【簡単】神経伝達物質と脳での情報伝達の仕組みをわかりやすく解説

生涯のあいだにうつ病をはじめとするなんらかの精神疾患にかかる割合は、日本では5人に1人、世界では4人に1人といわれています。

自分は大丈夫と思っていても、きっかけによってはいつでも発病する可能性があり、じつは身近な存在ともいえる精神疾患「うつ病」。

うつ病は脳内にある「神経伝達物質」というものに異常が起きていることが原因とされていて、この物質はうつ病以外の精神疾患にも大きな関わりがあると考えられているものです。

それでは、この神経伝達物質とはいったいなんなのでしょうか? 今回は、神経伝達物質とはなにか、脳での情報伝達はどのようにして行われているのかを、わかりやすく説明していきます。

神経伝達物質とは

脳内には神経細胞(またはニューロン)という情報を処理したり、伝達したりする細胞があります。そして神経細胞と神経細胞のあいだにはシナプスという情報の受け渡しが行われる部分があるのですが、そのシナプスで情報の受け渡しを行うのが神経伝達物質です。

つまり神経伝達物質とは、脳内の神経細胞が他の神経細胞へ情報を伝達する際に使われる脳内物質のことをいいます。

……よく意味がわからないですよね。そこで、わかりやすく図説したのでこちらをご覧ください。

神経細胞、シナプスと、神経伝達物質

神経細胞同士がくっつきそうになっている端と端の部分がシナプスです。そのシナプス間でやりとりされているものが神経伝達物質ですね。

この情報の受け渡しを行うシナプスですが、情報を発信する側をシナプス前細胞、受信する側をシナプス後細胞といいます。シナプス前細胞から神経伝達物質が放出され、シナプス後細胞の受容体に結合することで情報の受け渡しとなるのです。

なに、まだよくわからない? それでは、これをさらに簡単に考えていきましょう。

洗濯機に置き換えて考えてみる

例えば、普段から使っている洗濯機があったとします。

洗濯機が突然不具合を起こしてしまい、電源が入らなくなってしまいました。これでは洗濯ができないのでどんどん洗濯物がたまっていってしまいます。これは大変な事態ですね。

そこで、その場合まずはメーカーなどに問い合わせの電話をすると思うのですが、それを踏まえたうえでこちらをご覧ください。

神経伝達物質の流れをわかりやすくした図

左側の人が皆さんで、右側の人がメーカー担当者。これは神経細胞を表しています。電話機はシナプスで、皆さんが持っているほうの電話はシナプス前細胞、メーカー担当者が持っているほうの電話はシナプス後細胞。電話をつなぐための電波は神経伝達物質です。

通常、洗濯機の問い合わせの一連の流れというのは以下のようになります。

  1. 皆さんは洗濯機のメーカー担当者に電話をかける
  2. 皆さんの持っている電話から電波が発信される
  3. メーカー担当者の電話が電波を受信する
  4. メーカー担当者に電話が通じ、洗濯機の不具合を伝えることができる

そして、これを先ほどの図のとおり置き換えてみると、以下のようになります。

  1. 神経細胞(左)は情報を伝達したい
  2. シナプス前細胞から神経伝達物質が放出される
  3. シナプス後細胞が神経伝達物質を受け取る
  4. 神経細胞(右)に情報が伝達される

つまり、情報伝達の流れというのはこのようになるわけです!

神経細胞  シナプス前細胞  神経伝達物質  シナプス後細胞  神経細胞

それでは次に、この電波(神経伝達物質)に異常が起きてしまった場合を見ていきます。

情報伝達の流れ(神経伝達物質に異常が起きている場合)

さて、洗濯機が不具合を起こしてしまい電話をかけるところまでは一緒です。

皆さんはメーカー担当者へ電話をかけます……が、どうやら電波が悪いようでなかなかつながらず、何度も電話をかけたところでようやくつながりました。

しかし……

メーカー担当者
メーカー担当者

(ザー……)お電……あり…………ます……(ザー……

皆さん
皆さん

もしもし!?

メーカー担当者
メーカー担当者

(ザー……)ご用…………(ザッ……ザー……

メーカー担当者
メーカー担当者

…………

切れてしまいました。その後も何度も電話をかけるもうまくつながりません。

なんということでしょう、これでは洗濯機を直すことができないため、着る服がなくなってしまいます。この状態が続けば洗濯カゴに放り込んでおいた湿った肌着をまた切る羽目になってしまうのです! そんなことになれば気分もどんよりしてしまいますよね。

そして、この場合は以下のような情報伝達の流れとなってしまいます。

神経細胞  シナプス前細胞  神経伝達物質……シナプス後細胞……神経細胞

神経伝達物質の異常により、神経細胞同士の情報伝達がうまくいかなくなってしまったのです。

神経伝達物質の異常による影響

さて、皆さんはもうお気づきかもしれませんが、この「洗濯機」とは体の機能の一部や、こころの一部をたとえたものです。

神経伝達物質に異常が起きてしまうと、情報の伝達がうまくいかず、身体的な機能や精神的な機能に不具合を起こしてしまうというわけです。

そして、それを放っておくとどうなるか。

うつ病であったり、睡眠障害や下痢・便秘といったこころや体に影響が出てくる状態、つまり精神疾患(こころの病)になってしまうのです。

今回のまとめ

・神経伝達物質とは脳内で情報のやりとりをするもの
・脳内での情報のやりとりに異常が生じると、こころや体に影響が出る

今回は情報伝達の流れについて見ていきました。「神経伝達物質」の役割について理解を深めることができましたね!

そして次回からは、神経伝達物質のなかでも特に重要な役割を持った「三大神経伝達物質」と呼ばれる3つのものを見ていこうと思いますが、まずは最初に「ノルアドレナリン」というものから見ていきたいと思います。

次回 三大神経伝達物質の分類とその一つ、「覚醒と闘争」のノルアドレナリン

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