【酵素栄養学は嘘?】酵素の働きとサプリなどには効果はないとされる理由

酵素という名前はよく耳にしますが、そもそも酵素ってなんだ? という方のために、酵素についてわかりやすく解説します。

酵素サプリや酵素ドリンク、近年では酵素ペットフードなるものまで登場するなど、街じゅうは「酵素」の2文字であふれかえり、基本的には酵素は健康にいいものとする主張で商品が販売されています。

ところが、その健康にいいとする主張の根底となっている「酵素栄養学」という考えは、嘘だ、インチキだ、効果がないなどともいわれているのです。

では、なぜこのように意見が真っ二つに分かれているのかというと、それは酵素に対する間違った認識や、そうさせるようなキャッチコピーを打つメーカー、そもそも「酵素栄養学」という考えに矛盾点があるからだと私は思います。

今回は、そんな酵素について見ていきながら、酵素サプリにはほんとうに効果はあるのかなど、酵素にまつわる問題について検証していきたいと思います。

酵素の働きと種類

私たちの体の中では、つねにさまざまな反応が起きています。食べたものを消化したり、食事から栄養を吸収したり、病気やけがをしたときは、自然治癒によって悪くなった場所を自己修復してくれたりといったようにです。

このような消化・吸収・代謝などの化学反応を引き起こす際に、仲立ち(触媒)として働くものがあります。それが「酵素」です。

私たちの体の中には、化学反応の目的に応じた数千種類の酵素があり、休むことなく生命維持のサポートをしてくれているのです。

逆にいうと、酵素なくしては私たちは生命活動を維持することができません。これが酵素が「生命の源」などと呼ばれるゆえんです。

酵素はおもに、体の中にある「消化酵素」と「代謝酵素」、食べ物などの体の外にある「食物酵素」の3つに分けられます。

1. 消化酵素

読んで字のごとく、消化酵素とは消化に関する酵素のことです。口、胃、腸などの消化器官には消化酵素がそれぞれ存在し、食べ物を吸収されやすい状態に分解する働きを持っています。

たとえば、ご飯を噛み続けていると、だんだんと甘く感じるようになってきますが、これは唾液に含まれる「アミラーゼ」という消化酵素が、ご飯のでんぷんを分解することによって起きている酵素の働きによるものです。

そのほかにも、消化酵素にはたんぱく質を分解する「プロテアーゼ」や、脂肪を分解する「リパーゼ」などがありますが、消化酵素は年齢とともに分泌量が減少していくことがわかっていて、30代から減り始め、40代以降は急激に減ることが判明しています。

2. 代謝酵素

代謝酵素とは、消化酵素によって分解され、体の中に吸収された栄養素をエネルギーとして働かせる役割を持っています。

運動や呼吸、汗、尿、便などの老廃物の排出、ウイルスと戦う免疫機能や、肌の新陳代謝など、さまざまな生命活動を維持するなかで働いています。

3. 食物酵素

食物酵素とは食べ物に含まれる酵素のことで、野菜や果物、魚であったり、納豆や味噌、ヨーグルトなどの発酵食品にも多く含まれ、消化を促進させるなどの働きがあります。

たとえば、酢豚に入っているパイナップル。なんでこんなところにパイナップルが入っているんだ? と疑問に思われる方も多いと思うのですが、じつはパイナップルには肉などのたんぱく質を分解する「ブロメライン」という消化酵素が含まれていて、お肉をやわらかくして消化を助ける働きがあるのです。

ほかにも、消化を助ける強力な酵素として知られるものでは、パパイヤの「パパイン酵素」であったり、大根おろし(おろすことで酵素が増える)の「ジアスターゼ」などがあります。

野菜や果物を食べたあとにお腹がすっきりするのは、野菜や果物が持っている食物酵素が、自分自身を消化する「自己消化」という働きに加え、酵素によってはほかの食物の消化も助けるからなのです。

このように、酵素は私たちが生命活動を維持するための「栄養を取り込む」という行為に大きく関わっているのですが、先ほども見てきたように、私たちの自前の消化酵素は年齢とともに量が減少する、つまり消化の能力が衰えることがわかっています。

