うつ病でも仕事はしたい、続けたいという場合、状況や手段によっては仕事を辞めずにすむ方法はあります。
うつ病になってしまうと、これまでできていたことが突然できなくなり、同時に気力も低下することから、職場では周囲の反感を招いてしまうこともあります。そうなると、さらに気分が落ち込んでしまうため、負のスパイラルにおちいるのは避けられないことなのかもしれません。
しかし、これは精神的な病によって精神のエネルギーが低下しているだけの話なので、ひとたび復活することができれば、また以前のように、いやそれ以上にでも働くことができると思います。
だからこそ、職場の環境によっては、まずは仕事を辞めることを考える前に、辞めずにすむ方法を考えたほうがいいと私は思うのですが、問題は仕事を続ける方法はあるのか? ということです。
これに関しては、条件がそろえば可能性はあると私は思っていて、現に、私の場合は仕事を続けるという選択をし、仕事をしながら病を克服することに成功したので、そういった経験からも今回は、うつ病になってしまったときはどうすれば仕事を続けることができるのか、といったことをお話ししたいと思います。
仕事を辞めたほうがいい場合はこちら
→【命が大切】うつ病で仕事についていけない時は辞めた方がいい場合もある
うつ病でも仕事を続けたほうがいい場合
うつ病になってしまうと仕事を辞めたい、行きたくない、というかもう死にたい、とそれだけしか考えられなくなってしまうと思うのですが、自身の目標や生活のためであったり、家族や恋人を養うためなどの理由から、仕事は辞められない、できれば続けたい考えることもあると思います。
私も、環境さえ整っていれば、仕事は続けて復活の時を待ったほうがいいと思いますし、事実、精神科や心療内科の医師も、仕事を辞めるのは最終手段だとよく言っているので、すぐに辞めるという判断は、状況によっては少し待ったほうがいいのかもしれません。
それでは、その仕事を続けるのに適した環境や状況とはなんなのか、という話ですが、これは、私たちがそもそも仕事を始めた理由であったり、仕事をしてきて感じたことなどの「自身と仕事の関係」や、労働条件や上司、同僚との関係などの「職場の環境」が重要となってきます。
それぞれ詳しく見てみていきましょう。
1. 自身と仕事の関係
私たちが現在の仕事につく際には、生活費のためとか、家から近かったとか、なんとなく面白そうだったとか、なにかしらかの理由があったと思います。
うつ病になってしまうと、そういったもともとの目的であったり、仕事をしていて感じたおもしろさなんてものはすべて頭から消し飛んでしまうので、まったく考えられなくなってしまうと思うのですが、少しだけうつ病になってしまう前のことを思い出してみてください。
たとえば、以下のようなことはなかったでしょうか。
- 手に職をつけたい、ノウハウを学びたいなどの明確な理由があった
- その仕事が自分に合っていると思い、実際に自分に合っていた
- 自分の好きなことを仕事にできる職業だった
- 仕事をしていて嬉しい・楽しいと感じるときがあり、仕事に喜びを見いだすことができた
- 生活費のためと割り切って始めたものの、やってみると案外悪くなかった
- うつ病になってしまう前まではとくに不満や問題もなかった
うつ状態が続いていることの原因が仕事の行き詰まりであったり、うまくいかないといった、仕事そのものとの葛藤である場合、それはうつ病によって私たちが持っている本来の力を、ただ封じられているだけのことかもしれません。
もしそうであれば、うつ病を克服することができれば、私たちは持っている力をふたたび発揮することができ、仕事の行き詰まりに突破口を開くことができます。
もともとはなにか目的があったり、少なからずやりがいを感じていた仕事、それがうまくいかなくなったことによるうつであれば、職場の環境次第では、踏みとどまって続けたほうがいい場合もあります。あきらめるのはまだ早いかもしれません。
2. 職場の環境
うつ病になってしまったことで業務に支障が出てくると、まず上司は黙ってはいないでしょうし、同僚からも文句をいわれてしまうかもしれません。私たちの事情を知らない人間からすれば、「こいつはやる気があるのか?」としか思われないかもしれません。
しかし、職場の環境にいくつかの条件がそろっていれば話は別で、職場の条件によっては仕事を続けたほうがいいこともあります。
たとえば以下のような場合です。
- 上司からは毎日のように怒られてはいるが、パワハラではなく「叱責」
- 職場の中に1人でも相談相手になってくれたり、理解してくれる仲間がいる
- 社内相談窓口があり、労働環境を改善してもらえる可能性がある
- 一定期間休職することができる
- 長時間労働や違法な低賃金で働かされているわけではない
- うつ病になってしまう前までは上司に怒られることも少なかった
うつ病になってしまったことで、毎日仕事のミスや態度を上司にとがめられていれば気もめいってしまいます。
しかしそれが、ミスをなくせるように努力しろとか、そういった言葉がうつ病の人には逆効果にもなりうるということはひとまず置いておき、気力を出して頑張れとか、パワハラではなく叱責である場合、うつ病を克服して仕事をこなせるようになれば、上司を黙らせることはできるでしょう。
