【ディスチミア】新型うつ病に共通する特徴は不真面目、甘え、やる気なし

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従来のうつになりやすい性格の人とは正反対の特徴を持った、いわゆる「新型うつ病」にも、共通する特徴があります。

若年層に増えているといわれる「新型うつ病」。その特徴から、周囲からは不真面目だとか、甘えだとか、根性なしだとか思われてしまいがちで、理解を得るのはむずかしいという問題があります。

なお、新型うつ病は、そもそもなにに対しての新型なのかというと、従来のうつ病になりやすい人の特徴であった「メランコリー親和型」に対して、という意味合いで使われることが多いようです。

今回は、いわば旧型のメランコリー親和型性格と、新型うつ病に見られる性格がどのように違うのか、後者の特徴について見ていきます。

目次

新型うつ病と呼ばれる「ディスチミア親和型」性格

「新型うつ病」とは、従来の典型的なうつ病とは異なる特徴を持ったものの総称をいいますが、新型うつ病という用語は精神医学の専門用語ではなく、若年層の抑うつ状態の一側面をメディアが切り取った、いわばマスコミ用語です。

さらに、新型うつ病は「非定型うつ病」とも呼ばれます。

この非定型うつ病は正式な医学用語なのですが、これもメディアなどによっては本来の持つ意味合いではなく、新型うつ病と同じ意味合いで使用されることも多いため、世間では、新型も非定型も同じものとして認識されていたり、その用語が使われていたりもします。(以下、世間でいうところの「新型うつ病」について話を進めていきます)

従来の「メランコリー親和型」には、共通する性格の特徴(几帳面、他者への配慮、道徳観)がありましたが、時代の変化とともに、従来の特徴を持たないうつ病患者の報告が増え、新型うつ病にも共通する特徴があることがわかってきました。

日本の精神医学者は、そのような事例から新型うつ病の特徴を捉え、「未熟型うつ病」「逃避型抑うつ」「現代型うつ病」などの概念を提唱しましたが、そのなかでも「メランコリー親和型」と対比させた「ディスチミア親和型」というものがよく知られています。

「ディスチミア親和型」は「メランコリー親和型」とは対極、つまり正反対のような性格の傾向があるとされ、共通する特徴は大きく分けると、「自己愛」「他罰的」「秩序否定」という3つの要素に分けることができます。

1. 自己愛が強い

自己愛とは、自分自身に愛着を持つことで、そもそも誰にでもある心理ですが、新型うつ病の人は、自己愛が一般的な人と比べて増幅されている傾向にあるといわれていて、おもに以下のような特徴が見られます。

自分は特別な存在だと思い込む

「ボクはすばらしく、偉大で、特別な存在なんだ。そのへんの奴らとは、もともとの出来が違うんだ」

とくになにかを成し遂げた、成功を収めているというわけではないのに、自分は他人とは違う、他人よりすぐれていると強く思い込んでしまいます。

ほんとうはすぐれた才能を持っているが、まだ開花していないだけだ、と常日ごろから思ってはいますが、現実では自分の思ったとおりにうまくいってはいない場合が多く、そのことに対して強いストレスを感じてしまいます。

根拠なき万能感

「かつて神童と呼ばれたこのおれに指図するな! ほんとうに、世の中は無能しかいないな。嫌になってくるよ、無能が多すぎて」

自分はやろうと思えばなんでもできる、ただ本気を出していないだけだ、と根拠のない漠然とした万能感があり、条件や仕事、機会さえ与えられれば非常にいい働きをするという思い込みがあります。

しかし、自分の能力が認められない、能力を発揮する機会を与えてもらえない、機会を自分でつくれないということが多く、それに対して強い憤りを感じてしまうのです。

他人への嫉妬

「へぇ、けっこうもらってるんですね。まぁ、それくらいだったら自分もやればいけますね。ただやろうとしてないだけで」

成功を収めている、うまくいっている他人に対して、自分もやればそれくらいはできると思い込みますが、とくに本気を出してなにかをしようとは思いません。

そのため、成功している人間に対して「くだらない人間ばかりが成功して、くだらない世の中だ」と、嫉妬の感情を抱き、自分よりもうまくいっている他人を見るとよけいにやる気が出なくなってしまいます。

