最凶のディーラー再び!暗雲漂うマリーナベイ、憔悴のブラックジャック

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マーライオンとマリーナベイサンズ

連日連戦の疲れが凶を呼び込み、立たされたのは紙一重の窮地。しかし、その土壇場で、私は何者かの声を聞いた。

ついに迎えた最終日。

友人との再会、全力での観光、カジノでの勝利。無事にシンガポール旅行全ての目的を成し遂げた私は、最後の戦いに挑むべく、マリーナベイサンズのカジノへ突撃。

勝って有終の美を飾れるか。負けて勝ち分を減らして仕舞いか。はたまた勝ち続けた金を全て吐き出し、無情の帰国で終幕か。

全てはこの5日目、最終日に集約される。

4日目はこちら↓
必勝法「マーチンゲール法」炸裂か!?友の意志を背負う慰めのバカラ
表シンガポール旅行5日目はこちら↓
【チャイナタウン】集合屋台「ホーカーズ」と、隠された仏教寺院の扉

目次

裏シンガポール旅行(最終日・前編)

長いようで短かったシンガポール旅行もこの日が最後。私は3日目に果たせなかった観光予定地、まずはチャイナタウンに向かいます。

チャイナタウンのパゴダストリート

チャイナタウンのメインストリート「パゴダ・ストリート」ではエネルギッシュなチャイナの熱気を感じ、

佛牙寺百龍殿の弥勒菩薩

上階へと続く扉の発見はシークレットミッション級。仏陀の歯が眠るという仏教寺院を見学。

サルタンモスク(マスジッドサルタン)

そのままマレーやインド系のイスラム教徒が集う街「アラブストリート」に移動し、黄金のタマネギが特徴的なモスクを見学。ここで全ての観光は完遂!

シンガポール屋台の肉骨茶

アラブ街周辺で一部のお土産を買い終えた私は一度ホテルに戻り、もう一度記念に食べておこうと、夕食は屋台でシンガポール名物の肉骨茶(バクテー)を。

ムスタファセンター

そして最後に、マーライオンクッキーをゲットするため、私はインド人街「リトルインディア」にあるムスタファセンターへと向かったのです。

クッキーを購入後再度ホテルに戻ると、時計の針は優に20時を回っていました。翌朝7時前にはチャンギ空港必着。よって私に残された時間はそう長くはありません。

しかしこの時、私はホテルから出るのがはばかられるほどの疲労を感じていました。

日中は午前中に起きて全力で観光。日が沈めば夜明け前までカジノで勝負。3日目は昼過ぎまで寝ていたにしても、それが連日連夜、4~5日間も連続するとなると流石に疲れも溜まってくる。

湊
ミナト

もう、このまま寝てしまおうか……

惚けた考えが一瞬頭をよぎる。

しかし、そんな終わり方でいいはずがなかった。この旅は、最後の最後で中途半端に終わらせるようなことだけはしたくはない。もし朽ち果てるにしても、その場所が少なくともこのホテルではないことだけははっきりとわかる。

それに、体が動く以上は旅は終わらない……そう言ったのは誰だ?紛れもない、かつての自分じゃないか。

であれば、行け。今日が本当に最後だ。マリーナベイサンズのカジノで、最終決戦としけ込もうじゃないか。

体力か、気力か。そのどちらかが尽きるまで……!

疲労困憊が呼んだ「凶」の流れ

私はタクシーに乗り込みマリーナベイサンズのカジノへ。勝負するゲームはもちろんブラックジャック。なぜなら、ここ連日BJでは負けなしの流れに乗っていたので、やらない理由がなかったのです。

ディーラー
ディーラー

あ、お兄さん!こっちおいでよ!

