歯のケアはできているか?
うさぎさんの歯は一生伸びつづけるもの。
しかし歯が伸びすぎてしまうと、「不正咬合」という、噛み合わせ異常の病気になってしまうことがあります。
そこで本記事では、この不正咬合の予防を目的に、つぎのことをお話しします。
- うさぎの不正咬合とはなにか
- うさぎの歯の伸びすぎを防止する方法
- うさぎの歯を検査してもらう方法や費用など
あまりおどかすわけではないですが、
うさぎさんの歯の伸びすぎは、危険な病気を誘発する場合もあるなど、命にかかわるものでもあります。
ですから、ふだんから、うさぎさんの歯の状態には注意しておかなければなりません。
では、どう注意すればいいのか?
といったことを、この記事ではお話ししていきます。
予防自体はそんなにむずかしいこともないので、どうぞガムでも噛みながらごらんください!
この記事に登場するうさぎ
- ミニレッキスのイブスター店長
- 2016年11月生まれのオス(現在7歳)
- やや詳しいプロフィールはこちら
うさぎの歯の構造と仕組み
まずはうさぎさんの歯の構造と仕組みから見ていきましょう。
これは以下のとおりとなっていて、
- 切歯(前歯)6本
草などを噛み切る役目。前歯のうしろにミニ前歯(小切歯)が2本ある。
- 臼歯(奥歯)22本
草などをすりつぶす役目。上あごに12本、下あごに10本の奥歯がある。
前歯と奥歯をあわせると、歯の本数は「合計で28本」。
歯の生え変わりは生後30日くらいで、これらが永久歯となります。
そして歯の組織は、その後も両方ともずっとつくられます。
そのため、生涯にわたって、うさぎの歯は伸びつづけるようになっているのですね。
前歯は1年に10~12cmほどの早さで伸びるそうだ
うさぎさんは、奥歯ですりつぶすようにしてモノを食べますが、歯がすり減ってなくならないのは、
この「歯が伸びつづける」
という特徴のおかげです。
これによってうさぎさんは、繊維質の多い牧草などをこまかくし、効率的に吸収していけるわけです。
ただ「歯が伸びすぎてしまう場合がある」わけですよね
そう、そのような状態が「不正咬合」というものです。
うさぎの歯が伸びすぎると?不正咬合とは
では、不正咬合(ふせいこうごう)についてくわしく見ていきましょう。
さきのとおりでうさぎさんは、モノをすりつぶしながら食べることで、歯の伸びすぎをふせいでいます。
しかしこれが、つぎのような原因から伸び方がおかしくなってしまうと、
- 食生活がペレットやおやつに偏って牧草が不足している(歯をすり減らす機会がすくない)
- ケージの金網をよくかじる(歯に不自然な力がかかって噛み合わせがずれる)
- 落下事故などで顔をぶつけてしまった(歯がゆがんでしまって伸びる方向が曲がる)
うさぎさんは「不正咬合」という、歯の噛み合わせに異常がおきた状態になってしまうのです。
(※以下、不正咬合になってしまったウサギの画像です)
これは前歯・奥歯とも起こる可能性があり、
- 前歯が変な方向に伸びている、または伸びすぎている
- 奥歯がまんべんなくすり減っていない、一部がトゲのように伸びてしまう
と、いずれの場合も、ご飯を食べにくくなるなどの症状がでるようになります。
その他の症状でいうと、つぎのようなものがあります。
- 食べものをこぼす、かたいものを食べない
- 給水ボトルをうまく使えない
- よだれがでる、涙がでる、ひんぱんに歯ぎしりをする
- 食べる量が減ってうんちが小さくなる、食欲不振になる
また、遺伝的な原因もあるとされ、
- ネザーランドドワーフ
- ドワーフホト
などの、小型であごの小さいうさぎさんは、不正咬合になりやすいといわれています。
小型のうさぎさんを飼っているなら、「とくに注意してあげる必要がある」ということですね。
注意すべきは膿瘍
また不正咬合が誘発する病気に、膿瘍(のうよう)というものがあります。
これがかなり危険なので、あわせてチェックしておきましょう。
うさぎの膿瘍とは、うさぎさんの体にできる「膿がたまった袋のようなもの」のこと。
不正咬合が原因となる場合は、歯根(※1)に炎症が起き、あご周辺に膿瘍ができることが多いといいます。
病名でいうとつぎのようなものがあり、
- 上顎(下顎)膿瘍
- 根尖(こんせん)膿瘍
うさぎさんには、以下の症状がみられるようになります。
- あごに腫れものができる
- 涙が増える
- 眼球が突出する
それで、この不正咬合がらみの膿瘍ですが、
原因が歯根あたりにあると、膿瘍はほぼ治らないものにもなってしまうそう。
なぜかというと、このあたりの膿を完全に取りだすのはむずかしく、根本的な治療がしづらいからだそうです。
うさぎの膿瘍/うさぎの膿瘍(のうよう)の治療【獣医師監修】
(※リンク先の画像は閲覧にご注意ください)
したがって、私たち飼い主がしなければならないのは、不正咬合の「予防」です。
そうなってしまってしまうまえに、
うさぎさんを病から守ってあげるのです!