上記のような条件がいくつか当てはまる職場であれば、うつ病を克服できる可能性は少なからずあると思われるので、仕事は続けたほうがいいかもしれません。
逆に、すべてが反対条件のような職場であれば(パワハラ、理解者なし、休職できない、長時間労働、違法な低賃金など)、それはうつ病が悪化していくだけだと思うので、その職場は辞めたほうがいいように私は思います。
私が仕事を続けたときの状況
参考までに、私がうつ病を患いながらも、仕事を続けた当時の状況についてお話ししておきます。以下のような状況でした。
- バーテンダー見習い(アルバイト)
- 労働時間は1日6~7時間、昼間は別の仕事が1日8時間
- 睡眠時間は1~3時間程度の仮眠が数回
- 深夜手当なし、オープン・クローズ作業は時給発生なし
- 上司(経営者)からは言葉による精神的なパワハラを毎日のように受ける
- お客さんからも毎日のように怒られる
- 人手不足によって店は休めない
- 売上を自腹で補填せざるをえないときもある
- 末期は仕事中に吐き気を催す
職場環境としてはそこまでひどいものではなかったのですが、経営者から毎日ネチネチと浴びせられる精神的な攻撃は、殴る蹴るの暴力をふるわれたほうがまだマシなのではないかとさえ思わせるほどのものがありました。
また、人手不足により、私は見習いレベルにも関わらず一人で店を任されていて、業務内容に制限がかけられていたことで、お客さんから非難されることもしばしば。何人かいた同僚は経営者のパワハラで次々と辞めていき、残された私が辞めると店が開けられなくなるため、私は店を辞めることも休むこともできませんでした。
末期の状態では、お客さんの前に立つと吐き気を催す(おえっとなる)こともあり、考えることといえば、通勤中に事故で死ねないかとか、そんなことばかりです。
ところが、この最悪の状況が逆にきっかけとなり、私はこのころからうつ病の克服に向けて動きだすことができ、さらに、先ほども見てきたとおり、うつ病を克服する追い風となる職場の条件もあることはありました。
- 職場の中に1人でも相談相手になってくれたり、理解してくれる仲間がいる
私の置かれている状況に同情してくれた人、応援してくれた人など、そんな仲間の存在が追い風となったこともあって、私はうつ病を自力で克服し、仕事を続けることができたのです。
好条件はこれだけでしたが、逆にいえば、仲間の存在というものが、どんな職場の労働環境よりも大切なことなのかもしれません。
自分にはどこにも仲間がいない……という方も安心してください。最低でも1人はいますよ。強力な(?)仲間がここにね……!
うつ病でも仕事をしたいとき、仕事を続ける方法
うつ病の状態で仕事を続けられるか続けられないかは、最低でも職場の環境が一定の条件を満たしていることが必要になると思います。
いっさいの救いがないような職場であれば、うつ病は悪化していくだけだと思いますが、なにかしらの救いがあれば、あとは自分次第でどうにでもなる可能性はあると思います。
それでは、ここからは具体的な仕事を続ける方法について見ていきます。
1. うつ病の原因を正す
うつ病の原因はというのは、セロトニンという神経伝達物質が不足することが大きな理由と考えられていて、セロトニンの不足はストレスや不安を抑えることができなくなることで「うつ病」を引き起こし、夜になっても眠れないといった「睡眠障害」の原因にもなります。
うつ病の原因と考えられるセロトニンの不足を解消するには、生活習慣や腸内環境を改善が必要とも考えられ、腸内環境を改善するためには、食生活の見直しや乳酸菌サプリなどの腸活アイテムの利用も有効です。
身体の状態が整ってくると、精神の状態もあきらかに変わってきます。まずは生活習慣、そして腸内環境の改善から始めてみるのがいいと思います。
セロトニンを増やす方法はこちら
→ セロトニンを増やす方法はとても簡単!たった3つの習慣を変えるだけでOK
2. 病院(精神科など)に行く
自分ではどうしようもできない、うつ病の原因を正す気力もないという場合は、精神科などを受診し、カウンセリングや、あるいは向精神薬での治療を始めるのも一つの手かもしれません。
向精神薬は依存性などの副作用があることから、安易に手を出すのは危険だと私は思っているのですが、命に関わったり、急を要する場合は、投薬治療を始めたほうがいい場合もあるとは思います。
投薬治療中に身体と精神の強化を行い、うつ病の寛解(克服)を目指しましょう。
3. 休職する
会社に休職制度があったり、休職制度がなくても一定期間仕事を休ませてもらえる場合は、休職の手続きを取って、そのあいだにうつ病の原因を正していくのもありだと思います。
休職中の生活費は、有給休暇や傷病手当(以下)を利用することでも補うことができます。
4. 傷病手当金を受給する
精神科などに通院している場合は、休職中に月給の約3分の2程度の給付金を受け取れる可能性があり、受給期間は最大で1年6か月となっています。
休職中は収入がなくなるので、傷病手当金を受け取ることができれば、治療に専念することもできるかもしれません。
傷病手当金を受け取る注意点などについては、こちらの記事(【命が大切】うつ病で仕事についていけない時は辞めた方がいい場合もある)か、もしくは協会けんぽの公式サイト(全国健康保険協会|協会けんぽ)で確認できます。
5. 相談窓口を利用する