このように、自己愛の強さは、自分が思っているような自身の像と、現実での自身の地位などに大きな格差ができてしまうと、それが強いストレスとなることで、とくに仕事などの自分がやりたくないことに対しては抑うつ状態になってしまう、という危険性があるのです。

2. 他罰的な感情が強い

「メランコリー親和型」性格の人は、ミスをしたり、完全な八つ当たりで怒られたとしても自分が悪い、自分の責任だと思い込む自責的な傾向がありますが、「ディスチミア親和型」性格の人は、他罰的(うまくいかないことを状況のせいや、他人のせいにする)傾向があるといわれています。

おもに以下のような特徴があります。

責任感にとぼしい

「任された仕事は終わらなかったんですけど、なんかもう面倒くさいんで、あとは先輩方でお願いします。私はやりませんから」

責任放棄なんてものは朝飯前。

仕事などで自分に任されたことがあっても、とくに自分がやりたくないことに対しては、責任感を持って取り組む姿勢はあまり見られません。

責任を負うことを面倒くさいと感じ、責任を負った業務などがうまくいかなかったときは、自分ではなく責任を負わせた相手が悪いと感じてしまいます。

他者配慮性は弱い

「あいつと組まされたから失敗したんですよ。だからあいつが悪いんです。そもそも人選ミスじゃないんですか?」

自己愛の強さもあって、なによりも大事なのは自分自身。

他者へ配慮する気づかいは弱く、なにか不都合があればそれはすべて他人のせい、自分はなにも悪くないと感じてしまいます。

他人のミスは、自分の足を引っ張る許されざるもの。自分のミスは、他人のせいで引き起こされたもの。

すべては他人のせいだと感じてしまい、ミスをした他人を恨み、自分がミスをしても他人を恨んでしまいます。

反省はしない

「売上が自分のせいで落ちた? いや、こんな時代なんだから落ちて当然ですよ。時代が悪いんですよ。時代が」

自己愛が強く、他罰的なため、たとえ自分に非があったとしても反省はせず、他人のせいにしてしまいがちです。

上司から怒られようものなら「そんなものは聞いていない、先にいわなかったあなたが悪い」と、自分が気づけなかった、勉強不足だったといった部分には目を向けようとはしません。

自分はなにも悪くない、すべてはこの世の中が悪いと思い込んでしまうので、そもそも反省する必要がなくなってしまうのです。

このような他罰的な感情の強い人というのは、集団社会では受け入れられることはむずかしく、しだいに孤立を招きますが、そうなってしまうと「どうして自分が認められないんだ」という自己愛の強さもあって、強いストレスを感じてしまうようになってしまうのです。

3. 秩序への否定的な感情が強い

「ディスチミア親和型」性格の人は、社会のルールや規範といった秩序に対して抵抗する傾向が強く、秩序がストレスとなってしまいます。仕事熱心ではない傾向があるといわれていて、おもな特徴には以下のようなものがあります。

勤務時間への反抗

「朝は1時間前にきて仕事の準備? いや、早くきても給料変わらないですよね。だったら5分前にきますよ」

出社はギリギリ。退社は定時。残業なんてありえません。

仕事の時間に対してはとにかくシビアで、1分1秒でも仕事で無駄な時間は使いたくないという思いが強く、その考えに対して文句をいわれたり、定時で帰れないなどの思いどおりにいかないことがあれば、それが強いストレスとなってしまいます。

行事への反抗

「飲み会への参加は強制? もちろん飲み会の時間て給料出るんですよね? え、出ないんですか!?」

企業や職場によっては、独自の行事(決まりごと)があることも多いと思います。たとえば、年に数回ある懇親会であったり、社員旅行であったり、忘年会や反省会であったりです。

しかし、そういった行事に強制的に参加しなければならないことにストレスを感じてしまうのです。

しかも、身銭を切らされるとなれば、それはもう……目も当てられません。

帰属意識が低い

「休憩中パチンコいって昼代浮いたんですよ。え、休憩中にパチンコ屋いくな? 休憩中になにしようがこっちの勝手じゃないですか……」

組織に帰属しているという意識が低く、それによって行動に制限がかかったり(たとえば社員証をぶら下げたままよからぬところに行くなど)、行動をとがめられるとストレスを感じてしまいます。