ということで、ここからは、うさぎさんの歯が伸びすぎるのを防止する方法を見ていきましょう!
うさぎの歯の伸びすぎを防止する方法
うさぎさんの歯の伸びすぎは、危険な病気を誘発する場合もあるなど、未然にふせがなければなりません。
では、その方法にはどのようなものがあるのか? というと、つぎの対策があります。
- 牧草をたくさん食べさせる
- おやつのあげ方に注意する
- かじれるものを用意してあげる
私も実践している方法です
どれもすぐにできるので、どうぞ3つともごらんください!
1. 牧草を食べさせる
不正咬合の最大の予防方法は「牧草を食べさせる」ことでしょう。
うさぎさんの歯が伸びすぎるのは、基本的には、じゅうぶんに歯をすり減らせていないからだと思います。
ですから、歯の長さを調節してもらうために、
ふだんから牧草をたくさん食べさせる、というわけだな
うさぎさんよっては、牧草をあまり食べてくれないこともあります。
けれども、牧草には以下のとおり、いろんな種類があるわけで、
- 1番刈りと2番刈り(2番は食べやすい)
- シングルプレスとダブルプレス(ダブルはやわらかい)
- オーツヘイやクレイングラスなど(嗜好性が高い、味がちがう)
なにかしら「コレだ!」という牧草はきっと見つかるはず。
どうしてもむずかしい場合は、
という、牧草をかためた代用品や、モグピョンチモシーなどの高級品もあります。
とにかく、うさぎさんが好んで食べてくれる牧草を、なんとかして見つけてあげるのが重要という話です。
牧草の選び方に関しては、以下の記事でもまとめてあります。
ナイスな牧草がなかなか見つからないときは、こちらも参考にしてくださいね。
牧草を食べることがウサギにとっての歯磨きだ
2. おやつのあげ方に注意する
うさぎさんへのおやつのあげ方にも気をくばってあげましょう。
まず、ペレット系の固めたようなおやつは、あまりあげないほうがいいです。
なぜかというと、
アレは口の中ですぐ溶けてしまうので、歯にもあまりよくないんですよ
と、かかりつけの獣医の先生もいっていたから。
そもそもおやつはあげなくてもいい
とのことでもあったので、あげるにしても、生の野菜や、乾燥させた野菜・フルーツなどを少量にしたほうがいいでしょう。
それから、おやつのあげ方ですが、
ケージの金網をとおしてあげるのも、やめたほうがいいと思われます。
なぜなら、以下のような状況になると、
- 冷蔵庫をあける音がした
- おやつの袋のガサガサ音がした
うさぎさんがおやつに反応して、ケージの金網をかじって催促するようになってしまうからです。
ですから、おやつをうさぎさんにあげるときは、
「ケージの扉をあけて、そこから餌箱に入れるようにする」
など、金網のあいだからは入れないようにしたほうがいいでしょう。
ある程度ケージの金網をかじってしまうのはしかたがないと思います。
でも、よけいにかじらせてしまうと、それだけ不正咬合のリスクが高まってしまいますよね?
