夏の閉めきった暑い室内ではうさぎさんは体調を崩してしまう恐れがあるため、しっかりと暑さ対策をしてあげましょう。
うさぎさんは一年中フサフサとした毛をまとっていますが、これは外の温度変化などによって新しいものに生えかわるため、気温の高い夏でも、ある程度の暑さはしのぐことができます。
しかし本来であれば、夏場の自然界のうさぎさんは、巣穴を掘って涼しい地中で暑さをしのぐため、真夏の閉めきった室内の暑さでは、熱中症になってしまうこともあるなど、そのままではうさぎさんは、無事に夏を乗りきることができない危険性があります。
そこで、飼い主さんがうさぎさんにしてあげたいのが、夏の暑さ対策。
うさぎさんは高温多湿が苦手で、暑さには強くない生きものです。とくに日本のじめじめとした夏は、うさぎさんにとっては大敵となってしまうので、うさぎさんが快適に夏を過ごせるように、ここちよい環境をつくってあげましょう!
冬の寒さ対策はこちら
→【うさぎの寒さ対策】サムい冬を一緒に越えるためのホットな環境の作り方
うさぎが快適に過ごせる気温・湿度
うさぎさんが最も快適に過ごせる適温は、アメリカ国立衛生研究所「NIH」によると、気温は16~21℃、湿度は40~60%とされていますが、部屋を閉めきっていてもそこまで室温・湿度は上がらない、春の終わりや秋の初め程度(室温が26~27℃くらいまで)であれば、温度管理をしてあげなくても実際はだいじょうぶだと思います。
しかし、湿度も上がる夏の季節で、気温が27~28℃を超えてくると、やはりうさぎさんは暑くてバテてきます。
気温が28℃以上になると、私たちも暑く感じてくるようになりますが、うさぎさんは私たち人間よりも基礎体温が高く(38.5~40.0℃)、私たちのように汗をかいて体を冷やすことができないため、もっと暑く感じてしまうのです。
よって、夏場はエアコン(クーラー)での空調管理は必須となるでしょう。
室温が高いまま放っておくと、うさぎさんは熱中症などで体調をくずしてしまうこともあります。まずは基本的な対策として、夏場はエアコンを活用し、室温が27℃以下になるようにしてあげましょう。
いつから対策を始めるかに関しては、私たちが暑いとすこしでも感じたら、室温が26~27℃くらいになっている(夏は湿気があるのでこれくらいの室温でも暑い)、などを目安にしてみるといいかもしれません。ケージカバーをかけている場合は、通気性がよくなるので、はずしてしまってもいいと思いますよ。
うさぎの暑さ対策(手作り&おすすめ)
基本的にはエアコンをフル稼働させ、一日中うさぎさんが快適に過ごせる温度を保つようにしてあげればだいじょうぶだと思いますが、うさぎさんにとっては快適でも、私たち人間にとってはすこし寒く感じるということもしばしば起こりえます。
さらにいうと、エアコンとうさぎさんのケージの位置によっては、部屋は涼しいのにケージのほうはあまり涼しくないということもあると思うので、そんなときは、うさぎさんのケージを直接冷やしてあげましょう。
ケージの冷やし方は、凍らせたペットボトルをタオルなどでくるんでケージの中に設置したり、凍らせた保冷剤をケージの上や側面に置いておくなどの方法があるので、ぜひ試してみてください。
ただ、うさぎさんのケージの中にタオルを置いておくと、ホリホリ行為で大変なことになってしまったり、ケージの上に物を置いている場合は、上から冷やすのはむずかしいと思われるので、私はケージの中に設置した小屋(ラビットハウス)を冷やしてあげる方法をおすすめします。
この、名づけて「クーラー(ラビット)ハウス」は、簡単につくることができて効果も高いように思われるので、まずは手作りでできる対策として、このクーラーハウスのつくり方からご紹介しましょう。
100均で揃う!クーラーハウスの作り方
クーラーハウスのつくり方はとても簡単。まずは小屋(ハウス)のサイズよりも大きめ、またはちょうどくらいのサイズのタッパーを2つ用意します。
これは100均などで売っているものでまったく問題ありません。ひとつは設置用、もうひとつは氷をつくる用に使用します。
ちなみに、こちらのタッパーのサイズは「縦24cm×横18cm×高さ3cm」となっています。
つぎに、氷をつくる用のタッパーに水を入れて冷凍庫で冷やし、氷ができたら、その氷をもう片方の設置用のタッパーに移します。
あとは、設置用のタッパーに氷を移し替えてふたをしっかりと閉め、ケージの下のトレーに置き、トレーをもどしたさいに、タッパーが小屋(ラビットハウス)の真下にくるようにすればOK。
トレーを戻せば、クーラーハウスの完成です!