彼はとても感じのいいディーラー。今旅では既に2~3回ほど会っていて、顔を覚えてくれていました。ミニマムベットは50SGD(約4,000円)だったので私は即着席。まずは様子見、2ハンドのマルチハンドでゲームはスタートします。

湊
ミナト

今日で最後なんですよ。シンガポール、本当に楽しかったです

ディーラー
ディーラー

そっかそっか!是非ともまた、戻っておいでよ

やっぱり、もう終わりなのか。

旅を振り返りながらディーラーとの会話を楽しんでいた私は、ふと旅の終わりがもうすぐそこまで近づいてきていることを強く認識。旅の終わりはいつもそう。楽しければ楽しいほど、最後は感傷的な気分になってしまう。

そして、それと同時に、強烈な睡魔が私を襲う。

思えば体調不良はこの日に始まったことではありませんでした。そもそも初日から仕事を終えての徹夜で出発。2日目には大金を失い、3日目には観光資金を全て失いかけるという極度の重圧。そして連日の睡眠不足。

これらによって眠気はもちろん、頭痛や腹痛などに襲われることもあり、最終日のこの夜は蓄積した疲れもあって、恐らくコンディションは今旅で最も悪い。

そして……

ディーラーアップカード「6」で「13」ヒット

ディーラーアップカード「6」に対して「13」ヒットという地味なミス。

ブラックジャック「18」でヒット

さらには視界がぼやけ始め、私はまさかの「18」ヒットという痛恨のミスを連発!

ディーラー
ディーラー

エイティーンだよ

湊
ミナト

えっ?あぁ……

特に「18」ヒットといった極端な場合はディーラーも教えてくれたりするのですが、私がヒットを宣言するのが早すぎたために間に合わず。

そして、こんなミスを重ねていればツキの流れも変わるというもの。次第に勝負の雲行きは怪しくなり始めたのです。

実らせろ!ピクチャー乱舞の復活の一手

初めに交換したチップは1,000SGD(約8万円)。途中からハンドを3ハンドのマルチハンドに増やして勝負を仕掛けに行くも、つまらないミスの連発が不運を呼び込み、途中からは目に見えての失速。

増えていたチップも少しずつ削られていき、既に手元には初期枚数の半分以下のチップしか残っていませんでした。

この流れはどこかで断ち切らなければこのまま全て飲まれてしまう……。そう思いながらゲームを続けていると、

3ハンドの1枚目が全てピクチャー

3ハンドの1枚目が全ピクチャー。

3ハンドの2枚目も全てピクチャー

さらに、2枚目も全てピクチャーと、3ハンドとも初期の手が「20」という鬼のような展開が舞い込む!

ディーラー
ディーラー

オゥオゥオゥ

ピクチャーがここまで固まることはそうそうありません。これはあるのか?ここが逆転の起爆剤となるのか……!?当然私は全ステイを選択!

ディーラーの合計は12

これは流石に大丈夫だろうと余裕をこいて見ていると、

ディーラーの合計は21

カードが重なりに重なり、ここでまさかのディーラーは「21」!私の「20」の僅かに上を行き、3ハンドを無情にも全撃破してしまう!

湊
ミナト

まさか、そんなことがあっていいのか……

結局そのまま流れは変わらず、私は手持ちのチップを全て放出。さらに、追加で1,000SGD(約8万円)を交換したところでディーラーの交代時間となってしまい、残念ながら彼とはここでお別れとなってしまったのです。

この時、時計の針は23時を指していました。

最凶のディーラー、再び

今旅を通して良くしてくれたディーラーが交代となってしまい残念がる私でしたが、それに追い打ちをかけたのが交代してきたディーラー。

ディーラー
ディーラー

ッス……。

まさかの、滅茶苦茶感じの悪い、金髪メガネのディーラーではないか!

