うさぎ小屋の乱れは、うさぎさんの心と健康の乱れ。定期的なケージの大掃除は、必須の任務となるでしょう。
うさぎさんの小屋の中は、おしっこでトイレシーツや砂、トイレ自体が汚れたり、うんちや餌箱から落ちた牧草がすのこの下にたまっていったりするので、日々のお掃除は必須となります。
しかし、そういった日々のお掃除に気を取られてしまって忘れがちなのが、小屋全体のお掃除(大掃除)でしょう。
このケージの大掃除は、ケージを移動させたり、うさぎさんに別の場所で待機していてもらったり、ケージを解体したりする必要もあるため、けっこうな重労働となりますが、これをやらないと、場合によってはうさぎさんが病気になる原因をつくってしまうことにもなるので、定期的に行わなければなりません。
今回は、そんなうさぎ小屋の大掃除をするにあたって、どれくらいのペースで行えばいいのかという頻度や、掃除の手順といったやり方を、私の場合ということでご紹介していきたいと思います。
小屋の大掃除の必要性と病気のリスク
うさぎさんの小屋の中というのは、ケージのつくりにもよりますが、見えないところで汚れが蓄積していくものだと思います。
たとえば、給水ボトルからしたたった水が、餌箱から落ちた牧草の上に落ちるような位置関係に両者があった場合、ぬれた牧草がすのこのあいだなどに入り込んでしまうと、これは気づかないうちに腐っていきます。
トイレ以外の場所でうさぎさんが自分のにおいをつけるためにおしっこをした場合、すのことトレーをきちんと拭いても、トレーの底などにおしっこがこびりついて残ってしまっていることもあります。
ふだんからブラッシングをしてあげていても、ケージの見えない場所にうさぎさんの抜け毛がたまっていったり、ふだんの掃除で手が届かないところには、ほこりがたまっていったりすることもあるでしょう。
こういった小屋の汚れは、ちょっとくらいであれば大きな問題になることはないと思われますが、長期間にわたって汚れが蓄積し、不衛生な状態が続いてしまうと、うさぎさんが病気になってしまう危険性も出てきます。
まずは大掃除を始める前に、掃除を長いあいだサボることで、どのような病気のリスクがうさぎさんに出てくるのかを確認しておきましょう。
1. 角膜炎(角膜損傷)
角膜とは、眼球のいちばん手前にある透明な膜のことをいいますが、この角膜が、牧草のカスやほこり、うさぎさんが自分の爪で引っかいてしまうなどの原因で傷ついて(損傷して)しまうと、炎症を起こすことがあります。それが「角膜炎」です。
また、白目の表面(黒目の周囲)からまぶたの裏側までを覆っている結膜というものが、これも異物(カスやほこり)による刺激、引っかき傷などのけが、細菌感染などによって炎症を起こす「結膜炎」という病気もあります。
両者は場所が場所だけに、一方がもう一方の病気を誘発させたり、病状を悪化させたりもするなど、相互に影響を及ぼしあう関係にあるのですが、ケージの掃除をしないことでこまかなゴミや細菌が増えていくと、このような「眼病」のリスクが高まってしまいます。
2. スナッフル(鼻炎)
スナッフルというのは正式な病名ではなく、うさぎさんに多くみられる、鼻水やくしゃみなどの鼻炎の総称を指したものです。
これはおもに、パスツレラ菌という細菌感染が原因となる病気ですが、そもそもうさぎさんの多くはこの菌を保菌しているとされ、発症するのは、ストレスや寒さなどの環境による免疫力の低下などが原因とも考えられています。
うさぎさんはキレイ好きなので、飼育環境が不衛生な状態のままだと、それが大きなストレスとなってしまうこともあるでしょう。ケージの掃除をしないと、スナッフルを発症するリスクも上がってしまうのです。
3. ソアホック(足底潰瘍・飛節びらん)
ソアホックとは、運動不足や肥満などの原因によって、後ろ足のかかと部分の毛がはげてしまい、足の裏の皮膚が炎症を起こしてしまう、室内飼いのうさぎさんにはよくみられるといわれる病気です。
うさぎさんの足の裏には肉球がなく、毛が抜けてしまえば、足を保護するものがなくなってしまいますが、そこで床の上が不衛生だったりすると、足にできた小さな傷などから細菌が侵入してしまうことがあり、そういったことが直接の原因となります。
とくに短毛種のうさぎさんは、足の裏の毛がうすいのでソアホックになりやすいといわれているので、ケージの掃除にはより気を使ってあげる必要があるでしょう。
ミニレッキス、ソアホックには、注意しよう
ソアホック対策はこちら
→ うさぎのソアホック対策で効果があった6つの治し方&完治までの経緯【予防策も】
ケージまるごと大掃除の頻度と準備
以上のことから、日々のお掃除はもちろんのこと、うさぎさんのケージは定期的に大掃除をしてあげる必要があります。その頻度は、衛生的であることに越したことはないので、理想としては月1回はまるごと大掃除をしてあげるのがいいでしょう。