実際に小屋の中に手を入れてみるとわかりますが、氷の冷気が下からあがってくるのと、小屋は天面と側面が木で囲まれているので冷気が充満して逃げにくく、小屋の中だけひんやりとした状態になります。
初めのうちはうさぎさんも気づかないかもしれませんが、毎日小屋の中を冷やしておおいてあげると、そのうちうさぎさんも気づいてくれ、小屋の中で涼んだりするようになると思いますよ。
ミニレッキスのイブスター店長は、すでに小屋の中が涼しいことを知り、暑い日は中でくつろいでいます。

このひんやり感がたまらない……!
ちなみに、同じような形の保冷剤などを使ったほうが、冷却効果は高く、持続時間も長いのですが、小屋の中に設置すると保冷剤もよごれたりするので、洗うのが大変ですし、また冷蔵庫に入れるのも気になってしまいます。
その点、タッパーは水でまる洗いでき、よごれが気になる場合は新しいものと交換してしまえばよく、氷が溶けた水は捨てるだけ。そのうえ、氷をつくるほうのタッパーはつねに清潔なので、やはり氷で冷やすほうが楽だと思いますよ。
暑さ対策グッズを活用しよう!
クーラーハウスはおすすめですが、ケージの中に小屋を設置していない場合や、ケージの下に保冷装置を設置するのがむずかしい場合は、これをつくることができないので、そんなときは、暑さ(熱中症)対策グッズを活用するという方法をおすすめします。
うさぎさんの暑さ対策には、便利なグッズも販売されているので、エアコンとあわせて使用することで、うさぎさんはさらに快適に夏を過ごせることまちがいなしでしょう!
とくにケージを周囲から冷やすのがむずかしい場合などには、これらを活用してみてください。
アルミボード
うさぎさんの暑さ対策グッズで定番なのが、アルミ製のボードやプレート。
さわってみるとひんやりしているので、ケージの中に設置しておけば、うさぎさんがボードやプレートの上で座ったり、寝そべったりして涼をとることができます。
アルミボードでのおすすめはマルカン製品。なぜなら、マルカンやSANKOなどのメーカーは、私が信頼しているメーカーの上位に入っているからです。
アルミプレート
アルミプレートは、SANKOの涼感プレートがおすすめです。
こちらは、以前ハムスターさんを飼っていたときにSサイズのものを使用したことがあり、洗いやすく、ひんやりとしていて、夏場は置いておくだけで効果があると感じたナイスな対策グッズ。
体が大きいうさぎさんには、Mサイズが適していると思いますよ。
天然石プレート
大理石やみかげ石などの天然石を使用したプレートも、うさぎさんの暑さ対策で定番の一品となっています。自然由来のものなので、自然な冷たさや、高級感をうさぎさんが味わうことができます。
こちらもおすすめは、SANKOの涼感天然石。
水や酸に強い「花崗岩(かこうがん)」という天然石でできていて、うさぎさんがひんやりとした表面で、おだやかに涼を感じることができます。
水や酸に強いことからよごれたさいも洗いやすく、Lサイズであれば、「縦26cm×横19cm×高さ1.5cm」と、うさぎさんのケージの中にも置きやすいサイズですよ。

天然石の上に乗り、高級ウサギになるのだ
うさぎの様子や行動がおかしいときは
夏の暑い時期はつねにエアコンを回し、ケージの周囲を冷やしたり、ケージの中に涼感グッズを設置することで、暑さが苦手なうさぎさんでも、快適に夏を過ごすことができると思います。
しかし、万が一外出中にエアコンが故障して止まってしまったり、エアコンをつけるのを忘れてしまったり、エアコンの効きがわるかったりした場合、ケージの周囲や中を冷やす対策をなにもしていないと(していたとしても)、うさぎさんが熱中症になってしまう危険性があります。
熱中症はうさぎさんの命にかかわる危険な病気です。万が一にそなえて、最後にうさぎさんの熱中症対策について確認しておきましょう。
うさぎの熱中症対策
まず、うさぎさんが熱中症にならないようにするためには、最低限以下のような対策をしておく必要があります。
- ケージを直射日光の当たらない涼しい場所に置く
- 室温は27℃以下、湿度は70%以下になるようにエアコンで調節する
- 暑さ対策グッズなどでケージを周囲から冷やしたりして、うさぎがケージの中でも涼めるようにする
- 水分を切らさない
そして、うさぎさんに以下のような症状が見られたときは、うさぎさんが熱中症にかかっている可能性があります。
- 耳の血管が充血して赤くなっている、耳が熱い
- 呼吸が荒い、口で呼吸をしている
- 鼻や口の周りがびっしょりと濡れている、よだれを垂らしている
- ぐったりと横たわって動かない
- 下痢をしている
- 痙攣を起こしている