彼とは2日目に一度対決していて、その際にボコボコにやられたのはまだいいとしても、恐ろしくやる気がなく、とにかく態度が良くない。

流石に今回は私もテーブルを移動しようかとも思ったのですが、ディーラーの顔を見て席を離れるのも何だか嫌な感じですし、それに、このテーブルはここから盛り返す可能性、その気配を何となく感じていたので、結局私はゲームを続行。

意図せずして、再びこのディーラーとの対決の場が設けられることとなってしまったのです。

しかし、金髪メガネのディーラーは相変わらずのやる気のなさ。

ゲームの進行はまたしても遅くなり、私はもう諦めていましたが、途中から席に着いた男性客はやたらと長いベット時間にイライラし始め、それはまるで、2日目の状況を完全に再現しているかのよう。

もうここまでくると、自分の仕事量を減らすためにわざとやっているのではないかとすら私には思えてきたのですが、そんな折、彼はついにやらかす……!

ブラックジャックでディーラーが「16」で止めるミス

BJはディーラーは「17」以上になるまでヒットし続けなければならないのですが、彼は「16」でヒットを止めるという凡ミス!「17」以上だった私たちの勝利ということになってしまったのです。

普段であれば少なくとも私は、恐らく隣の男性も指摘すると思うのですが、私たちはあまりのディーラーのやる気のなさに指摘する気にもなれない。もう自分で気付いてくれと。

そしてチップが配当され、私たちは配られたチップには一先ず手を付けなかったのですが、カードを回収しようとした時、彼は気付いた。

ディーラー
ディーラー

………あ!

しかし時既に遅し。チップはもう配当されてしまっているのです。

隣の男性が近くにいたピットボス(ディーラーよりも偉い人)を呼び、どうすれば良いのかと状況を説明。ピットボスの判断は通常通りの進行で仕切り直しでした。

つまり、私たちは一度チップを返却し、ディーラーがもう1枚ヒットするということになり、結果、ディーラーは「4」を引いて「20」で私たちの敗北。

私たちのベットしたチップも当然ながら回収!

ピットボス
ピットボス

あなた番号は?

ディーラー
ディーラー

これです……

ピットボスに社員ナンバーのようなものを聞かれる金髪メガネ。

その後暫くピットボスが後ろについての緊張感漂うゲームが続き、問題なさそうだと判断するとピットボスは再びどこかへ……。

ディーラー
ディーラー

あああ……やっちまったよ……

湊
ミナト

……大丈夫ですか?

物凄い落ち込む金髪メガネのディーラー。その姿に、流石に自分も意地悪だったなと申し訳なくなり、一応フォローを入れる。正直スマンかった。

そして、同情もあって彼のテーブルでゲームを続けた結果、またしても1,000SGD(約8万円)のチップは全て消え、BJでの負けは2,000SGD(約16万円)に増加。

これも2日目と全く同じ展開……。

何か嫌な予感がする。一先ずテーブルを離れよう。2日目と同じ悲劇だけは繰り返してはならない……。

辿り着いたのはやはりバカラ

現時点での負けは2,000SGD。負けたまま帰るという選択肢は私にはありません。よって、最低でも負け分を取り返すまではこの場を去る訳にはいかない。

しかし、BJで2,000SGDを取り返そうとすると、大きな勝ちの流れに乗らなければならず、既にこれだけ負けていること、瞬時にカードの合計を計算する体力すらもう残っていなかったことからも、BJでの再戦はかなり厳しいと思われました。

2日目に起きたこと。それは、バカラでの致命的な敗北。

とはいえ、この状況で何とかしようとすれば、もうバカラしかない。よって、私はバカラのテーブルへ行く。が、追加で500SGDを飲ませただけ。累計は-2,500SGD(約20万円)と、傷を増やしただけ!

私はだんだんとホテルに戻りたくなってきました。しんどい。もう寝たい。でも、負けたままでは帰れない……。

極度の疲れが思考を鈍らせる。もう、一発で終わらせよう。50%を突破すればプラスマイナスゼロで終わり。それがベストだ。もう、それしかない……。

私は2,500SGD分の紙幣を握りしめ、これを一発でベットするべく、バカラのエリアを彷徨い始める。

伝説の守護者の声を聞け!

