2日目の夜、私はバカラで地獄モードを経験し、その日はやる気を失って無念の撤退。
軍資金の約3分の1が消え、この時点での総資金は約300万ウォン(約27万円)となっていました。
なんかもう、日本帰りたくなってきたな……(2回目)
正直いうと、すべてを放りだして、帰国したくもなっていました。
結局のところここまではゼロ勝で、おまけに前日は、気力がなくなるまでにズタボロです。
このまま勝負をつづけていても、どうも勝てる気がしなかったのです。
しかし、じつをいうと今旅には、ホテル代+飛行機代も稼がなければならないミッションがありました。
これらはクレジットカードでの後払い。
ようは、カジノで勝てなければ、帰国後に「旅費の支払いはどうする?」問題もでてきてしまうのです。
その後、生活が破綻するだけではなく……!
だから、なんとしてでも、勝たなければ……。
今後の生活を賭けている以上、「負けておわりました」ですまされる話ではありません。
勝てる気がしないとかではなく、勝つしかないのです!
食事はホテルでとろう
軍資金を節約するため、朝食はホテルのレストラン(朝食付きなので無料)を利用することにしました。
グッモーニン
宿泊客と思われる男性があいさつをしてくれたので、こちらも「おはようございます」と返します。
でもそれ以上を話す余裕はなかったので、ちゃっちゃと朝食をすまし、私はカジノにむかったのです。
セブンラックカジノでの一進一退の攻防
(日中のセブンラックカジノ)
3日目あたりには、パラダイスシティカジノにも行きたいと考えていました。
しかし交通費をかけるわけにもいかなかったので、私は歩いてセブンラックカジノへ。
途中、たくさんの通勤する人とすれちがいました。
朝っぱらからカジノ。そんな私も私で通勤しているのです。
身分証のご提示を
パスポートを提示し、エントランスをくぐります。
バカラは相変わらずで、中国人客でまあまあ埋まっています。
ブラックジャックのテーブルは比較的すいていて、やるならこちらだと思われました。
まずは前日の負け分である150万ウォン(約13.5万円)を取り返すこと。
これが、この日のスタートラインでした。
ここはリスクを背負ってでも、勝負にでるしかない……
150万ウォン分の紙幣をチップに交換します。
これでのこりのウォン紙幣は約150万。
命がけずられていくのを感じます。
それでも、逃げ道は用意されていないので、もうやるしかありません。
生還か破滅か。今後を賭けた「運命の一戦」が、ついにはじまろうとしていました。
1stラウンド:スリーハンドで勝負!
まず私はブラックジャックのテーブルへ。
ミニマムベットは5万ウォン(約4500円)で、先客は男性がひとりです。
男性客は、1ハンドのミニマムベットで勝負していました。
しかし私の場合、それとおなじことをしていたのでは、そう簡単には負けを取り返すことはできません。
だったら、もうこれしかないだろう!
1ハンドは10万ウォン(約9000円)でのスリーハンド。
大きなリスクを背負うからこそ、大きな勝利も舞い込んでくるというものです!
ゲーム開始後は、目立った動きもありませんでした。
ところが、鋼の意志で「10万ウォン×スリーハンド」をつらぬいていると、勝ちの波が押しよせてきます。
ダブルダウン(倍がけ)がキマる。
初手が「10+A」でのブラックジャック(最強役で配当1.5倍)もくる。
ディーラーがバーストしての、スリーハンド全勝利。
とくにスリーハンド全勝利(+30万ウォン)が大きかった。
この流れで私は、一気に前日負けの150万ウォンを取り返すことに成功します。
しかしこのとき私が感じていたのは、スタートラインに立った、ではなく、「ゴールラインに立った」でした。
2ndラウンド:BANKER連を狙え!
勝ちに行くよりも、そのまえに負けを取り返す。
今旅の勝負は、すべてがこの展開となっていました。
そしてやはり、「今後の生活を賭けている」プレッシャーも大きかったのでしょう。
プラマイゼロになった瞬間、私は目的を達成したような気になってしまい、
BJはここまでじゃないか?
と、勝ち分を減らしたくない気持ちもあって、手をツーハンドにゆるめてしまったのです。
(え? スリーハンドやめんの?)
となりの男性客は、流れが変わってしまうかもしれないのをイヤがっているようでした。
しかたなくといった感じで、男性客は手をツーハンドにするも、私が手を増やさないのですぐにヤメ。
私も彼とおなじタイミングで、席を立つことにしました。
その後は増えたチップを持って、バカラとBJのテーブルをうろうろします。
しかし、どうも勝ちを目指すとなるとやれない。
勝ち分はジワジワと減っていき、いつのまにか150万ウォンのチップは全消失してしまい……。
うぐぐ……
それでも、負けを取り返すときだけは本気になり、そしてなぜか勝負運も発揮されるのです。
私はバカラのテーブルに着き、
こんどは気合いでBANKER6連続を的中させます。
これでチップは+100万ウォンとなります……が、これもすぐにまたゼロへ。
勝っては負け、負けては勝つ。
セブンラックカジノでは、熾烈を極める、「一進一退」の攻防がくり広げられていました。
3rdラウンド:守りのブラックジャック
この日の収支は、まだプラマイゼロで、総資金は300万ウォン(約27万円)のまま。
私は負けを取り返すため、再度ブラックジャックのテーブルに突撃します。
開始からすぐに、100万ウォンが消えました。
これで総資金は200万ウォン(約18万円)。
ウゥー!!(歓喜)
濃密な「死」の気配がただよってきます。
歓喜の雄たけびを上げる、カジノにすむ魔物の声が聞こえてくるようでした。
いや、まだだ……
「このまま死んでたまるか……」
そう、このままおわるわけにはいきません。
負けているときの、負けを取り返すときのオレは強いぞ!