会社に相談窓口がある場合は、労働環境の改善を要望したり、休職の意思を伝えるなどして現状の相談をしてみるのもいいかもしれませんが、窓口がそもそもない、会社に相談なんてできないといったこともあるなど、これはなかなかむずかしい話だと思います。
そこで、そんなときに役立つのが、「こころの耳」という社外の相談窓口です。
「こころの耳」は厚生労働省の委託により運営されているポータルサイトで、精神面での不調に悩みながら働く方、その家族の方、職場のメンタルヘルス対策に取り組む事業者のためなどにつくられた、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトです。
「こころの耳」では、メール相談窓口や電話相談窓口を開設して、メンタルヘルスに関する相談を受け付けています。相談できる相手がいなくて困っているという方はぜひ利用してみてください。
その他の相談窓口については、厚生労働省の公式サイト内にある「電話相談」のページからも確認することができます。
メール相談は24時間受付、原則1通につき1通の返信、土日祝はお休み
【こころの耳電話相談】
(電話番号)0120-565-455
(対応時間)月・火:17~22時/土・日:10~16時
6. 考え方を変える
うつ病になる人には多くの場合当てはまる共通した考え方があるとされています。ここではすべてはあげられませんが、たとえば「真面目」であることなどです。
任された仕事に一生懸命に取り組み、自分が任されたんだからと弱音も吐かず、人にも頼らない。その結果、うまくいかなくなってしまうことがあれば、すべては自分の責任だ、自分の力が至らなかったせいだ、と徹底的に自分を責めてしまうのです。
たしかに、日本人の勤勉なところはすばらしいと思います。が、真面目過ぎるのもそれはそれで問題で、結局のところ私は、忙しい時に全力を出せばいいだけで、暇なときは休憩していたって別にいいじゃないか、という結論に達しました。
つまり、バレないように仕事をサボるのです。
これはちょっと言い方があれですが、ようは、仕事中に適度に手を抜く時間をつくるということです。たとえば、誰も見てないときにぼーっとしていたり、トイレに行くと言ってそのへんをふらふらしていたり、仕事をしているふりをして「genekibar.com」を見るとかですかね。
そもそも、人間の集中力というのはたいして長くは続きません。
8〜9割の時間を100%真面目に仕事して、1〜2割はバレないようにサボタージュ。これくらいでいいのではないでしょうか。適度な休憩は集中力の持続時間を高めることがあきらかにされていますし、きっと仕事の効率もそのほうが上がると思います。
そして私の経験上、仕事中に手を抜く技術は絶対に身につけたほうがいいです。
これはうつ病を克服し、再発を防ぐための必須テクニックにもなると思うので、探検するような感覚で「職場の穴」を探してみてください。その代わりに、やるときはやること。サボることばかり考えるような、不真面目な人間にはなってはいけないのです。
7. 仲間をつくる
直接話を聞いてくれる、相談相手になってくれる仲間がいるといないとでは、やはり精神的な負担は大きく変わってくると思いますし、そういった仲間の存在が、うつ病を克服するうえでの心のよりどころになったりもします。
ただ、うつ病になってしまうと、上司や同僚からの信用を失ってしまうこともめずらしくはないため、最初は心配してくれていたとしても、だんだんと自分だけ孤立していってしまうこともあるかもしれません。
そして、なんでわかってくれないの? どうして手を差し伸べてくれないの? と、気づいてくれない上司や同僚に対して憎しみを抱いてしまうかもしれません。
けれども、自分一人の手には負えない、つらい、助けてほしい、といった、心の最深部にあるような感情や思いは、言葉にのせて伝えなければ人には伝わりません。ある程度は察することはできたとしても、他人は人のことをほんとうに理解することはできません。なぜなら、人間はエスパーではないからです。
仲間をつくるために必要なのは、察してくれるのを待って心を閉ざすことではなく、心を開いて歩み寄ることです。
勇気を出して話してみると、「早く言ってよ」とか「手伝うから任せなよ」とか、思っていたよりも、身近に仲間がいたことに気づくことができるかもしれないですよ。
今回のまとめ
・仕事をサボる技術はうつを克服するうえで必須テクニックになる
・人間はエスパーではないので、思っていることは伝えよう
今回は仕事を続けるための方法について見ていきましたが、これらの方法を駆使すれば、仕事を続けながらでも、うつ病を克服できる可能性はあるのではないかと私は思います。
とくに、仕事に対する考え方や、自身の性格など、そういったメンタルの部分は、必要に応じて変えていかなければならないと思います。もちろん、それがいちばんむずかしいことだとは思うのですが、少しずつでも変えていかなければ、いつまで経ってもうつ病の自分のままになってしまうような気がします。
1つ考え方が変われば、また1つ考え方も変わります。そのためにも、まずは身体づくりから始めてみるのがおすすめです。肉体と精神はリンクしているものなので、きっと精神状態の変化を実感することができると思いますよ。
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