本来、休憩時間は基本的に労働者の自由ですが、社会的な規則、組織ごとの規則は少なからずあります。そういった規則に縛られることに対して、強い反感を持ってしまうのです。

このように、秩序への否定的な感情が強すぎると、社会の一員として生きていくには難儀してしまうため、ストレスをため込んでしまいやすくなってしまうのです。

新型うつ病の原因は現代社会にもある

新型うつ病の人は、「ディスチミア親和型」の性格が共通するといわれていますが、それ以外にも共通する特徴があります。

それは、仕事などでは抑うつ状態になってしまう反面、プライベートとなると話は別で、元気になって遊んだり、楽しんだりすることができるのです。

このように、新型うつ病には、つねに抑うつ状態ではないという特徴があるため、本人の性格に問題があるとか、甘えているだけだとか、とくに会社の上司や同僚などからは思われてしまうという非常にむずかしい問題があります。

ただ、私は性格が「ディスチミア親和型」になってしまうことには、時代の背景が大きく影響しており、現代社会が悪い部分も少なからずあると思っています。

いくら働いても給料は上がらず、サービス残業・休日出勤は当たり前で、どれだけ働いてもなんの保証もありません。景気がいいといいながらも、実際はほんとうかどうかもあやしく、税金だけは上がり続け、生活苦におちいることもめずらしくはない社会です。

もちろん、すべてがそうではないとは思いますが、私は、いまの世の中は、若い世代が未来を信じて、ひたむきに進めるような時代ではないと思っています。

そんな時代で責任感を持て、会社に従って身を粉にして働け、などといわれても「おまえはなにをいっているんだ?」としかなりません。そうなってしまっても、しかたがないような気がするのです。

しかしながら、それでは社会で生きていくことはできないこともまた事実。よって、すべてを社会のせいにすることもまた違うというか、それを続けていても、前に進むことはできないのです。

新型うつ病の治し方

新型うつ病の特徴としてもう1つ挙げられるのが、「投薬治療がかならずしも功を奏するわけではない」という点です。

もちろん、投薬治療でよくなる方もいると聞くので、新型うつ病を治すためにも、まずは従来のうつ病と同様に、身体の状態から改善していくのがいいのではないかと私は思います。

新型うつ病でも、従来のうつ病の第一選択薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)がまず使用されることが多いと聞きます。従来同様に、神経伝達物質に異常が起きているのであれば、腸内環境を改善することで、問題を解決する基盤をつくることはできるでしょう。

そして次に、新型うつ病の治療に最も有効とされているのが「認知行動療法」と呼ばれるものです。

認知行動療法とは、ものごとの考え方や受け取り方(認知)に対して働きかけ、感情や行動をコントロールしていく方法のことで、これはギャンブル依存症の治療にも用いられている手法です。ものすごく簡単にいうと、考え方を変えて行動を変えるということです。

たとえば、仕事のミスを上司に謝罪する際などは、

「すみませんでした(まったくもって自分は悪くないけどな)」
「すみませんでした(まぁたしかに自分が悪い部分もあった)」

このように、少し考え方を変えるだけでも、その後の行動は大きく変わっていくと思います。

行動は私たちの考え方に左右されます。したがって、新型うつ病の場合も、まずは「ディスチミア親和型」に共通する考え方を変えていく必要があるのです。

今回のまとめ

・ディスチミア親和型性格は真面目になれず、やる気が出ない
・仕事などの嫌なことに対してだけ症状が出る(楽しいときは出ない)
・真面目になれないのは時代背景も少なからずあると思う

いわゆる新型うつ病の方は、社会や家族、場合によっては治療者までからも皮肉な目線を向けられてしまい、さらに孤独を感じてしまうこともあると思います。

しかし、自分のことを救い出せるのは、結局はまぎれもない自分自身だけです。

時代や他者、社会に対して思うことはいろいろとあるとは思いますが、そんなことを考えていても意味がありません。まずは体のコンディションを整え、考え方を少しずつ変えていくのがいいでしょう。

他人や社会といった「外」ばかりに力を向けるのではなく、自分自身である「内」にも向けるようにすると、うまくいくかもしれませんよ。

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