私はここで、基本戦略(ベーシックストラテジー)を無視した、手を守る戦法に切り替える判断をくだします。
初手の合計が「15~16」は、ディーラーの手が強くてもステイ。
手がとんでしまうのをふせぎ、ディーラーのバーストに賭けることにしたのです。
するとこれがうまくいき、チップは+150万ウォンに!
殴られたら殴り返すノーガードの戦いで、軍資金は350万ウォン(約31.5万円)にまで回復していました。
あともうちょい!
ところが、ここで流れがガクッと変わってしまって……
ダブルダウンはスカし、
スプリットもキマらない……!
一気にチップが削られていき、勝ち分はみるみる減っていきました。
危険をさっした私は、BJでの勝負を切り上げてバカラへ。
しかしこのバカラが、なんということでしょう、前日の地獄モードとまったくおなじなのです。
ニブイチをはずしまくり、まわりの中国人客は、私がやたらとはずすので逆張り。
当然チップも激減していくわけで、気づけば、350万ウォンもあったチップは……もう75万ウォン(約6.7万円)に。
破滅のリアルが、すぐそこまで来てしまっていたのです……!
ギャンブルで起きた認知的不協和状態
軍資金はのこり75万ウォン(約6.7万円)のみ。
これがなくなってしまえば、もうほんとうにおわりです。
勝負を、未来をおわりにさせないためには、これを元手に、目のまえの危機を乗り越えなくてはなりません。
どうする……?
私はバカラのテーブルに着いたまま、現状を打破する策はないかと考えていました。
こまかく刻んでの逆転は、いまの流れからしてもむずかしいだろう。
負けがこんできているなかでそれをしても、そのまま全ノマレで終了がオチです。
となると、打開策は、やっぱりアレしかありません。
PLAYERまたはBANKERの片側連続に全額ベット。
75万スタートなら、150万、300万、600万ウォン。
たったの2連勝で300万ウォン。そのつぎは、全額を賭けなくてもいいのです。
じゅうぶん現実的な話でした。
ここぞという場面をキメてきた自分ならいける。
そうだ、迷わずにいけ……!
PLAYERに、全チップを置こうとしたときでした。
……(BANKER)
……(BANKER)
おいおい、待てと。
まわりの中国人客は、なんと全員BANKERにチップをベットしたのです。
ここまではずしまくっていた私が、PLAYERにベットしたわけでもないのに……!
最大の勝機はバカラに(たしかに)あった
マジかよ……
私が動くまえに、まわりの全員がBANKERにベット。
これは、私がさきに動いても結果は変わらなかったでしょう。
でも、なにもしていないのに、全員が(こう思ったものとは)逆の動きをしていたのです。
このとき、私はいわゆる「認知的不協和」の状態におちいっていました。
認知的不協和とは、「自分の認知とはべつの矛盾する認知が(自分のなかに)発生すると、人は不快感を感じる」というもの。
このカジノでの例でいえば、
- 私はPLAYERがくると思っている(自分の認知)
- まわりはBANKERがくると思っている(矛盾する認知)
という2つの認知が発生し、私にストレスをあたえていたわけです。
そしてこの「認知的不協和」を感じた人はどうするか?
その不快感を解消するために、自身の行動・考えを変えてしまう……。
そう、私はこのプレッシャーに負け、ベットはせずに、ひとまずゲームを静観することにしたのです。
その結果……
PLAYERウィン
……PLAYERウィン。
…………PLAYERウィン。
やっちまった……
ゲームはPLAYER3連勝。
痛恨のきわみなんてものじゃありません。
私のヨミは(いまさらいっても遅いですが)ここぞの場面で当たっていたのです。
そのままはっていれば、すくなくとも、プラマイゼロにはできたはず……。
うまくいけば、ようやくプラスで、勝負をおえられたかもしれなかったのに……。
なるほど、魔物は、客のなかにもひそんでいるわけか。
この日おとずれた最大の好機。
これを私は、みずから棒にふってしまったのです。
私をこれまで支えてきたもの、奮い立たせてきたもの。
それらがガラガラと音を立て、無惨にも崩れ去っていくのがわかりました。
しかも、こういった致命的なミスは、容赦なく致命傷をあたえにきます。
このときの私は、手足をもがれた、胴体だけの死にぞこないでした。
その胴体めがけて、トドメをさす一撃が、いまにも飛んでこようとしていたのです。
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