ただし、日々のお手入れのついでに、ケージを解体しなくてもできる掃除をこまかくしておけば、そこまでひんぱんに大掃除をする必要はないともいえるため、2~3か月に1回でも問題はないかもしれません。
私はだいたいそれくらいのペースで大掃除を行っていますが、これはケージのつくりであったり、日々のお手入れ具合にもよるので、あくまでも理想は月1回と考えておけば間違いはないと思います。
では、ここからは、いよいよ大掃除の手順をご紹介していきますが、掃除を始める前に準備しておくものがあるので、まずはそちらから確認していきましょう。
大掃除を始める前に用意しておくもの
ケージの大掃除はなかなか大変な作業であり、けっこう時間もかかるので、ある程度の掃除道具などを用意しておく必要があります。
個人的に、最低限これだけは必要と思うものは、以下の5つです。
掃除機
大掃除を始めればわかることですが、最も大変なのは、おそらくうさぎさんの抜け毛を回収することだと思います。
これは雑巾などで行うと手間がものすごく増えるので、掃除機で吸い込んでしまうのがいちばん。ケージの大掃除には、文明の利器を活用しましょう。
ほうき&ちりとり
掃除機はたしかに便利なマシンだといえます。しかし、原始的な道具のほうが役に立つこともあり、とくに落ちている牧草などの掃除には、ほうきとちりとりのほうが適していると思うので、こちらも併せて用意しておくと掃除がはかどります。
なければないでも大丈夫ですが、おうちになければ、100均などで購入しておいてもいいかもしれません。
フェンス or サークル
ケージとその周辺を掃除中は、うさぎさんには別で待機していてもらう必要があり、集中して大掃除に取りかかるためにも、フェンスやペットサークルは必要となってきます。
やはり掃除中にうさぎさんが侵入してくると危ないので、なにかしらのバリケードは設置しなければなりません。バリケードとして使えるものがあれば、それで代用することもできますが、目ぼしいものがない場合は、事前に用意しておくことをおすすめします。
雑巾 or ウェットティッシュ
ケージのまるごと大掃除のメインは拭き掃除であるともいえるので、雑巾やウェットティッシュなど、水拭きできるものを用意しておきましょう。
使わなくなった服を切ったものでも、靴下でも、なんでもいいと思います。個人的にはコスパはよくないですが、らくなのでウェットティッシュがおすすめ。
尿石取り&歯ブラシ
うさぎさんのトイレについた茶色い尿石汚れ取りも、大掃除のタイミングでやってしまうといいでしょう。
尿石汚れを取るには酸性のもので汚れを中和する必要があり、これは100均のクエン酸などでも代用することができますが、私は「うさピカ」という専用の除去剤を使用しています。
トイレの尿石汚れはこすって取れるものではなく、放置するとにおいも強くなっていくので、トイレはとくにキレイにしてあげたいところ。歯ブラシがあると掃除の時間を短縮することができます。
うさピカの使い方はこちら
→ うさぎのトイレについた尿石汚れ(こびりつき)を取る方法2選【感動の激落ち】
うさぎ小屋大掃除の手順と一連の流れ
さて、すべてはととのったので、ここからは、うさぎさんのケージまるごと大掃除の手順をご紹介していきます。
今回大掃除を行うのはこちら。
ミニレッキスのイブスター店長の家である、マルカン製「うさぎのカンタンお掃除ケージワイドB」です(画像はまだ新しいときのもの)。
今回は欲しいものをそろえるのに時間がかかってしまったため、ふだんよりも汚れていることが予想できますが、それだけ掃除しがいもあるというものです。
それでは、張り切って大掃除開始!
バリケードの設置からケージの移動
まず初めに、ケージ周辺にうさぎさんが侵入してこないように、バリケードを設置します。
バリケードに使われているものは、「うさぎの七つ道具」とでもいったものであり、私がうさぎさんの世話をするために使用しているものの数々。ふだんはケージの上に置いてあるものを、掃除で移動させるついでに、そのままバリケードとして流用しています。
バリケードの外側には牧草を設置。
イブスター店長はこれを食べて待機!
続いて、バリケードの設置とうさぎさんの避難が完了したら、いよいよケージを手前に引き出していくわけですが、このへんがいちばん大変なことになっています。だいたい以下のような状態です。
ちなみに、これはなんなのかというと、ケージを引き出した床の上には、うさぎさんのうんちと抜け毛と牧草が複雑にからみあって鎮座していて、その光景は、そのまま載せるのははばかれるほどのものだったので、自主規制的な意味で、画像にモザイク加工等をほどこしたものです。
うんちを見て喜ぶのは、変態か小学生くらいのものだと私は思っているのであえて伏せましたが、とにかく、ケージをどかした床の上はかなり汚れているということが伝わればと思います。
さらに! ケージの裏側には大量の抜け毛が!