財布から取り出した2,500SGD(約20万円)を手に、私はバカラのエリアをおぼつかない足取りで彷徨う。そして、見つけてしまう。

バカラでPLAYER5連続の罫線

初っ端からPLAYER5連という、これ以上なく、行けそうな気配を放つテーブルを……!

先客は男性1人。彼は既にPLAYERにベットしています。

湊
ミナト

ちょ、ちょっと待った!

急いで私はテーブルに着席。握りしめていた2,500SGDをテーブルに置き、チップに交換します。

高額紙幣のチェックが入り、ディーラーはチップを用意。早くしてくれよとでも言いたげな男性客に、すまない、もう少し待ってくれと私は目配せをします。

そして、2,500SGDのチップが私の手元に到着。

当然行く。そのために交換したのだから。私はそのチップを手に持ち、PLAYERのベッティングエリアへと勢いよく手を振り下ろす……!

掴んだチップとテーブルの垂直距離はもう2cmもありません。あと少し、ほんの少し力を加えるだけ、いや加えなくてもベットは完了します。しかし、その金額の重さが、残り僅かな距離になって手の動きを妨げる!

それはまるで、重力に逆らおうと反発する力がテーブルとチップの間で発生しているかのようでした。

行く、行く。行け……!

私は約2cmの見えない空気の塊を押し潰すべく、手に最後の力を加えようとする!が、まさにその時……!

伝説の守護者
伝説の守護者

待て!早まるな!それを外したら全てが終わりだ!

何者かの声が、しかしはっきりと、私の脳天を撃ち抜いた……!!

湊
ミナト

…………

湊
ミナト

そうだ……。もし、これを外したらどうなるんだ……?

この日、私が持ってきた資金はこれまでの勝ち分のみ。

この2,500SGDを外せば、次はその負けを取り返そうと最低でも同額。いや、今の自分の賭け方からして、全てを一気に取り返そうと思うだろう。よって、5,000SGD(約40万円)を賭けることになるのは必至。

しかし、残る手持ちは5,000SGDには満たない、あっても4,000SGDほどしかないのです。

つまりこの勝負を外せば、次回の勝負で勝ったとしてもまだ負け。次回も負ければ勝ち分全敗と、負ける未来しか用意されていないのです!

それに、2日目のバカラでのツラ追い、4日目の友人との共闘と、そのどちらもが連勝は5連でストップ。二度あることは三度あると言う。その可能性、十分にあるんじゃないのか……?

テーブルとチップの間にあった空気の塊が膨らんでいく。私は、この勝負は行くべきではないと寸前のところで判断。チップを手元に戻したのです。

ディーラー
ディーラー

OK?

湊
ミナト

やっぱり、やめておきます……

先客の男性は結局やらないのかと呆れ顔。ノーモアベット。ディーラーはそう言うとカードを2枚ずつ配り、

そして……

PLAYER「2」、BANKER「6」でBANKER勝利

PLAYER、BANKER両者共に3枚目までもつれ込むも、結果はBANKERが「6」で勝利。PLAYERは敗北。

PLAYERは敗北……!

終わりかけた。男性客は席を立ったため次の結果はわかりませんが、今行っていれば間違いなく終わっていた。5,000SGD負け。その負けが負けを呼び、勝ち分全敗で終わっていた……。金を全て吐き出して終わっていた……!

しかし、私はその死線を潜り抜けた。先ほどの声は守護者の声、救済者の声だ。俺は救済の声を聞いたのだ……!いける、まだいけるぞ……!

朽ち果てかけた体に再び気力が宿り始める。私は、バカラのテーブルを離れ、最後の戦いを挑みに行ったのです。

次回、最終回→【決戦マリーナベイサンズ】脳裏一閃!ブラックジャック犠牲の最終戦略

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