ようするに、おやつのあげ方については、こういうことです。
「ペレット系と金網投下」には注意せよ
うさぎのおやつの選び方
3. かじれるものを用意してあげる
うさぎさんがケージのなかでなにかをかじれるように、それ用のものを用意してあげましょう。
うさぎさんを部屋のなかで散歩させてあげると、やたらといろんなものをかじりますよね?
結局のところ、これも歯の伸びすぎをふせぐ行動であって、
必要だからうさぎさんはそうしている
のだと思います。
それがケージのなかでもできるなら、うさぎさんも満足ですよね
というわけで、ケージのなかに、うさぎさんがかじって遊べるおもちゃを用意してあげましょう!
で、なにをかじればいいんだ?
これは、以下の2つがおすすめできます。
ただし、かじり木については、木の破片が「うさぎさんのお腹のなかで刺さる」という話もあります。
よって、万全を期すなら、チモシー牧草でつくられた「わらっこ倶楽部シリーズ」がまちがいありません。
なかでもうさぎの座ぶとんは、ケージの底に敷くだけで設置できるので、おすすめです。
座ぶとんをもってこい!!!
ということで、私はつねにストックしています。
うさぎさんがけがをする心配もとくにないので、迷ったら「うさぎの座ぶとん」がいいと思いますよ。
その他のおもちゃ&使い方まとめ
うさぎの不正咬合の検査と費用
ここまでの話で、うさぎさんの歯が伸びすぎる危険性と予防方法がわかりました。
そこで最後に、不正咬合を未然にふせぐ方法の「+α」として、病院での検査についてもお話ししておきます。
これは以下の手順で、簡単に検査してもらえます。
- うさぎさんを病院に連れていく
- 獣医の先生が目視で確認(ただし歯根があやしい場合はレントゲンになる場合も)
イメージでいうと、こんな感じ。
あるいは、こんな感じです。
うさぎさんの前歯は、私たちでも確認できますが、奥歯はむずかしいですよね。
しかしそんなときでも安心だ
奥歯でも、獣医の先生がうさぎさんの口をひらいて、歯医者で使われる鏡(デンタルミラー)のような器具を使ってみてくれたりしますよ。
費用は動物病院にもよると思いますが、私の場合は2000円くらいでした。
イブスター店長の頭をなでていたとき、歯ぎしりの音に違和感があったので、みてもらったんですよね。
ちなみにそのときは、奥歯もだいじょうぶでした
動物病院でみてもらえれば安心です。
定期的に健康診断ということで、歯が伸びすぎていないかをチェックしてもらうのもいいと思いますよ。
今回のまとめ
- うさぎの歯は一生伸びつづける
- 歯が伸びすぎると不正咬合などの病気になることがある
- 牧草を食べさせるなど、ふだんから歯には注意してあげるのが大事
うさぎさんの歯の伸びすぎは、放っておくと、どんどん状況は悪化していきます。
自分の歯がひたすら伸びていって止まらない
なんてことを想像してもらえれば、どれくらい危険なものかはイメージできると思います。
ですから、ふだんからそうならないように、私たち飼い主が注意してあげるのが大切なのです。
それから、歯が伸びすぎているからと、自分でカットするのはやめましょう
うさぎさんの歯が伸びすぎている場合、動物病院に行けば、切ってもらったり削ってもらったりしてもらえます。
ニッパーなどで切ってしまうと、うさぎさんの歯に深刻なダメージをあたえてしまうこともあるので、これはやってはいけません。
歯に問題が起きたら、まずは歯医者に行きますよね?
それとおなじことで、伸びるからと自分で切ってしまうのは、危険以外のなにものでもないのです。
困ったときは病院へ。
そうすればまちがいはないので、歯が伸びすぎていたら、うさぎさんを病院に連れていってあげてくださいね。
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