そこで、人類は時の流れに打ち勝つため、このように考えたのです。

usagi
イブスター店長

それなら、酵素を外からおぎなえばいいじゃない

酵素栄養学と矛盾点

1898年、シカゴに生まれたアメリカ人医学博士のエドワード・ハウエルは、生の食品やジュースを用いた療法によって、患者の健康改善に劇的な効果を得ることに成功。長年の臨床経験から酵素の重要性に気づき、独自の研究と食物酵素理論を世界で初めて提唱しました。

そして、ハウエルによって提唱された理論こそが「酵素栄養学」です。酵素栄養学はおもに以下のような主張となっています。

  1. 人には一生のあいだでつくることができる酵素の量(潜在酵素)が決まっており、酵素を消耗しすぎると病気の原因などにもなることで寿命が縮む
  2. 食物酵素の多い食品を取れば、酵素が食品の消化を助けるため、自分自身の消化酵素を分泌する量を減らし、潜在酵素の消費を抑える(節約する)ことができる
  3. 自然の状態の(生の)食品には食物酵素が含まれているので、胃の中で本格的な消化が始まる前に「事前消化」が行われる
  4. 食物を加熱すると酵素の働きが失われるので、過熱された食品は「事前消化」が行われず、消化酵素をつくる内臓(すい臓)に負担をかけ、それが病気のもととなる

しかし、この理論には科学的根拠にとぼしいとされる部分もいくつかあるので、主張の裏づけと反対意見を少し確認しておきたいと思います。

潜在酵素は人によって決まっているが嘘

①の潜在酵素についてですが、一生のあいだにつくることができる酵素の量は初めから決まっているという事実は、現時点ではまだ発見されてはいません。ようするに、「潜在酵素」という酵素栄養学の根幹をなす主張に裏づけが取れていないのです。

けれども、たとえば「すい炎」という病気について考えてみます。

通常はすい臓が分泌した消化酵素は、すい臓自身には影響は与えませんが、アルコールを過剰摂取しすぎた場合などに消化酵素がフルでつくられ続けると、すい臓自体が消化されてしまうことがあるのです。

このように、消化酵素の消耗は病気の原因になることもあるため、潜在酵素なるものがなかったとしても、酵素の消耗は寿命を縮めることにはつながる可能性はあるので、これだけでは酵素栄養学は嘘だとはいえないような気がします。

体内の消化酵素を節約するが嘘

②の体内の消化酵素を節約するという考えですが、酵素は触媒のため、消費・消耗はされないという意見があります。

触媒というのは化学反応の際に、それ自身は変化することなく、ほかの物質に影響を及ぼすもののことをいいます。つまり、消化の際に使われてもなくなるわけではないということです。

とはいえ、酵素はたんぱく質からできているので、さまざまな原因で変化したり、劣化したり、活性を失ったり(失活)もします。そしてその場合は、新しい酵素が体の中でつくられるので、消化酵素の節約はすい臓など、酵素をつくる体の負担を減らすことにはつながっているとも考えられます。

事前消化の裏づけ

また、③の事前消化というのは、野菜や果物の持つ食物酵素が、自分自身を消化する「自己消化」と、ほかの食物の消化も助けることをいいます。

野生のオランウータンは唾液に消化酵素は持っていませんが、バナナを食べると胃の前でとどまり、バナナの持つ消化酵素で事前消化が行われていたという話もあります。野菜や果物の持つ消化酵素が、消化に役立つこともわかっているので、事前消化の主張もとくに違和感を感じることはありません。

これらをまとめると、「酵素栄養学」とは、酵素の多い食べ物を摂取して、食物自身で消化してもらうか、食物の持つ酵素で消化を助けてもらおう、という考え方と捉えることができ、そこまでおかしな主張でもないような気もするわけです。

それではなぜ、「酵素栄養学」は嘘だインチキだとこきおろされ、強く叩かれたりもするのでしょうか。それには、酵素栄養学をもとに酵素食品を売るメーカーなどの、宣伝文句が関係しているものと思われます。

健康食品メーカーのキャッチコピー問題

酵素サプリや酵素ドリンクなどを販売するメーカーは、酵素栄養学に基づき、たいがいが宣伝文句として、以下のようなニュアンスで商品を販売しています。

酵素は一生のうちにつくられる量が決まっているため、酵素サプリや酵素ドリンクで「酵素を補って」健康を維持しよう!