これは、大掃除までのあいだに、うさぎさんの換毛期があったことも関係しているものと思われますが、いかに手が届きにくいところは汚れがたまっていくのかということは、もうこれではっきりとしましたね。
床とケージ外側の掃除
さて、ここからが掃除本番となります。
ケージ下のうんちや牧草といったものは、掃除機だと詰まることもあるので、ここは「ほうき&ちりとり」で大きなゴミを回収していき、残った抜け毛や、たまったほこりを掃除機で吸い込んでいきます。
このとおり、床はこれでばっちりです。
次に、ケージの外側についた抜け毛は掃除機で一気に吸引。
ここもかなりきれいになりました。さすがは文明の利器といったところでしょう。
なお、この量の抜け毛を雑巾などでなんとかしようとすると、毛だらけになって大変なことになるので、ケージ外側についた抜け毛の回収は掃除機がおすすめです。
床の掃除とケージ表面にたまった抜け毛の掃除が完了したら、ケージ外側の掃除に移行します。
ここでは、ケージ側面の汚れやほこり、外側の金網についた汚れを雑巾などでていねいに拭きあげていき、それが終わったら金網を外して、金網の設置面(ケージの内側)にたまった牧草のカスやほこりを除去。
これからケージの内側を掃除していくので、私の場合は、ゴミはケージの中に落としてしまっています。
ケージ内側のすのこやトレーの掃除
ケージ外側と金網、金網の設置面の掃除が終わったら、ケージ内部のすのこを外して水洗いをし、どこかに立てかけておいて乾かしておきます。
水洗いの際に、これからトイレ掃除でも使用する歯ブラシで、裏側のこまかい汚れも落としておきましょう。
トレーを外して上から落としたゴミを捨てたら、トレーの表裏を拭きあげたのち、トレー下の引き出し部分を掃除していきます。
ここにも牧草などが落下しているので、そういったものを捨てたあとで、雑巾などで拭きあげていきます。
これでケージ内部の掃除も終了! ここまでくれば大掃除も大詰めですよ。
トイレ掃除と備品の掃除
一方そのころ、イブスター店長はというと、1~2回バリケードを突破してきましたが、すぐに追い出されるので寝ることにし、
牧草を食べて引き続き待機!
早く終わらせてくれ
掃除も(この記事も)あと少しで終わりです。残すはトイレ掃除くらいですよ。
さて、トイレの尿石汚れ取りの最中は、うさぎさんが近くにいると危険なので、とくに気をつけてあげる必要があります。
この作業は汚れの度合いにもよりますが、尿石がかなりついていると、スプレーをかけて放置しただけでは完全に除去できないので、歯ブラシでゴシゴシと磨いていくことで、トイレを新品同様のピカピカな状態にすることができます。
そしてこれが終わったら、餌箱や小屋(ウッドハウス)などの備品を掃除してあげれば、大掃除は完了です。
また、今回の大掃除に合わせて交換したかったのが、この給水ボトルの留め具。
これを新品と交換し、ついでにトイレのすのこ(金網)も新品と交換しました。これらをそろえるのに、今回は少し時間がかかってしまったわけです。
なんだかんだで2時間弱の時間がかかってしまいましたが、今回も無事に大掃除は終了。
ピカピカになったおうちの中で、イブスター店長は、優雅にディナーを楽しんだのでした。
今回のまとめ
・掃除をサボっているとうさぎさんが病気になる可能性があるので注意
・換毛期のあとも大掃除をしてあげるとなおよし
うさぎさんのケージの上にいろいろと物を置いている場合は、それをいったんどかさなければなりませんし、うさぎさんには別の場所でしばらく待機していてもらわなければならないので、大掃除はけっこう大変です。
しかし、だからといって掃除をサボっていると、うさぎさんの健康に影響が出てしまう可能性もあるので、定期的に大掃除はしてあげなければなりません。
部屋の乱れはこころの乱れ。それは私たち人間もそうですし、きっとうさぎもそうでしょう。うさぎさんは自分で部屋の中を片づけることはできないので、飼い主さんが掃除をしてあげ、うさぎさんのこころの平和を守ってあげてください。
なお、今回ご紹介したイブスター店長のケージや備品等は、紆余曲折を経てようやくたどり着いたものもあるので、気になる方は、以下の関連記事からチェックしてみてください。
それと最後に、ちらちらと画像に写り込んでいる「水入りのペットボトル」が気になった方のためにも、これはなにかを説明しておきましょう。これはネコよけならぬウサギよけです。
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