うさぎさんの暑いときの行動としてよくみられるものに、呼吸がハッハッハッハッと荒かったり(呼吸が早い)、横になってぐったりしているというものがありますが、うさぎさんがただ単に暑くてバテているのであれば、エアコンの温度を下げたり、うさぎさんを涼しい場所に移動させることで、症状は比較的早く落ち着いてくる場合も多いです。
しかし、温度調節をしても症状がおさまらなかったり、よだれを垂らしている、下痢をしている、痙攣を起こしているといった、あきらかに異常がみられる場合は、熱中症の可能性があるので、応急処置として水を飲ませてあげ(飲める場合は)、うさぎさんの耳や体を冷たいタオルなどで冷やしたまま、すぐに病院に連れていってあげましょう。
うさぎの専門店である「うさぎのしっぽ」さんによると、いちど熱中症にかかってしまったうさぎさんは体温調節が乱れやすく、より熱中症にかかりやすくなり、熱中症を起こした場合の救命率は50%ともいわれるとのことです。
うさぎさんの熱中症は、空調や暑さ対策グッズで予防できるものですが、不慮の事態などでうさぎさんが熱中症にかかってしまった場合は、一刻も早い対応がうさぎさんの命を救うことにつながります。
とくに夏場はうさぎさんの生活環境に気をくばり、万が一の場合は、早急な対応でうさぎさんを守ってあげてください。
番外編1:暑さ対策としての扇風機の使用方法
私たち人間は、暑い日には扇風機にあたって涼むことができるので、うさぎさんにも扇風機の風をあててあげれば、涼しいのかな? と思ったりもしますよね。これは、人間とうさぎさんの体温調整について知ることですぐに答えが出ます。
まず、私たち人間が扇風機の風を冷たく感じる理由は、皮膚の汗が扇風機の風によって蒸発し、熱が奪われる(気化熱)からで、それによって私たちは体温を調節することができているのですが、うさぎさんはそうではありません。
さきほども熱中症のところですこしふれましたが、なぜうさぎさんは暑いと耳が熱くなるのかというと、じつはうさぎさんは耳で体温の調節をおこなっているからなのです。
うさぎさんは皮膚の汗腺機能が未発達なため、汗をかかない生きものですが、その代わりに耳には多くの血管がとおっていて、暑い日には、耳の血管を流れる血液を冷やすことで、体を冷やして体温を調節しています。
そのため、扇風機の風を直接うさぎさんにあてても、うさぎさんは汗をかかないので、涼しく感じることは基本的にはないのです。
エアコンと連動させた冷風であれば話はまた変わってきますが、扇風機の風を直接うさぎさんにあててしまうと、うさぎさんが不快に感じてしまうこともあるので、基本的には扇風機は、エアコンの冷たい空気を循環させるために使用するのがいいでしょう。
ちなみに、イブスター店長は扇風機を回すと怒りだすので、私は扇風機を使うことができなくなりました(最近使えるようになりました)。

あの回転音がね
番外編2:冷水(冷やした水)を与えるのはどうか?
夏の暑さ対策として、飲み水を冷蔵庫で冷やしておき、キンキンに冷えた水を給水ボトルなどに入れてうさぎさんにあたえる、という方法があります。私もこれをしていたことが一時期はあったのですが、途中からはやめることにしました。
というのも、自然界のうさぎさんは、夏場にキンキンに冷えた水を飲むことはないと思われますし、動物病院で飲み薬(要冷蔵)をもらうときも、「そのまま飲ませるとおなかを壊してしまうことがあるので、手で容器をにぎるなどして、あたためてからあたえてください」といわれていたので、夏場とはいえ、あまり冷たいものをあげるのはよくないかなと思いはじめたからです。
実際に冷やした水を飲ませていたら下痢をしてしまった、という話を聞いたこともありますし、冷えている野菜・果物はできるだけ常温に近い温度にもどしてからあたえるようにしましょう、という話もよく耳にすることでもあります。
うさぎさんも暑いと水を飲む量が増えます。もしかすると、水をたくさん飲んでおしっこをするだけでも、多少は体温調節ができているのかもしれません。
そういったこともあるので、私は冷蔵庫で冷やした水をあげるのはやめました。水道水でもひんぱんに交換してあげれば、十分冷たいのではないかなとも思うので、水を冷やすのであれば、ケージを冷やしてあげたほうがいいと私は思いますよ。

冷水は……なんともいえんな
うさぎさんについて理解を深めていくと、なにがうさぎさんにとっていいのか、どうすれば快適に過ごしてもらえるかがだんだんとつかめてくると思います。空調の調節や暑さ対策グッズを駆使して、夏場はうさぎさんが快適に過ごせる環境をつくってあげてください。
それでは、うさぎさんとよい夏の日を!
コメント