前半部分の酵素の総量に関しては、推測の域を出ない話なのでなんともいえないのですが、問題はそこではなく後半の「酵素を補う」という部分です。

酵素栄養学では、酵素を直接補うとはいってはいないのですが、あたかも健康食品から酵素を直接補給できるようなキャッチコピーで商品を販売するメーカーが多いのです。

たしかに、健康食品メーカーがにおわせる「食物から酵素を補給する」という表現は、「食物の酵素の助けを借りて自前の酵素を節約する」という酵素栄養学の考えに表現が似ているので、言葉のあやのようでもあるのですが、このキャッチコピーこそが、酵素栄養学をインチキだ、嘘だと思わせてしまう原因なのではないかと私は思っています。

なぜなら、酵素は外部から直接補給することはできないからです。

酵素はたんぱく質からできているので、口から取り込んだとしても、そのまま吸収されて体の中で働くわけではありません。口から取り込んだ酵素は、消化の過程で分解され、腸から吸収されてしまうのです。

したがって、外部から消化酵素を取り込んだとしても、自前の消化酵素と同じように働かせることはできないのです。

そうなると次に湧き起こるのは、「酵素サプリや酵素ドリンクはすべて嘘で効果はないのではないか!?」という問題なのですが、これに関しては、私は一定の効果はあるのではないかと思っています。

酵素サプリ、酵素ドリンクのメリットと効果

酵素サプリや酵素ドリンクを飲んでも、酵素を補給することはできません。それでは、そういった健康食品は完全なデタラメなのかというと、そうも一概にはいえないようにも思われます。

サプリやドリンクなどを利用することによって、以下のような効果が得られる可能性があるからです。

  1. 事前消化に役立つ
  2. 酵素食品の持つ栄養を補給できる
  3. 腸内環境を整える

1. 事前消化に役立つ

酵素サプリや酵素ドリンクに、先ほども見てきたようなパイナップル、パパイヤ、大根などの食物が持つ消化酵素が含まれている場合、食事といっしょに取ることで食物の消化を助けてくれる可能性があります。

事前消化が行われれば、すい臓は余分に消化酵素をつくる負担が減り、消化酵素づくりに必要となる、アミノ酸やビタミンなどのエネルギーの消費を抑えることができるため、ほかの代謝に支障がでなくなる可能性があるのです。

2. 酵素食品の持つ栄養を補給できる

酵素サプリや酵素ドリンクというのは、いわば発酵食品です。食品を微生物の力などで発酵させて、食品の持つ栄養素を凝縮しているので、酵素食品の原材料となった食品の栄養や、発酵されたことで生まれた栄養などを摂取することができます。

3. 腸内環境を整える

酵素サプリや酵素ドリンクには、物によっては乳酸菌や、食物繊維、ビタミンなどの腸内環境を整える成分が配合されているものもあるため、酵素食品を取り入れることで、腸内環境が改善される可能性があります。

また、インスタント食品・加工食品の取りすぎや、早食い・食べすぎなどは消化不良を引き起こす原因となり、腸内環境の悪化(悪玉菌が増える)を招きますが、酵素食品で食物の消化を助けてもらうことができれば、悪玉菌に不要なエサを与える機会も減るため、結果として腸内環境を整えることにもつながるのです。

酵素食品に可能性があるとすれば、個人的にはこれがいちばんのメリットかなと思っています。

今回のまとめ

・酵素栄養学の主張にはいまだ不明な部分もある
・しかしながら、あながちすべてが嘘とは言い切れない
・酵素サプリ、酵素ドリンクなどの妄信には注意しよう

これらのことから結論を出すとすると、酵素栄養学は嘘なのか? という疑惑に関しては、一概にはそうはいえないということができるかもしれません。とはいえ、酵素と名のつく物はすべてがいいのかというと、けっしてそういうこともありません。

酵素サプリなどによっては、健康被害(原料が体に合わず、お腹を壊すなど)が出ているものもあるため、酵素サプリだから、酵素ドリンクだから、と妄信はしないようにする必要があるからです。

とくに口の中に入るものというのは、これは健康食品に限った話ではないのですが、疑ってかかるぐらいがちょうどいいと思いますよ。

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